務台夏子のレビュー一覧

  • 修道女の薔薇

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    ネタバレ

    「キャシー・マロリー」シリーズ。

    おかえり、マロリー。
    感情移入が出来ないと思いながら読み続けてきたこのシリーズだが、
    冷徹で頑固で愛を受け入れないマロリーを、
    とうとう懐かしく思うまでになってきた。

    修道女とその甥である盲目の少年が姿を消す。
    少女時代のマロリーを知る神父が修道女の消息を探すよう、
    マロリーに頼みに来る。
    だが、残念ながら彼女の遺体は、市長の官邸の庭で発見される。
    他の三体の遺体と一緒に。

    マロリーの独善的な捜査は相変わらずで、
    枢機卿が来ていると嘘をついて、
    告解室で修道院長の事情聴取(?)をしたりしていた。

    それゆえ、少女の頃、相棒のライカ―を脅した後に、
    仲直り

    0
    2022年04月05日
  • ケイトが恐れるすべて

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    ネタバレ

    こういうミステリーとサスペンス両方の側面を持つ小説大好き。出てくる登場人物次から次へとヤバいやつばっかで草。それぞれの視点から物語が紡がれていきストーリーが進んでいくのも◎メンタル抉られそうなくらいシリアスでサイコパス。先の展開がどうなるのか気になりすごく楽しくあっという間に読み終わってしまった…
    この作家さんは初見でしたが他の作品も評価が高いので読んで見ようと思う。

    0
    2022年01月20日
  • ゴーストライター

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    タイトルに惹かれて購入。
    シリーズ初読なうえに登場人物が多く、何度も前に戻りつつ名前を確認しながら読んだ。
    作中劇や事件の異常さに面喰らう場面も度々あったが、劇場の舞台裏の様子も細かく描かれており興味深かった。
    独特な筆致で、マロリーをはじめ取り巻く人々の個性が際立っており、面白い作品。
    訳者あとがきにある既刊も読んでみよう。
    長編ばかりなので、覚悟して臨みたい。

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    2021年09月28日
  • 原野の館

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    イギリスのポドミン・ムーアという荒野の街道にポツンと立つジャマイカ館(実在していた旅館)。そこに巣くう荒くれ男たちに立ち向かう勇敢な女性メアリーの冒険物語。
    彼女は母が亡くなったことで叔母ペイシェンスが住むジャマイカ館に身を寄せるが、建物は寂れ果てていた。夫であるジョスは荒くれ者の大男、叔母は昔の面影はなくやつれ、いつも怯えていた。そして、夜になると集まる不審な男たち、不気味な物音、酔っぱらっては異様に怖がるジョス。
    うら若き女性なら普通は、怯え縮こまるところだが、メアリーはジョスに立ち向かったり、彼と他の男たちとのつながりを暴こうとする。ジョスの跡を追って原野をさまよったり、命の危機にも遭遇

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    2021年09月02日
  • 償いの雪が降る

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    良い作品です。丁寧に描かれています。
    人物描写が良く、特に主人公には感情移入してしまいます。
    展開は、まあ、ベタですが個人的には好きです。
    終わり方がイマイチで、消化不良的後味ですね。最後の最後でタイトルに還る描写にして欲しかったな。
    五十嵐貴久先生とか、太田愛先生ならきっと最後のフィニッシュにもっと神経使っただろうな。
    たぶん、訳者の方が上手で、それに助けられていると感じました。

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    2021年08月23日
  • 償いの雪が降る

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    面白かった。希望を感じさせつつもほろ苦いラストがいい。
    序盤の30ページくらいはなかなか頁が進まなかったけど、裁判の資料を取り寄せたあたりからぐんぐん勢いがついてきて、そこからは一気に読んでしまった。
    事件の真相はすぐに想像がつく(実際ほぼその通りだった)。だが本書の見所はそこではない。
    何故そうなったのか?真相をいかに証明するか?その過程でこれでもかと発生するトラブルの数々…。
    事件絡みを抜きにしても、主人公ジョーの人生は苦難の連続だ。時には逃げ出したり、見て見ぬふりをしながらも、少しずつ前進していく。

    苦学生、死期がせまった人との交流、というのでなんとなく本多孝好の「MOMENT」を思い

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    2021年08月22日
  • ケイトが恐れるすべて

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    ミランダ〜から早数ヶ月。無駄な寄り道が多いイメージの作家だが、今回は最後まで楽しく読む事が出来た。

