池央耿のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
■ロードノベル
ロードムービーならぬロードノベル。
第二次世界大戦中、フランスを東から西に横断し、さらに英国へ、という旅路を描いた作品。
面白かったが、地理的な知識と世界史的な知識があるとさらに物語に入り込みやすいというか理解しやすいと思われる。
自分はどちらの知識も全く無かったが、むしろ本作を読んで「へ~第二次世界大戦下でのヨーロッパってそんな感じだったんだ~」という学びになった。
お国柄の違いもところどころ描かれ、そういう当時の感覚を知ることができるという視点から見るのも面白い。
■地理的な知識
1)出発点はフランスで、フランスの東部で接するスイスとの国境近く、スイスのジュネーブから近い町である。
2)フランス北部のカレーからドーバー海峡で英国に渡れるが、ドイツにすでに占領されているため不可能である。
3)そこで、フランスの中央東端部から、最西部まで移動し、そこから北の海を渡って英国へ行くことにする。
4)ドイツはフランスの北東で接しており、途中から参戦するイタリアはフランスの東南で接している。
といった物理的な国や町の位置関係を頭の中でイメージして読む感じになる。
■歴史的知識
1)そもそもドイツがポーランドに侵攻したことから第二次世界大戦は勃発している。
2)ヨーロッパ圏で言えば、英国・フランスvsドイツ・イタリア(途中参戦)、という構図。メインは英国vsドイツ。
3)ドイツは周辺各国を次々と攻略したのち、ついにフランスにも手を伸ばし、占領下に置く。最終目標は英国。
4)ドイツはフランスの東部から徐々に西へ西へと攻略していく。つまり、フランス軍は敗北を喫している。
5)ドイツは英国を最大の敵としており、フランスについてはむしろ「ドイツの正しい統治下に入りますよ」といった穏便なスタンス。
6)戦時下においては、列車や民家もドイツ軍に接収されたりしており、満足に移動もできない。
7)ドイツは英国人を見るや皆殺しにせん、とばかりの勢い。英国人を害虫扱いし、特にフランス内で英国人を発見した場合は通報しろ、とフランス人に呼びかける。
そのため、本書では英国人のハワードは素性を明かせないし、英国人の子供も含め、英語で話しているところをドイツ兵に目撃されたら一巻の終わり。強制収容所行き=死、となる。
8)この作品の時代、1942年時点ではアメリカはまだ参戦しておらず、安全な中立国とみなされている。
このあたり、自分が世界史に無知すぎてそういう内情だったとは全く知らなかったため、本書がそのまま面白い教科書的な感じで勉強になった。 -
Posted by ブクログ
これまでの2作がSFミステリーなら、今作はハリウッド的な宇宙大戦争モノ、という雰囲気だった。
これまでよりずっと物語のスケールが大きくなり、ピンチに次ぐピンチ、ハラハラする展開はハリウッドぽくもあり、エンタメとしてすごく面白かった。
テクノロジーの描写がやっぱり凄まじくて、今作ではAIだけでなく、VR、ARの概念がすでに描かれていたのには驚いた。
なんなんだこの作者は…。
今作ではよりダンチェッカーの存在感が光っていて、ハントは逆にちょっと弱かった。
個人的にはSFミステリー的なこれまでの作品が好きだったので、ちょっと広げすぎに感じたけどこれはこれでかな。 -
Posted by ブクログ
ネタバレカプラーを通してコンピューターの中で生まれた人格が実体の人間の体を、そして世界を乗っ取ろうとしてくるという設定が面白い。ユーベリアスもなかなか手強い相手で緊張感があった。
ただ、今までの作品では難しい説明を理解できずともなんとなくイメージができていたが、今回は最後まで読んでもどうしてもエントヴァース世界のことが頭の中でイメージしきれなかった。結局ただの情報なのか?であれば夜空の星は情報の出口で、みたいな説明はなんなんだろう?というあたり。また、謎解き要素も少なめに感じた。
特に好きだったシーンは、マレー、ニクシーと一緒にシリオの元へ向かう途中、ハントがニクシーを見てすべてのエント人が敵なのではなく大切なのは個々人だと気付くところ。そしてエントヴァースに回転木馬と共に神として現れるダンチェッカー。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ前作までとは少し違ってミステリもありつつ、アクション要素もあるような作品になっていた。3勢力が入り混じり、登場人物も前作までと比べてかなり増えるので相当複雑になっている。正直途中で少し物語に置いて行かれるところがあった。
月にいた2種類の人類のうち、片方は地球に移住し、もう片方はガメニアンに連れられてシェヴレンという星に移住したというのが今作で明らかにされる。そのシェヴレン人が裏で暗躍し地球人を支配していたという構図はかなり陰謀論ぽさ感じた。
最後はループが閉じるように完結するのだが、タイムパラドックスが起きないのかと少し思うところはあった。
あとハント博士がいつの間にかリンと付き合うような仲になっていたのはびっくりした。前作まではほぼ空気だったので存在を忘れかけていた。前作の最後の方でナンパしてた女性はどうなったのよ。