池央耿のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
所々泣いてしまう。良い話である。
しかし、良かったと思う一方、斜めに見ている自分がいる。
スクルージは頑固で人に無関心、冷たいけど、悪人ではない。
周囲の人はそんなスクルージを変人扱い程度でたいして憎んでいるわけでもない。
だから、成り立つ話ではないかと思う。
例えば、スクルージが人に対して、罵詈雑言を何度も浴びせる人だったら?もし、何度も暴力を振るう人だったら?何度も金を借りに来る人だったら?などなど…
何度無言で許しても、何度もそうやって酷い目にあわせる人だったら?
謝罪もなく、突然調子よく愛想を振りまいてこられて、周囲は許せるのだろうか。
周囲が許せる範囲であれば安全だけど、許せ -
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Posted by ブクログ
ユートピア=ディストピアというSF作品全体の流れはこの作品から来てるのだろうな。
その羊肉を一口、取っておいてくれないか。肉に飢えているもので。
映像技術、それが現代最大最高のタイムマシンなのだ。
私はあえてこれを言う。何となれば、成果に乏しい実験や、首尾一貫しない場当たりの論理や、相互不信ばかりが目立つ昨今の世の中が絶頂を極めた人類の姿だとはとうてい考えられないからだ。私はあえてこれを言う。タイム・トラベラーは常々、人類の進歩にあくまで悲観的だった。タイムマシンが完成する遥か以前から、このことについて散々議論を交わして私はよく知っている。肥大する文明の蓄積は、必ずや逆転して、ついに生み -
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Posted by ブクログ
有名な小説だが今まで読んだことが無く、新訳を契機に読むことにした。本編以外にも解説・小伝・補説などたっぷり載っており、固有名詞の含む意味や時代背景、文学史上の位置づけ等が分かる親切設計で、前知識0でも随分楽しめたかと思う。
自分が読んだSFは(両手で数える程度しかないが)どれもこれも人類の将来が穏やかでなかった。本作でも同様で、今のままじゃヤバイよ!という著者の警句がモロに伝わってくる。「人類は自殺を遂げたと言うしかない」(p.133)と、強烈この上ない。
無理やり現代と結び付けて考えるならば、親の収入を頼りに悠々自適な生活を送るニートであったり、自宅通いでフリーター生活を満喫してる