    又従兄弟のコービンと住居交換をしたケイト。
    過去の男ジョージの黒い影に苦しみ、自分を変えるために踏み出した一歩のはずがーー。
    翌日隣人オードリーが不審死を遂げる。彼女を取り巻くアランやジャック 悲劇の定番スパイス複数メンズの存在。このスリーメンズの発言はどれも興味深く、まるで「ダウト」をしているかのよう。

    誰が真実を語り、誰が嘘を吐いているのか...主にこちらが読者の興味をそそるメインストリートとなるのだが、この侵食していくようなジワジワと進む前半とは打って変わって、終盤に入っての突如のギア

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    2021年07月16日
  • たとえ天が墜ちようとも

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    『償いの雪が降る』につづき2冊目。前作では主役を助ける2人が主役に。面白かった。犯人は想定がつくが、最後の展開は予想外だった。この作家の作品は他に4作もあるそう。次の作品を心待ちにする作家がまた一人加わった。

    0
    2021年07月03日
  • 修道女の薔薇

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    プロだけあって、話の展開は上手で、
    ある程度、楽しく読んだが、
    マンネリというか、
    デジャヴ感は否めない。
    (=セルフコピーみたいな出来)

    この後、続きも出ていないみたいだし、
    実際のところ、読者よりも作者本人が
    このシリーズ(主人公)に飽きていて、
    でもニーズ(契約?)があるから、
    しょうがなく書きました、的な
    一冊ではないだろうか?

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    2021年05月28日
  • クリスマスに少女は還る

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    クリスマスストーリーが好きだ。クリスマスに起こる小さな奇跡で暖かい気分にさせてくれる話だ。この小説は少女誘拐事件を追うサスペンス警察小説なのだが同時にクリスマスストーリーである。クリスマス直前に10歳の2人の少女が消えた。政治家の娘グウェンと親友の問題児サディ。15年前双子の妹が誘拐されクリスマスの朝に殺害されていた刑事のルージュ。彼の前に現れた顔に傷のある女、法心理学者のアリは何故か犯行のパターンに拘る。一方囚われ怪我をしたグウェンはサディに励まされ力を合わせて脱出のチャンスを伺う。2人は助かるのか?犯人は誰か?事件を通して苦しみ、翻弄され、あがき、闘う人たちの贖罪のドラマが平行する。ハラハ

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    2020年11月22日
  • たとえ天が墜ちようとも

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    高級住宅街での殺人。被害者の夫ブルイットに疑いをかける刑事マックス。一方マックスの友人弁護士ボーディはブルイットの潔白を証明するため弁護を引き受ける。話はこの二人が法廷で対峙するところから始まり回想へと続く。一章でマックス側に十分思い入れをしたのち、二章でボーディにも寄り添ってしまい、その後は何が真実なのか本当にヤキモキしながら読み進めることになった。タイトル通りの彼らの誠実さがわかるだけに、真実がわかり犯人の狙いが明らかになったときはもう‼こんなラストとは思いもしなかった。人物の重なる次の1冊にも期待。

    0
    2020年11月03日
  • たとえ天が墜ちようとも

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    ネタバレ

    前作は教養小説の色合いが強く、未熟な登場人物にじれったさを感じ、情緒的なトーンに今ひとつ乗り切れなかったが、今回は大人の話で格段に面白い。

    突然妻を失った夫の悲しみに満ちた回想シーンは胸を打つ。

    刑事弁護士としての経験が生きる法廷の場面は、一気読み。

    タイトルが示す「正義」への強い意志が根底にあるので、悪意に満ちた世の中に惓んだこころに心地よかった。

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    2020年10月25日
  • レイチェル

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    ネタバレ

    レイチェルは悪女だったのか、それとも女性特有の衝動的で気分がコロコロ変わる気質を持った普通の女性だったのか、はたまた彼女も狂わされていたのか。
    真実が分からない中の唐突な幕切れは深い余韻を残す。でも、最期に呼んだのがアンブローズの名だったのはどういう意味があるのだろう。誰にも見抜けなかった真実の愛が存在していたのか、それともかつて自分が裏切った男への贖罪か。

