ピエール・ルメートルのレビュー一覧

  • 天国でまた会おう 下

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    ここから始まる厄災の
    子供たち三部作。

    己を利するためならば
    他人の犠牲を厭わない
    将校プラデル。

    彼の犠牲となる一兵卒
    のアルベールとエドゥ
    アール。

    生埋めにされて下顎を
    吹き飛ばされて、

    身も心も息絶えた二人
    が再び息を吹き返し、

    と、まあシナリオは横
    に置いておくとして、

    搾取する者とされる者、

    いつの世にもある憐れ
    な人間模様が、

    心に掻き傷を残します。

    でも物語の畳みかたは
    好きです♡

    この喧騒まだまだ続き
    ます。

    なんてったって三部作
    ですから。

    0
    2024年04月28日
  • われらが痛みの鏡 上

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    あのときこうしてたら
    ああしてたらと、

    正しい選択と間違った
    選択があったかのよう
    に、

    私たちはあとから思い
    返しますが、

    どのように振舞おうが
    けっきょく行き着く先
    に大差はないのではと。

    フランスの歴史が転換
    する激動の時期に、

    戦争という極限の状況
    下で、

    すべては必然であるか
    のように進行する物語。

    千年の時を僅か一瞬に
    感じるような、

    大きな大きな存在から
    眺めれば、

    大河に浮かぶ木の葉の
    ように、

    私たちは運命という名
    の大きな流れに逆らえ
    ない存在。

    極端な喩えをするなら、

    静止画とさして変わら
    ない存在ではないかと。

    三部に及ぶ長大な物語
    の最初と最

    0
    2024年04月25日
  • われらが痛みの鏡 下

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    防衛線を次々突破して
    迫りくる独の装甲師団。

    我さきと逃げ出すパリ
    ジャン・パリジェンヌ。

    街道に溢れる何千何万
    もの避難民。

    そんな歴史的な背景の
    なかに描かれる、

    登場人物たちの数奇な
    運命。

    それぞれの抱く想いや
    様々な感情が渦巻き、

    個々の物語が重層的に
    絡み合い、

    やがて大きなうねりと
    なって、

    一つのテーマへと収斂
    されていく。

    誰か一人でも欠けたら
    到達しえない、

    明るい希望宿す結末に
    向かって突き進む。

    かくも壮大で読み応え
    ある贅沢な作品です。

    三部作ながら一作毎に
    異なる味わいがあって、

    そこがまたいいですね。

    0
    2024年04月25日
  • 傷だらけのカミーユ

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    ネタバレ

    ヴェルーヴェン3部作の最後、これまたあきれるほどの忘れっぷりで我ながら驚いた。それにしても再読して作品の魅力が倍増したように思う。ルメートルの他の長編も久々に挑戦してみようか。

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    2024年01月21日
  • 死のドレスを花婿に

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    ネタバレ

    タダでは起きないヒロインと、よくよく過去を知ると可哀そうな気になってくる犯人とダークホースの父親。
    その女アレックスを読んだ後だったので、なるほど、なるほど!という感じで楽しめた。
    この作家さんはとてもお気に入りです。

    0
    2023年12月30日
  • 傷だらけのカミーユ

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    昨夜、一気に本1冊読み上げました。
    ピエール・ルメートル「傷だらけのカミーユ」(文春文庫)。
    身長145センチの警部が主人公で、シリーズ第3作です。
    面白いですよ~!!!
    でも、今日お話したいのはこの本の中にある1つのフレーズです。
    『想像力のない人間はえてして形式にこだわる』
    何かうう~んとうなずかされてしまいます。
    所で、この所寒くて自ら外に出る機会も減り、
    かててくわえて内務大臣の司令であちこち御用達に翻弄されています。
    で、私の実感、『能力のない人ほど惰性に流される』、ジャンジャン!

