藤原緋沙子のレビュー一覧
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江戸の町人世界を知る
天下太平の世が長く続く江戸。特権階級の武士はたいした役目や仕事もなく無為に日々を過ごすだけだ。
反面、町人の世界は盛んになり繁栄するのだが、特に大店と呼ばれる町人の中に取り入る武士が現れる。そこには、金が全てという価値観の変化が見られる。
第二話は、奉行所の内輪の話である。南町奉行所で威勢を謳歌する楠田宗之進が、市中のお店から金を強請り取るという、悪事の物語である。お店の落ち度や弱みを見つけては取り入り、刑罰の免除をちらつかせ、金を強請るのである。
南町の岡っ引の伊勢蔵は、父伊助を殺害されたのだが、その犯人は楠田だという証拠を見つけるために、楠田の関係するお店を根気強く廻り調べる。そして -
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幕府が巧みに江戸市中を守る
橋廻り同心、立花平七郎は江戸に沢山掛かる橋の検査の役目に就いている。これは奉行所の一つの役目なのだ。木槌で叩いて橋梁や橋板などの腐食、傷みを見つける。単純だが根気の要る仕事だ。もし落ち度があれば、橋の倒壊や流失などの重大な事故に繋がる。だから、たまに平七郎は仕事後には橋の袂の茶屋や居酒屋で相棒の秀太とその日の疲れを癒やすのだった。
江戸は広く大勢の人が橋と係わりがあるようだ。橋のある風景は、時に人を故郷で見た景色を思い出させて懐かしい気持ちにする。また、橋の袂に風雪に耐えてたたずむ老木を眺めては、自身の励みにすることもある。
第三話では、東堀留川に掛かる思案橋。近くに魚市場があり新鮮な魚が -
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大阪出の店者の人情ある幸せとは
第2話「秋茜」は、蝋燭問屋播磨屋の主の自殺に係る投げ文が奉行所にあり、榊原奉行から依頼された平七郎が探索を始めるのである。
橋廻り同心、立花平七郎は旗本で火付盗賊改方の市岡勘解由の不正を調べることになった。
市岡は、その屋敷で賭博を開いては市井の人々を餌にしていた。なかでも市岡家と取引のある商人を賭博に誘っては大金を巻き上げ、やがて借金地獄に陥れ、自殺させたり、お店の沽券を奪うという極めて悪くどい事実が判明する。
平七郎は読売屋のおこうと辰吉などの仲間の助けを借りて証拠をつかみ、榊原奉行を通じて市岡を大目付に訴え成敗する。
他方、平七郎の下役の秀太が小名木川に架かる万年橋の袂で川に浮か -
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奉行所内に「橋廻掛」がある
北町奉行所定橋掛同心、立花平七郎は日々江戸市中の川に架かる橋を検査し、傷んでいるところがないかを確認するのが役目である。元々は定町廻同心だったが、何か不手際なことをして、降格されて奉行所内では一番格下の橋廻を務めている。この小説は、平七郎が橋を巡りながら江戸の街を歩く間に起こる事件などの物語である。
「恋椿」の巻には四編の物語が収められているが、三編目の「闇の風」が味わい深く良い物語だ。
今日、検査が終わったばかりの紀伊野国橋を淫靡な雰囲気を醸して橋を渡る女を見かけた。平七郎が三年前の定町廻りの頃に捕えて島送りにした男、仙吉の女房・おまつだと気づいた。
仙吉は腕のいい鬼瓦職人だった。そし -
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読みやすい時代劇
千鶴先生のファンになったと言うのか、彼女のこれからが 気になって仕方がない。
患者さんや自分の周りののために 一生懸命になる所がとても良いと思います。
これから、どうなっていくんだろう。
次回作が楽しみです。 -
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流石に、読みでが有った。
8冊の合本版。流石に、読みでが有った。江戸の庶民の暮らしが、訥々と綴られていて、胸を打った。哀しい話が多かったような気がするけれど、それでも、世の中、捨てたもんじゃないねっていう話も、また有って、悲喜交々…。伊織は、やっぱり元の暮らしに戻って行った。だるま屋の見届け人をしていた事を胸に、上から目線ではない、下々の目線で判断できる善きお城務めを、して貰いたい。いや、してくれるはずだ。