ブックライブでは、JavaScriptがOFFになっているとご利用いただけない機能があります。JavaScriptを有効にしてご利用ください。
無料マンガ・ラノベなど、豊富なラインナップで100万冊以上配信中!
来店pt
閲覧履歴
My本棚
カート
フォロー
クーポン
Myページ
4pt
冷戦後、軍事的にも経済的にも超大国の座から滑り落ちたロシアは、なぜ世界的な大国であり続けられるのか。NATO、旧ソ連諸国、中国、米国を向こうに回し、宇宙、ドローン、サイバー攻撃などの最新の戦略を駆使するロシア。劣勢下の旧超大国は、戦争と平和の隙間を衝くハイブリッドな戦争観を磨き上げて返り咲いた。メディアでも活躍する異能の研究者が、ウクライナ、中東での紛争から極東での軍事演習まで、ロシアの「新しい戦争」を読み解き、未来の世界情勢を占う。
アプリ試し読みはこちら
※アプリの閲覧環境は最新バージョンのものです。
Posted by ブクログ
ウクライナ戦争前に書かれているが、本書で指摘されているロシアの軍事戦略、つまりはクラウゼヴィッツ的な「軍事力」と、傭兵やSNSなどの非軍事的・非国家的な装置の活用、そして状況に応じて戦術核をチラつかせるエスカレーション抑止などを駆使し、ハイテク化では大きく劣るNATOへの対抗を可能にするという構図は...続きを読む、まさにウクライナ戦争の構図そのものであるように感じられた。
2022年2月に始まったロシアによるウクライナ侵攻以前のロシア軍事戦略について解説したもの。この頃は安倍総理の外交政策によりロシアの対日感情が良好であったり、中国との軍事同盟に限界があるとの指摘に、現在の情勢との差異に驚かされる。一つの戦争で国際情勢は大きく変わるものだ。本書で述べられたロシアの兵力...続きを読む整備はウクライナで起きている現代戦の片鱗を見せており、極超音速兵器・ドローンの増勢はロシア・ウクライナ戦争でのトレンドの一つだろう。もちろん、ハイブリット戦争によるサイバー攻撃などは当たり前になりつつある。 本書の語られる現代ロシアでは列強が9.11をキッカケにした対テロ戦争から、大国間の戦争へ揺り戻しを起こす過渡期にあると考える。本書の書かれた頃から国際情勢は大きく変わってしまった。しかし、ロシアの戦略を考察し理解する上で本書は大きな助けになると思う。
小泉さんのロシア観に興味をもち購入しましたが、 現代ロシアにおける安全保障に対する観念から具体的な政策に至るまでを、多少興味のある人向けですが、とても分かりやすく書かれているので勉強になりました。
「今や米国にとっての第一義的な懸念はテロリズムではなく、国家間の戦略的な競合である」(米国防総省『国防戦略』2018) ルパート・スミス『軍事力の効用』 「…戦争はもはや存在しない」 核兵器を用いた国家間の大規模戦争は人類の破滅を意味しており、戦争によって達成されるべきあらゆる政治的目的を無意味に...続きを読むしてしまうからである。 「プーチンは、ソ連における彼の前任者や現在の習近平と同じだけの力を持ってはいない。しかし、ロシアは1990年代にそうであったような、弱いガタガタの国家ではないのである」マイケル・マクフォール(ロシア研究者) P.60 「ウクライナ危機の後、NATOは大きく変わりました。