あらすじ
ある日、アメリカ各地の9人に、自分の名を含む9つの名前だけが記されたリストが郵送されてくる。差出人も意図も不明。受け取ってすぐに捨てた者もいた。だがその後、リストの人々が次々と死に始める。まずホテル経営者の老人が溺死。そして翌日、またひとり、男性がランニング中に射殺される。FBI捜査官のジェシカは、残りの人々の特定を進める。自分も、死んだふたりと同じリストを受け取っていたのだ。次は誰が殺されるのか? 職業も居住地も違う9人のつながりは何なのか? 驚愕の展開の連続で読者を翻弄しつづける極上のサスペンス!/解説=古山裕樹
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Posted by ブクログ
タイトルもそうですが、冒頭で「そして誰もいなくなった」「ABC殺人事件」のストーリーに触れることが注意書きで書かれているので、全員死ぬし、関係ない人も殺されるんだろうなということ自体は最初に分かります。
そしてタイトルの通り9人が対象なので、登場人物がめちゃくちゃ多い!
そのせいか序盤は中弛み感があって、何度か読むのを中断してしまいました。
でも最後まで読んでみると、後半であれよあれよと伏線が回収されていくので、中断したことを後悔する羽目に(結局何度か序盤を読み直しました笑)。
そして登場人物の多さも相まって、私は本当に後半になるまで全然犯人が誰かは分からりませんでした。
結末は他の方も書いている通り、「そんな動機で...?」という感じはあります。
とは言え、世の中の実際に起きている殺人事件を考えると、大概が逆恨みとか通り魔的ものなので、逆に現実的なのかも?と個人的には妙に納得しました。
ただ、ここまで周到に準備して実行するところはサイコパス度120%、さすがピーター・スワンソン作品!
Posted by ブクログ
面白かった。瑕疵が無いわけじゃないけど、エンタメとして十分楽しんだ。
最初はキャラクターの多さに把握するのが大変だったが、死者が増えるにつれ、視点人物が減っていくので1/3くらいからどんどん面白くなって、半分のところでは夢中になって最後まで一気に読めた。
ミステリーとしては推理できないけれど、まあワケありなのはわかるし。アガサ・クリスティを下敷きにしているので、展開にはついていけた。
気になったのはジェシカがどうして助かったのか。その示唆が全然わからなかった。元軍人に依頼したのに失敗するなんて。失敗する要素はあったのか?
全体を通して見ると、死者の数を揃えるため?エリックが死んだ分、ジェシカが助かったとか?
あと肌の色の描写されるまでわからないので、サムやジェシカのシーンは興味深かった。ジェシカは黒人の血とベトナム人の血が入ってて、スペイン語が話せそうな見た目?有色人種ではあるんだろうな。
リストの人物の中に犯人がいるお約束が守られてて面白かったし、最後まで読んでから最初を読むと、もろ犯人の名前が最初に来てて面白かった。
ちゃんと仕掛けられている。
教授とシンガソングライターのやりとりはどうなんだろうな。詩を通じて仲良くなれた感じ。でも親同士が知り合いだったとしたら、親の好みが受け継がれていたとかそういうこと?
なんかみんなリストを見て、見たことある聞いたことある、みたいな引っ掛かりを感じていたのも面白かった。
そして親たちは一切子供達に喋らなくて、悪夢としてだったり過去の友人としてだったりでほのめかすばかりで、どの子供達も親の罪を知らずに死ぬのが面白い。
3児の父親のマシューやゲイのアーサーの死後、周りの人はどう受け止めたのかという描写が無かったのが少し気になった。
必要な描写じゃないけど、人はいつか自分が死ぬことを忘れ、誰かが死ぬことも忘れる、ということかな。アーサーは夫のリチャードのことを忘れるのを恐れているし、ジェエシカも記憶を失う。
逆に犯人は忘れられなかったから犯行に及んだということか。
Posted by ブクログ
住んでいる地域も年齢も違う、全く接点のない9人に名前だけのリストが届く。そして、リストの中から、1人また1人と殺されていく。
9人のプロフィールがとても丁寧に描かれていて、その中にはクリスティーを始め名だたるミステリー作家やTV、映画などの名作があり、題名を見ただけでもミステリー好きには堪らない仕掛けになっている。登場人物がたくさん出てくるので始めは戸惑うが、すぐにそれ以上の面白さに引き込まれて行くと思う。終わり方もよかった。
Posted by ブクログ
autumn522akiさんの本棚から
ピーター・スワンソンである
実はピーター・スワンソン2冊ほど読んで、うーん面白くなくはない、なくなくなーい
でもなんか自分には合ってないかもと思い、読んでいなかったし、読むつもりもなかったのです
だがしかし
風雲急を告げるとはこのことです
なんとピーター・スワンソンの新作が秋さんの鬼★5とのこと
なぬー!
