加藤陽子のレビュー一覧
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ネタバレ[ 内容 ]
「対米戦争の目的は何だったのか」、「陸軍エリートはどこで問違えた」等、戦後六十余年、「あの戦争」に改めて向き合った六人の論客が、参戦から敗戦までの疑問を徹底的に掘り下げる。
「文藝春秋」読者賞受賞。
[ 目次 ]
第1部 座談会・あの戦争になぜ負けたのか(対米戦争の目的は何だったのか;ヒトラーとの同盟は昭和史の謎;開明派・海軍が持つ致命的欠点;陸軍エリートはどこで間違えた ほか)
第2部 あの戦争に思うこと(空しかった首脳会議;八月九日の最高戦争指導会議;私の太平洋戦争観;果たされなかった死者との約束 ほか)
[ POP ]
[ おすすめ度 ]
☆☆☆☆☆☆☆ おすすめ -
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時の権力者たちが、戦争の「大義名分」を如何に得たかの分析。
前半の日露戦争・第一次大戦あたりまではかなり説得力があったのだが、日中戦争以降は、僕の読み込みが足りないせいもあるのだろうが、ちょっと迫力不足のような印象を受けた。
背景としてアメリカの世界戦略があって、戦略は石原莞爾のグランドデザインのとおりです、というふうに読めてしまって、あれれ、それでいいの?政府と軍部と関東軍の思惑は、結局のところ一緒なの?という感じ。
とはいえ、いわゆる後知恵なしのフェアーな立場で分析がなされていることは良いと思ったし、その時々の世界情勢に応じて外交と戦争を連続的に捉えるという見方はとても新鮮だった。 -
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東大の教授である筆者が栄光学園にて5日間特別講義をした内容を書籍化したもの。
日清、日露、第一次世界大戦、日中、第二次世界大戦の5つについて当時の情勢、文化、特に軍部の動きなどを事細かに解説し、何故戦争が起きたのかを語っている。
学園の生徒との対話形式の叙述はわかりやすく、また考えさせられる。
語り口も軽やかでほとんど知識が無くても内容についていけるようになっている。
本書では何より、実際の感覚とのズレを意識的に認識させられる点が面白く、自分、ひいては普通に(授業として)歴史を学んだ人間がある種の思い込みを持って戦争を理解してることが明らかになる。また、学校の歴史の授業がいかに学ぶ生徒にわ -
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[ 内容 ]
日本はなぜ太平洋戦争に突入したのか?
明治維新以降の「戦争の論理」を解明した画期的近代日本論。
[ 目次 ]
第1講 「戦争」を学ぶ意味は何か
第2講 軍備拡張論はいかにして受け入れられたか
第3講 日本にとって朝鮮半島はなぜ重要だったか
第4講 利益線論はいかにして誕生したか
第5講 なぜ清は「改革を拒絶する国」とされたのか
第6講 なぜロシアは「文明の敵」とされたのか
第7講 第一次世界大戦が日本に与えた真の衝撃とは何か
第8講 なぜ満州事変は起こされたのか
第9講 なぜ日中・太平洋戦争への拡大したのか
[ POP ]
[ おすすめ度 ]
☆☆☆☆☆☆☆ おすすめ度 -
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近現代の日本が何故対外戦争を仕掛けたのか。
高校までの授業じゃそんな事は教えない。
何故なら
『日本史は高々、入試に使う科目であり、暗記科目に過ぎない。せいぜい常識として我が国の事を知る為。』
と言う前提程度しか教える方も学ぶ方も考えていないからだ。
だが、この本は東大生に教えた、『教育』ではない『教養』の本である。
高校までに習った(一部範囲外)歴史をベースに、何故戦争を侵したのか。
それを、丁寧に論証→考察を重ねて説明して下さっている本なのだ。
『何故戦争を起こしたのか。』
これを知ることは非常に大切なこと。
マスメディアに動かされやすい、世の中に対して、常に冷静な視点を持つ事が出来るか -
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国民や世論というのは本当に流されやすく、熱狂に走りやすいものである。万国共通ではあろうが、特に日本人は日々のマスコミ報道でも顕著なとおり、与えられた情報に過敏に反応し、熱狂しやすいという性質があるのではないか。
