務台夏子のレビュー一覧
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主人公の青年ジョー・タルバート
彼の葛藤と実直さと無鉄砲さとありきたりな若者らしさに青春の輝きを感じる
飲んだくれのどうしようもない母親、そのどうしようもない交際相手、自閉症の弟、淡い恋心を抱く隣の彼女…
様々な重荷を背負う彼に人生の転機が訪れる
ヴェトナム戦争が変えたある男の人生、ジョーが心に沈めた祖父への後悔
彼らが葬り去ろうとしたものは何だったのか
三十年前の事件が繋ぐ二人の物語
前半はジョーの周囲のゴタゴタ、カールの重い回想
後半は謎が徐々に解け、スリリングな展開で緊張感が高まる
死にゆく男が最後に望んだ雪
ヴェトナムのクリスマスと監獄の中では見ることができなかった雪
ジョー・タルバートの傷と成長の物語
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Posted by ブクログ
ネタバレ3部構成の長編小説。
各部が各章に分かれており、1部では主人公リリーとテッドの目線が章ごとに入れ替わり、2部ではリリーとミランダ、3部ではリリーとキンボールに入れ替わり物語が進んでいく。
2部に入ったとたんにビックリさせられ、物語が進につれ想像通りではない展開で、最後はほっとしたはなから、驚かされる。
空港でたまたま知り合ったテッドからリリーは妻の浮気の話を聞かされ、テッドはリリーの助言により妻を殺害しようと計画を立てる。
2部の冒頭でリリーは偶然を装いテッドと知り合ったと思っていたが、テッドの妻ミランダを学生時代から恨んでいたことが分かり、テッドを婚約者として以前ミランダから紹介されていた事が分かる。
テッドは妻を殺害する前に反対に妻の浮気相手により殺されてしまう。
リリーはこの浮気相手を使ってミランダを殺害し、この浮気相手を自分の手で殺害する。
計画は上手くいったように見えたが、刑事のキンボールに疑われ、刑事をナイフで刺してしまい逮捕されるが、裁判で勝てそうな見込みになったところで、最後の最後に父親からの手紙の追伸で、死体を隠した井戸が取り壊されること知る。 -
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ページをめくって目に飛び込んでくるのは、ある注意書きだ。
「この本は複数の本のネタバレをしています(意訳)」
作中にはアガサ・クリスティやハイスミス、あるいはA・A・ミルンなど、実在するクラシック・ミステリーの名作が実名でバンバン登場する。
それらのプロットを現代の事件にどう落とし込んでいるのか、というオマージュが本作の特徴だ。
私がネタバレリストの中で、知っているのはアガサ・クリスティだけだった。
だから気にせず読み出した。
しかし、途中で有名作品のとんでもないネタバレをくらい、衝撃の大きさに笑ってしまった。
めっちゃネタバレしてくるじゃん!!!
(注意書きに書いてあるのだから当たり前)
アガサ・クリスティ未読の方は注意が必要です。
ミステリーをたくさん読んできた人はもちろん、あまり詳しくない人でも楽しめる一冊。
おもしろかった! -
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ネタバレ今年はひと月に1冊は海外ミステリーを読むという目標を立てたものの、『ハウスメイド』のようにさくさくというわけには行かず。驚異の読みやすさだったそれと比べると、まずこれは字が小さい。果たしてどれぐらいの日数がかかるのかと心配していたら、なんちゅうことありませんでした(笑)。
第1部の最後では「マジ!?あんたが死ぬんかい!」と唖然とし、あとは寝る間も惜しんで読みたくなる。但し、気持ちの良い話ではなく。最初の殺人ではリリーに肩入れしたくなったけど、彼女も含めてどこか好きにはなれない登場人物ばかり。刑事もキモすぎてゾッとします。
最後の最後に苦笑い。嫌な感じがちょっと癖になりそう。 -
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アメリカの作家アレン・エスケンスの長篇ミステリ小説『あの夏が教えてくれた(原題:Nothing More Dangerous)』を読みました。
アレン・エスケンスの作品は2年前に読んだ『たとえ天が墜ちようとも』以来ですね。
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謎と友情、そして哀しみに、僕はこの夏を捧げた。
小さな町を揺るがす女性の失踪事件が、高校生のボーディの運命を変える――
『償いの雪が降る』の著者の青春ミステリ!
ボーディは田舎町で暮らす15歳の少年。
父を亡くし母親と寂しい日々を送っている。
高校に馴染めず、友達は一人もいない。
静かすぎるその町で最近大事件が起きた。
町最大の企業に勤める黒人女性が不審な失踪を遂げたのだ。
捜査中の保安官が、ボーディが慕っている隣人のホークを訪ねてきた。
女性はかつてホークの部下で、ふたりのあいだには噂があったという。
思いがけない事件が、ボーディの日常に不穏な影を落とす――。
現実に悩みながらも、少年は鮮やかに成長する。
『償いの雪が降る』の著者による心震える青春ミステリ!
解説/古山裕樹
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2019年(令和元年)に刊行されたアレン・エスケンスの長篇第6作です。
15歳のボーディ・サンデンは高校に馴染めず、静かすぎる田舎町で孤独な毎日を送っている……そんなある日、黒人女性ライダ・ポーが不審な失踪を遂げ、ボーディが慕う隣人ホーク・ガードナーを保安官が訪ねてくる、、、
ライダは実はホークの知人で、彼らのあいだには噂があったというのだ……ホークは失踪に関係しているのか? 事件をきっかけに少年は鮮やかに成長する……『償いの雪が降る』の著者が贈る感動の青春ミステリ!
