ジェイン・オースティンのレビュー一覧
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ネタバレ前半が余りにも普通に面白かったので、この感じのまま終わるはずないという余計な期待を持ってしまった後半。
もちろん十分読ませる展開は待ち受けているのだが、さすがに近代のエンターテイメント小説がしばしば仕掛けてくるような劇的な転換はなかった。
全編通して感じたのはキャラの立たせ方が現代でも通じている凄さ。
諦観と皮肉にまみれながらゆるっと本質的に的を得たことを言う父親ベネット、もう狂気の権化としか思えないくらい何かにつけて醜態を晒す母親のベネット夫人、極めつけは唯一無二のいとこの奇人コリンズさん。
いやー凄い。この面々が出てきた時の場の流れ、荒れ様が次第に読めてきて癖になるほど。それでいて変に後 -
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上巻と下巻の途中までは、岩波の工藤政司氏の訳で読んでいたが、どうにも日本語がわかりづらく、意味が不明な箇所が度々出てくるので、ちくま文庫の中野康司訳に切り替えた。するすると読めること!翻訳でこんなに変わるのかと驚きました。
例えば下巻野41章ではカードゲームが出てくるのですが、工藤政司訳では内容がつかめず、混乱しました。翻訳を変えたらスッキリしました。
。。。。。
この時代は(今もかもしれないが)身分の違いで、結婚できる相手も決まっている。
エマは賢く、自分は極めて正常に物事を判断していると思っているが、実は妄想、先走り、偏見の塊である。自分が常に正しいと思うが故の行動が、実は親切(!?) -
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BBCのドラマ(ジェニファー・イーリーとコリン・ファース出演)が妙に印象に残ったので、原作も読んだ。
18~19世紀(大陸にナポレオンがいた時代)のイギリスが舞台で、おそらくジェントリ階級の女性を主人公にした恋愛小説である。現代と比べると、互いを知る交際期間と呼べるものはほぼないといった状況で男性はプロポーズするかどうかを、女性はそれを受けるかどうかの選択を迫られたことがうかがえる。恵まれた身分のごく一部の女性以外は、裕福な男性との結婚が経済的な困窮を避ける唯一の方法である時代に、主人公は自分が尊敬する相手と結婚したいと夢を見ている。はじめは鼻もちならないと嫌っていた名家の美青年が実は誠実 -
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今から200年以上も前の西暦1813年にイギリスで刊行された恋愛小説で、題名は『高慢と偏見』と訳されることの方が多いのじゃないかな。映画やドラマは『高慢と偏見』というタイトルで販売されている。
ドタバタというほどではないにせよ、ほぼコメディ小説。「いるよなあ、こういうタイプの人って」と笑ってしまう登場人物だらけで、会話文も現代訳のため、非常に読みやすい。
ただ、例えば主人公のエリザベス・ベネットが状況によって「エリザベス」「リジー」「イライザ」「ミス・ベネット」と様々な呼ばれ方をしていて混乱しやすい。当たり前だがエリザベスの姉のジェイン・ベネットも「ミス・ベネット」だし。
どこかから登場人物一 -
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ネタバレ辻村深月さんの傲慢と善良を2019年に読んでからずーっと読んでみたいと思っていて、でも、200年以上前のイギリス文学・・・私に読みこなせる?と躊躇すること早6年。(長っ)
そんな時インスタのフォロワーさんのレビューを読み、背中を押されてようやく手に取りました!
心配は杞憂に終わり、とても楽しく読み進めることが出来ました~
結婚適齢期の娘達が住む町に、身分も高くお金持ちの独身男性が越してきて・・・という恋愛物語です。。
主人公の母親は身分と金で人を判断する、そしてそれを大っぴらに口にする下品な人。
父は事なかれ主義。
娘たちは、美人で上品で優しく慎ましやかな長女、才知あふれる次女(この子が主 -
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読むのに3週間かかった。
解説にもあったけれど、登場人物の誰もが欠点を持っており、その欠点を欠点のまま描いている。いうなればその欠点こそが物語を先にすすめる推進力になっていた。だからこれだけドタバタとする。もどかしいくらいに。
コリンズが出てきたら話が長くなるから読んでいてコリンズかよとうんざりする。リディアやミセス・ベネットは終始何もわかっていない。確かに筋は一組の男女の結婚までの経緯を描いたごくありきたりのものなのだけれど、各人間のキャラクター性がいきいきと躍動していた。その結果、読む側は頁をめくるのがのんびりとしたり、すいすい読めたりする。そしてこの結末に大満足である。 -
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久しぶりのオースティンの作品。前回の『誇りと偏見』(あさ出版)の装丁と同様、素敵な装丁なので、読みたくなった。
まず題名について。読んだことがない私でも、オースティンの”Sense and Sensibility”は有名な作品なので、名前は知っていた。それで、多くの場合は『分別と多感』という邦題をつけられてきた印象だったのだが、本書は『理性と感性』となっている。原題を見ればわかるのだが、頭韻を踏んでいるのに合わせて、邦題も2つに統一感を持たせようという意図なのだろう。良い試みだなと思った。
次女であるマリアンはオースティンの人生を反映しており、マリアンの悲しい失恋はオースティン自身の実体験