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    2023年12月20日
  • 僕が死んだあの森

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    小学生、中学生の頃の自分を思い返すと、当時は当然だが未熟で今思い返すと恥ずかしいことばかりある。そんな中で主人公のように事故のような形で人を殺してしまうことが絶対にないと言えるだろうか、そしてあるとしたら、主人公のような人生を歩む可能性もあるのではと思ってしまう。

    人間描写が価値観同じ気がして好き

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    2023年11月16日
  • わが母なるロージー

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    ネタバレ

    カミーユ・ヴェルーヴェン警部シリーズ。

    三部作で終わりかと思っていたこのシリーズ2作目と3作目の間の時系列でもう1作品発売されていたことを知り直ぐにゲット。
    作者も述べているが、三部作に比べ短い小説なので三半冊だそう。

    面白くて半日とかからず読み終えてしまった。

    ピエール・ルメートルの作品の良さは読みやすさと描写の細さ。
    翻訳者が上手いのかもしれないが難しい言葉がなくすらすらと内容が頭に入ってくる。
    また、カミーユのコミュニケーションを取る相手に対しての洞察力についての表現がかなり細かく面白い。ルイが右手を使うか左手を使うかの流れが以前からとても好き。
    今回は残酷描写はないので苦手な人で

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    2023年09月25日
  • 傷だらけのカミーユ

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    ネタバレ

    三部作の三作目。

    一作目は脳がざわざわし、二作目は爽快感、三作目はなんとも言えぬ複雑な感情を抱いた。

    翻訳者の匙加減もあると思うが、海外の作品としてはかなり読みやすい。作者が心情や状態について本当に小説らしく紡いでるのもあると思う。

    冒頭でアルマンの葬儀で死んだことに衝撃だったが、今作の犯人はマレヴァルだったことだ。
    登場人物一覧にいるマレヴァルに疑問は感じたがこんなにしっかり絡んでいたとは。

    タイトル通り傷だらけのカミーユで終わってしまった。

    三部作全てどんでん返し的な要素満載で楽しめたので今作で簡潔なのが寂しい。
    個人的にはシリーズ物としてカミーユ、ルイ、ル・グエンの物語をもっと

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    2023年08月18日
  • 死のドレスを花婿に

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    ヴェルーヴェン警部じゃないノンシリーズ物。章が変わるとともに様相がガラッと変わる面白さは、この作品でも顕在。
    ヒロインが容赦ない試練に次々と追い込まれる展開は、『その女アレックス』を思い出す。が、こちらの方が先(2作目)ということで、この経験を踏んでアレックスが書かれたんだなと思うと興味深い。つまり、アレックスほどには驚愕度を上回らない。でも発想には恐ろしいものがあり、よくこんなこと思いつくよなぁと脱帽した。

    ヒロインのソフィーは冒頭から追い込まれている。一年前に夫が亡くなったりと不幸が続いただけでなく、精神が不安定で、時折昏睡してしまい、記憶がない時間があったりする。物忘れ、しまい忘れも激

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    2023年07月16日
  • 監禁面接

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    2023.06.03
    もし、「ワタシが今リストラされたら4年後にちょうどアランと同じ状況になる。」
    読み終えてそんなことを思わず考えてしまった。ルメートルにしては流血量が少ないため、そんな妄想を呼び起こす。
    しかし、解説で諸田さんが述べているように、カミーユのシリーズとどちらが「怖い」かというとなかなか判断に迷う。
    違うステージの怖さだからである。血を流すことだけが「怖さ」を表現するものではないとわかる良作。

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    2023年06月03日
  • 傷だらけのカミーユ

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    カミーユが今作でものっぴきならない状況に巻き込まれながらも、真実へと向き合い続ける精神力に感服した。
    そこにある真実がまた、予想していたものよりさらに切なく、胸が締め付けられた。
    登場人物の視点の切り替えが細やかにされていて、読んでいて飽きがこなかった。

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    2023年05月28日
  • われらが痛みの鏡 下

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    ピエール・ルメートルの壮大でかつ人間味あふれた歴史群像劇。
    20世紀の二つの戦争に翻弄されたフランスの人たちの三部作、完結編。

    上巻からひきつづき「ルイーズの物語」「ガブリエルとラウールの物語」「デジレ・ミゴーの物語」が進む中、新たに「フェルナンの物語」が加わって、下巻は4本同時に進行していく。
    が、次第にそれらが交わり始めると、妙な期待感に浸っていき、読むのが楽しくなる。
    いったいどこですべてが交わるのか……ああ、そうなんです。
    そのためにこの人はいたのですね。
    とても効果的です。

