藤原緋沙子のレビュー一覧
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江戸回向院前にある「へんろ宿」は、手持ちの金が心細くて、旅籠に泊まれない人や、御府内近郊の神社仏閣に参詣するためにやって来た人など、普通の宿には泊まれない、泊まりたくない人達のために三年前に、
始めた宿。
主人は、一兵衛といって、元は旗本三百五十石笹岡家の嫡男で、お家断絶後、両親を相次いで亡くし、諸国を回り、剣の修行をし、後、武士を捨てて、宿屋の主人となった。
妻は、佐和といい、一弦琴の名手で、五日に一度、町の裕福な商家の娘達に教えている。謝礼金は、へんろ宿の上がりより、ずっと多く、一兵衛、佐和夫婦と、女中のおとらの三人の暮らしを支えている。
《へんろ宿》
自分の妻になる筈だった女の不幸 -
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橋廻り同心・平七郎控 シリーズ 15
立花平七郎は、定町廻りの黒鷹と呼ばれていたが、訳あって、橋廻り同心となったが、事件探索の腕は、少しも鈍っていない。平塚秀太と二人、犯罪者への追及捕縛は、定町廻りの連中が舌を巻く活躍をしている。
秀太は、平七郎を師と仰ぎ、一緒に仕事をすることにやりがいを感じている。
定町廻りで、役立たずと言われている、工藤豊次郎と亀井市之進は、とうとう、定町廻りを外され、定仲役へ、約替えとなった。
定仲役とは、決まった任務が無く、忙しいところを助力する役目。
手すきの時には、橋廻りを手伝いたいと言う希望がかなって、かつてはいがみあっていた間柄ではあるが、今では、木の置 -
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橋廻り同心・平七郎控 シリーズ 14
同僚たちから、閑職と揶揄され、陰で笑われていたが、定町廻りが手を焼いている、数多くの難事件を解決してきた、立花平七郎と平塚秀太は、今や江戸の町民たちから、信頼を寄せられている。
同心達からは、羨望・嫉妬の入り交じった目で見られている。
《紙人形》
金策に訪れた、昔の勤め先から、けんもほろろにあしらわれた吉兵衛。
昔の同僚の番頭芳之助から、娘にと、紙人形と千代紙を貰ったが・・
《風よ哭け》
偶然捕まえた、巾着切りを働いた少年・仙吉は、昔、平七郎が定町廻り同心だった頃、取り調べた男、喜久蔵の息子だった。
喜久蔵は、賊と間違えて主人の弟を刺し殺し、八丈島に -
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橋廻り同心・平七郎控 シリーズ 13
かつて上司であった、一色弥一郎の責任を被り左遷され橋廻り同心となった、立花平七郎は、秀太と二人、
今や、定町廻りの連中よりも、難しい事件を解決している。
《ちゃん》
侍から子供を助け、右腕を切られた仙治。
医者に連れて行った、平七郎は、診療所の弟子から、仙治の着物の襟に、どこかの間取りらしき図が書かれた紙が縫い付けてあった・・と知らされた。
《初霜》
別れ話が元で、逆した侍から、奉公先の娘・お鶴を守ろうと、侍に怪我を負わせた、お花。
主人夫婦は、優しく甘い言葉で、お花を侍の元に、謝罪に行くように言いつける。
定町廻同心の厄介者・亀井市之進と工藤豊次 -
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橋廻り同心・平七郎控 シリーズ12
立花平七郎は、黒鷹と呼ばれる程の凄腕の定廻り同心であったが、ある事件で、上司の一色弥一郎の落ち度でありながら、責任を取らされ、閑職と言われる橋廻り同心となった。
相棒の平塚秀太と共に、十手の代わりに、木槌を携帯し、橋の傷を点検して回っている。
しかし、腕を買われて、北町奉行・榊原主計頭忠之から「歩く目安箱」として、密命を受け、密かに、事件を解決している。
《冬の野》
竜閑橋袂で、美人と愛嬌と絶品茶漬けで繁盛する「紅葉屋」の娘が、攫われた。
犯人が、房次郎という浪人を捜していることが、判明したが、その房次郎は「紅葉屋」女将の別れた夫であった。
《名残の雪 -
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橋廻り同心・平七郎控 シリーズ10
定廻同心・立花平七郎は、大鷹と言われた父親に負けぬようにと精を出し、黒鷹と呼ばれるようになったが、上役の一色の失態を被り、橋廻同心となった。
《ご落胤の女》
京 一条家のご落胤と名乗る者が、大奥の御用達に推薦するた騙して、商家から金を巻き上げる事件が起き、その一行と共にいた女が死体となって、真福寺橋に流れ着いた。
《雪の橋》
新し橋と竹森稲荷で発見された二人の死体は、富山の薬売りの引き札を持っていた。裏に書かれた男の人相書きが、上村左馬助の道場で会った、薬売りに似ていた。
《残り鷺》
「茶道具 骨董 ほてい屋」に、人助けをする、頭の良い、看板犬がいる -
