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ボーディはミズーリ州の田舎町で暮らす15歳の少年。父を亡くし母親と淋しい日々を送っている。高校に馴染めず、友達は一人もいない。静かすぎるその町で、最近大事件が起きた。町最大の企業〈ライク工業〉に勤める黒人女性が、不審な失踪を遂げたのだ。そんなとき、ボーディが慕う隣人ホークを保安官が訪ねてくる。女性は実はホークの知人で、ふたりのあいだには噂があったという。思いがけない事件が、ボーディの日常に不穏な影を落とす―。現実に悩みつつ、少年は鮮やかに成長する。『償いの雪が降る』の著者が贈る、心震える青春ミステリ!/解説=古山裕樹
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Posted by ブクログ
ミズーリ州の静かな田舎に暮らす15歳の少年ボーディ
彼は父を亡くし母親と暮らしている
新しい高校に馴染めず、友だちもいない…
ただ、隣家に暮らす年配の男、ホークとの会話からはさまざまなことを学んでいた
しかし、ボーディはいつかこの町から出ていくことを夢みていた
そんな時、町最大の工場に勤める黒人女性が失踪…
さらに思いがけない事件がボーディの日常に不穏な影を落とす…
おもしろかった!
何より語り手がボーディで、彼が少年時代を回想するかたちで物語が進むため、大変読みやすかった
黒人女性が失踪し、工場から多額のお金が無くなったというミステリーを主軸に
向かいの家に引っ越してきた、黒人の少年トーマスとの青春友情物語…
黒人差別や閉鎖的な社会での偏見などに向き合う成長物語
などが丁寧に描かれ、物語にどんどん引き込まれていく
さらにボーディの周辺の人物たちのサイドストーリーが胸に響く
ラストは涙なしには読めなかった
Posted by ブクログ
★5 アメリカの田舎町、知恵と勇気を振り絞りながら生き抜く学生の成長と経験 #あの夏が教えてくれた
■あらすじ
1976年頃のアメリカ田舎町、主人公のボーディは高校一年生。彼は高校生活に馴染めず、いつも同級生から迫害を受けてしまっていた。そんなある日、街で黒人女性が失踪してしまう事件が発生してしまう。保安官は頼りにしている隣人ホークを怪しんでいる様子。不安になったボーディは失踪事件を調べ始めるのだが…
■きっと読みたくなるレビュー
★5 いい話やったわ…
本作はどこにでもいそうな高校生の成長を切り取った物語です。
彼は街の権力者の子どもたちに目をつけられてしまっており、うまく学園生活に馴染めていない。しかも田舎特有の差別意識が高く、よそ者や黒人たちへの迫害も酷い時代や地域。それにも関わらず、彼は黒人の少女を手助けしてしまったことから、より圧力がかけられてしまうことになるのです。
彼なりに知恵と勇気を振り絞りながら、日々生き抜いてゆく。しかしまだ世の中のことを理解できていないのに、街の事件や問題に巻き込まれてしまうのです。誰しも一度は感じたことがある人生の壁。そして気づき。彼は成長することができるのでしょうか。
本作はストーリーテリングが素晴らしい。序盤から最後まで、じっくりと、でも抑揚をつけながら物語が進行していく。背景にある差別意識の表現も、芯を突いてくる書き方で痛烈。薄っぺらな正義感なんか、簡単に吹き飛んでしまいます。
特に同級生たちとやり合うシーンは、アメリカで本当にありそうなダークな学園風景を切り取られている。日本での学園ヒエラルキーやイジメとも似た陰湿な空気が感じられてたまらなく辛い。
それでも隣人ホークや、引っ越してきた友人トーマス、家族との関係性に救われる。ホント誰と一緒にいるかというのは、人生において大切なんですよね。
そして物語の中盤、パーティで女性と関わるシーンがあるのですが、もう胸が張り裂けそうですよ。このシーンだけでも、この本を読む価値があるってくらい脳天が割かれました。今までだったら決してできなかった行動を彼は起こすのですが、はー…私も自分の高校時代を思い出してしまいました。
終盤には少女失踪、そして主人公パーティにとって重要な秘密が明かされる。怒涛の展開にはなるのですが、真相自体は決して派手ではない。読み終わると、涙がでてしまっていましたことに気づきました…
■ぜっさん推しポイント
人が犯罪を犯してしまう根本的な原因は3つしかなく、幼年期の愛情不足、青年期の成長不足、成人期以降は貧困であると言われています。
主人公パーティがこの街に住み続け、愛のある人からの助けもなく、そして邪な仲間たちとも懐柔していたら、果たしてどんな人生を送ることになったのだろうか。犯罪に手を染めることになってしまうのは、想像に難くない。彼にとって「あの夏が教えてくれた」ものは、どんな宝石よりも価値のあるのでしょう。
私の息子たちも、いま青年期をむかえています。知恵や知識は学校で教えてくれますが、生きることについてはまだまだ経験不足。私に何ができるか分かりませんが、いつも近くにいて、話を聞いてあげることが重要なんだと思いました。
Posted by ブクログ
〜偏見はあるに決まっているんだ。大事なのは、その本能を理解し、それと闘うことなんだよ〜
驚いた!
