務台夏子のレビュー一覧
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15歳で母を肺癌で亡くし、大学の卒業式の直前に、父を殺されてしまうハリー。彼のたった一人の家族は、共に残された美しすぎる継母。父が死んだというのに、何故かウキウキと嬉しそうにも見える継母。そして、彼女は異常にもハリーにその美貌で迫ってくる。誰が父を殺したのか?
話がどこに向かうのか、落とし所はどこなのか、勘の鈍い私にはわからないまま、次なる展開に期待して息も忘れてしまうくらいに読み進めた。
ピーター・スワンソンの初めて読んだ一冊目「8つの完璧な殺人」が面白過ぎての二冊目だった。私の好きな作風とは違うのに、中毒になってしまった。今作のラストも最高だった。 -
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ネタバレ
タイトルに惹かれて読んだこの本は、私にとって、文句なしに面白かった!
陰気な北欧ミステリ、犯人が最初からわかっているサイコパス野郎系を好んで読む私だが、この本は終盤まで誰が犯人なのかわからない。
31章で罪の告白を始める主人公わたしが、真実を語ったのか、全てを語り尽くしたのか、、、解説でこのことを「語り落とし」と説明している。まさしく、それだ!
最後の32章の手記で真実が明かされるが「何が現実で何が夢なのかわからない夜が幾夜もあった。」というほど、わたし自身がすでに自分さえも信じられないのだ。
この本はミステリ作家へのオマージュである。登場する9冊の本をすでに読んでいるミステリマニアに向けて書かれている。恥ずかしいことに、どの一冊も読んだことのない私であるが、それでも充分に楽しめた。9冊全部を読んだ後でこの本を読めば、さらに面白さは✖️9になったことだろう。
本書に出てきた「くまのプーさん」のA.A.ミルンが唯一書いたミステリ「赤い館の秘密」は、是非、読んでみたい。 -
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ネタバレ面白かった!
ピータースワンソンはカメレオンみたいな作家さんだなあって思ってる。
昔、音大とか正規に学んだ人の方がバラエティに飛んだ曲を作れるものだ、なんて聞いたことがあって、それが正しいのかはわからないけど、この作家さんの作品を読むたびにそれを思い出す。
硬質で精緻な文章に、ピリッと効いた思いがけないアイデア。最後の着地があっちかな?それともこっち?と、最後まで予測できずにでも、読み終えてものすごく満足感があった。(特にその前にミランダを再読してたので、出てくる人の善人率の高さに少しほっとしたり)
それぞれ癖のある登場人物たちをうまく組み合わせての物語はほんとうに丁寧で、そつがないのに飽きさせない。いやー、いい読書だったなあ。
個人的にはコービンがすこし不憫だなあって。特に母親と兄に対しては少し、なんらかの懲らしめがあればいいのにって思ってしまった。しかも同じ結末のヘンリーがそこそこ満足して笑って幕を閉じてない?ちょっと悔しい。 -
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★5 アメリカの田舎町、知恵と勇気を振り絞りながら生き抜く学生の成長と経験 #あの夏が教えてくれた
■あらすじ
1976年頃のアメリカ田舎町、主人公のボーディは高校一年生。彼は高校生活に馴染めず、いつも同級生から迫害を受けてしまっていた。そんなある日、街で黒人女性が失踪してしまう事件が発生してしまう。保安官は頼りにしている隣人ホークを怪しんでいる様子。不安になったボーディは失踪事件を調べ始めるのだが…
■きっと読みたくなるレビュー
★5 いい話やったわ…
本作はどこにでもいそうな高校生の成長を切り取った物語です。
彼は街の権力者の子どもたちに目をつけられてしまっており、うまく学園生活に馴染めていない。しかも田舎特有の差別意識が高く、よそ者や黒人たちへの迫害も酷い時代や地域。それにも関わらず、彼は黒人の少女を手助けしてしまったことから、より圧力がかけられてしまうことになるのです。
彼なりに知恵と勇気を振り絞りながら、日々生き抜いてゆく。しかしまだ世の中のことを理解できていないのに、街の事件や問題に巻き込まれてしまうのです。誰しも一度は感じたことがある人生の壁。そして気づき。彼は成長することができるのでしょうか。
本作はストーリーテリングが素晴らしい。序盤から最後まで、じっくりと、でも抑揚をつけながら物語が進行していく。背景にある差別意識の表現も、芯を突いてくる書き方で痛烈。薄っぺらな正義感なんか、簡単に吹き飛んでしまいます。
