赤サソリを妖中と称して、人殺しグループとの対決に燃える主人公と三笠探偵。見世物小屋などの世の中の奇特な部分に触れたり、また障害児をトリックにつかったりと、読者が見てはいけないものを見ているような背徳感を抱かせることで、好奇心を煽る手法は天下一品だ。トリックそのものは相も変わらずエキセントリックな印象を受けるが、エドガーアランポーを捩るだけあってその発想の奇抜さに度肝を抜かれる。好奇心は背徳感と表裏一体なんだと痛感。ただし、作り込まれた繊細さはないため、ダイナミクスのみの抑揚のなさが少々読み疲れを催す。