【感想・ネタバレ】いま見てはいけない デュ・モーリア傑作集のレビュー

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Posted by ブクログ 2020年04月24日

中学生の時に河出の世界文学全集でレベッカを読んだ。とりこになった。10代の間に何度読み返しただろう。あの頃の気持ちを思い出した。忘れていたぞくぞくするような感覚がよみがえってきた。レベッカしか知らなかったがこれ!!!な作品だ。すごいなデュ・モーリア!まさに物語世界に心がもっていかれる感じ。他の傑作集...続きを読む2冊も読まねばなるまい。

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Posted by ブクログ 2016年02月15日

最初この作品を知ったのは偶然観た映画「赤い影」。とても好きな世界観の映画で、原作の『いまは見てはいけない』は更に期待を裏切らなかった。表題作はもちろん、傑作集というだけあって他の作品も漏れなく楽しめる。20年前に読んだ「レベッカ」や「鳥」も再読してみよう〜。

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Posted by ブクログ 2022年11月18日

 1966年、1970年、1971年に出版された原著からセレクトして訳出されたデュ・モーリアの短編集。
 やはりこの作者の文体は濃く、なかなか巧みに書かれており、それを辿ってゆく読書体験は一種の「充足」である。このような「充足」を感じさせる文章といえば、久生十蘭を思い出す。それは単純なパロールの流れ...続きを読むというよりも、よく寝られたコンポジションだ。
 そんな完成度の高いデュ・モーリア文学だが、本書のうち、巻頭の「いま見てはいけない」はオチが弱くて、そこに至るまでは秀逸なだけに惜しいような作品だった。
 最後の「第六の力」はSF小説。こんなものも書いたのかと驚いた。1編のSF短編として、ちゃんと水準に達していると思う。

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ネタバレ

Posted by ブクログ 2016年12月31日

目次より
・いま見てはいけない
・真夜中になる前に
・ボーダーライン
・十字架の道
・第六の力

ゴシックサスペンスの小説『レベッカ』で有名な、ダフネ・デュ・モーリアの短編集。

全体像が見えないことによるドキドキ感は健在で、「どういうこと?どういうこと?」と手さぐりで読み進めていくことの快感。

...続きを読む特に表題作の「いま見てはいけない」は、なんとなく結末が想像できるのではある。
けれど、押し寄せる不安で、結末を確認しないではいられない。
ただ、カタルシスを得られるかと言えば、それはない。
この短編集全体がもやもやを抱えたまま沈んでいくような読後感。

「ボーダーライン」はアイルランド問題、「十字架の道」はキリスト教をもっと知っていれば理解が深まったのだろうか。
私の中で消化不良のまま残されている。

「第六の力」
映画化作品が多いデュ・モーリアだけど、これについては清水玲子で漫画化を希望。
絶対合うと思うんだ、彼女の作風と。
オカルトと科学の融合?混濁?

濃密なイギリス臭漂う作品集。
全部違う作風なのに、全部イギリスだったわ。

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Posted by ブクログ 2015年08月20日

この中には5編の短編がおさめられているが、一番好きなのは「十字架の道」。好みで評価は別れると思うけど、すべて私は好みです。この人の作品はもっと読みたい。

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Posted by ブクログ 2015年04月08日

『レベッカ』が大好きなので短編集も読んでみた。日常の生活や人間関係における心の機微や、ありきたりなようで意外な人間模様を、鮮やかにまたシニカルに描き出す傑作揃いだった。「十字架への道」で前歯が折れてしまった夫人をいたわる大佐が印象的。日々の生活をこうもドラマチックに描かれると、私の人生もそう捨てたも...続きを読むのではないような気がしてくるから不思議だ。

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Posted by ブクログ 2015年01月21日

これを読みながらずっと「レベッカ」を思い出していた。「昨夜、わたしはまたマンダレイに行った夢を見た」という冒頭の一文から、ミステリアスで繊細な物語は始まっていた。ここに収められた短篇にも、「レベッカ」と同様の叙情が漂っている。そのストーリーテリングを堪能できる一冊。