あらゆる脅威に対処する「360度同盟」になったのです」NATO加盟国大使 大規模な犠牲が出る決戦を避けて小規模な勝利を積み重ねる「制限戦争」 「国際関係においては、力のファクターが持つ役割は低下していない」(『ロシア連邦国家安全保障戦略』2015) スリプチェンコ 非接触戦争 メッスネル 非線形戦争 P.85 現代の世界では、「より軽い、より大衆的な武器」、すなわち情報を通じた心理戦が決定的な意味を持つ …ひとつながりの戦線を挟んで戦う形態(線形戦争)とはならず、あらゆる場所で人々の心理をめぐる戦いが繰り広げられる …平時と有事の区別は存在しない イーゴリ・パナーリン 情報地政学 カラー革命 2003 バラ革命 グルジア 2004 オレンジ革命 ウクライナ 2005 チューリップ革命 キルギスタン P.95 …ブログやSNSでの言論を萎縮させることだった。特にアクセス数の多い有力ブロガーに実名を義務付けたり、その一部を見せしめ的に逮捕・基礎したり、さらには政権には従わないインターネットメディアが閉鎖されるといった事態が相次ぐようになった。 …ネットユーザーの個人情報を必ずロシア国内のサーバーに保存することが義務付けられ、さらにアクセス元を偽造するために用いられるVPNソフトの頒布も禁止された。 情報安全保障 サイバー安全保障とは違う ユナルミヤ 若き軍隊 「ロシアは2つの同盟者しか持たない。我が陸軍と艦隊である」アレクサンドルⅢ(ロシア帝国皇帝) P.139 …モスクワ言語大学安全保障情報センターのバルトシュは、これを①非軍事的手段による闘争→②ハイブリッドな手法を用いる低烈度闘争→③正規軍による高烈度闘争の3ステップに分類した。住民の扇動のみによっては政治的目的(ウクライナの分裂)を達成できずに民兵による蜂起が起こり、続いてロシア正規軍を投入せざるを得なくなったドンバス紛争はその典型的な事例である。 限定行動戦略 「誰も大規模戦争のことを無視することなどできませんし、そのための準備を怠るなど論外です」ヴァレリー・ゲラシモフ(ロシア軍参謀総長) P.239 ヴォストーク2018 北方領土 防衛白書の編纂委員「北方領土では実施されなかった。これらの活動には「ヴォストーク」という名前がついておらず、そうである以上は別個の訓練活動だ」 「いかなる条件下でも、我々は戦略的抑止力を諦めるべきではありません。それは強化されねばならないのです」ウラジーミル・プーチン P.260 西側の軍事力の方がより宇宙空間に依存しているという事実の裏返し
現代ロシアの軍事戦略 著:小泉 悠 紙版 ちくま新書 1572 20世紀後半の古典的な国家間戦争はもはや存在しない ロシアによる現代戦とは、ハイブリッドな全面戦争を意味する 戦略縦深とは、奇襲を受けた時に時間的余裕をもてる緩衝地帯のことをいう ソ連時代にあった東ドイツからソ連本土の距離は800K...続きを読むmがウクライナが西側になった場合はわずか450Kmになる これは東京・京都間、大陸弾道弾であれば、数分で核ミサイルが到達する距離だ ハイブリット戦とはもともとアメリカ軍が生み出した概念だ ソビエト崩壊も、一種のハイブリット戦とも認識されている 西側は軍事的手段だけでなく、政治・経済・情報などあらゆる手段を用いている ロシアのハイブリット戦争は中東でも展開されている、それは2016~2018のシリアだ PCM戦精密誘導兵器の使用、アメリカが湾岸戦争でつかった手法だ ロシアも2008年のグルジア戦で使用している ツペツナズが特別なのは任務の内容であって部隊を構成しているのは普通の兵士だ ロシアの民兵ワグネルは、作曲家ワーグナーのロシア語よみ、ワグネルのリーダ、ウトキン氏はネオナチの信奉者だ ドローンに対抗するには、電波妨害システム、ドローンはラジコンだからコントロール電波が遮断されると墜落するか基地に戻るしかない ロシアの戦闘の定義 ①武力紛争 国内武力紛争 ②局地戦争 ③地域戦争 ④大規模戦争 第二次世界大戦以来発生していない ロシア軍の演習 ①作戦準備 軍の作戦機関、戦略、作戦レベル、連合部隊の錬成 ②戦闘準備 戦闘環境下で訓練活動、戦場での活動に重点を置いた訓練 