昭和の戦争だって「軍部がわるかった」というのが一面真実であっても、世論をかき立てて自ら方向を見失い、戦争に突入していった国民にも大きな責任があったのである。
現代においても、日本人は極端な熱狂によって、重要な問題で誤った方向に進みかねない危険をはらんでいる。外交、軍事、あるいは内政においてもそうである。
不幸な歴史を繰り返さないよう、軍だけでなく世論がいかに戦争を許容し、あるいは -
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大変勉強になりました。自分はあまり頭がよくないので、少しずつ読んで、頭を整理して、の繰り返しで、読むのに時間がかかりました。歴史そのものを知ることが勉強になったというよりも、文中で『歴史を学ぶ意味』を教えてもらい、『歴史学の手法や考え方』を学べたことが勉強になりました。歴史学の手法や考え方(詳しくは省きますが、人間の行動や認識の変化はどうして起こったのかという「問い」について考えること)は、日々の生活や仕事に必要な能力を鍛えることができるというのが、歴史を学ぶ意味ですが、私は歴史が好きなので、好きなことを通して、これから能力を磨いていければいいなと思いました。
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新書と思って軽い気持ちで読むには非常に難しい本。
中学レベルの知識すら危うい自分が読むには結構苦労した。
何せ「第一次世界大戦ってどの国が参加してどうなったっけ?」という状態だったので。
この本は戦争の概要を述べた教科書の延長上のような本ではない。
「なぜ戦争が起こったのか」という背景を深く掘り下げている。
なので戦争の結果すら書いていない。
自分の知識ではついていけない部分もかなりあった。
それでも中立的な観点から書かれた良著だと思う。
この手の本って右や左に偏ったりするので。
サブタイトルが恥ずかしいのだけど、東大生は普段からこのような中身の濃い一般教養を受けているかと羨 -
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東大出版会のPR誌に連載された専門書の解説書評なので仕方がないとはいえ、紹介されるのはどれも多国籍の研究者による論文集であり、相当に専門的な(トリビアルな?)内容である。数多くの論文を限られた文字数で紹介しながら評していく流れであり、モリナガ氏の絵文である程度マイルドに編集されているが、追いかけるには相当な歯ごたえで消化がおぼつかない。加えて「有名な」とか「よく知られた事実として」等のあとに来るのが初見の内容だったりすると読んでいて心が折れる。
田中上奏文の出どころを扱ったものや、欧米語を漢語訳する際、日本で訳された和製熟語と中国の翻訳家(厳復)訳が競合し、やがて和製熟語が優勢となった経緯など -
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敗戦記念日がまた近付いてきたこともあってか、ふと手に取った。お三方(特に加藤さんと半藤さん)の著作はこれまでにちょくちょく読んでいるので、おさらいという感じで読んだ。
当時の色々な人の色々な思惑と事実とを照合すると、「対米戦を回避する術はあった筈」とやっぱり思ってしまう。
リットン報告書やハル・ノートに対する、冷静さを欠いた威勢がいいだけの感情的な煽りは、発行部数を伸ばすのにはよかっただろうが、亡国ぎりぎりまで民族を追い込んだ、という面では、マスコミの罪はとてつもなく大きいと思う。
また、五・一五事件のあと、実行者の助命嘆願書が百万を超える数集まり、裁判でも実行者が自身の信じる主義主張を -
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帯に、「神話」より「対話」を! とあるが、まさにそれ。
人は歴史を物語として理解するが、その認知に落とし穴がある、という、冷静になればまあ当然の意見を、何度も、多方面から、手を変え品を変え、しつこく、投げかけてくるのが、奥泉光の小説だ。
ネチネチ、しかしユーモラスに、文体の工夫、引用の多層性、書く人であると同時に読む人。
ユーモアは奥泉光の生来の志向だと思うが、同時に認識をズラす(物語批判)ための意図的な武器でもある。
その材料を提供してくれる歴史学者との対談が、面白くないわけがない。
上のテーゼに加えて、改めて気づかせてもらったのが、軍部と国民の間に「社会」が挟まる時間的余裕が、日本の近代化