ほんとかいな!
ほんとにそんな面白いんかいな!
いや、言うてもあれよ?
わいとスワンソンあんま相性良くないのよ
大丈夫?
秋さん大丈夫?(いやお前の事情踏まえて★打ってないわ!)
結果、面白かったー!
やられたー鬼秋5違う鬼★5にやられたー(やられたのはあくまでスワンソンにな)
いやまずね
わいアガサ・クリスティの『そして誰もいなくなった』が大好きなのよ
当然大好きなのね
その大好きを乗せての面白かったーです
たぶん、「いや認めませんよ!」って人もけっこうおるんちゃうかな?と思う
でも、わいは認める
認めちゃう
これは『そして誰もいなくなった』です
またひとつ『そして誰もいなくなった』の傑作オマージュ作品が誕生したってことでいいでしょう!
Posted by ブクログ
以前読んだ「そしてミランダを殺す」が面白かったので手に取った。「そして誰もいなくなった」をモチーフにしているが、クローズド・サークルではないという一作は、タイトルそのままのホワイダニットが軸。場面と視点が次々切り替わり、翻訳も自然なので、とにかく読み易い。冒頭からグイグイ引き込まれるサスペンスフルな展開で、終わり方も悪くない。現時点で今年一番のミステリ。
Posted by ブクログ
面白かった。ピーター•スワンソンは私には合う作家なので、読み始めから終わりまでずっと読んでて心地良い読み心地だった。
話も細部まで考えられていて良かった。単純な動機じゃ無いところがピーター•スワンソンらしい。
本当にミステリーが好きな作家さんだなあ、と思わせられるところが沢山あり、そこもやっぱり好き。本が好きで沢山読んできたんだなあ、と思わされる描写が随所にある。
何故か今までのピーター•スワンソン作品に比べて穏やかで、平和な終わり方に感じた。最終的な結果は全然穏やかじゃないし、むしろ酷いのに、穏やかな事件に感じる不思議。
次回作も楽しみ。
Posted by ブクログ
毎回ドキドキさせられ、一気に読むことになるスワンソンの作品。今回も楽しませてもらいました。
今作は最後に救いがあることが良かった。ミステリーには恐怖や薄気味悪さを求めて読む面はあるのだが、”読後感の良いミステリー”が好きです。
Posted by ブクログ
アメリカ各地の男女9名に自分のも含め9名の氏名のリストが送られてきて、その中の1名が殺される。リストの中にFBI 捜査官がいたことから比較的早くリストの人物達に護衛がつくが殺人は止まらず…。
本編前に「そして誰もいなくなった」の真相に触れているという注意書きがあるとおりゴリゴリのミステリー。アガサクリスティは基礎教養なのね。イギリスでも日本でもなく現代のアメリカで、こういうクラシカルなミステリ作品が書かれて読まれているんだと嬉しくなっちゃう。
9人中3名が既婚者となんらかの不適切な関係にあって、何かの伏線では!?と真相にカスリもしない推理(とも言えない連想)をしてしまった…。だって多くないですか?