特に同級生たちとやり合うシーンは、アメリカで本当にありそうなダークな学園風景を切り取られている。日本での学園ヒエラルキーやイジメとも似た陰湿な空気が感じられてたまらなく辛い。
それでも隣人ホークや、引っ越してきた友人トーマス、家族との関係性に救われる。ホント誰と一緒にいるかというのは、人生において大切なんですよね。
そして物語の中盤、パーティで女性と関わるシーンがあるのですが、もう胸が張り裂けそうですよ。このシーンだけでも、この本を読む価値があるってくらい脳天が割かれました。今までだったら決してできなかった行動を彼は起こすのですが、はー…私も自分の高校時代を思い出してしまいました。
終盤には少女失踪、そして主人公パーティにとって重要な秘密が明かされる。怒涛の展開にはなるのですが、真相自体は決して派手ではない。読み終わると、涙がでてしまっていましたことに気づきました…
■ぜっさん推しポイント
人が犯罪を犯してしまう根本的な原因は3つしかなく、幼年期の愛情不足、青年期の成長不足、成人期以降は貧困であると言われています。
主人公パーティがこの街に住み続け、愛のある人からの助けもなく、そして邪な仲間たちとも懐柔していたら、果たしてどんな人生を送ることになったのだろうか。犯罪に手を染めることになってしまうのは、想像に難くない。彼にとって「あの夏が教えてくれた」ものは、どんな宝石よりも価値のあるのでしょう。
私の息子たちも、いま青年期をむかえています。知恵や知識は学校で教えてくれますが、生きることについてはまだまだ経験不足。私に何ができるか分かりませんが、いつも近くにいて、話を聞いてあげることが重要なんだと思いました。 -
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〜偏見はあるに決まっているんだ。大事なのは、その本能を理解し、それと闘うことなんだよ〜
驚いた!
先日読んだ月村了衛さんの『対決』にも似たような言葉が書いてあった
方や日本人作家が女性差別について書いた物語、方やアメリカ人作家が人種差別について書いた物語
まず闘うべき相手は自分自身なのだ
2つの物語はそんなことを訴えているのではないだろうか
誰の心にも「差別」は潜んでいるのかもしれない、それはある意味自分を守るところから発しているとも言えるからだ
自分といや自分たちと違うものを恐れ遠ざけるために過剰に攻撃的になっている
そんなところから「差別」は生まれているかもしれないのだ
「差別」を憎み、「差別」を無くすためには、誰の心にも「差別」の種はあると認め、それがムクムクって育ってきそうになったときに、それと向き合い闘うことが大事なんじゃないだろうか
もし、闘い方がわからないと言うならばこの物語を読めばいい
後に冤罪者を救う弁護士となる15歳の少年ボーディが闘った夏が教えてくれるはずだ -
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ネタバレ・あらすじ
1976年のアメリカ、ミズーリ州が舞台。
黒人差別が色濃くのこる田舎町で暮らす15歳のボーディ。
学校にも馴染めず、母親とも距離がありいつも一人で孤独に過ごしていた。
そんな中、町を牛耳るハルコム一族が工場長を務めるライク工業に新たに黒人の工場長が就任し、一家はボーディの隣に引っ越してくる。
一家にはボーディと同い年の男の子がおり、二人は徐々に共に過ごすようになる。
謎の隣人ホーク、ライク工業の黒人女性の失踪事件、過激な白人至上主義団体…一夏の少年の成長譚。
・感想
この手の回顧録的な作品めっちゃ好き…解説にもあったけどまさに私の大好きなロバートマキャモンの少年時代と同系統の話ですごく楽しんで読めた。し、ラストは泣きながら読んでた…。
既視感のある設定だから目新しい驚きとかは無いけど安定したこの「少年の成長譚」というテーマに求める要素はほぼほぼ入ってた。
夏、12−15歳の少年(16歳までいくと守備範囲外、あとできれば少年がいい。少女だと冒険的要素が少し減らされるイメージがある)、友情、危機的状況に立ち向かう、淡い恋、家族との絆、大事な人の喪失…
私が大好きな要素が詰まってた。
ボーディたちが危険な場所に向かっていくたびに「危ないからやめなさい!」って大人な自分は思いながらハラハラドキドキしながら読むんだけど、この「危ないからやめなさい」を振り切って突進する少年たちを見るのが好きだからこの手の作品が好きなんだろうな〜。
アレンエスケスの作品はこれが初めてで、解説を読んでボーディのその後を知って驚いた。
絶対に他の作品も読む。 -
