加藤陽子のレビュー一覧
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対談の形で進行するが、整理されているのと、注釈が細かくつけられているため、非常に読みやすくわかりやすい。
本書の最後に、各人が書いた文章があり、その主題で、それぞれがどこに主眼を置いているのかがわかる。それを前提としてもう一度読み直すのも興味深いと思う。
「永遠の0」で、本当にこんな戦争だったのだろうかという疑問がわいた。小説は史実ではない。
そしてこの本を読んだのだが、戦争というものがはじまり、継続していくということが、こういう形で行われていたのか、という再確認でもあった。国を存続させるために、やむなく開戦に至ったのだという認識を改めざるを得なかった。
日本人とはどういう民族なんだろう、 -
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『戦争』をテーマとしているが、明治維新から太平洋戦争までの日本外交全般について学ぶことができる良書。内容は難解ながら口述形式なので文章は平易で読みやすい。
第一次世界大戦までの日本外交と、それ以降の日本外交の何が違っているのか。
教科書的な事実の裏にある一本の論理の線を明かし、歴史の深みを知ることができる。
以下あとがきからの引用
・日本の近現代史をながめてみただけでも、新たしく起こされる戦争というのは、以前の戦争の地点からは、まったく予想のつかない論法で正当化され、合理化されてきたことがわかります。
そして、ここの戦争を検討すると、社会を構成する人々の認識ががらりと変わる瞬間がたしかにあり -
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6名のそうそうたる面々が大東亜戦争を討議。討議のかたちだが文章がうまく補足されてるので、戦史全体像と事件経緯もよく分かる。注釈も見開きごとにあるし。
日本の戦略性ゼロというか「エイ、ヤー」の勢いってのはこんなにもヒドかったのか。かなりコキ下ろす一方で、昭和天皇の評価は高い。天皇と大元帥の二役で苦しいなか最大限の情報発信をしてきたと。
それにしても「バスに乗り遅れるな」の勢いって、いまのTPPで騒いでんのといっしょだろ。日本人ってホントに歴史から学ばない民族なんだなあとつくづく思った。逆に外国からみればそれが不思議以上に得体の知れない恐怖を感じるのかもしれない。
あの戦争で日本人は「攻勢の -
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岩波新書のシリーズ日本近現代史の5冊目は、近代日本軍事史研究を手がける加藤陽子(現・東京大学大学院人文社会系研究科准教授)が担当。
先日読んだ第6巻『アジア・太平洋戦争』が、ごく平凡な記述であったのに対して、この第5巻の視点は非常に面白い。
一般的な通史の感覚でいくと、戦間期から日中戦争への記述は、主として軍部と大衆世論や、政友・民政の経済政策の変遷など政党政治の崩壊を中心とした国内政治を描くことが多いが、本書はそうではない。
本書は、1920年代から30年代にかけての、いわゆる「満蒙特殊権益」を端に発する日中関係およびその周辺の外交史である。
日露戦争以来の満蒙権 -
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昭和史研究のスペシャリスト3人によるNHKラジオ番組『太平洋戦争への道』を刊行した本。
三人とも昭和史や戦争についてたくさんの著書を出版されており、どんな話になるのか期待感が高まります。
「なぜ日本は無謀ともいえる戦争に向かっていったのか?」歴史のifではなくwhyに浮かび上がってくる答えは何なのか?と興味を惹かれ手に取った作品。
本書で印象的だったのは6つの分岐点!
どの時点でも回避する術はあった。
が、色々な事情が重なり悪い方へ悪い方へ向かってしまった。
日清日露戦争の勝利で世の中は浮かれ、新聞やラジオが戦争を煽り、国民も便乗したり、クーデターや国連離脱など複雑な事情が重なって責任は軍 -
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加藤陽子氏の著作ということと、表紙のフレンドリーな雰囲気のイラスト(本文中の緻密なイラストもすごい。高度な歴史知識も感じて、イラストもわたしには難しかったけど。でも加藤先生の顔のイラストが全部かわいい)に惹かれて買ってしまったけど、悲しいかな、わたしには難しくてまったく歯が立たない感じで残念だった。(「歴史総合」を学ぶ高校生に、みたいなことも前書きに書かれているんだけれども…。)そもそも、取り上げられている歴史書や研究書を読んでいることが前提みたいで、その歴史書や研究書も何巻もあるような専門的なものと思われるし、前もってそうと知っていれば買わなかったかも、とすら…。
でも!、この世界をよくする -
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上野千鶴子の担当する章が興味深かった。
ホモソーシャルな集団(往々にして男性中心のコミュニティを指す)では、同性愛嫌悪(ホモフォビア)とミソジニー(女性蔑視)を持つことで成員資格が与えられる。つまり、異性愛者として女性を性の対象として扱うことができてはじめて「仲間」として認められる。
ホモソーシャルの考え方を使えば、非モテ男性や弱者男性、インセルといった現象も説明できる。
冷静に考えたら別にモテなくて落ち込む必要はないのに女性に性的にモテなくて落ち込む人が存在する。
それは実は女性にモテないのではなく、自分が男社会で「仲間」と認められないから落ち込むのではないだろうか?
そういうのは本当 -
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日本近現代史が専門の歴史学者加藤陽子氏による書評集で、テーマは「未来のために過去はある」、つまり歴史に学ぶっていうことなんだけど、わたしにはかなり難しかった。挙げられている本も専門的な本が多いし、評している文章の言葉も堅く難しく感じて、集中して読まないとよく理解できないような。わたしは歴史苦手なので基本的なことがわかっていないっていうことも大ありなんだけども。それでも、(挙げられている本は読めないとしても)書評をなんとか読むだけでも勉強になり、知識が若干増える気はしたので、ためになったと思う、思いたい。
そんななかでも、著者にとっては楽しみとして読む本と思われる、あるいは新聞の書評欄に掲載さ