先日読んだ月村了衛さんの『対決』にも似たような言葉が書いてあった
方や日本人作家が女性差別について書いた物語、方やアメリカ人作家が人種差別について書いた物語
まず闘うべき相手は自分自身なのだ
2つの物語はそんなことを訴えているのではないだろうか
誰の心にも「差別」は潜んでいるのかもしれない、それはある意味自分を守るところから発しているとも言えるからだ
自分といや自分たちと違うものを恐れ遠ざけるために過剰に攻撃的になっている
そんなところから「差別」は生まれているかもしれないのだ
「差別」を憎み、「差別」を無くすためには、誰の心にも「差別」の種はあると認め、それがムクムクって育ってきそうになったときに、それと向き合い闘うことが大事なんじゃないだろうか
もし、闘い方がわからないと言うならばこの物語を読めばいい
後に冤罪者を救う弁護士となる15歳の少年ボーディが闘った夏が教えてくれるはずだ
Posted by ブクログ
著者アレン・エスケンスは、元は弁護士であったが後に作家となった人である。2019年翻訳され話題となった『償いの雪が降る』から四作目となる本書は、ダブル主人公で描かれた第三作『たとえ天が墜ちようとも』で主人公の一人を務める弁護士ボーディ・サンデンの少年時代を描いたものである。
冒頭に作者による注記があり、この作品は1991年に書き始められたが完成を見ず、その後既存の5作品(邦訳は3作品のみ)の後に、再度チャレンジして書き上げることができたという、ある意味、作家人生を賭けた渾身の力作であり難作であったらしい。
本書の主人公は前期の通り少年時代、つまり15歳のボーディ・サンデンである。と同時にこの作品の主人公はボーディの暮らす田舎町ミズーリ州ジェサップであるのかもしれない。最近、アメリカの古い時代を描いた小説のほとんどは人種背別や偏見をテーマにしているのではないか、と思われるくらい同じ課題にぶち当たることが多いのだが、本書はその中でもかなり先鋭的なくらい人種の壁や偏見を重視しているヘイトクライム小説と言って良いかもしれない。
主人公ボーディ自ら知ってか知らずか、偏見を心の中で温めて育っていたことが言動から垣間見られるが、本心は優しい少年である。彼は父を事故で亡くし、母と二人暮らし。飼い犬と隣人のホークという老人が少年の家族のような存在であり、自然たっぷりの田舎町で本来は幸せな少年時代を過ごしているが、学校の教室に唯一いる黒人少女へのクラスメイトの悪戯をきっかけにボーディは偏見との対立をスタートさせる。
同時に改装の進む向かいの空家に黒人一家エルギン家が引っ越してきたことがボーディの人間性をさらに複雑に進化させる。その一方でボーディは敵対的存在となるクラスメイトその他の集団の威嚇に苦しめられるようになる。大人たちの対立、家族単位での犯罪や、依存する地元企業での配置転換などが絡んで、ボーディは差別や対立という構図をさらに深く考え悩むようになるが、村のヘイト集団はその時間を許さず彼とエルギン家にじわじわと攻撃の手を伸ばしてくる。
物語の発端で語られる女性の失踪事件は、物語の進行にどう関わってくるのか中盤まで不明なのだが、後半部になるとその事件の実態も進展がありジェサップという田舎町の見えざるヘイト・クライムやその背後にさらに重なる利権や汚職の問題と絡み合ってボーディの日常を不穏に変える。
最初は弱々しい主人公であった少年が、隣人のホーク老人に導かれるようにして、母を守り助ける存在として、そして黒人少年トーマス・エルギンとの友情を深めることによって人種対立と闘い、成長してゆくのが本書の根幹である。
『全体はミステリ色でありながら、ほとんど冒険小説と言っていい。男の矜持。気位。そして人生の傷の深さと、再生へ向かう意志と友情。そうした人間的な深き業と逞しさとを含め、時にダイナミックに、時に静謐に描かれた、相当に奥行の感じられる物語である。最近、冒険小説の復権を思わせるこの手の小説が増えてきた。シンプルに喜ばしいことだ、とぼくは思う』