Posted by ブクログ
リストにある9人が次々と殺される。
誰がなんで?というミステリー。
冒頭にあるように「そして誰もいなくなった」「ABC殺人事件」の内容やトリックが出てくる。
作品の骨組みはほぼアガサ・クリスティ。
読みやすく、分かりやすいところがいい。
Posted by ブクログ
・あらすじ
ある日、9人の名前が含まれたリストが郵送された。
差出人や目的も不明、9人それぞれの関係性も不明。
しかしそのリストに書かれた人たちは次々に殺されていく。
・感想
ピータースワンソンって感じの作品だった。
読みやすいし、続きも気になるのですぐ読み終わった。
「そして誰もいなくなった」は読んだけどABC殺人事件はまだ読んでないので今度読んでみたいな。
犯人は直感で目星つけてたんだけど、動機がいまいちどころか全く理解できなかった。
犯人の歪みには解説でも書かれていたけど、サイコパスとも違う不快感があったな。
屁理屈捏ねて殺人する犯人ってあんま好きな犯人像じゃない…。
まぁこんな身勝手に殺すんだからせめて痛みや苦しみがないように、というのは最低限?必要なことだよね。
Posted by ブクログ
2025.08.23
いつもうならされる著者の作品。今回も期待を裏切らない。ミステリの定義は人によるだろうが、「なんか面白いミステリない?」と聞かれてオススメできる一冊。
Posted by ブクログ
ひまわりめろんさんが読まれているのを拝見して、私も積んでいたので早く読まなくちゃと思いました。
ひまわりめろんさん、ありがとうございます。積読本消化できました。
アメリカ各地の9人に、自分の名を含む9つの名前だけが記されたリストが郵送された。差出人も意図も不明。
だがその後、リストにあったホテル経営者の老人が溺死。
翌日、ランニング中の男性が射殺された。FBI捜査官のジェシカはリストの人々の特定を進めていた。自分も、死んだふたりと同じリストを受け取っていたのだ。次は誰が殺されるのか?
ー以上文庫うらすじより
スワンソンの作品は『そしてミランダを殺す』『ケイトが恐れるすべて』『8つの完璧な殺人』を読んでいましたが先出の二作品はすごく心理的に怖かった覚えがありますが、この作品はクリスティの『そして誰もいなくなった』だと最初に書いてあるので、どこまで似ているのかが気になりましたがあまり怖いとは思いませんでした。
『そして誰もいなくなった』は確か何か昔、悪いこと(恨みを買う)ことをした人が殺されていく話だったという記憶がありました。
この作品の犯人は、ある意味非常に倫理的に殺人を行っているので、スワンソンの前作のような怖さはなかったです。
Posted by ブクログ
話はとても最後まで面白くわくわくしながら完読したが、あの動機はあんまりでないか?
犯人がもし自分の娘を自分の手で殺めたのなら
百歩譲ってまだ許せるが
なにもかも自分勝手すぎてあんまりだ。
納得できん!
自分は70代まで生きといてまだ若い人たちをそんな理由で殺してしまうなんて許せん!
それとやはり外人の名前は全く覚えられない。
それが男か女かよくわからん。
最初の方の登場人物表を100回は見たわ。
彼の夫という表記が理解できず
そこのページを3回は読み返したけど
自分の中で本の間違いやなと思ってたけどゲイやった。
ああ!
面白かったけどな〜
でもな〜
っ感じ。
Posted by ブクログ
2025年の27冊目は、外さない作家の1人、ピーター・スワンソンの「9人はなぜ殺される」です。
スワンソン版の「そして誰もいなくなった」と言えます。ページターナーである事は、認めざる得ませんし、一気に読ませる力量は、流石だと思います。
なぜこの9人なのか、誰が犯人なのかという謎は、小出しに仄めかされて行きますので、推察は可能だと思います。探偵役だと思っていた9人の中の1人、FBI捜査官のジェシカが、早々に退場してしまった時には驚きました。余りにもあっさりし過ぎなので、裏が有るように思ってしまいました。同性同名の全くの別人を登場させる小技も嫌いでは有りません。
登場人物が多い状況の中でもスムーズに読み進めて行けるのもスワンソンの力量だと思いますが、スワンソンならば、もう少し期待したかった所です。
☆4.5
Posted by ブクログ
こいつか〜!という驚きがありました
リストに載った人が一人ずつ消されていく、という設定はミステリ好きはみんな好きなのではないでしょうか(偏見)
Posted by ブクログ
9人の名前が書かれたリストが送られてくるところから始まるお話。クリスティの『そして誰もいなくなった』を想起する展開ながら、スワンソン独特の巧みなストーリーにすっかり翻弄されたのでした。ゲラ読みキャンペーンでとてもワクワク読ませて頂きました。
おすすめです。
追記
読み応えがあり面白かったけれど、冷静に考えると敵討ちにしては酷すぎる大量殺人なので、
評価5にしてましたが4に修正します。
Posted by ブクログ
アメリカ各地の9人に自分の名を含む9つの名前だけが
記されたリストが郵送された。差出人も意図も不明。
だがその後、リストにあったホテル経営者の老人フランク・ホプキンズが溺死。
その翌日、ランニング中のマシュー・ボウモントが射殺される。
FBI捜査官のジェシカはリストの人々の特定を進めていた。
自分も死んだ二人と同じリストを受け取っていたのだ。次は誰が殺されるのか?
