江戸川乱歩のレビュー一覧
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ネタバレ小学生の頃「白い羽の謎」と言う名前のジュべナイルを読んだことがある。江戸川乱歩の少年探偵団シリーズは子供なら一度は通る道だが、シリーズ後半の子供向けに書き直された作品はどうにも苦しい話が多かった。この話もその中のひとつでなぜ?というホワイダニットは二行くらいで終わらせられている。今読み直すと、確かに子供には読ませられない内容なのだが、こういった大人の世界は乱歩の真骨頂のひとつ。逆にこの作品の中のアリバイや密室と言ったトリックは今ひとつピンと来ない。子供の頃心躍らせて明智小五郎の謎解きを読んだ記憶があるだけに悲しかったが、逆に犯人の動機は大人にならないと理解できない。もちろん、永遠に理解できな
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「D坂の殺人事件」江戸川乱歩
幻想怪奇短篇集。真紅色。
@電子書籍 9 冊目。
編の収録された短篇集。表題作は、明智小五郎の初登場作です。
おしなべてスプラッタ要素の染み込んだ幻想怪奇小説、くくりとしてはいわゆる探偵小説色も強い。
過去の名作の範疇とは言え今から新しく読み始めても非常に新鮮な内容の短篇集です。
やっぱり江戸川乱歩の残したものは凄いんだなあ、とつくづく感じます。
個人的には一番『虫』が印象に残ったかな。
こういった現代風に言えばストーカー的な執着?って、昔から人間の奥底に蠢いている情感で、
そしてそれを世間一般に作品として発表してしまう江戸川乱歩も、かなり“悪趣味”ななのかな -
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ネタバレ『盲獣』
盲目の殺人淫楽者による殺人事件。レビュー団女優・水木蘭子、彼女をモデルにした彫刻を怪しく触る盲人。盲人による蘭子誘拐事件。地下のアトリエに監禁される蘭子。蘭子の変貌と死。真珠夫人と呼ばれる未亡人の誘拐と死。未亡人クラブのマダム・大内麗子、ゴムの人形で盲人に対するが・・・。漁村の海女の死。バラバラにされた被害者たち。死後の盲人が美術評論家に送った手紙。
『地獄風景』
喜多川治良右衛門の作り上げたパノラマの遊園地。彼の島に住む友人たち。迷宮の中で刺殺された喜多川の恋人・諸口マチ子。殺害された恋人原田麗子をスケッチする前科者・湯本譲二。事件に関する何かをつかんだ少年・二郎の死と気球の縄が -
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何故か無性に読みたくなった江戸川乱歩。
その中でも群を抜いた変態小説が恐らく今作。
盲目の怪人がその猟期趣味を全開にした
倒錯した「見えない側」の世界観を圧倒的かつ
一方的に書きまくった力のある作品。
勿論現代の小説スタイルからしたら
おかしな部分や荒唐無稽な展開なのですが
ディティールなどに拘らず初速からラストまで
同じスピードで一気に読ませるのは、やはり
この作品の妖しさと如何わしさに取り込まれた
証拠なのかも。
3人目の殺人事件の件においては、猟奇的な
怖さと滑稽で下らなさとが同居していて、この
感覚とセンスは他の誰もが出来るものでは
ないような「差」を感じます。