加藤陽子のレビュー一覧
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太平洋戦争をふりかえるとき、「なぜ日本は無謀な戦争に突入したのか」という命題が立てられがちだが、太平洋戦争だけを取り上げてそのような問いを立てるのは「正しい問い方」ではないと筆者は言う。
明治政府樹立後、次々に戦争を重ねてきた日本の歴史を一つ一つ検証し、戦争の相互性をとらえる中で、初めて太平洋戦争を巻き起こした理論が明らかになる。言われてみれば当たり前だが、なかなか気づきにくいこと。
明治維新に正当性を持たせた理論から順に、為政者が戦争に向けて国内外に訴えた理屈を見ていくと、今から見れば無謀で筋の通らない戦争がなぜ実現されてしまったのか、おぼろげながら見えてきた気がする。
もっと背景知識を身に -
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ネタバレ特に印象的だったことを徒然に書き記しておきます。
学徒出陣に対して、庶民からはむしろ当時のエリート層である
大学生が出征することを、喜んでいたような節があるというような
話が興味深かった。「不幸の均霑」という言葉を用いて説明されているんだけど、「同じ辛い思いをしろ」というような、庶民側の感情というものがあったと。これなんか、まさしく今の日本とおなじ構造だと思う。昨今の過激な発言で賑わす政治家達が既得権益をぶっつぶすみたいなこと言うけど、それに市民は喜んで同調してしまう。
その背景にあるのは「大変な思いをしている時に甘い汁を吸っているやつらはけしからん」というような、感情と同じだと思う。
本当 -
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本書は、満州事変から日中戦争へ傾斜する1930年代の日本の歴史についての本だが、満州についての詳細な考察は他にない緻密さと真摯さを持っている良書であると思った。
本書で、1930年代の軍人が窮乏のどん底にある農村の解決策として、思い切った手段が必要として「左翼の組合は土地の平等分配を要求しており、これは確かにもっともな主張だが、仮に日本の全耕地を全農家に平等に分配しても、その額は五反歩にしかならないではないか・・・諸君は五反歩の土地を持って、息子を中学にやれるか、娘を女学校に通わせるか。ダメだろう。日本は土地が狭くて人口が過剰である。このことを左翼は忘れている。」との言を紹介している。当時 -
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TV(録画)で観た時はいつも通りながら(酔っ払ってみているので)、結局、分かったような分からないよう感想をもった。しかし、本書を改めて読んでみると、今まで読んできたどの本よりも、アジア・太平洋戦争の原因について分かりやすく(シンプル)に書かれていることに気付いた。その分理解を深めるためにはもっと間口のしぼった奥行きの深い本も合わせて読む必要はあるが・・・。とりあえずというのであれば、大変おすすめの本である。
以下、引用
第一章 敗戦への道ー1994年(昭和19年)
●太平洋戦争の本質は、島嶼作戦にありました。その際に重要なのは、海軍航空基地の使い方でした。(略)島嶼を航空拠点として用いる発送 -
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NHK教育の「さかのぼり日本史」シリーズの第2弾です。著者は『それでも日本人は「戦争」を選んだ』や岩波新書のシリーズ日本近現代史5『満州事変から日中戦争へ』、講談社のシリーズ天皇の歴史8『昭和天皇と戦争の世紀』など多数の著作のある東大の加藤陽子先生です。さて、本巻が取り扱う時代は昭和のはじめから敗戦まで、西暦でいえば1926~1945年となります。
内容は「指導者たちは、どうして戦争を拡大・長期化させてしまったのか?」(帯より)を4つのターニングポイント、つまり
①マリアナ沖海戦・サイパン陥落(1944年)
②日米開戦(1941年)
③日中戦争(1937年)
④熱河侵攻(1933年)
から説明 -
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ネタバレNHKのさかのぼり日本史をみて、加藤陽子さんの本を読んでみた。佐高信さんとの対談。
加藤さんの
国民を刺激しない形で「その気にさせる」ため、公平で平等に徴兵する。今まで特別待遇だった徴収猶予の対象であった人たち、知識階級の帝国大学の学生などを徴兵していく。そういう人たちを、ガダルカナルやレイテで戦わせる。そういうことを一般の国民は正直「いい気持ち」がしたのではないか。これは、「皆さん等しく不幸です」というところで保っていた社会だ、「不幸の均霑」である。という話。
なるほどなあと思う。今だって、みんな一緒だった仕方ないと思うだろうなあと思う。昔、早くに夫に死なれて4人の子供をたった一人で育てた -
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ネタバレ[ 内容 ]
「満蒙の沃野を頂戴しようではないか」-煽動の背景に何があったのか。
満蒙とは元来いかなる地域を指していたのか。
一九三一年の鉄道爆破作戦は、やがて政党内閣制の崩壊、国際連盟脱退、二・二六事件などへと連なってゆく。
危機の三〇年代の始まりから長期持久戦への移行まで。
日中双方の「戦争の論理」を精緻にたどる。
[ 目次 ]
第1章 満州事変の四つの特質(相手の不在 政治と軍人 事変のかたち 膨張する満蒙概念)
第2章 特殊権益をめぐる攻防(列国は承認していたのか アメリカ外交のめざしたもの 新四国借款団 不戦条約と自衛権)
第3章 突破された三つの前提(二つの体制 張作霖の時代の終