【感想・ネタバレ】火の華―橋廻り同心・平七郎控のレビュー

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平七郎、暗いお江戸を花に変える

2022年02月09日

橋廻り同心とは江戸府内の橋梁120余りを管理するのがお役目であるが、毎日が木槌で叩いて点検して回るだけの単純なお役目である。奉行所内でもこのお役目は閑職と見なされている。しかし、仕事の合間には江戸市中の様子が窺えるし、時には事件にも遭遇するのだ。
この役目を頂いた立花平七郎は、嘗て定町廻り同心を務...続きを読むめていた頃、通り名を「黒鷹」と呼ばれ、奉行所内はもちろん江戸市中でも親しまれていたが、榊原北町奉行から密命を受けて橋廻り同心のお役目に就いた。
第1話の「菊枕」では、平七郎が臨時廻り、八田力三について調べるようにと奉行から命じられた。
賭博やけんかで何度となく捕らえた弥市という破落戸を、八田が再三庇ったからである。放免された弥市は挙げ句の果て、死体となって発見された。定町廻りは弥市が八田を脅していたことを突き止めて、八田に殺人犯の疑いがかかる。そして、とりあえず八田を自宅謹慎処分にして、事件解決を進めるのである。
平七郎は八田の人柄を考えるとこの処分に納得が出来ずに、自ら事件を追い始めた。
そして、八田の妻女おみのが嘗て女郎だったこと。離縁がそのことと無関係ではなかったこと。娘の登美が出先であばずれ達と喧嘩をして乱行を働いたことなど、新しい事実が次々と明かされるのである。
更に、八田は古着屋の利倉屋を内偵していて、弥市もその店に関係があるのだが、縮緬の偽反物の荷物が上方から届くことを突き止めていた。平七郎は八田から依頼されて、その荷を押さえると同時に利倉屋一味を捕縛したのだった。そして弥市殺しは利倉屋の用心棒だ、と僧・珍念が証言した。
平七郎は20代半ば、未だ独身の若さだが十分に男性として魅力を備えているらしい。人を引きつける容姿、その上色気さえ感じさせる男であると言っても過言ではない。
だから、彼の周りには、見習い同心の平塚秀太、瓦版「よみうりや」のおこうと辰吉、与力の一色弥一郎ら多才の人が集まるのだ。将に人の連係と協力で平七郎は事件を解決できたのだ。
物語は、真実が一つ明かされるとまた次の真実が出るという意外性に富み、また他人を慮るあまりつい庇う情け深さもあり、読み応えのある楽しい物語である。

#笑える #ドキドキハラハラ #カッコいい

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Posted by ブクログ 2018年12月13日

内容紹介
橋上に情けあり
生き別れ、死に別れ、そして出会い…
情をもって剣をふるう、江戸・橋づくし物語 第二弾
弾正(だんじょう)橋——生き別れになった母への切ない慕情。千住(せんじゅ)大橋——都落ちし、再起を誓った男女を襲う悲劇。和泉(いずみ)橋——殺された許嫁(いいなずけ)の仇を狙う男と、その男...続きを読むをひたむきに想い続ける娘の純情。稲荷(いなり)橋——なさぬ仲の父と子の絆を結ぶ呼子鳥……。江戸の百二十余橋を預かる橋廻り同心・立花平七郎が、剣と人情をもって悪を裁くさまを、繊細な筆致で描く好評シリーズ第二弾。


平成30年12月10日~13日

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Posted by ブクログ 2021年07月02日

3年前、上司に濡れ衣を着せられ、定町廻りから、橋廻りに左遷された、立花平七郎。「キツツキのように橋を叩いておれば仕事は済むのだろう。いいな」と冷笑され、揶揄されているが、北町奉行、榊原主計頭忠之から、「歩く目安箱」と言う特命を密かに、受けている。

江戸の町が、彷彿とされるのは、脚本家出身の、女流作...続きを読む家ならでは。

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