ロシア軍の大演習プログラムは局地戦のシナリオ カフカス2009 動員兵力8500名、戦車200両、装甲先頭車両450、火砲250門 オーセニ2008 ベラルーシとの合同演習 ザーハド2009 防空戦 ネットワーク接続 ラトガ2009 NATO軍との大規模戦争 ヴォストーク2014 北方領土をめぐって日本との軍事衝突、米軍が介入 ザーハド2017 北方連邦 防空戦、海上戦、対潜水艦、巡航ミサイル、ドローン、航空機攻撃、NATO軍との北方地域での戦闘 接近阻止・領域拒否(A2/AD) 米軍をできるだけ、本土と遠いエリアで迎え撃つ戦略、中国軍も同様な戦略をもつ エスカレーション抑止 限定核使用による同盟軍の参戦を防ぐ、失敗した場合の核戦争を合わせてシナリオをもっている⇒最悪のシナリオ 通常戦争におけるエスカレーション抑止もあり、超音速機の攻撃を想定 結論 ロシアの軍事戦略は古典的な全面的な戦争をコアとして、非軍事的な手段を合わせて用いる、ハイブリット戦である 目次 はじめに―不確実性の時代におけるロシアの軍事戦略 第1章 ウクライナ危機と「ハイブリッド戦争」 第2章 現代ロシアの軍事思想―「ハイブリッド戦争」論を再検討する 第3章 ロシアの介入と軍事力の役割 第4章 ロシアが備える未来の戦争 第5章 「弱い」ロシアの大規模戦争戦略 おわりに―2020年代を見通す あとがき―オタクと研究者の間で 参考文献 ISBN:9784480073952 。出版社:筑摩書房 。判型:新書 。ページ数:320ページ 。定価:940円(本体) 。発売日:2021年05月10日第1刷発行 。発売日:2022年03月25日第4刷発行
ロシアは地政学的にNATOに対して脅威を感じており、正面戦争である場合では劣勢でもある。この情勢に対して、ロシアは非対称かつハイブリッドに軍事的な戦略を立てている。 またロシアは永続的に非線形な戦争継続を考えており、クリミア半島の一方的な併合以来、ある意味戦争は続いているとも考えられる。ヨーロッパ諸...続きを読む国との対峙において、敵の接近を拒否するために、地理的な不利を抱えているため情報戦的なイメージによる撹乱や妨害を企てる。場合により、核の限定使用もちらつかせるし、使用する可能性もある。 本書ではこういった客観的事実を分かりやすく解説している。 こういった事実は2022年2月以来のウクライナ対ロシアの戦争でも現実となったことでもあり、起きた事実の背景に対する理解を助けてくれる。この内容が当戦争の約一年前に初版が出されており、その断面のロシアに対する筆者の予見的な分析力が興味深い。筆者の小泉氏は最近ではテレビでもよく解説で出演することが多いが、こういった素晴らしい人物がいたことも正直知らなかった。 この書籍で日本が忘れてはいけないことは、 ロシアにとって日本はあくまで西側諸国の存在であり、永続的な戦争の対象でもあることだ。 本書でも解説があるとおり、ロシアはハイブリッド戦や非対称戦のイメージだけでなく、国家間紛争も意識した演習を近年行ってきており、まさにウクライナとも国家間の紛争を開始した。 この事実は重く受け止めなければならないし、ロシアとの関係の裏には戦争があることを日本国民はあらためて理解しなければならない。