ミステリの緊張感を備えつつ、読み終えたあとに青春小説としての清々しさが静かに残る作品でした……ミズーリ州の田舎町ジェサップという小さな町に漂う閉塞感や偏見が入り混じった差別意識が物語の背景にありながら、主人公のボーディ・サンデンが、隣人の黒人で片手が不自由、顔面に傷を持つホーク・ガードナーとの付き合いや近所に引っ越してきた黒人少年・トーマス・エルギンとその家族との出会い、ボーディが通うハイスクール・聖イグナチオを仕切っている4年生のジャーヴィス・ハルコムのグループとのトラブル等を経験しながら、成長していていく過程は、とても瑞々しく感じましたね、、、
ボーディが自分の弱さや恐れと向き合いながら、少しずつ世界の複雑さを理解していく過程は、ミステリの枠を超えて、普遍的な成長物語として胸に響きました……事件の真相が少しずつ明らかになる展開も魅力ですが、それ以上に、友情が芽生える瞬間や、自分の弱さと向き合う時間が丁寧に描かれていて、心をそっと揺らされた感じです。
どこか『スタンド・バイ・ミー』を思わせる、<あの夏の匂い>が端々に漂っていて、ページを閉じたあと、自分の中の遠い季節がふっと蘇るような、そんな印象を受けながら読み進めた感じです……ボーディが何を見て、何を感じ、どう変わっていくのか、、、
その軌跡こそが、この作品の魅力なんでしょうね……ミステリとしても青春小説としても愉しめるエヴァーグリーンな一冊です。 -
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主人公となる3人の意図が複雑に絡みながら、殺人事件の真相を追い求めるサスペンスだ。
3部構成からなり、それぞれの編で3人の人物像がはっきりと綴られることになる。
⚫︎主人公の一人:マックス・ルパート刑事
住宅街の路地で女性の死体が発見され、検察官からの強い指示もあって犯人を追うことになる。
過去にマックスの妻は交通事故によってひき逃げされ、犯人は未だ捕まっていない。
しかも捜査は事実上未解決のまま撤収されている。
⚫︎主人公の一人:ボーディ・サンデン教授
過去には辣腕刑事専門弁護士として法律事務所を営んでいたが、弁護に努めた少年が獄中で無実を訴えて自死した出来事があり、自責の念でサンデン氏は弁護士の職から身をひいていた。
⚫︎主人公の一人:ベンジャミン・リー・ブルイット
現役刑事専門弁護士で、過去にはボーディ・サンデン氏のもとで弁護活動に従事していた。
彼の自宅の寝室で、ベッドに多量の血痕が遺されいて、ブルイットの妻の血液と断定される。
▪️第一部:死
ブルイット氏の妻は巨額の資産家で、資産相続目当てでブルイット氏が妻を殺害したのではとの疑いが及ぶ。
ブルイット氏は過去に仕事仲間だったボーディ・サンデン教授に弁護を依頼するのだが、サンデン教授の妻は過酷な弁護の仕事を受けることに反対する。
▪️第二部:ディフェンス
妻を殺害されたブルイット氏は、ルパート刑事が完璧とも云えるアリバイに疑問を抱き、捜査を行なっていることを知る。
しかも妻の妹のブルイット氏に対する評価は辛辣なもので、姉は離婚を考えていたと証言をする。
▪️第三部:公判
容疑者となったブルイット氏は状況証拠によって起訴され、陪審員たちは有罪を宣告する。
だがサンデン教授の最後まで諦めない弁護活動によって、陪審員による有罪判断に予想外の動きが生ずる。
マックス・ルパート刑事の職責に対する自覚と己の正義感との対峙。
ボーディ・サンデン教授が擁している法律の深い理解、その法律に対峙することになる友との友情との関わりに悩みながらも、結局サンデンは法律を優先した自らの正義を貫く。
ベンジャミン・リー・ブルイット氏はサンデン教授との友情を逆手に取り、自らの都合を優先してサンデン教授の力量を借りる算段をする。
さて、ベンジャミン・リー・ブルイット氏の妻は誰の手によって殺害されたのか⋯、最後の最後まで見通せない物語だった。
私にとって壱番の盛り上がり場面は、捜査を担当するマックス・ルパート刑事とボーディ・サンデン教授が対立する場面だった。
お互い友人としての立場を理解しつつも、正義のために妥協のない行動を選択する二人の姿に、静的なハードボイルドタッチに触れた思いだった。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ主人公ハリーの母はハリーが15歳のときに癌で亡くなっている。
父ビリーは15歳年の離れたアリスと2年ほど前に再婚していたが、そのアリスから大学卒業を目前に父の訃報を受け取る。
散歩中に足を滑らせて崖から転落死したという父の死の状況にまつわる事件性の有無を巡る「現在」。
「過去」として語られるアリスの来歴。
話の真相が分かるまでのピーター・スワンソンが好きだ。
導入の事件だったり背景語りの分かりやすさの中にあるちょっと引っかかる感じ。
話が進んで裏の事情とかも見え隠れする中での全ては明かさずおあずけ状態で引っ張っていく牽引力。
ただ、霧が晴れてからのもうひと捻りを期待するところで案外普通に終わってしまう印象を持っていた。
本作もまあ基本的にはそういう感じだったけれど、さりげなく入れてきたちょっとした真意が象徴する負の連鎖の部分がぞわっときて全体的にも締まっていたなという印象。
舞台となる街の名が『そしてミランダを殺す』の舞台と同じケネウィックだったり、後に隠れた変人であることが明かされる主要登場人物の故郷が『死の接吻』の主人公と同じミナセットだったり(いずれも架空の街の名かつ前者は自身の作品、後者は物語中でもその作品に言及しているので、明らかに意識している)という繋がりを入れてきているところも雰囲気が広がり面白い。