「レベッカ」では、謎めいた物語...続きを読むに引き込まれるのと同じくらい、舞台となるマンダレイという土地や、そこに建つ邸宅などに魅せられたように思う。奥深く、底の知れない気配が立ちこめていた。本書でも、「真夜中になる前に」のクレタ島や、「十字架の道」のエルサレムなど、その土地こそが主役なのではないかとまで思わせる舞台が、それぞれ異なる魅力を持って描かれている。

中でも圧巻なのは表題作のベネチアだ。ひたひたと水に洗われる古い街が目の前に立ち現れてくる。映画になっているらしいが、まことにさもありなん。場面場面が目に浮かぶような気がする。不安で不穏な空気がこれ以上美しく似合う街もないだろう。

ゆったり贅沢な読書を楽しんだが、一つだけ、最後の一篇「第六の力」にはやや違和感があった。他の五篇とは趣が違っていて、これはない方が全体としてまとまりがあったのではないかなあ。

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Posted by ブクログ 2015年01月11日

・ダフネ・デュ・モーリア「いま見てはいけない デュ・モーリア傑作集」(創元推理文庫)は表題作を含めて全5作、約420頁の短篇集である。最近の文庫は活字が大きいといつても、単純平均で80頁ある。長めの短篇といふところであらう。いかにもデュ・モーリアといふ感じの作品が収められてゐる。やはりおもしろい。
...続きを読む ・巻頭の表題作「いま見てはいけない」は「赤い影」として映画化されてゐる作品である。未視感といふのであらうか。いや、起きるべき未来が見えてしまつた、あるいはまだ起きてゐない出来事を見てしまつたことから起きる悲劇である。ヴェネチアに滞在中のジョンとローラの夫婦にイギリス人老姉妹が関はつて事件が起きる。構成も起承転結がきつちりできてをり、老姉妹と知り合つてからの2人の心理の推移がよく分かる。これはジョンが老姉妹を嫌ひ、ロー ラは引かれるといふだけのことなのだが、個人的には、ジョンが老姉妹を嫌ふ様子がたぶんに教科書的といふか、紋切り型といふか、それにもかかはらずおもしろい。さう、ジョンがいかにもそれらしく老姉妹を嫌ふがゆゑに、ここに事件の起きる気配を漂はせて読む者を引きつける。しかも、まだ起きてゐない3人を見 てしまつて以後のジョンの行動もまた、所謂スリルとサスペンスに満ちてゐてなかなかおもしろい。要するに、これがデュ・モーリアなのである。映画化された だけのことはある。次の「真夜中になる前に」も似た感じの作品である。主人公の教師がクレタ島での休暇中に体験したスリルとサスペンス(といふほどのもではないか)である。起承転結もはつきりしてをり、3人の登場人物の描写もまた分かり易い。絵を描くのに最適なバンガローではあつても、それが最も外れに位置してゐたために起きる、これもまた悲劇であらう。不躾な米国人夫妻と知り合つて別れるまでの主人公の心理がおもしろい。先のと同様に、追ひつめられてい く、あるいは考へすぎていくのは、ある意味、紋切り型ではあつても、それがやはりこの作品にふさはしい。これらとはいささか異なるのが「ボーダーライン」である。父が死んだことにより、かつての父の親友を訪ねることにしたといふ物語である。父と友との別れの原因を突きとめるためにアイルランドまで行つて主 人公が知つたのは……最後にどんでん返しがあると言つては言ひすぎか。主人公は相手をだましたつもりでゐたのに、実はだまされてゐたといふことである。これも構成的によくできてゐる。初めのうちは何だこれはと思つてゐるのだが、そのうちに引き込まれていく。ところが、最後の「第六の力」はさうはいかない。 SF仕立てであるらしいが、あまり良い出来とは思へない。少なくとも私はかういふのは好きではない。アイデアを消化できずに終はつたのであらうか、内容的に中途半端であつて、とてもSFとは思へない。更に言へば、ここには先の作品のやうな雰囲気がない。「十字架の道」もおもしろくない。これも「第六の力」 同様である。物語は現代のエルサレム巡礼といふところであらう。その人々の行動が描かれる。従つて、一つのきつちりとしたストーリーはない。個々のエピ ソードの積み重ねである。ゲッセマネを求めての散策等での登場人物の描き分けはなされてゐても、そのエピソード自体が私にはおもしろくない。どの登場人物 も不平不満を述べるばかりである。そもそもこれがおもしろくないうへに、その行動も、そこから生じる出来事もおもしろくない。これでは物語がおもしろくならうはずがない。そんなわけでこの作品集、私には前3編と後2編が対照的に思はれて、巧拙、良し悪しとに二分されたのであつた。