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    2020年10月18日
  • レイチェル

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    亡くなったいとこの妻への恋に囚われていくフィリップ。どんどん深みにはまっていく様子はある意味ベタで長々しく、正直途中で読むのが嫌になりかけた。ので、最後の数十ページには素直に驚いた。読み終わったあと、思わず最初の章に戻ってしまった。
    イギリスの領主は素敵だな、生まれ変わったらなってみたいかも。

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    2020年10月08日
  • たとえ天が墜ちようとも

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    高級住宅街で女性が殺害された。刑事マックスは、被害者の夫の刑事弁護士プルイットに疑いをかける。プルイットは元弁護士で大学教授のボーディに潔白を証明してくれと依頼した。ボーディは引き受けるが、それは命の恩人である親友のマックスと敵対することを意味していた。たとえ友情を失おうとも、正義を為すべく対決するふたり。予想外の展開となる白熱の陪審裁判の行方は。

    前作もよい印象があったが、今回はさらに上を行く仕上がり。リーガル・ミステリはやっぱりこうでなくては。

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    2020年10月04日
  • 氷の天使

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    ネタバレ

    「愛しい骨」「クリスマスの少女は還る」の作家さん。
    『キャシー・マロニーシリーズ』の一冊目とのこと。
    幸いにして一冊目だったので、これから機会があったら、シリーズ読み進めてゆきたいのですが。
    冗長に過ぎる場面などあり、時間はかかってしまったけれど女性らしいきれいな表現(訳者の方のおかげもあって)楽しい読書体験でした。
    主人公はもちろんだけど(美貌のハイレベルすぎるハッカーという設定)ほかの登場人物、過去の人物においてもある意味、魅力的な人々。

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    2020年04月05日
  • レイチェル

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    ネタバレ

    最後のオチが「え、そっち!?」だった。
    レイチェルの趣味が『園芸』と聞けば、ミステリー好きにはピンと来そう。
    レイチェルの人物描写が実に見事。読みながらうっかり私も恋しちゃった。
    主人公フィリップのウブさもまた見事!こういう男性いる!作者はいつもどんな風に他者を観察してるんだろう。

    実は、ルイーズにもう少し頑張って欲しかった。これからリベンジが始まるか!という時に物語が終わってしまって、少し物足りなかった。でも人によっては「語り過ぎないからこそ」なのかな。

    でもさ、彼女は毒婦なのかそれとも…ってあったんだけど、普通の常識と礼儀貞節を知る女性なら亡き夫の実家に何ヶ月も居座らんだろう。愛だから

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    2019年11月23日
  • ゴーストライター

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    「キャシー・マロリー」シリーズ。

    ゴーストライター、文字通りに幽霊のように姿をみせない脚本家がいる劇場で、
    次々と人が死ぬ。
    どうも昔の大量殺人が関係しているらしい。

    その事件を扱った保安官とマロリーが電話を切りあったり、
    保安官がニューヨークに来ようとして飛行機が飛ばないとか、
    事件の核心を隠していてライカ―が元奥さんに連絡するとか、
    鑑識と刑事とか、警察内部の主導権争いとかが面白かった。

    マロリーがほんの少し周りの刑事たちとうまくやろうとしていてのが印象的。

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    2019年07月18日
  • ゴーストライター

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    ザ翻訳文学。私にはかなり読みづらかったです。前回読んだ作品が大変読みやすい文体だったため、余計にこたえました。もう一度読み返した方がいいかも、と思いつつページを戻す気にはなれず。残虐シーン満載で好みのジャンルなのに、魅力を十分味わえなかったと思います。ぶつ切りでしか読めないので登場人物名がすぐにわからなくなり、何度も確認せざるを得ず、それも停滞の原因かと。やっと読めた、という感じです。

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    2019年06月12日
  • ゴーストライター

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     氷の天使キャシー・マロリーのシリーズ最新作。実は、前々作『ルート66』感動の最終章を境に、確実に我らが美しきソシオパス刑事マロリーは、変化を遂げたように思う。

     機械の如く無感情に見える彼女の中で何かが少しだけ変わった。ほんの片鱗に過ぎないかもしれないが、ある種の愛情に近いもの、優しさ、女性らしさのようなものが加わってきたように、ぼくには思えてならない。

     そんなものはおくびにも出さないという不愛想さは、無論かつてのままである。どう見ても、常時、鋼鉄の鎧で武装しているように見える。ホルスターに吊るした銃を意図的に覗かせる。超高級ブランドしか身に着けない。皮肉と攻撃性に満ちた会話と、人を寄

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    2019年03月18日