務台夏子のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
アレン・エスケンスの邦訳2作目。
「償いの雪が降る」では普通の大学生ジョーが事件に巻き込まれて行きましたが、それを助けてくれた刑事と弁護士が主役です。
高級住宅街で事件が起きた。
刑事マックス・ルパートは、被害者の夫プルイットを逮捕する。
夫のほうは、ボーディ・サンデンに弁護を依頼。教授で弁護士でもあるボーディは、冤罪を巡ってジョーの力になってくれた人物であり、マックスの親友でもあるのだ。
親友同士の対決…
どちらも正義感が強く、ごまかしもしないが、譲りもしない。
マックスは妻ジェニの交通事故死が解明されていないことをいまだに引きずっています。
ボーディにも苦しみがある。
「たとえ天が墜ちようとも」というタイトルは、「正義を為せ」と続く。
1作目は長い時間をかけて熟成されたデビュー作で、若者の成長譚でもあるので、独特な厚みと細やかさがありました。
2作目の雰囲気は、プロ同士の話。
アメリカのミステリにある刑事もの弁護士ものの手堅いタイプという印象ですが、作者自身が25年もキャリアのある刑事弁護士だった裏打ちもあり、法廷の説得力がさすがです。
ジョーの恋人ライラも仕事に関わっていて、成長したジョーの姿も垣間見せてくれます。
こうした関係性が世界を膨らませていて、皆いい人たちばかりなために、嬉しさを倍加させてくれます。 -
Posted by ブクログ
『償いの雪が降る』に出てきた刑事と教授(弁護士)が主人公。
読んでいなくてもまったく支障はないけど、彼らがどちらも信頼のおける人物で、いい友人同士ということがわかっているとより一層、その二人が対立しなければならない状況のつらさが浮き彫りになる。
女性が殺害され、その夫が疑われる。なんとか犯行を証明しようとする担当刑事と、依頼人の無罪を証明しようとする弁護士、その両側からの視点で描かれる。
どちらも正義のために力を尽くしているのがわかるだけに、片方に有利な事実が判明すればもう片方には不利ということになり、読んでいるこちらはとても複雑だ。ただ、どちらかというと弁護側に肩入れしたくなるかもしれない。
刑事は数年前の妻の死を引きずっており、その危うさは本人も自覚していて、思い込みで間違った方向に舵を切ってしまうのではないか、という不安がつきまとう。違法に証拠をでっちあげるとは思わないけれど、どこか信用しきれない。
一方、弁護士の方も過去に苦しめられているが、それはむしろ「絶対に罪のない人を有罪にしない」という信念を強固にしていて、有利に働いているように思う。
リーガル・サスペンスが面白いのは、真相さえわかればいいわけではないところ。起訴して有罪にできるか、あるいは無罪にできるか。そこには政治的な思惑も絡んできて一筋縄ではいかない。
どちらの主人公も人の道に反することはしないと信じられるので、その点ではストレスなく読むことができた。
翻訳ではこれが2作目だが、実際はこの前にマックスの弟の事件が、そしてこの後にジェニの事件についての話もあるらしい。できれば刊行順に訳してほしかったなあ。
ひとまず翻訳3作目を早く読みたい。こちらは『償い〜』と同じくジョーが主人公とのこと。 -
Posted by ブクログ
気が付いたら怒涛の務台夏子さんヘビーローテーションだったw
そして次はダフネ・デュ・モーリアの『鳥』なんて読んでみようかなと思ったりしてこれじゃあまるで「僕って結構海外ミステリを訳者さんで選んでるみたいなところあるじゃない?(知るか)だって重要じゃない?誰が訳してるかで物語の雰囲気って変わってくるし」みたいな鼻につくタイプの海外ミステリファンみたいだ
もしフォローして下さってる人の中に海外ミステリを訳者さんで選んでる方がいらした場合はここまでのことは全て忘れて下さい(フォロー外さないで!)
