池央耿のレビュー一覧
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ネタバレ1663年、クロムウェルによる護国卿政後の王政復古時のイングランド、オックスフォードで大学教師が殺害された。その殺害に関する手記が綴られる。
まず初めにヴェネツィア人医学生の手記が提示され、それに対する反論に近いものが第2(性格の悪い苦学生)、第3(教授であり偏屈な暗号解読者)、第4(歴史学者)の手記が出されていく。
面白いのは各手記によって翻訳者が変わること。これにより手記それぞれに翻訳された文体がガラッと変わる。
個人的にはミステリー部分よりも当時の社会風俗を楽しみながら読んだ。医術に占星術を絡めたり、ヴェネツィア人にとって味もマナーも最悪なイギリスの食事、土地の所有と相続の問題、権 -
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クリスマス・キャロルとはクリスマスを祝う歌のこと。1843年に出版された中編。タイトルからてっきりクリスマスを祝う温かい家族の話を想像したが、実際は守銭奴であるスクルージという男がクリスマスの精霊からその冷酷さを説法されるという物語だった。クリスマスの精霊は三体現れて、それぞれ過去、現在、未来のクリスマスの風景をスクルージに見せる。精霊は喋らず、ただ無言でスクルージに彼の姿と、彼に関わりのある者が彼のことをどう思っているのか見せつけるのだ。このスクルージは商人で、クリスマスを祝いに来た甥を「おととい来い!」と追い返すなど、およそ人の心の温かみの無い人物。そんな彼が本当に悔い改めて変われるのどう
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プロヴァンスブームの火付け役となったエッセイ。1990年ごろは映画や雑誌などあちこちでプロヴァンスが取り上げられていてだいぶチャラいイメージがあったのですが、須賀敦子が書評でとりあげていたので、どこにもgo toできない今、気分だけでもと読んでみました。
イギリスで広告の仕事をしていた著者が何度か旅行して憧れていたプロヴァンスに移住し、最初の一年間を綴っている。この観光客でもなく、地元民にもなりきっていないという距離感のある視点がちょうどいい。
期日のまったく守られない工事、予想外に寒い冬など、苦労話もあるものの、基本的にはマイペースかつ堅実なプロヴァンス人たちとの交流が楽しい。これは著者 -
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ブンガク
かかった時間90分
光文社古典新訳文庫を古本屋で買ったので読んでみた。なんだかちょいちょい買って読んでしまう「クリスマス・キャロル」だが、マーレイって結局なんなの?とか、なんでスクルージああなったのか、とか、改めていろいろ疑問がわいて面白い。ちなみに訳者はものすごくスクルージを好意的に見ていて、よい。
クリスマスであるというだけで全てが幸せに包まれる、なんて、今はないよ…と思ったが、ディケンズの時代はすでにそれが、失われつつある文化であったらしく、「素敵なクリスマス」へのノスタルジーというか、もっといえば願いみたいなのがあるからこそ、あんなに、これでもかというほど幸せな描写なのか -
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もう25年も前なのか! ピーター・メイルの南仏ブーム。憧れを募らせたものだ。
2018年に亡くなった著者の遺稿で、その間のいろいろを軽妙につづる。レジオンドヌール受勲や、リドさまによる映画化のエピソードにも触れ、楽しい。
エピソードや描写の素晴らしさを際立ててるのが、池央耿さんの翻訳だと思う。「矍鑠たる」「踝」「按排されて」など、カチッと漢字を多用してプロヴァンスの豊かな自然を描写するってのが、イギリスからの移住者の視点という雰囲気を醸すおもしろさよ。ちょっと林望先生ぽいつーか。
メイルの新作が読めないのは残念だけど、いつか行ってみたいな、フランスの南部へ。 -
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第二次大戦初期1940年、空軍パイロットの息子を亡くしたハワードは寂しい心を紛らわすため、前にも訪れたフランスの片田舎に釣りの旅に出かけた。
しかし戦局は風雲急を告げ、そんな時、国際連盟に勤めるイギリス人夫婦から二人の子供をイギリスに住む親類の家まで連れて帰ってほしいと頼まれる。
不安を覚えながらも、引き受けることにし、老人と幼い少年少女の三人旅が始まったが、戦局の悪化とともにアテにしていた列車は思うように動いてくれない。行く先々で人の親切に助けられながら危機を脱出するものの、色々な事情からイギリスに連れて行く子どもの数も増えていく…
果たしてハワードと子どもたちは無事にイギリスに帰れるのか? -
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ネビル・シュートはSFの名作「渚にて」の著者でもあります。書店で「買おうか?」悩んでいる時、解説を読んでその事を知り買うことにしました。また、表題の「パイド・パイパー」は、退治した謝礼を支払わない村人の怒って、子供達を笛で釣り出してしまう童話「ハーメルンの笛吹き男」のことです。まあ、子供が次々と集まるところは同じなのですが。
シチュエーションは何もかも違うのですが、同じように老イギリス紳士が主人公であるせいでしょう、カズオ・イシグロの「日の名残り」を思い出しました。どちらとも「主人公のキャラクター=小説の主題」という気がします。
「日の名残り」は表題の如く、斜陽のイギリスを背景にしています -
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イギリス人であり、イギリス育ちの著者夫妻が、南仏に移り住んでからの12ヶ月を綴った一冊。
新しい本ではないけれど、南仏の雰囲気、人々の温かさが詰まっている。南仏といっても寒い地域があることに驚いたし、バカンスに訪れられる側の立場をとおした夏の様子は興味深かった。豊かな自然がもたらす美味しそうな食事やワイン。仕事は遅れるのが当たり前、呑気な、でも面白い、そして、食事やワインにうるさい人々。
南仏旅行の前知識本として手に取ったのだけれど、結局行かないことになったのが悔しいくらい、明るい太陽に、人々の笑顔に溢れた一冊でした。
いつか、南仏行きたい!! -
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これまでに何度も読みかけては読まなかった、ディケンズさんの「クリスマス・キャロル」。
というか、チャールズ・ディケンズさん自体、初めてです。
何と言っても19世紀のイギリスの作家さんですからねえ。
これまで色々読んできて、こういう過去の世界観の、それも翻訳で読むとなると。
正直言って、「1作、またはシリーズ1つしか、21世紀の日本読者としては楽しめない」ということが多いですね。
ロビンソン・クルーソー。赤と黒。ホームズ。ルパン。などなど…。
1843年の出版だそうですね。
日本では、坂本竜馬さんが7歳の頃ですね。
当時、世界の文明産業帝国主義侵略ヨーロッパリーグでは、ぶっちぎりのトップランナ -
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ウィンブルドン大会男子シングル決勝戦。
ライバルでもあり親友でもある人気プレーヤーの両人が雌雄を決する試合の最中、要求を飲まなければ観戦中の女王と試合の勝者を殺害するという脅迫状が届く。
勝敗が決する前に犯人を取り押さえなければならない警察、お互いを守る為に終わらせられない試合。
緊迫と情熱の名勝負が熱い!
デッドリミット型のサスペンスとしては少々物足りなく緊迫感もイマイチ。しかし、その分テニスの試合は白熱します。ラスタスとゲイリーという二人のテニスプレーヤーの友情が描かれる前半が丁寧にあるからこそ、後半の試合がおもしろいというものです。
大観衆の中、自分を含めた人命とプレーヤーとしての