池央耿のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
ネビル・シュートはSFの名作「渚にて」の著者でもあります。書店で「買おうか?」悩んでいる時、解説を読んでその事を知り買うことにしました。また、表題の「パイド・パイパー」は、退治した謝礼を支払わない村人の怒って、子供達を笛で釣り出してしまう童話「ハーメルンの笛吹き男」のことです。まあ、子供が次々と集まるところは同じなのですが。
シチュエーションは何もかも違うのですが、同じように老イギリス紳士が主人公であるせいでしょう、カズオ・イシグロの「日の名残り」を思い出しました。どちらとも「主人公のキャラクター=小説の主題」という気がします。
「日の名残り」は表題の如く、斜陽のイギリスを背景にしています -
Posted by ブクログ
イギリス人であり、イギリス育ちの著者夫妻が、南仏に移り住んでからの12ヶ月を綴った一冊。
新しい本ではないけれど、南仏の雰囲気、人々の温かさが詰まっている。南仏といっても寒い地域があることに驚いたし、バカンスに訪れられる側の立場をとおした夏の様子は興味深かった。豊かな自然がもたらす美味しそうな食事やワイン。仕事は遅れるのが当たり前、呑気な、でも面白い、そして、食事やワインにうるさい人々。
南仏旅行の前知識本として手に取ったのだけれど、結局行かないことになったのが悔しいくらい、明るい太陽に、人々の笑顔に溢れた一冊でした。
いつか、南仏行きたい!! -
Posted by ブクログ
これまでに何度も読みかけては読まなかった、ディケンズさんの「クリスマス・キャロル」。
というか、チャールズ・ディケンズさん自体、初めてです。
何と言っても19世紀のイギリスの作家さんですからねえ。
これまで色々読んできて、こういう過去の世界観の、それも翻訳で読むとなると。
正直言って、「1作、またはシリーズ1つしか、21世紀の日本読者としては楽しめない」ということが多いですね。
ロビンソン・クルーソー。赤と黒。ホームズ。ルパン。などなど…。
1843年の出版だそうですね。
日本では、坂本竜馬さんが7歳の頃ですね。
当時、世界の文明産業帝国主義侵略ヨーロッパリーグでは、ぶっちぎりのトップランナ -
Posted by ブクログ
ウィンブルドン大会男子シングル決勝戦。
ライバルでもあり親友でもある人気プレーヤーの両人が雌雄を決する試合の最中、要求を飲まなければ観戦中の女王と試合の勝者を殺害するという脅迫状が届く。
勝敗が決する前に犯人を取り押さえなければならない警察、お互いを守る為に終わらせられない試合。
緊迫と情熱の名勝負が熱い!
デッドリミット型のサスペンスとしては少々物足りなく緊迫感もイマイチ。しかし、その分テニスの試合は白熱します。ラスタスとゲイリーという二人のテニスプレーヤーの友情が描かれる前半が丁寧にあるからこそ、後半の試合がおもしろいというものです。
大観衆の中、自分を含めた人命とプレーヤーとしての -
-
Posted by ブクログ
ネタバレ未来に行ったタイム・トラベラーが未来でタイムマシンを失い、現在に戻るために苦闘する、という小説の内容自体は、現在から見ると使い古されやや陳腐かもしれない。
一方で、著者が示した人類の進化の方向性(企業家階級と労働者階級の分化が進み、前者は労働から離れたために知性と身体能力を失い、地上を荒廃させる。後者は地下に押しとどめられることによって視力を失い、たんぱく質確保の方法として前者を襲う。)は、これも今日では陳腐と思われるものの、当時の社会的風潮を判断すると一定の妥当性のある推測であるように感じられ、その未来予測には見るべき点があると思われる。 -