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著者アレン・エスケンスは、元は弁護士であったが後に作家となった人である。2019年翻訳され話題となった『償いの雪が降る』から四作目となる本書は、ダブル主人公で描かれた第三作『たとえ天が墜ちようとも』で主人公の一人を務める弁護士ボーディ・サンデンの少年時代を描いたものである。
冒頭に作者による注記があり、この作品は1991年に書き始められたが完成を見ず、その後既存の5作品(邦訳は3作品のみ)の後に、再度チャレンジして書き上げることができたという、ある意味、作家人生を賭けた渾身の力作であり難作であったらしい。
本書の主人公は前期の通り少年時代、つまり15歳のボーディ・サンデンである。と同時にこの作品の主人公はボーディの暮らす田舎町ミズーリ州ジェサップであるのかもしれない。最近、アメリカの古い時代を描いた小説のほとんどは人種背別や偏見をテーマにしているのではないか、と思われるくらい同じ課題にぶち当たることが多いのだが、本書はその中でもかなり先鋭的なくらい人種の壁や偏見を重視しているヘイトクライム小説と言って良いかもしれない。
主人公ボーディ自ら知ってか知らずか、偏見を心の中で温めて育っていたことが言動から垣間見られるが、本心は優しい少年である。彼は父を事故で亡くし、母と二人暮らし。飼い犬と隣人のホークという老人が少年の家族のような存在であり、自然たっぷりの田舎町で本来は幸せな少年時代を過ごしているが、学校の教室に唯一いる黒人少女へのクラスメイトの悪戯をきっかけにボーディは偏見との対立をスタートさせる。
同時に改装の進む向かいの空家に黒人一家エルギン家が引っ越してきたことがボーディの人間性をさらに複雑に進化させる。その一方でボーディは敵対的存在となるクラスメイトその他の集団の威嚇に苦しめられるようになる。大人たちの対立、家族単位での犯罪や、依存する地元企業での配置転換などが絡んで、ボーディは差別や対立という構図をさらに深く考え悩むようになるが、村のヘイト集団はその時間を許さず彼とエルギン家にじわじわと攻撃の手を伸ばしてくる。
物語の発端で語られる女性の失踪事件は、物語の進行にどう関わってくるのか中盤まで不明なのだが、後半部になるとその事件の実態も進展がありジェサップという田舎町の見えざるヘイト・クライムやその背後にさらに重なる利権や汚職の問題と絡み合ってボーディの日常を不穏に変える。
最初は弱々しい主人公であった少年が、隣人のホーク老人に導かれるようにして、母を守り助ける存在として、そして黒人少年トーマス・エルギンとの友情を深めることによって人種対立と闘い、成長してゆくのが本書の根幹である。
『全体はミステリ色でありながら、ほとんど冒険小説と言っていい。男の矜持。気位。そして人生の傷の深さと、再生へ向かう意志と友情。そうした人間的な深き業と逞しさとを含め、時にダイナミックに、時に静謐に描かれた、相当に奥行の感じられる物語である。最近、冒険小説の復権を思わせるこの手の小説が増えてきた。シンプルに喜ばしいことだ、とぼくは思う』
自分で書いたこの作家のデビュー作に関する感想が、実はその後のどの作品にも当てはまるので、本書にもこれを記しておきたいと思う。本書の15歳の少年は、その後の作品で法廷弁護士として主人公を勤めることになるが、そのきっかけになったのが本書の事件である。とりわけエンディングは読みどころである。熱い血の通ったこのような小説を、一人でも多くの世界中の読者に読んで欲しいと願ってやまない。 -
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アメリカの作家アレン・エスケンスの長篇ミステリ小説『たとえ天が墜ちようとも(原題:The Heavens May Fall)』を読みました。
アレン・エスケンスの作品は1年半前に読んだ『償いの雪が降る』以来ですね。
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この絆が断ち切られても、
彼らは陪審裁判を戦い抜く。
刑事と弁護士、親友同士の正義が衝突する!
『償いの雪が降る』の著者の鮮烈な法廷ミステリ
高級住宅街で女性が殺害された。刑事マックスは、被害者の夫である弁護士プルイットに疑いをかける。
プルイットは、かつて弁護士としてともに働いたボーディに潔白を証明してくれと依頼した。
ボーディは引き受けるが、それは親友のマックスとの敵対を意味していた。マックスとボーディは、互いの正義を為すべく陪審裁判に臨む。『償(つぐな)いの雪が降る』の著者が放つ激動の法廷ミステリ!
