加藤陽子のレビュー一覧

  • 太平洋戦争への道 1931-1941

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    半藤一利さん、加藤陽子さん、そして編者の保坂正康さんによる対話形式で進む、1931年の満州事変から1941年の日米開戦までの、特に日本がとった行動とその背景について説明してくれる。

    軍部を中心とした思い込み、慢心、根拠のない自信、精神論。今までおぼろげながら認識していた昭和史を再認識させてくれた。
    折しもロシアによるウクライナ侵攻が進められ、おとしどころが見えない状態だ。一端戦争になれば、終結が難しくなることが現代でも読み取れる。

    ただ、お粗末ながら当時民主主義国であり、第一次世界大戦の教訓からつくられた、国際連盟の常任理事国5ヵ国の一翼を担っていた日本ですら、戦争への道を選んでいったのだ

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    2023年03月27日
  • それでも、日本人は「戦争」を選んだ

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    日清、日露から第二次大戦終結まで。高校生への講義として平易な言葉で解説がなされてはいるが、”過去を振り返る”歴史ではなく、その時代、その状況だったらどう考えるだろうか、という歴史家の視点が明確で、読みごたえがある。19世紀末~20世紀の戦争と政治、経済を取り巻く世界の重層的な動きを捉える入門書として、高校生の副読本(教科書でも)にしてほしいくらい。

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    2023年01月28日
  • 歴史の逆流 時代の分水嶺を読み解く

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    憲法学、政治学、歴史学と3つの視点から今を読み解く。あまりにも刺激的で、新書をこんなに真剣に読み込んだのは本当に久しぶりである。

    地に足がついた議論。
    日本は防衛費増税だの、敵基地攻撃能力の保持だの様々な論点がいきなり飛び出してきた。きっちり議論も分析も、歴史に学ぶこともない、とてもふわふわした捉えどころのない首相、政府の見解に、どうしようもない不安と怒りを感じているけれど、こうやって、ひとつひとつ立ち止まって考えたい。

    戦争は始まってしまったらすぐには終わらないのだ。たくさんの人の生活、命が左右されるのだ。そのことにもっと冷静に想像力を働かせたい。

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    2023年01月06日
  • 歴史の逆流 時代の分水嶺を読み解く

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    加藤陽子氏は歴史学者の視点で現代社会を分析する力が秀逸。故に政府に警戒されたとも思えるが、このような見識を敵に回すのは愚か。菅総理は歴史に悪名を残す。

    日本の政治
    歴史に学ばず 合理性の欠落 日米開戦と同じ
    権力型・・・命令と服従 ←「説明と納得」できない
    小選挙区は組織力の闘い 宗教↑ 労働組合↓

    歴史の逆流 誰もが政治に関心を持つ
    たがが外れた時代 侵略・暴力の時代 →自己防衛
    制度・組織・論理の再検討・再構築へ

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    2023年01月05日
  • この国の戦争 太平洋戦争をどう読むか

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    歴史を学ぶ意義を重く認識させてくれる名著 「歴史は『物語』として理解される」
    ここに歴史の面白さと同時に「怖さ」がある
    1.国家の統合 ①統治=政治 ②統帥=軍隊 明治は分立 民主国家は政治優位
     日本・ドイツは後発国、ゆえに政治の熟成を待てず、皇帝主導・軍優位の国家体制
    2.日本の稚拙な植民地経営
     朝鮮の創氏改名 「文化」最大の難問 ジリアン・テッドANTHROPOLOGY
     満洲の犠牲『物語』英霊20万人 戦費10億円 > サンクコスト経済合理性
     →満蒙は特殊権益 冷静な議論できず 石原莞爾「日本の生命線」=空論
      石橋湛山「植民地経営はペイしない」小日本主義・満洲放棄論
    3.対米開

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    2022年09月19日
  • この国の戦争 太平洋戦争をどう読むか

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    小説家の奥泉さんと歴史学者の加藤さんの対談集。
    単一の物語に回収されないように歴史を語るべきとはポストモダン以来の歴史の見方だとは思うのだけれど、それをアジア・太平洋戦争に当てはめて語ってくれている。
    当初単なる軍人のモラルだった軍人勅諭が変質し政治に関わることの正当化に使われたところから、共通の思想的バックボーンがない日本という事情に気がついた新渡戸稲造が作った武士道の話、満州国・国連脱退はまだ相手側の顔を立てるつもりもあったなど、勉強になることは多い。
    その中でもやはり白眉は色々な小説に基づきながら、当時の状況を考える後半部。将校の目からだけでなく、一般兵の目からみた戦争をみることで、軍隊

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    2022年09月12日
  • この国の戦争 太平洋戦争をどう読むか

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    歴史は「物語」の形でしか語られ得ず、またそうならなければ人を動かす力を持ち得ない。多くの国々で、明白に贋物とわかる歴史の「物語」が流通する現状があるのも事実だ。

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    2022年09月04日
  • 学問と政治 学術会議任命拒否問題とは何か

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    菅首相による学術会議の任命拒否について、簡略に説明されている。学術会議の歴史、現状、拒否された本人からの推測についてマスメディアよりも詳しく書いてあるので、学術会議についての基礎的な知識と任命拒否の問題点を知るにはよい。

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    2022年07月24日
  • この国のかたちを見つめ直す

