ピエール・ルメートルのレビュー一覧
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19世紀から始まった三部作は、1940年独が仏に侵攻した時間の苦しい時間が最も重きを置いたイメージの群像絵巻で幕を閉じた。
表題「われらが痛みの鏡」は下巻160㌻に描かれているパリ市民が難民となって逃げ伸びる人々のあり様からとったとある。
仏が独に宣戦布告したとは言うものの、「まやかしの戦争」とでもいえるような生煮えの時間が苦しめての時間が長かった。
ルィーズを中心にガブリエル・ラウールとフェルナン・アリス、そして最後まで実像が分からないデジレが軸となっているが下地にあるのはDr.
ルィーズの母と彼の紡いだ時間にジェルメールが絡まった恋の絵巻?と落とし物。
余りロマンは感じないし、誰にも共 -
Posted by ブクログ
まったく、だれることなく2部まで読んできた・・完結?しないかもしれないけどラスト3部作。
この巻だけを読んでも十分に面白く、20Cドイツに蹂躙されたフランスの当時の社会を感じられる。
ヒロインはパリ在住の元教師ルイーズ。伏線になっている若きエドゥアールとの関係はさらっとしていたが、彼自身の奇矯な存在感からすると、案外出だしは単調。
しかし、数奇な因縁というのはこれこそと言えるほど面白い絡みで連なっていく。
突拍子もない医師の自殺、親身に見守るジュール、ルイーズがけなげだけに身の上にほだされてしまう。
一方、2人の脱走兵の動きや機動憲兵隊曹長の夫婦・・1点は繋がったが、もう一つのつながりが見 -
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見事な着地、ポール中心のストーリー展開、1930年代の
欧州の空気感が良く表れている。
どこの国もつまるところ、金、女と権勢欲。
よくも悪くも【これがフランス】って言うのを味わえる。
映画にも小説にも最適の素材づくめ。
ポールを取り巻く、歌姫ソランジュ、ヴラディの最期はストンと納得を。
やせぎすのアクセサリーづくめの美女より、肥満体のおおらかな性格の勝利っていうのは面白い。
この時代のプロパガンダの常軌を逸した盛り上がりが感じられ、ポールはもとより、ソランジェの描かれ方もなかなかひと方ならない。
シュトラウス(ワグナーではなく)にはまっていく彼女、当初はナチズムへの傾倒がどこまで行くのか見者 -
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歴史上、戦争が有する意義を書いた・・と言えば簡単だが、種々の自傷から筆者ル・メートルが読み取った推察、洞察力に舌を巻いた。
題名の意、そして呟いた人物を初めて知った。
そのJ・ブランシャールが真の主役と言えるかもと感じた。
アルベールは無論、ブラデルは第一次世界大戦という商売市場で駆けずり回った小物。黒子 エドゥアールが天才の名を欲しいままに飛翔した詐欺のすべてが最期は血の結びつき・・で幕を閉じるとは。
しかも植民地の服を着て羽を付けたという・・何という演技。
そこから呟かれる作者の言葉は人生とは教誨語録の様。
偶然性の複雑な絡まり、結末は必然的に訪れる。。。。 -
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フランスの作家ピエール・ルメートルの長篇作品『炎の色〈上〉〈下〉(原題:Couleurs de l'incendie)』を読みました。
『傷だらけのカミーユ』、『わが母なるロージー』、『監禁面接』に続き、ピエール・ルメートルの作品です。
-----story-------------
〈上〉
1927年2月、パリ。
一大帝国を築いた実業家の葬儀が粛々と進んでいた。
しかし出棺のとき、思いがけない悲劇が起きる。
故人の孫、七歳のポールが三階の窓から落ちたのだ。
故人の長女マドレーヌは亡父の地位と財産を相続したものの、息子の看護に追われる日々を送る。
しかし、そのあいだに、彼女を陥れる -
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フランスの作家ピエール・ルメートルの長篇作品『炎の色〈上〉〈下〉(原題:Couleurs de l'incendie)』を読みました。
『傷だらけのカミーユ』、『わが母なるロージー』、『監禁面接』に続き、ピエール・ルメートルの作品です。
-----story-------------
〈上〉
1927年2月、パリ。
一大帝国を築いた実業家の葬儀が粛々と進んでいた。
しかし出棺のとき、思いがけない悲劇が起きる。
故人の孫、七歳のポールが三階の窓から落ちたのだ。
故人の長女マドレーヌは亡父の地位と財産を相続したものの、息子の看護に追われる日々を送る。
しかし、そのあいだに、彼女を陥れる -
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フランスの作家ピエール・ルメートルの長篇ミステリ作品『傷だらけのカミーユ(原題:Sacrifices)』を読みました。
ここのところフランスの作家の作品が続いています… ピエール・ルメートルの作品は6年前に読んだ『悲しみのイレーヌ』以来なので久し振りですね。
-----story-------------
『悲しみのイレーヌ』『その女アレックス』のヴェルーヴェン警部シリーズ三部作の最終作。
『その女アレックス』に続き、イギリス推理作家協会賞の2015年度インターナショナル・ダガー賞を受賞。
アンヌという女性が二人組の強盗に殴られ瀕死の重傷を負った。
警察からカミーユに電話がかかってくる。 -
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「天国でまた会おう」三部作の第二部「炎の色」は、復讐劇の王道を行く痛快な物語。
始まってしばらく、上巻はとにかくひどい奴ばかりで、腹が立って読めなくなるほど。
主役のマドレーヌも、いまいちはっきりしないキャラで感情移入できないし……。
ところが、後半に復讐劇が始まると、がぜん面白くなって、まんまと楽しんでしまった。
前作「天国で…」はミステリーではなく文学作品?とされており、戦争で負って変わってしまった帰還兵の体と心の闇を、「顔のけが」「仮面」など暗示的でもあり、エドゥアールの最後も何かしらのメッセージが託されているような気にさせるものであった。
本作の「炎の色」では、一部の登場人物が引き -
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戦後、称えられる戦没者、生きて行かねばならない帰還兵。
いつの戦争でも、勝者も敗者も、苦しみしか残らない。
上巻の前半は第一次大戦時の独仏前線での戦いが兵士目線で描かれていて、映画「プライベートライアン」のノルマンディ上陸場面のような迫力迫る描写で圧倒される。
特に主人公の一人アルベールが生き埋めとなるシーン、それに続くエドゥアールの負傷と脱出の様子は、息つく暇もないほどの迫力がある。
悪役ブラデルの戦後の描写でややスローダウンしたが、下巻、エドゥアールの仮面作りと大掛かりな詐欺計画が進み始めると、ブラデルの描写も結末へ期待をこめて大いに盛り上がっていく。
「絶望からくる狂気に翻弄される -
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「ピエール・ルメートル」の長篇ミステリ作品『死のドレスを花婿に(原題:Robe de marie)』を読みました。
「P・J・ランベール」の『カタコンベの復讐者』に続き、フランスのミステリ作品… 「ピエール・ルメートル」の作品は、2月に読んだ『その女アレックス』以来ですね。
-----story-------------
『その女アレックス』の原点となる恐怖のイヤミス
その〈偽装〉が「ソフィー」の運命を変える。
フランス産、恐怖の婚活サスペンス。
悪夢に苦しめられるのが怖いから、眠らない。
何でも忘れてしまうから、行動を逐一メモにとる。
それでも眠ってしまうと、死者たちが訪れる。
「ソ