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橋廻り同心・平七郎控 シリーズ9
当番寄力・一色弥一郎の失敗の責を背負わされ、平七郎は、閑職と言われる、橋廻りにされた。
しかし、奉行・榊原主計頭忠之から「歩く目安箱」
としての密命を受けている。
《彩雲》
かつて、千葉道場で、一緒に稽古に励み、青雲の志をぶつけあった仲の、瀬尾鹿之助が、人殺しの容疑で取り調べを受けていると聞いた、平七郎は、もう一人の道場仲間・左馬助と、鹿之助の無実を暴く。
《麦湯の女》
切り放ちで、戻って来ない、科人・沢木富三郎を探して、麦湯屋をしている、昔馴染みの娘・お馬を見張ってると、何と、そこに現れたのは、吟味方与力・一色弥一郎だった。お馬と楽しげにしている一色を -
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橋廻り同心・平七郎控 シリーズ8
立花平七郎は、三年前、当番与力だった、一色弥一郎が判断を誤り、読売屋「一文字屋」のおこうの父・総兵衛を死なせた、その責を背負わされ「黒鷹」と呼ばれた程の、定町廻り同心から、橋廻りにされた。
が、奉行の榊原主計頭忠之の密命を帯びている。
《まぼろし》
ぼろ寺に一人で暮らす少年僧・珍念が、母と別れた橋を思い出し、佇んでいると、一人の女が、声を掛けてきた。珍念は、別れた母ではないかと思う。
《報復》
「スズメバチ」と呼ばれ、忌み嫌われている岡っ引・伊勢蔵。実は、親の仇を打つため、岡っ引になり、探索していた。
《白雨の橋》
腕の良い、袋物師・与七は、ある日、酔 -
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橋廻り同心・ 平七郎控 シリーズ 7
立花平七郎は、三年前まで"黒鷹"と異名をとるほどの定町廻同心であったが、過去の事件の責任を負わされて、閑職と揶揄される橋廻り同心となった。
平塚秀太と二人で、百二十いつくの橋を見回っているが、榊原奉行から、江戸の町の「歩く目安箱」という密命を受けている。
《蚊遣り火》
蚊遣り火を庭で焚く女。それを見つめる若い男。
佇まいが不審と、平七郎は、気になるが、その男は、秀太の幼馴染の清吉だった。
《秋茜》
平七郎は、榊原奉行から、火盗改役・市岡勘解由を調べるように、密命を受ける。
その茶室で、茶を立てているのは、旗本の奈津。
以前、母か -
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大坂の陣前後の宇治を舞台に、御茶師・朝比奈家の養女・綸が女当主として女御茶師として朝比奈家を守ろうと奮闘する姿を描く。
茶人にスポットを当てた作品は多いが、生産者である御茶師が主役の作品は珍しい。
数多ある宇治の御茶師の筆頭は上林家だが、朝比奈家も平等院創建時からというからなかなかの歴史ある家だ。だが宇治の茶師たちは常に時の権力者や政権に翻弄されてきた。
信長時代まで頭取だった森家だが関ケ原以後は追放され上林家が頭取となる。そして今度は徳川と豊臣の間で戦が起ころうとし、宇治の御茶師たちはどちらに付くのかで揉める。
解説を読んでいて改めて知ったが、宇治周辺では戦が多い。解説に挙げられているだ -
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橋廻り同心・平七郎控 シリーズ5
上司・一色弥一郎の不手際を一身に負い、立花平七郎は、花形の定町廻りから、閑職の定橋掛かりに、配置換えさせられ、橋の破損の有無を見回っている。
一方で、一色は、吟味役に昇進している。
《菊一輪》
昔世話になった主人の息子が、助けを求めて来た。
女房を売ってまで、忠義を尽くしてきたお人好しの男が、とうとう金が足りなくなり、遂に泥棒を決意する。が、目的の店には、先客の泥棒がいた。
《白い朝》
浅草紙売りの少年が、恩のある両替商の主人の殺害現場を目撃した。
少年は、その日から、口を閉ざしてしまう。
《風が哭く》
凶悪犯の捕物に協力した娘は、奉行所から褒美が出るとい -
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シリーズ第15弾。
前巻との間が多少空いても特に支障なく読める、安定の当シリーズ。
今回も悪い奴に騙されて(又は脅されて)困っている人を、平七郎を中心とした仲間たちが助けて、犯罪を解決するパターンの二話構成となっております。
定町廻りから橋廻りにお預けというか、押し付けられていた工藤&亀井のダメ同心コンビが、正式に(?)定町廻りから外されて“定仲役”という助力業務に降格となってしまいます。
まぁ自業自得といえばそうなのですが、橋廻り役のお手伝いを買って出るなど、以前とは別人のように心入れ替えて頑張っている様子で、やはり平七郎や秀太と共に働くのが居心地が良いのでしょうね。
ところで、第二話「つ