務台夏子のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
1966年、1970年、1971年に出版された原著からセレクトして訳出されたデュ・モーリアの短編集。
やはりこの作者の文体は濃く、なかなか巧みに書かれており、それを辿ってゆく読書体験は一種の「充足」である。このような「充足」を感じさせる文章といえば、久生十蘭を思い出す。それは単純なパロールの流れというよりも、よく寝られたコンポジションだ。
そんな完成度の高いデュ・モーリア文学だが、本書のうち、巻頭の「いま見てはいけない」はオチが弱くて、そこに至るまでは秀逸なだけに惜しいような作品だった。
最後の「第六の力」はSF小説。こんなものも書いたのかと驚いた。1編のSF短編として、ちゃんと水準に -
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Posted by ブクログ
ネタバレピーター・スワンソン二作目。
誰が本当のことを言っているか、本当に起こっていることは何か、語られていることは真実か。
相変わらずこの作者の登場人物はみんな怪しい笑
ぐいぐい引き寄せられる感じは前作「ミランダ…」の方が上か。後半の展開は面白かったが、序盤が退屈すぎて…少し残念。
犯人のヤバさは前作を軽く超える。
一緒に暮らすスリルが好きなサイコキラーとか、ド変態すぎてどうしたらいいのかわからない笑
前作も今作も、呼吸するように人を殺める人物が多すぎる…外国こえー。
最後は一見ハッピーエンドか?と思ったけど、よくよく考えると窓の向かいから生活を監視していたやつですよ、その人。 -
Posted by ブクログ
アレン・エスケンスの邦訳2作目。
「償いの雪が降る」では普通の大学生ジョーが事件に巻き込まれて行きましたが、それを助けてくれた刑事と弁護士が主役です。
高級住宅街で事件が起きた。
刑事マックス・ルパートは、被害者の夫プルイットを逮捕する。
夫のほうは、ボーディ・サンデンに弁護を依頼。教授で弁護士でもあるボーディは、冤罪を巡ってジョーの力になってくれた人物であり、マックスの親友でもあるのだ。
親友同士の対決…
どちらも正義感が強く、ごまかしもしないが、譲りもしない。
マックスは妻ジェニの交通事故死が解明されていないことをいまだに引きずっています。
ボーディにも苦しみがある。
「たとえ天が墜ち -
Posted by ブクログ
初読み作家。筆者の元職業は刑事弁護士、して題名からすると、展開は概ね読めそうなだけに、同調理されるかが期待し、満足の行く展開だった。
ボーディVsマックス、マックスVsベン、ベンVsボーディ
何れとっても信頼がもととなる人間関係であった。
刑事マックス、刑事弁護士ベン、元弁護士で、現在はロースクール教授のボーディが職においての立ち位置のあって各々の正義を貫こうとすると「誰かが嘘をついている」状況が見えてくる。前半、刑事の妻ジェニの交通事故死と未解決の真相に足元が揺らぐ心情が細かく描かれている‥そこへ加わる形で弁護士の妻殺害事件の操作が同時進行の形となって行く。
主に心情がダイナミックに、或 -
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Posted by ブクログ
『償いの雪が降る』に出てきた刑事と教授(弁護士)が主人公。
読んでいなくてもまったく支障はないけど、彼らがどちらも信頼のおける人物で、いい友人同士ということがわかっているとより一層、その二人が対立しなければならない状況のつらさが浮き彫りになる。
女性が殺害され、その夫が疑われる。なんとか犯行を証明しようとする担当刑事と、依頼人の無罪を証明しようとする弁護士、その両側からの視点で描かれる。
どちらも正義のために力を尽くしているのがわかるだけに、片方に有利な事実が判明すればもう片方には不利ということになり、読んでいるこちらはとても複雑だ。ただ、どちらかというと弁護側に肩入れしたくなるかもしれない -
Posted by ブクログ
気が付いたら怒涛の務台夏子さんヘビーローテーションだったw
そして次はダフネ・デュ・モーリアの『鳥』なんて読んでみようかなと思ったりしてこれじゃあまるで「僕って結構海外ミステリを訳者さんで選んでるみたいなところあるじゃない?(知るか)だって重要じゃない?誰が訳してるかで物語の雰囲気って変わってくるし」みたいな鼻につくタイプの海外ミステリファンみたいだ
もしフォローして下さってる人の中に海外ミステリを訳者さんで選んでる方がいらした場合はここまでのことは全て忘れて下さい(フォロー外さないで!)
でも訳者さんが重要だというのは激しく同意したい
鼻にはつくが同意したい
同じ作家さんでも訳者さん -
Posted by ブクログ
アメリカの作家アレン・エスケンスの長篇ミステリ小説『償いの雪が降る(原題:The Life We Bury)』を読みました。
ここのところ、アメリカの作家の作品が続いています。
-----story-------------
余命わずかな殺人者に、僕は雪を見せたかった。
バリー賞ほか3冠! 心揺さぶるミステリ
授業で身近な年長者の伝記を書くことになった大学生のジョーは、訪れた介護施設で、末期がん患者のカールを紹介される。
カールは三十数年前に少女暴行殺人で有罪となった男で、仮釈放され施設で最後の時を過ごしていた。
カールは臨終の供述をしたいとインタビューに応じる。
話を聴いてジョーは事件に -