    詐欺師と神様は、“カミヒトエ”……なんちゃって。

    それと映画的でもあるけど、完結編もエピローグで登場人物

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    2023年03月24日
  • その女アレックス

    購入済み

    ブラボー

    ブラボーとしか言えない素晴らしい

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    2022年11月04日
  • われらが痛みの鏡 下

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    ネタバレ

    下巻は一気に読みました。
    フランスの南に位置するベロー礼拝堂で、今まで別々の行動をしていた主要な人達がたどり着くあたりでは鳥肌が立ちました。登場人物達のプライバシーを守るために読者である我々もその場を離れるくだりは、なんとも言えない余韻を得られます。作者に感謝したくなりました。
    とても印象に残る作品でした。

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    2022年08月25日
  • 死のドレスを花婿に

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    ネタバレ

    執念の物語です。あの「悲しみのイレーヌ」のルメートルの作品。
    犯人の執拗さ、丁寧さに脱帽です。
    以下、ネタバレありで。

    自身の記憶の曖昧さと、それに拍車をかける不可解な出来事の数々。
    そして行く先々で、関わる人々が殺されて殺人の容疑をかけられてしまう。
    責任能力のない殺人鬼なのか、自分は??という疑惑にますます精神をやられる
    ヒロインのソフィー。ところが、実は………

    第2章から怒涛の展開でした。え、ソフィー関係ないよね??ってな動機で
    どこまでもどこまでもソフィーを損なう「花婿」。
    面白かったですけど、いや、コレ普通気づくだろって。
    そもそもソフィーも、なんか高等教育を受けた才媛のわりにワ

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    2022年06月09日
  • 死のドレスを花婿に

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    紹介文に『その女アレックス』の原点とあるがまさしくその通りでありました

    話のシステムが『その女アレックス』の原形ですよね
    章が変わるごとに衝撃の真実が明らかとなり見えてる世界をガラっと変えられる
    大掛かりな仕掛け
    そして最後に明かされるタイトルの意味

    そしてこの作品の肝は犯人が持つ徹底的に理不尽な動機ですよね
    もう終始一貫して気持ち悪くて赦せない
    だけど最後に罰せられても特に爽快な感じにもさせられない
    これで良かったんかな〜?って気にさせるあたりも『その女アレックス』に通じるところでした

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    2022年05月17日
  • 死のドレスを花婿に

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    第一章を読むときは主人公の女性に降りかかる不幸がメインの話となるため、ページを捲る指が進まなかったが、第三章からはページを捲るのが止まらなくなった。なんとも形容し難い最後だったけど、そうなるしかない感じで終わった

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    2022年05月11日
  • 死のドレスを花婿に

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    カミーユ・ヴェルーヴェン警部シリーズを読んでいたので、この人の作品は面白いはずと読み始めた。中盤の「胸くそ悪いことこの上ない」空気に耐えると、そこから流れが変わった時の爽快感はすごい。でも、ラストはなんとも形容しがたい気持ちになる。実際の人間は、怒りや憎悪の方向へ気持ちを全振りできないのかも。私はこのラストでそんな事をぼんやり思った。

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    2022年04月15日
  • われらが痛みの鏡 下

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     今年はピエール・ルメートルの作品が二作立て続けに読めた年。しかも先に読んだ『僕が死んだあの森』の後は、ルメートルはミステリーをやめたという話もあるくらいだから、今後は本書のようにハヤカワ・ミステリで出版されてはいるものの、冒険小説に近い普通小説の枠で書いてゆくのだろうか?
     本書は第一次と第二次世界大戦の間のフランスの大作三部作の最終編であって、確かにこれまでのルメートルお家芸の謎解きミステリーやスリラーとは縁遠いものがある。それにしても三部作といいながら時代と家系を組み立て繋ぎ語りつつ、一作一作が独立して読んでも楽しめるエンタメ性に満ちており、ルメートルならではの面白さには太鼓判といった味

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    2021年10月26日