加藤陽子のレビュー一覧
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こういう本って読みたいって思う割に頁が進まなかったりするんだけど、スッと読めた。面白かった。
何となく聞いたことある歴史の用語、知ってるようで全然知らなったり、やっぱりどこか潜在的に植え付けられてる「戦争観」。それってこの本で言ってるような経緯をしると全然違って見えてきたり。
これを読むとやっぱり日本が戦争に向かっていくのは不可避だったんだか。とはいえ「仕方なかった」という被害者観にはならないし、色んな国の思惑が絡み合うなかで、やっぱりタイトルどおり「それでも日本人は戦争を選んだ」んだと思う。
前に読んだ「昭和天皇実録」もう一回読んでみよう。違うものが見えるかも今なら。
そういうのが、「類推さ -
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戦争における分岐点となった3つの出来事(リットン報告書、三国軍事同盟、日米交渉)を、中高生とのやり取りをしながらみんなで考えていくといったスタイルの一冊。
ページ数は決して少なくないが、著者のわかりやすい語り口や所々にある写真や図表などで理解が助けられる。戦争関連本にしてはかなりわかりやすい部類に入ると思う。
戦後も70年以上を経過しているが、当時の出来事が必ずしも正確な形で後世の記憶や「歴史」に残されているとは限らない。実は日米も歩み寄ろうとしていたし、日本の中にも冷静な人はいたし、陸海のパワーバランス(見栄みたいなものも?)もあった。なんとなく「こうだろう」と思っていることが、実はちょっ -
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明治から昭和までの戦争に視点を当て、当時の日本政治指導者たちの論理の変遷を述べたもの。とかく戦争批判者が、当時の政治家や軍部を、感情的な判断であるとか浅はかなチャレンジ精神と批判するが、時の為政者もそのような単純な思いから戦争を起こしたわけではない。当時の政治指導者、軍部が、どのように世界情勢をとらえ、国民を説得し、戦争に踏み切ったのかを克明に述べている。ただし、ジェームズ・ウッド著「Japanese Military Strategy in Pacific War - Was Defeat Inevitable?」で、日本の太平洋戦争の当初の戦略プランはほぼ完璧で日本の開戦決定は間違っていな
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・「govenrment of the people, by the people, for the people」この表現は日本国憲法前文の一節にもある
・ルソー「戦争は国家と国家の関係において、主権や社会契約に対する攻撃、つまり、敵対する国家の、憲法に対する攻撃、というかたちをとる」
・胡適「日本切腹、中国介錯」
・1941年9月6日御前会議「開戦の決意をせずに戦争しないまま、いたずらに豊臣氏のように徳川氏に滅ばされて崩壊するのか、あるいは、七割から八割は勝利の可能性のある、緒戦の大勝に賭けるのかの二者択一であれば、これは開戦に賭けるほうがよい」 -
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国際連盟脱退、日独伊三国同盟、日米交渉と3つの選択を謝った日本が第二次大戦の敗北という憂き目に遭うまでの歴史を丹念におった良書。決して日本は米国に嵌められたから戦争を行った訳でなく、自身の選択ミスもあった訳だ。
しかし、民衆に真実が伝わっていなかったから、選択を誤ったという説もあるが、民衆に質実を伝えるのは難しいのと違いますか?
佐藤優の『国家の罠』でも、「この国=日本の識字率は5%以下だからね。新聞に一片の真実が出ているもそれを読むのは5%。残り95%の世論はワイドショーと週刊誌によって形成されるのだ」とあったではないか、逆に言うと真実は民衆に分かり難いようにし、マスコミを使い世論誘導し -
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<目次>
第1章 国家が歴史を書くとき、歴史が生まれるとき
第2章 「選択」するとき、そこでなにが起きているのか
第3章 軍事同盟とはなにか
第4章 日本人が戦争に賭けたのはなぜか
終章 講義の終わりに
<内容>
東大加藤陽子先生の「アジア・太平洋戦争」に入るまでの過程を、中高生に講義したもの(学校でではなく、書店の主催の講義(講演ではない))。とても刺激的だが、同じ教える立場で言うと、この講義のために先生がどれだけ史料を吟味し、どのような授業を組み立てようとしたかの苦労が感が見える(「おわりに」を読むと特に…)。
さて、内容は戦後70年での天皇の「お言葉」(沖縄と「戦没者記念式 -
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ネタバレ半藤一利と加藤陽子による昭和の戦争に関連する人物の疑似裁判?というより裁判を模した対談。
まあ!兎に角、微に入り細に入った内容まで立ち入って対談しているのには正直驚いた。昭和の時代だから資料が豊富にあるので、ここまでやらなければダメなのかとも思うが、調べるのも大変だと腰が引けそうな感じがする。
俎上に乗るのは「広田弘毅」「近衛文麿」「松岡洋右」「木戸幸一」「昭和天皇」の5名。東条英機が何故入っていないのだろうと不思議に思う。対談の対象に入れても太平洋戦争の主犯だというのが、はっきりしていて「裁判」としては弁護の余地がないからだろうか?
特に最終章の「昭和天皇」の章については、驚きの内容でし -
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ネタバレ日清戦争から太平洋戦争までの近現代史を扱った、
第9回小林秀雄賞受賞作の、中高生向けに行われた講義録。
たいへん勉強になりました。
歴史、とくに近現代史はよく知らなかったですから。
そして、考えながら読むという感覚の歴史の本です。
内容が濃いので、何回か読まないと、アタマに定着しなそうではあります、
が、読みごたえはすごくありました。
まず、日清戦争も日露戦争も、朝鮮半島がかなり深く関係しているんだなというのを、
はじめて認識しました。だからこそ、1910年に朝鮮半島を日本は占領したんですね。
また、あの時代、力で示さないと欧米列強に認められないという時代だったようだから、
一等国を目指す