務台夏子のレビュー一覧
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ピーター・スワンソン、3作目。
ミランダ、ケイト、アリスと来ましたね。
大学生のハリーは、父が急死したという知らせで、帰宅します。
転落死だが、慣れた道なのに?という疑惑も…
父と再婚した若い継母アリスは美しいが、どことなく不自然な気配も感じられるのだった。
視点を変えて、過去と現在が交錯します。
想像の上を行く展開が、じわじわと迫るサスペンス。怖いわ~。
この構成、滑らかな繋がり、作者の頭の切れには、感心します。
作風や主人公のタイプは、変化つけて来てますね。どれが一番面白かったか?この時点では迷いました。ミランダは読みやすいけど、ケイトの方が好み。完成度ではアリス?
5作読んだ時点で -
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ネタバレ
ご同情申し上げます。っていうぐらいに変な男を引き寄せ、事件に巻き込まれるケイト。
『ケイトが恐れるすべて』そう、まさしく外の世界の全てを恐れているケイト。
「これはわたしのせいなんです。彼らはわたしに寄ってくる。異常者はみんな。私は磁石みたいなものなの。」
嫉妬深く、狂気的な元彼はクレアを暗いクローゼットに閉じ込め、ライフルで自分の頭を吹き飛ばして自殺する。又従兄弟は殺人犯かも?の展開の中、どうやら又従兄弟の友達はサイコパス。クレアの新しい彼氏は覗き魔。
私は不幸を呼ぶ、、、と、生まれてからずっと不安障害に悩まされ続け、心理的にも身体的にも追い詰められていく事件が、距離と時間の巧妙な筋立ての -
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ネタバレネットで見かけて。
学校の課題で過去の殺人事件を調べ、
危険に身をさらしながら冤罪を晴らす。
比較的最近同じような設定の「自由研究には向かない殺人」を読んだので、
どうしても比べてしまった。
「自由研究」の方が、
主人公が高校生と若く、育った町で起こった殺人と身近で、
SNSを駆使すると新しく、謎解きとして意外なひねりもあって、
ぴりぴりする感じがして面白かったように思いながら読んでいた。
それに対して、この作品はアルコール依存症の母親と自閉症の弟を抱え、
祖父が水の事故で亡くなったのは自分のせいだと悔いており、
話を聞き始めた殺人犯は、
三十年以上刑務所暮らしのあげく末期がんで苦しんでい -
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ネタバレうわー、この本もすっごく良かった。エスケンスの本は、4冊出ているが同じ世界線の中で、共通の登場人物が交差していく物語になっている。これまで3冊読んだがどれも面白い。一つひとつの物語が完結しているので、どこから読んでもいいが、出版順がおすすめ。まあ私は1作目の続きが待ちきれず1➔3➔2だったけど、それでも問題なかったが。またまた素敵なタイトルはラテン語で続きがあり、「たとえ天が堕ちようとも、正義を貫きとおす」というもので、本作の深い主題と結びついている。エスケンスは刑事弁護士のキャリアがあり、私も長年法務部門を担い予備知識があるが、本作はリーガルミステリとしても極めて秀逸な構成で抜け漏れがなく、
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ネタバレ「償いの雪が降る」の続編。すごく良かった。ページターナー要素が多いのと日本人好みの切なさポイント満載の面白さと書いたが、それにも増しての続編、面白くないわけがない。前作の終わりからの直接の物語でなく、数年後、主人公がAP通信の記者になってる頃の話だが、主人公を巡る問題は何も変わっていない。さらに複雑な問題が巻き起こり、悪戦苦闘する物語が展開し、同時並行で静かに救済が進む。3作目は別の視点で書かれ、そのうち翻訳されると思うけど、読める人は2作連続で読んで欲しい。これ絶対面白いやつなので、つべこべ言わずに読めってのに久しぶりに出会った。
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15歳で母を肺癌で亡くし、大学の卒業式の直前に、父を殺されてしまうハリー。彼のたった一人の家族は、共に残された美しすぎる継母。父が死んだというのに、何故かウキウキと嬉しそうにも見える継母。そして、彼女は異常にもハリーにその美貌で迫ってくる。誰が父を殺したのか?
話がどこに向かうのか、落とし所はどこなのか、勘の鈍い私にはわからないまま、次なる展開に期待して息も忘れてしまうくらいに読み進めた。
ピーター・スワンソンの初めて読んだ一冊目「8つの完璧な殺人」が面白過ぎての二冊目だった。私の好きな作風とは違うのに、中毒になってしまった。今作のラストも最高だった。 -
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ネタバレ
タイトルに惹かれて読んだこの本は、私にとって、文句なしに面白かった!
陰気な北欧ミステリ、犯人が最初からわかっているサイコパス野郎系を好んで読む私だが、この本は終盤まで誰が犯人なのかわからない。
31章で罪の告白を始める主人公わたしが、真実を語ったのか、全てを語り尽くしたのか、、、解説でこのことを「語り落とし」と説明している。まさしく、それだ!
最後の32章の手記で真実が明かされるが「何が現実で何が夢なのかわからない夜が幾夜もあった。」というほど、わたし自身がすでに自分さえも信じられないのだ。
この本はミステリ作家へのオマージュである。登場する9冊の本をすでに読んでいるミステリマニ -
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ネタバレ面白かった!
ピータースワンソンはカメレオンみたいな作家さんだなあって思ってる。
昔、音大とか正規に学んだ人の方がバラエティに飛んだ曲を作れるものだ、なんて聞いたことがあって、それが正しいのかはわからないけど、この作家さんの作品を読むたびにそれを思い出す。
硬質で精緻な文章に、ピリッと効いた思いがけないアイデア。最後の着地があっちかな?それともこっち?と、最後まで予測できずにでも、読み終えてものすごく満足感があった。(特にその前にミランダを再読してたので、出てくる人の善人率の高さに少しほっとしたり)
それぞれ癖のある登場人物たちをうまく組み合わせての物語はほんとうに丁寧で、そつがないの -
Posted by ブクログ
★5 アメリカの田舎町、知恵と勇気を振り絞りながら生き抜く学生の成長と経験 #あの夏が教えてくれた
■あらすじ
1976年頃のアメリカ田舎町、主人公のボーディは高校一年生。彼は高校生活に馴染めず、いつも同級生から迫害を受けてしまっていた。そんなある日、街で黒人女性が失踪してしまう事件が発生してしまう。保安官は頼りにしている隣人ホークを怪しんでいる様子。不安になったボーディは失踪事件を調べ始めるのだが…
■きっと読みたくなるレビュー
★5 いい話やったわ…
本作はどこにでもいそうな高校生の成長を切り取った物語です。
彼は街の権力者の子どもたちに目をつけられてしまっており、うまく学園生活に馴 -
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〜偏見はあるに決まっているんだ。大事なのは、その本能を理解し、それと闘うことなんだよ〜
驚いた!
先日読んだ月村了衛さんの『対決』にも似たような言葉が書いてあった
方や日本人作家が女性差別について書いた物語、方やアメリカ人作家が人種差別について書いた物語
まず闘うべき相手は自分自身なのだ
2つの物語はそんなことを訴えているのではないだろうか
誰の心にも「差別」は潜んでいるのかもしれない、それはある意味自分を守るところから発しているとも言えるからだ
自分といや自分たちと違うものを恐れ遠ざけるために過剰に攻撃的になっている
そんなところから「差別」は生まれているかもしれないのだ
「差