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Posted by ブクログ 2014年12月03日

誰が正しいのか、誰を信用していいのか、自分の見たものを信じていいのか、足元の地面がぐらぐらするような不安感がたまりません。。。

「いま見てはいけない」が一番よく出来てる気がする。
解説は、デュ・モーリア作品と映画との関連をきちんと語っていて親切だと思う。

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Posted by ブクログ 2024年04月21日

不条理、ホラーチックなものなど、様々なジャンルの短編集。
表題作は、子供を失くした傷心の夫婦の旅行中に起こる不可思議な体験談。妻の方が行方不明になったかと思いきや…不思議な結末。

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Posted by ブクログ 2019年11月21日

いま見てはいけない、というタイトルに惹かれて手に取りました。
全体的に不穏な雰囲気の漂う短編集でした。旅先で出会う奇妙な人物、奇妙な出来事…ホラー?ミステリー?分類が難しいので奇妙な味のカテゴリに入れておこう。
「いま見てはいけない」「真夜中になる前に」「ボーダーライン」の3編は、ラストにズドンと落...続きを読むとされる感じが良い。
エルサレムを旅するご一行の群像劇「十字架の道」は表面上はうまくやっている面々が、水面下ではお互いを軽蔑しあっているというところがリアルで、イヤミス的な面白さもあった。
ラストの「第六の力」はSFチックで他作品とはちょっと毛色が違う感じ。
「いま見てはいけない」は「赤い影」というタイトルで映画化されているらしい。他にも映画化されている作品がいくつかあるようです。次は「鳥」を読んでみようかな。

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ネタバレ

Posted by ブクログ 2016年05月02日

短編集。冒頭では「普通」だった主人公が徐々に常軌を逸していく……というパターンが多かったような。設定としてはものすごいことが起きそうなのに、予想していたほどのことは起こらずに、終わってしまう(短編ですからね)。くるぞ、くるぞ、くるぞ……こーなーいー(もしくは「そこまでかー」)という感じで。でもこれが...続きを読むクセになりそうです。「第六の力」は長編で読んでみたいですね。

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Posted by ブクログ 2015年12月11日

前半の3作は終盤になるまで何とも言えない不穏な空気が漂い、話がどこへ向かうか分からないハラハラ感にページを捲る手が止められない。ただ予想外のオチは、イマイチなものもゾッとするものもあったけれど、総じて『鳥』の方が好み。

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Posted by ブクログ 2015年10月26日

五篇からなる短編集。

「いま見てはいけない」
映画「赤い影」の原作。
幼い娘を亡くした夫婦がヴェネチアで老姉妹に会う。
妻は、亡くなった娘さんがあなたのそばにいると言われ、悲しみに暮れていたところを救われるが、夫はそんなことを言う老女を胡散臭く思う。

「真夜中になる前に」
絵を描くことを趣味とす...続きを読むる教師が、ギリシャに旅行に出かける。
泊まったホテルでいかがわしい夫婦に出会う。

「ボーダーライン」
病床の父のもとに見舞いに行った娘の前で、突然父が亡くなった。
娘は、父と最後に見ていたアルバムに写っていた旧友を訪ねることにする。

「十字架の道」
エルサレムのツアー引率をする予定の牧師が病に倒れたため、代理を務める牧師をはじめとして、旅行客たちに次々と起こるハプニング。

「第六の力」
知能障害のある少女を使い、白血病で死期の近い青年の生命エネルギーをコンピューターに取り込もうとする研究者の物語。

翻訳が良くないのか、少し読みにくいがよく出来た短編だった。
映画にもなった「いま見てはいけない」は、不思議な雰囲気が漂い面白い。
是非、映画も観てみたいと思った。

「十字架の道」では、様々なハプニングも去ることながら、登場人物が特徴があり面白い。残念なのは、司祭と牧師がごっちゃになっているとしか思えない残念な翻訳。

「第六の力」は、揺れる心を描く作品が多い作家さんには少し異色な作品とも言える。サイエンスミステリーとでも言うのだろうか。

何となく不思議だったり嫌な感じだったりする作品集。

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