あらすじ
母が病で亡くなり、叔母ペイシェンスの住むジャマイカ館に身を寄せることになったメアリー。だが、原野(ムーア)のただ中に立つ館で見たのは、昔の面影もなくやつれ、怯えた叔母と、その夫だという荒くれ者の大男ジョスだった。寂れ果てた館、夜に集まる不審な男たち、不気味な物音、酔っ払っては異様に怖がるジョス。ジャマイカ館で何が起きているのか? メアリーは勇敢にも謎に立ち向かおうとするが……。『レベッカ』「鳥」で知られる名手デュ・モーリアが、生涯の多くの時を過ごしたコーンウォールの原野を舞台に描くサスペンスの名作、新訳で登場!/解説=瀧井朝世
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Posted by ブクログ
イギリスはコーンウォールの原野に建つ元宿屋の館「ジャマイカ・イン」は、建物も住む人も禍々しく謎めいていた。
若き女性が孤独の身となって、叔母が住むその館に頼よるしかなかったのだから、叔母が息も絶え絶え、叔父が荒くれ男で、災禍がおこるのもやむなし、けれども自立心の強い女性であるゆえ、危険がせまっても、冒険をせずにはいられない、避けられない。なるべくして謎と暴力との目まぐるしい展開になるのを、息もつかせず読まされるのであった。
コーンウォールの荒々しい風景描写と心理描写が巧みでグッと引きつけられ、設定は19世紀なのに現代をも彷彿させる困難な女性自身の自主独立へのあがきは心強いものがある。
『レベッカ』の嫋々としたサスペンスとは違う面白さ、ローリングプレイング的の痛快さ。
お馴染みモーリアの「館もの」なんだけど『レベッカ』の「マンダレイ」といい、この「ジャマイカ」といい、館のネーミング、今は昔だけど、さすがは世界に進出したイギリスらしいよ。
Posted by ブクログ
ダフネ・デュ・モーリアといえば、「レベッカ」「鳥」などの恐怖を煽るような小説の名手。
モーリアの、あまり有名でない作品。とはいえ、映像化はされているそうです。
時代は19世紀の初め頃、舞台はコーンウォール。
メアリーは、母と二人だけで農場をやっていたが、母が亡くなり、叔母のペイシェンスの元へ行くことになります。
叔母は、夫と共に旅館を経営しているという。
ボドミン・ムーアという荒野の真っただ中に建つ「ジャマイカ館」、そこは…
叔母はすっかり変わってしまい、顔色が悪く、おどおどしていた。夫であるジョスは荒っぽい大男で、夜になれば不審な輩が大勢集まってくる。
とうてい若い女性が住むようなところではない。
そう簡単には出て行きようもなく、弱っている叔母を見捨てることも出来ません。
女手で農場をやっていたメアリーにはそれなりに自立心もあり、出来ることをしようと気丈に働くのだったが。
ジョスの弟や、近在(といっても、けっこうある)の不思議な雰囲気がある牧師など、気になる男性も登場。
冒険ものといっていいのか。暗い設定なので、誰にでもおススメというわけにはいきませんが。
ぐいぐい危機が迫ってくる中を乗り切る、このインパクトは、ちょっと忘れがたいものがあります。
Posted by ブクログ
イギリスのポドミン・ムーアという荒野の街道にポツンと立つジャマイカ館(実在していた旅館)。そこに巣くう荒くれ男たちに立ち向かう勇敢な女性メアリーの冒険物語。
彼女は母が亡くなったことで叔母ペイシェンスが住むジャマイカ館に身を寄せるが、建物は寂れ果てていた。夫であるジョスは荒くれ者の大男、叔母は昔の面影はなくやつれ、いつも怯えていた。そして、夜になると集まる不審な男たち、不気味な物音、酔っぱらっては異様に怖がるジョス。
うら若き女性なら普通は、怯え縮こまるところだが、メアリーはジョスに立ち向かったり、彼と他の男たちとのつながりを暴こうとする。ジョスの跡を追って原野をさまよったり、命の危機にも遭遇する。
ジョスの弟でこれもまっとうな人間でないジェム、原野で道に迷ったメアリーを救うがどこか冷たい印象のあるフランシス牧師。この二人もメアリーに絡む重要人物だ。邪悪な人間に果敢に立ち向かうメアリーだが、正義感よりも好奇心、冒険心がまさり、この二人に抱く彼女の気持ち、態度が非常に危なっかしい。一見、矛盾を感じてしまう彼女の揺れ動く心を読み解くのもこの小説の醍醐味か。
ヒッチコックが1939年に映画化しただけあって、ミステリーやサスペンスだけでなく、歪んだ心理が招く恐怖も加味されており面白かった。
Posted by ブクログ
サスペンス小説、先が気になって
どんどん読み進めてしまった。
原野、開かれていない土地が舞台となっているのが、
この小説のミソだと感じた。
映画も鑑賞したいと思った。
Posted by ブクログ
このラストでは、おばさんと同じじゃないかと危惧。結構な活劇展開だった。原野というより荒野のイメージだが、原題のママが一番。実在したことにも驚くが、今や四つ星ホテルとは。
一言。痛みは意識された?何ともな訳。
Posted by ブクログ
想像していた物語とは、全然違って、なんていうか、冒険物で、その様に読みすすめると、主人公の好奇心と、行動力には、脱帽だし、どーなるの?どーするの?と、ワクワクしたけど、返って怖い。自然って夜の原野なんて、もう怖過ぎるでしょ。
Posted by ブクログ
レベッカは面白かったなぁ~と思い手に取りました。が。なんだかお話が複雑というか、ヒロインの恐怖があまり伝わってこなくて途中で飽きてしまいました。そんな首突っ込まない方が良いのに…なんて事なかれ主義の日本人だから思うのかもしれないけど…
イギリスの冬は寒そうだな~なんて思いながら読みました。