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    歴史学は何をする学問か…「歴史の闇に埋没した『作者の問い』を発掘すること」…歴史上一定の時代に現れたり創られたりした制度・組織・論理が、なぜその時代に現れるのかを考える態度…制度や組織を創り出した「作者」の思索の跡をたどるのが歴史学の役割…(p28)

    歴史の真実は、人間の行動の記録として残された事実だけで成り立っているのではなく、人間が書いたり発したりした「言葉」に現れた知性の営みの中にもあると先哲は教えてくれている。真実の歴史を「言葉」から探ること、本書ではこれを目指した。(p280 おわりに)

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    2022年06月22日
  • 太平洋戦争への道 1931-1941

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    ネタバレ

    近現代日本史の碩学、三人(半藤一利、保阪正康、加藤陽子)による鼎談。元は2017年8月15日にNHラジオで放送された番組に加筆されたもの。日中戦争については、現在のロシアによるウクライナ侵攻と重ね合わせて読むこともできる。
    万民必読の書といえるかも。

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    2022年06月03日
  • 戦争まで 歴史を決めた交渉と日本の失敗

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    日本が戦争へと向かっていくまでの歩みを史料から読み解いている。6回に渡る講演を書籍としたものなので、会話をするかのごとく進行する。
    世界が日本にどうすのか問いかけられた3つの交渉を史料から読み解き、当時の状況を適切に理解することを目指している。
    一つ目の交渉は、1931年9月に関東軍が主導した満州事変に対して、国際連盟から派遣された調査団が作成したリットン報告書をめぐる交渉。
    二つ目の交渉は、1940年9月の日独伊三国軍事同盟条約締結について。
    三つ目の交渉は、1941年4月から11月までに行われた日米交渉。
    最後の注釈に、本書の参考図書もあり、講義を再演しようと思えばできるかもしれない。歴史

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    2022年01月13日
  • それでも、日本人は「戦争」を選んだ

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    学術会議メンバーから外されてしまいましたが、決して左に寄ってる訳でもありません。中立で客観性がある良書だと思います。

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    2021年12月29日
  • この国のかたちを見つめ直す

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    今年一番のインテリジェンスな本だった。内田樹を初めて読んだ時の衝撃を思い出した。
    『難しいことをやさしく、やさしいことを深く、深いことを愉快に、愉快なことをまじめに』

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    2021年12月13日
  • それでも、日本人は「戦争」を選んだ

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    何年かに一度読み返したくなる一冊。中高生向けの講義の書籍化だが、大人でも読み応えたっぷり。むしろ大人こそ読んで明治〜昭和史を勉強し直すべきかと。

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    2021年10月02日
  • 戦争まで 歴史を決めた交渉と日本の失敗

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    前著「それでも日本人は戦争を選んだ」を読んで、感銘を受け、こちらも拝読しました。
    前著に負けず劣らず、こちらも素晴らしい著書でした。

    史料に基づくこと、その史料についても一面的な見方をしないこと、歴史を考える上で重要なことは何かを教えてくれます。

    内容的には高度なことも含まれるのでしょうが、分かりやすく噛み砕いてお話ししてくださるのでとても読みやすいです。

    歴史を学ぶことの意義と楽しさを教えてくれます。

    同じような形式での次回作を期待します。

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    2021年05月09日
  • それでも、日本人は「戦争」を選んだ

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    東大で日本近現代史を研究、教える著者が、ある私立中高一貫校の20人ほどに講義した数日間をもとにした本。分かりやすいだけでなく、興味を持って考えるためのヒントが満載。こんな歴史の見方、考察の仕方があると、初めて知った。こういう本を中高生くらいで読んでいたら、もっと興味を持って歴史を勉強できたかも。

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    2021年02月13日
  • それでも、日本人は「戦争」を選んだ

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    「中学生、高校生」にしっかりと読んでもらいたい。もちろん、ある程度、経験を積んだ人にも。

    様々な資料から戦争を、戦争に至った経緯をわかりやすく伝えている。加藤教授の語り口調で書かれているため、実際に講義を聞いているようで難しいところも理解しやすい。

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    2020年12月06日
  • それでも、日本人は「戦争」を選んだ

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    東大教授の加藤陽子が栄光学園で語る近現代史の特別講義。間違いなく言えるのは、今までこんな本を読んだことはなかったということ。歴史家の深いものの見方に目を見張る。一方、優秀な中高生の柔らかい頭ではなく、いささか、いやだいぶくたびれた中高年の頭にはすいすいと入ってこない部分もある(それだけ中身が充実しているということです^^)。一度ではなく、再読してじっくり勉強したいと思わせてくれる大人の教科書。

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    2020年05月17日
  • 戦争まで 歴史を決めた交渉と日本の失敗

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    ネタバレ

    国際連盟脱退、三国同盟及び対米開戦という3つの意思決定の背景や経過についての講演と問答。史料の精査を通じ、義務教育で習った歴史とは異なる姿の歴史が現れる(リットン報告書の宥和的側面、大戦後のドイツ牽制という三国同盟の真意、為政者の判断を制約する運動等)。

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    2020年04月07日
  • それでも、日本人は「戦争」を選んだ

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    太平洋戦争を「悲惨な戦争だった。おしまい」にさせない考察的な良書
    生徒の思考力が素晴らしい
    これが歴史学であり社会学である

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    2020年03月26日