でも訳者さんが重要だというのは激しく同意したい
鼻にはつくが同意したい
同じ作家さんでも訳者さんが違うとやはりちょっと違うな〜と思う
と同時に原書で読んだらどんな風に感じるのかなって思ったりもする
思ったりもするが実現に向けて努力するようなことはしない
ただぼんやりと思うだけ
なりたかったなぁ『英語が話せる人へ』なんちて
さて『ケイトが恐れるすべて』です
いやぁ面白かった
面白かったし良く出来てるなぁと思いました
そして、そうか『ミランダ…』も推理小説として読んじゃったからいまいちに感じたんだなと思いました
これ推理小説じゃないですね
犯人は誰?みたいなスタンスで読む話じゃないですきっと
不思議な違和感をケイトと一緒に恐怖し不安を募らせて行くのが正しい気がしました -
Posted by ブクログ
ネタバレ「キャシー・マロリー」シリーズ。
おかえり、マロリー。
感情移入が出来ないと思いながら読み続けてきたこのシリーズだが、
冷徹で頑固で愛を受け入れないマロリーを、
とうとう懐かしく思うまでになってきた。
修道女とその甥である盲目の少年が姿を消す。
少女時代のマロリーを知る神父が修道女の消息を探すよう、
マロリーに頼みに来る。
だが、残念ながら彼女の遺体は、市長の官邸の庭で発見される。
他の三体の遺体と一緒に。
マロリーの独善的な捜査は相変わらずで、
枢機卿が来ていると嘘をついて、
告解室で修道院長の事情聴取(?)をしたりしていた。
それゆえ、少女の頃、相棒のライカ―を脅した後に、
仲直りの贈り物としてデスクにピーナッツの袋を置いた、
という話がかわいらしく思えたくらいだ。
一人息子を亡くした母親が、
犯人に囚われている少年を助けるために、
自分の息子の墓を暴かないといけないと判っていながら、
少年を助けるよう、マロリーに叫ぶ場面は印象的だった。
ようやく、なじんできたと思ったのに、
この後の作品は現在のところ書かれていないらしい。
残念。 -
Posted by ブクログ
イギリスのポドミン・ムーアという荒野の街道にポツンと立つジャマイカ館(実在していた旅館)。そこに巣くう荒くれ男たちに立ち向かう勇敢な女性メアリーの冒険物語。
彼女は母が亡くなったことで叔母ペイシェンスが住むジャマイカ館に身を寄せるが、建物は寂れ果てていた。夫であるジョスは荒くれ者の大男、叔母は昔の面影はなくやつれ、いつも怯えていた。そして、夜になると集まる不審な男たち、不気味な物音、酔っぱらっては異様に怖がるジョス。
うら若き女性なら普通は、怯え縮こまるところだが、メアリーはジョスに立ち向かったり、彼と他の男たちとのつながりを暴こうとする。ジョスの跡を追って原野をさまよったり、命の危機にも遭遇する。
ジョスの弟でこれもまっとうな人間でないジェム、原野で道に迷ったメアリーを救うがどこか冷たい印象のあるフランシス牧師。この二人もメアリーに絡む重要人物だ。邪悪な人間に果敢に立ち向かうメアリーだが、正義感よりも好奇心、冒険心がまさり、この二人に抱く彼女の気持ち、態度が非常に危なっかしい。一見、矛盾を感じてしまう彼女の揺れ動く心を読み解くのもこの小説の醍醐味か。
ヒッチコックが1939年に映画化しただけあって、ミステリーやサスペンスだけでなく、歪んだ心理が招く恐怖も加味されており面白かった。 -
Posted by ブクログ
面白かった。希望を感じさせつつもほろ苦いラストがいい。
序盤の30ページくらいはなかなか頁が進まなかったけど、裁判の資料を取り寄せたあたりからぐんぐん勢いがついてきて、そこからは一気に読んでしまった。
事件の真相はすぐに想像がつく(実際ほぼその通りだった)。だが本書の見所はそこではない。
何故そうなったのか?真相をいかに証明するか?その過程でこれでもかと発生するトラブルの数々…。
事件絡みを抜きにしても、主人公ジョーの人生は苦難の連続だ。時には逃げ出したり、見て見ぬふりをしながらも、少しずつ前進していく。
苦学生、死期がせまった人との交流、というのでなんとなく本多孝好の「MOMENT」を思い出した。 -
Posted by ブクログ
クリスマスストーリーが好きだ。クリスマスに起こる小さな奇跡で暖かい気分にさせてくれる話だ。この小説は少女誘拐事件を追うサスペンス警察小説なのだが同時にクリスマスストーリーである。クリスマス直前に10歳の2人の少女が消えた。政治家の娘グウェンと親友の問題児サディ。15年前双子の妹が誘拐されクリスマスの朝に殺害されていた刑事のルージュ。彼の前に現れた顔に傷のある女、法心理学者のアリは何故か犯行のパターンに拘る。一方囚われ怪我をしたグウェンはサディに励まされ力を合わせて脱出のチャンスを伺う。2人は助かるのか?犯人は誰か?事件を通して苦しみ、翻弄され、あがき、闘う人たちの贖罪のドラマが平行する。ハラハラドキドキの展開で解決後エピローグでとんでもない事実が明らかになり驚愕の奇跡に感動が押し寄せる。すぐにページを戻って読み直したくなる見事なプロット。すべての人に平安を!メリークリスマス