務台夏子のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
アメリカの作家「キャロル・オコンネル」の長篇ミステリ作品『クリスマスに少女は還る(原題:The Judas Child)』を読みました。
アメリカのミステリ作家の作品が続いています。
-----story-------------
●「近藤史恵」氏推薦――「残酷さと優しさに心を揺さぶられるはず。」
●「浅倉卓弥」氏推薦――「直近の慟哭本です。ラストがこれなら、この厚さに付き合っても納得。」
クリスマスも近いある日、2人の少女が失踪した。
刑事「ルージュ」の悪夢が蘇る。
15年前に殺された双子の妹。
だが、犯人は今も刑務所の中だ。
まさか?
一方、監禁された少女たちは奇妙な地下室に潜み、脱 -
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Posted by ブクログ
展開がなめらかで無駄がなく、緩急のつけかたが抜群に巧いミステリだと思いました。
翻訳ミステリは序盤は地固めというか設定周りを丁寧に張ってから展開させる印象が個人的に多いのですが、この作品は序盤からさくっと意外性ある事実をあっさりと明らかにします。
その事実を前提とした心理戦を、彼ら彼女らの微妙な関係性とともに長く展開し、その緊張感が頂点に達するとともに大技を放ちます。斬新なアイディアとまではいかなくても、その真実を開く手つきの巧さが良い。ある程度の予感を持ちつつも、ここぞというところでバシっと決まった、という爽快感がありました。
そしてさらにカタルシスを残す余韻をもうひとつ残してあり、この -
Posted by ブクログ
ネタバレ「アリスが語らないことは」が合わなくて、購入を迷ったけど、これは読んでよかった。
マシューとヘンの奇妙な関係が面白く、いつかは破局が来ることは分かっていても、次の展開が楽しみだった。
マシューとリチャードの関係は途中で分かってしまうし、リチャードが動き出してからの展開はまあありがちで無難な結末を迎えた感があるけど、
ヘンの強さが印象的で悪くない終わり方だったと思う。
病歴と過去に起こした事件から証言を信じてもらえない主人公と、その状況を利用して犯罪を告白する犯人という構図はこれからもっと発展させられる可能性を秘めているように感じた。ヘンの続編やスピンオフ的な話をもっと読んでみたい。 -
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Posted by ブクログ
ネタバレジョーの大学の課題は身近な誰かの伝記を書く事だが、彼には適当な身内がいないため介護施設で末期がん患者のカールを紹介される。
カールは30年前に少女暴行殺人で有罪となり、今は死の直前なので仮出所が許され施設で過ごしている。
カールはインタビューを了解し過去を語りだす。
以下 ネタバレです。
設定から見てカールは冤罪で、ジョーがその冤罪を晴らすストーリーなのは最初っから分かります。
真犯人も特に意外性はなく、かなり早い段階で推測できます。
カールの語りの中に真犯人や冤罪の証拠が有るのかと思いましたが、そこもチョット違う。
また幾つか引っかかる部分の内の一つで、カールが30年前に裁判を急がせた背 -
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Posted by ブクログ
ネタバレ面白かったが、ミステリーってよりもサスペンス。あらすじにもそう書かれていたが。
ハウダニットよりもホワイダニットが強い。
真相がわかったあたりで、これは『白夜行』や『ロリータ』だなと感じた。そしてアリス自身は『春にして君を離れ』だなと。
自分が信じたいものを信じて人を操ろうとするキャラクター。それでもジェイコブとの最期はせつなさがあって良かった。
ジェイコブの身勝手な献身は面白い。初体験とその後の経験と両親からの愛情を感じられないという境遇から形成されたところが面白かった。
献身さ具合は映画の「モールス」や「マジカル・ガール」を思い出す。
アリスの悪女っぷりは作者が男だという点や、ハリー