解説=若林踏
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2016年(平成28年)に刊行されたアレン・エスケンスの長篇第3作です。
■第一部 死
■第二部 ディフェンス
■第三部 公判
■解説 若林踏
マックス・ルパートはミネソタ州ミネアポリス市警の有能な刑事……彼は高級住宅街の路上で発見された女性の遺体を相棒のニキ・ヴァンと調べ、被害者の夫であるベン・プルイットを容疑者とみなす、、、
プルイットはかつて裁判でマックスを不当に追い詰めるようなことをした、いわば因縁の相手……そして刑事専門弁護士であるプルイットは、かつていっしょの事務所で働き、現在はロースクールの教授をつとめるボーディ・サンデンに自分の潔白を証明してほしいと依頼する。
ボーディ・サンデンは過去に法廷弁護士として働き、数々の裁判で勝利をおさめてきた……しかしある事件がきっかけとなり、弁護士は引退、、、
とはいえ資格はそのままなので、かつての仲間であるプルイットの弁護を引き受け、数年ぶりに法廷へ復帰する……マックスもボーディも信頼に足る好人物であり、どちらも真摯に事件を追い、真相のために法廷で戦うことになる……。
面白かったー アガサ・クリスティ作品の『検察側の証人』的な面白さでしたね……刑事のマックス・ルパートと弁護士のボーディ・サンデンの出会い、そして友人として固い絆を結ぶに至ったきっかけの事件や、マックスの妻が亡くなったときの涙がにじむような切ないエピソードも語られ、双方に感情移入してしまいました、、、
親友同士の刑事と弁護士が、検察側と弁護側に分かれて対立し、法廷で戦う! 心が揺さぶられ、胸を打つ展開ですよねー どちも応援した気持ちになっちゃいましたね……二人がとても魅力ある人物として描かれているだけに、葛藤が強まるんですよね、、、
そして、検察官と弁護士のテクニカルな駆け引きのリアリティが物凄くて、刑事による捜査小説とリーガル・サスペンスの面白さ、バランス良く両方をしっかり味わうことができることも本書の魅力です……想定外の真相が明らかになる結末も鮮やか! 人物の描写とミステリの要素、両社の歯車が巧い具合に噛み合う感覚がむっちゃ心地良かったですね。
アレン・エスケンスの他の作品も読みたいなー -
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主人公の大学生のジョー・タルバートは、授業で身近な年長者の自伝を書くことになる。
身近に年長者がいないジョーは、介護施設を訪れ、末期癌患者のカール・アイヴァソンを紹介される。
カールは30数年前に少女暴行殺人の罪で服役していたが、病状が進み、仮釈放されて施設で最後の時を迎えようとしていた。
ジョーは断られるのを覚悟で、カールにこれまでの人生を語って欲しいと願い出る。
裁判でも自らの犯罪に全く弁解をしなかったカールは、なぜかジョーの申し出を受け入れ、臨終前の供述を語ることになる。
カールの話を聞き進むに従って、ジョーは事件に疑念を抱くようになり、真相を知るために行動を起こす。
果たして事件の真相にジョーは辿り着けるのか⋯ -
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「よう、相棒」
「"過ちの雨が止む"はもう読んだかい?」
「まだかも」
「じゃあ、他の本もいいけどこれはすぐに読まないと」
「読むかも」
前作で大学生だったジョーは本作では大学を卒業しAP通信社の記者として働いていた
そして自分が書いた記事に対して名誉毀損で訴えられ思わぬ危機に立たされる
さらに自分の父親と思われる「ろくでもないくそ野郎」が殺されたことを知る
とんでもない状況下になっていくジョーだが、そんな中でも母親との問題が感動的に和解していき、過ちの雨が止んでいく
なのに、ジョーは自ら違う過ちの雨を降らしてしまうんだなぁ…
ライラという彼女がいるのにヴィッキーというバーテンダーといい関係になってしまう!?
ライラはどうするんだよと言いたくなります(まぁ、ヴィッキーも魅力的ですが…)
そんなこんなで様々な局面になっていくんですが、肝心の父親を殺害した犯人は…!?
このシリーズ最高です(^^)
シリーズ全て★5個以上!
どうやら次はライラが主役の作品が出るみたいなので楽しみですね!
このシリーズ絶対に読むべきかも
by.ジェレミー