自分で書いたこの作家のデビュー作に関する感想が、実はその後のどの作品にも当てはまるので、本書にもこれを記しておきたいと思う。本書の15歳の少年は、その後の作品で法廷弁護士として主人公を勤めることになるが、そのきっかけになったのが本書の事件である。とりわけエンディングは読みどころである。熱い血の通ったこのような小説を、一人でも多くの世界中の読者に読んで欲しいと願ってやまない。
Posted by ブクログ
アメリカの作家アレン・エスケンスの長篇ミステリ小説『あの夏が教えてくれた(原題:Nothing More Dangerous)』を読みました。
アレン・エスケンスの作品は2年前に読んだ『たとえ天が墜ちようとも』以来ですね。
-----story-------------
謎と友情、そして哀しみに、僕はこの夏を捧げた。
小さな町を揺るがす女性の失踪事件が、高校生のボーディの運命を変える――
『償いの雪が降る』の著者の青春ミステリ!
ボーディは田舎町で暮らす15歳の少年。
父を亡くし母親と寂しい日々を送っている。
高校に馴染めず、友達は一人もいない。
静かすぎるその町で最近大事件が起きた。
町最大の企業に勤める黒人女性が不審な失踪を遂げたのだ。
捜査中の保安官が、ボーディが慕っている隣人のホークを訪ねてきた。
女性はかつてホークの部下で、ふたりのあいだには噂があったという。
思いがけない事件が、ボーディの日常に不穏な影を落とす――。
現実に悩みながらも、少年は鮮やかに成長する。
『償いの雪が降る』の著者による心震える青春ミステリ!
解説/古山裕樹
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2019年(令和元年)に刊行されたアレン・エスケンスの長篇第6作です。
15歳のボーディ・サンデンは高校に馴染めず、静かすぎる田舎町で孤独な毎日を送っている……そんなある日、黒人女性ライダ・ポーが不審な失踪を遂げ、ボーディが慕う隣人ホーク・ガードナーを保安官が訪ねてくる、、、
ライダは実はホークの知人で、彼らのあいだには噂があったというのだ……ホークは失踪に関係しているのか? 事件をきっかけに少年は鮮やかに成長する……『償いの雪が降る』の著者が贈る感動の青春ミステリ!
ミステリの緊張感を備えつつ、読み終えたあとに青春小説としての清々しさが静かに残る作品でした……ミズーリ州の田舎町ジェサップという小さな町に漂う閉塞感や偏見が入り混じった差別意識が物語の背景にありながら、主人公のボーディ・サンデンが、隣人の黒人で片手が不自由、顔面に傷を持つホーク・ガードナーとの付き合いや近所に引っ越してきた黒人少年・トーマス・エルギンとその家族との出会い、ボーディが通うハイスクール・聖イグナチオを仕切っている4年生のジャーヴィス・ハルコムのグループとのトラブル等を経験しながら、成長していていく過程は、とても瑞々しく感じましたね、、、
ボーディが自分の弱さや恐れと向き合いながら、少しずつ世界の複雑さを理解していく過程は、ミステリの枠を超えて、普遍的な成長物語として胸に響きました……事件の真相が少しずつ明らかになる展開も魅力ですが、それ以上に、友情が芽生える瞬間や、自分の弱さと向き合う時間が丁寧に描かれていて、心をそっと揺らされた感じです。
どこか『スタンド・バイ・ミー』を思わせる、<あの夏の匂い>が端々に漂っていて、ページを閉じたあと、自分の中の遠い季節がふっと蘇るような、そんな印象を受けながら読み進めた感じです……ボーディが何を見て、何を感じ、どう変わっていくのか、、、
その軌跡こそが、この作品の魅力なんでしょうね……ミステリとしても青春小説としても愉しめるエヴァーグリーンな一冊です。
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