といったあらすじ。
まさに『そして誰もいなくなった』の様な展開。
各章の最後で9人のうちの誰かが殺されるという展開で進んでいくので
毎章ごとに、あぁこの人が殺されてしまったのかという驚きがある。
そう、それなりにミステリーの楽しさはあったのだが、
いかんせん、犯人とその動機には納得しづらいものがあった。
ピーター・スワンソン作品と言ったらといった具合に
今回も仕掛けとしてはバッチリな叙述トリックがあったはあったのだが。
うーん、物語という意味では消化不良かもしれない。
Posted by ブクログ
有名な『そして誰もいなくなった』を、オマージュというか意識した作品。
どうしてミステリ好きは『そして誰もいなくなった』につい心惹かれてしまうのか…
ある日9人の元に送られてくる9人の名前のみが綴られたリスト。
そしてひとり、またひとりと殺害されるリストの人物。
孤島でもクローズドサークルでもないのに『そして誰もいなくなった』を感じられるストーリーはわくわくした。
『ABC殺人事件』にも触れていると注意書きがあったので、彼らの共通点は?犯人は?と作中のヒントを探したけど結論べつになかった笑
トリックとかも特段なにがあるわけでもなくて、別につまらなくはなかったんだけど、
ミステリー…なのか?という感じの…
ちょっと期待外れな一作だった。
Posted by ブクログ
9人の名前が載ったリスト
一見関係のなさそうな9人が、なぜ突然リストに名を連ねたのか…
9人それぞれの視点から物語は進んでいきます。
物語ではアガサ・クリスティの「そして誰もいなくなった」などの古典ミステリが出てきます。私はこれまで読んだことはありませんでしたが、この本をきっかけに読んでみたいです。
ただ9人の視点が頻繁に変わっていくので、登場人物を把握するのが大変でした。冒頭に登場人物の名前とその関係性が書かれていたので、それを見ながら読めばより分かりやすいと思います。
ぜひ読んでみてください
Posted by ブクログ
読むのが止まらない。すごいペースで読んだ。サクッと死んでいくし、内面描写も堀下がってなくて深みはないかなあ。妹を殺された恨みかと思いきや、お前も加担しとったんかいっ!ってツッコんだ。だからリストに載ったんだけど。
Posted by ブクログ
ピーター・スワンソン最新作。
前作「8つの完璧な殺人」とはまた違った切れ味がある作品。しかし登場人物の多さが頭を狂わせてしまいちょっと今誰の話だとなってしまったのも否めない。
けど序盤、中盤の面白さはエグい
特にある人物の視点からの話からは固唾を飲みました。
しかしラストは賛否分かれるかも
あの作品のオマージュなのはわかるけども‥って感じです。
Posted by ブクログ
このミス第2位!
驚嘆必至のサスペンス!
とか、帯に煽られて購入。
しかし…
スワンソンらしいなあ、と思った仕掛けはあるも、んんん?え、これで終わり?と思ってしまった。
スワンソンじゃなかったら★3.5にはしてたかも、だけど決して4以上とは思えなかったなあ。
殺されるリストに載ったそれぞれの受け止め方、終わり方、それまでの色々が良かったという感想の人はいたし私も嫌いではないんだけど……
でも、それだけ?って思えてしまったんだなあ。
殺し屋が妻子を大切にしてそうな描写だとか、散りばめられたクリスティの作品とか、なんかもう、もう少し掘り下げられるのかな?なんて構えすぎて首痛くなっちゃったよ。ってな感じだ。
少し違った意味でページを捲る手が止まらなかったんだけど、なんかそれはその、面白すぎて食いついたというよりは満腹になる前に自分を騙して早食いしちゃって完食できた!的なそれ。達成したのに満足度が低い、と申しましょうか。
うーん。
Posted by ブクログ
ちょいむずかしかった。
いつも名前を雰囲気で呼んでいる私にとっては誰がどれかわからないところが何箇所かあった。
またオチがよくわからなかった。
何回か読めばわかるかも??
