小泉悠のレビュー一覧
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対話形式ということもあり、非常に読みやすく、分かりやすいです。
カバー範囲も広く、「戦争とは何か?」「国防計画とは何か?」というところから、「戦争におけるAIの適用可能性・有用性」といったところまで議論され、更には「将来起こりうる有事のシミュレーション」および「日本が何をすべきか」ということまで触れられてます。
軍事については素人ですが、「軍事力とは即応力であり、構造即応力と運用即応力に分かれる」「国防計画とは究極のマネジメント問題」という指摘は、民間企業にも通じるところがあるように感じます。C4ISRについてはより深く勉強したいところです。
細かなことを言えば、AIに意思決定の責任は取れ -
Posted by ブクログ
ロシア軍事の専門家とインテリジェンスの研究者の対談形式でロシア・イスラエルの分析を行うもの。また、日本のインテリジェンスに対する姿勢や課題点についても第六章で述べられている。会話を文章化したものなので、堅苦しい文章もなく非常に読みやすい印象だった。
戦争だけでなく外交においても、インテリジェンス組織がしっかり整備されていて情報をうまく活用できる国は強いと思う。 本書でも触れられている通り、日本も情報収集に関する下地はあるのだから、法整備と情報リテラシーの向上で改善される事を期待する。ロシア・イスラエルが今でも戦い続けていられるのは、情報収集・活用が上手いからなのも納得した。 -
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この本の電子書籍が手に入って、なんとなく斜め読みしてみた。
辞書のようなもの、、と思っていたら、違った。
まず、文章を書いている人がすごい。
著 / 小泉悠/上脇博之/武田砂鉄/塚田穂高/五野井郁夫/水無田気流/小嶋華津子/塩田祐子/小林美穂子/山本章子/鶴岡路人/立山良司/鈴木エイト/森山至貴/やくみつる/生島淳/常見陽平/ほか
そうそうたるメンバーが、テーマごとに世相を切っていた。読み応えある文章。
続いて、2024に流行った言葉の解説が続く。
今は亡き森永卓郎さんも「貯蓄から投資」は危険な政策 と厳しく語っている。
全体的に反政府的。
最近言われるところの「右翼」が好まない言葉 -
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著者の小泉さんは、感情やイデオロギーを交えずに事実を淡々と述べて、あくまで客観的な観点から論説するスタイルで非常に説得力がある。現代は情報が民主化されて、誰もが一定の情報を手軽に入手出来る時代になったが、反面情報過多によりフェイク情報等も溢れているため、情報の選別と分析により、情報を自分なりに咀嚼することが困難な状況にある。本書では情報を可視化するために文書にまとめて整理することや、集めた数字をグラフなどに羅列して眺めていると数字がしゃべり出すこと、アウトプットできないのはインプットが足りていないことなど、分析者でなくても情報と接する上で重要なことが分かり易く記載されており、非常にためになっ
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ロシアについて、人、住宅、地下空間、街並み、食事の面から紹介する。終わり近くにプーチンについても書かれている。2022年5月、ロシアによるウクライナ侵攻が始まってすぐの刊行。
住宅や街並みについての話がとくに面白かった。ソ連時代のKGBによる盗聴、彼らはそれを隠さなかった。存在をアピールして市民に常に監視されていることを意識させ萎縮させるのが狙いだったからだ。スターリン時代の高級アパートは住民がよく消えた。消えた人を訪ねてくると近所の人はそんな人は最初からいなかったと答えるという。怖すぎる。ロシア人の別荘や森への執着、ゴミ問題の話題は初めて知った。
現在でもモスクワには怪しげな土地があり、 -
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2022年2月に始まったロシアによるウクライナ侵攻以前のロシア軍事戦略について解説したもの。この頃は安倍総理の外交政策によりロシアの対日感情が良好であったり、中国との軍事同盟に限界があるとの指摘に、現在の情勢との差異に驚かされる。一つの戦争で国際情勢は大きく変わるものだ。本書で述べられたロシアの兵力整備はウクライナで起きている現代戦の片鱗を見せており、極超音速兵器・ドローンの増勢はロシア・ウクライナ戦争でのトレンドの一つだろう。もちろん、ハイブリット戦争によるサイバー攻撃などは当たり前になりつつある。
本書の語られる現代ロシアでは列強が9.11をキッカケにした対テロ戦争から、大国間の戦争へ揺り -
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ロシアが専門の軍事研究者が、ウクライナ戦争開戦の年(2022年)9月までの情勢について書いた新書です。
国際政治にも軍事にも疎いわたしですが、なんとか読み切ることができました。
ゼレンシキー大統領自身も大統領に就任するまではほとんどウクライナ語が喋れなかった(p.67)というのは初めて知りました。
「ロシア、ウクライナ、ベラルーシが民族的・言語的に多くの共通性を持ち、多くの歴史を共有してきたことは客観的事実として否定はできないだろう。」(同上)
このことは、この戦争の背景、プーチンの思考回路を推測する上で示唆的でした。
ウクライナは無垢でも無謬でもないけれど、今回の戦争はロシアによるウクラ -
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YouTubeで三宅香帆さんがオススメしていたので読んでみた。とても面白かったし、いっぱい気づきを得られた。
著者はロシアの軍事専門家で、一時期ウクライナ戦争のコメンテーターとしてテレビにたくさん出てた人だ。
正直、ロシアの軍事情報にはあまり興味もないし、積極的に知ろうとも思わない。
ただ、ロシアの軍事情報なんて普通は取得できないものを、どのように入手して、どのように分析するのか?周辺情報の入手の仕方、得た情報の分析の仕方がとてもわかりやすく面白かった。まさか個人でお金払って衛星写真を手に入れられるなんて!
軍事情報だけではなくて、ビジネスマンとしての情報の取得方法、分析の仕方など、学ぶべ -
Posted by ブクログ
良書。
安全保障や軍事に関して基本的なところは知識があると、なお読みやすい。
「もし。日本が戦争に巻き込まれるとしたら?」というシナリオは4章にあるのだが、著者も書いているとおり、正確に予測することは出来ない。
この本で重要なのは特に「2章 軍事力とは即応力である」ではないかと思う。一般的な軍事力の比較では、なぜ兵員数と装備品(航空機・艦船等)の総数で比較されるのか、なぜそれが実態を現していないのか、これまで十分に説明されてこなかった点を明確に解説している。
またその理解により、装備品のスペックでの優劣を測る傾向や空母保有論、核武装論まで、巷の軍事情報通?の方々の主張するポイントがなんだかなぁ