超スパンで読みすぎたのかもしれない
外国人作家は難しいね、、、
謎解きっぽいところは面白かった
アガサクリスティのそして誰もいなくなったの話が出てきすぎているので、作者が好きだったんかな〜と思っていたら、後書きで似たような感想が書かれてた。
Posted by ブクログ
クリスティの『そして誰もいなくなった』のオマージュ作品。
どっちも面白いけど、個人的に本作の騙し方の方が好き。
単純に上手いなあと思うし納得感がある。
正直、動機よりも犯人がどうやって計画を完遂させるのかだけが気になって仕方なかった。
とは言いつつも、隠された共通点を探るシーンはやっぱり楽しい。
Posted by ブクログ
犯人とトリックはたしかに衝撃があった!
ただ、なんとなく不完全燃焼感が残った。これもまた人の死に大きな意味と影響を求めてしまう人間のサガなのでしょうか。
Posted by ブクログ
私の記憶力の問題ですが、この人誰だっけ?と何度も冒頭の登場人物確認が必要で、冗長に感じる箇所も多々。タイトルと設定にわくわくしただけに若干の期待外れ感は否めず。でも、ラストはよかった。丸善日本橋にて購入。
Posted by ブクログ
動機は納得できるけど、犯人も悪いのに…?と少しもやもや 他責思考が強く見えてしまって…
親に同じ苦しみをと言っていたけれど、その描写が無いので本当に彼のやりたいことは達成したのかどうか分からず…
犯人に気付いた瞬間のスッキリ感はある作品でした
Posted by ブクログ
ネタバレあり
9人はなぜ殺される
ピータースワンソンの長編ミステリー。9人の名前が書かれた謎のリストが当人達に送られ、それぞれが殺されていく。9人に少なからず面識は無く、なぜ彼らが狙われるのか、ミッシングリンクを探すストーリー。主人公と呼べる人物は無く、様々な登場人物の視点からストーリーは進行する。
クリスティに言及しており、おそらく「そして誰もいなくなった」をリスペクトし、ミステリの女王に挑んだ意欲作。しかし、「そして誰もいなくなった」の犯人と真相、全てのトリック、叙述トリック、更にはクローズドサークル、見立て殺人とあらゆる要素を一切の破綻なく描き切ったミステリ史上の傑作には残念ながらも届かなかった。
サスペンス的に進行していく恐怖感も小さい。「そして誰もいなくなった」では密室のなか、お互いに疑心暗鬼になっていくヒリヒリとした恐怖感があったが、今作の登場人物達は何処か他人事、恐怖感のかけらも感じられない。また、性的な描写を普段事として書いているが、ノワールの様な暴力的な描写もない中で、書かなくても良い事を描く事は何の魅力もない。(いちいち歯を磨く、朝食は何を食べる等、ミステリーに必要ない部分だと思う)
今作は、事件の発端が過去の事件に起因しているが、当時の該当者達は歳を取っているが、殺人が起きたホテルと当時のホテルが結びついた人はいないのが疑問。当然、FBIから詳細は知らされていないとしても、一部関係者には思い起こす要因があるのではと思う。
今作の最後、重要なトリックは日本史上最も有名な作品の一つが既に活用している有名なものだ。従って、成る程!と感心したが衝撃を味わう事が出来なかった。(ページをめくって一行で騙されたあの有名な作品だ)また、犯人が普通すぎてしまった。
唯一、殺し屋が登場したジェシカが実は犯人で、最後、自分の手記で事件を暴露する。となっていたら傑作だったと思う。しかし、犯人の驚くは薄く、あまつさえ。彼女が生きていたというのはこの作品を貶めており、 一気に価値を無くしてしまった様に見えた。
前作でもクリスティのオマージュをしているが、もっと自由にミステリを描いても良いのではと思う。作風はとても好きだし、タイトルから興味を惹きつけられる事には変わりがないので、いずれ爆発する事を期待しつつ。出版されれば読んでいきたい作者だ。
Posted by ブクログ
何の繋がりもない9人に名前だけのリストが送られてきて、そのリストに載った人たちが次々と殺されていく。彼らの共通点は一体なんなのか。
展開が早く、さくさく読めたものの、犯人の動機が今ひとつ…。
自分自身も海賊結社に入ってたなら妹の儀式を止めれば良かったのに。他の仲間に妹の居場所を口止めしておいて、しかも誰も妹にこれは遊びだよと言わなかったって見事な逆恨み…。
なら兄であるお前は何をしてたんだと。あんたがさっさと親に居場所教えてたら妹助かったんじゃないの?と思ってしまった。
しかも60年後に復讐って…被害者たちは完全にとばっちり。
FBI捜査官が意外と早く退場したり、動機以外は楽しんで読めました。