ロシア軍事の専門家、ユーリーイズムイコこと小泉悠先生のロシア軍事戦略本であり、2022年2月のロシアによるウクライナ侵攻の直前に書かれた(2014年のロシアによるクリミア半島強奪よりは後)もの。 ソ連崩壊後、東欧共産圏があるいは民主化し、あるいはカラー革命を起こしてきたが、ロシアから見ると、これらは...続きを読む全て西側による謀略であり、正規軍を用いたクラウゼビッツ的戦争ではないが、しかし、情報戦世論戦などを取り入れたハイブリッド戦争を仕掛けられているように見える、と。 この時期のロシアは勢力圏の縮小、経済的社会的混乱から国力を落としてきたが、それでも仕掛けられた戦争に勝利して生き残るためにハイブリッド戦争の手法を鏡面措置として採るのだ、と。 こうして俯瞰すると、クリミアやドネツクへの侵攻は、現地の親露派の分離運動から始まりそれでは勝てないとなると特殊部隊投入から正規軍投入と、徐々にエスカレートしていくのも、まさにハイブリッド戦の要領である。 この辺りのロシア的発想ロシア的行動を読み解くには本書は大いにおすすめである。 本書では時期的に触れていないが、しかし、ロシアによるウクライナ侵攻はあまりに手際が悪いのは何故だろうか。続編を待ちたい。
ロシアの軍事戦略がわかった。現在のウクライナ戦争でもこの考えに基づいて行動しているように思う。本に書いている通り、最終的に核使用に至らないことを祈る。
著者のロシア製兵器へのオタク愛により、ありがちな兵器スペックと配備数のみでの軍事力比較が足元にも及ばない、意図と運用を踏まえた圧倒的な分析力、また東側からの視点による軍事戦略の解説により、西側から見ると理解不能なロシアの動きがドクトリンによるものであることなど、マスコミの解説がいかに表面的かも強烈に...続きを読む感じさせる内容。 この分析の延長線上には、【執筆時には起きていない】ウクライナ紛争も有り得ると確信させる分析。 情報資料の量的な面では及ばないが、小泉氏のロシア軍事戦略に対する分析力は、防衛省をも上回っているのではないかと。
冷戦終結後、ロシアの軍事戦略はどのような構成でなされているのかを解説する。本書p23にあるように、ロシア軍は陸軍、海軍、空軍の三つに加えて、空挺部隊、戦略ロケット部隊、その他の国防省直轄軍事部隊という構成となり、陸、海、空軍に関しては、その大半は5つ(中央、北方、西部、東部、南部)の軍管区ごとに総...続きを読む合戦略コマンドと呼ばれる統合部隊を編成する。このほかにもロシア軍は細かい部隊があるが、著者によると、ロシアの軍事戦略の理解において、上記のものとは別の「準軍事組織」の存在が重要だと強調する。 ロシアはよくNATO拡大を嫌悪するが、その理由はロシアの兵力バランスが崩れて戦略上不利になること、また大国としてのロシアの地位低下を懸念しているためである。 近年、ロシアの軍事戦略ではサイバー戦や情報戦による非軍事的手段が目立つ。しかし著者によると、これらの手段の影響はさほど大きくなく、依然としてクラウゼヴィッツが唱えた古典的な軍事力のほうが戦争の勝利において影響力は大きい。そのため、たとえロシア軍が新テクノロジーを積極的に利用したとしても、戦争の性質に変化は起きないのである。とはいえ、このような軍事的手段と非軍事手段を合わせた「ハイブリッド戦争」は今後も展開されるので、この特徴をつかむことが、現代ロシアの軍事戦略の理解に欠かせない。
レビューをもっと見る
新刊やセール情報をお知らせします。
現代ロシアの軍事戦略
新刊情報をお知らせします。
小泉悠
フォロー機能について
「ちくま新書」の最新刊一覧へ
「社会・政治」無料一覧へ
「社会・政治」ランキングの一覧へ
戦闘国家 ロシア、イスラエルはなぜ戦い続けるのか
ウクライナ戦争と米中対立 帝国主義に逆襲される世界
荒れる言論空間、消えゆく論壇
ウクライナ危機の真相 プーチンの思惑 (Wedgeセレクション No.35)
ウクライナ戦争
UP plus ウクライナ戦争と世界のゆくえ
ウクライナ戦争の200日
宇宙が戦場になる日【特別版】
「小泉悠」のこれもおすすめ一覧へ
一覧 >>
▲現代ロシアの軍事戦略 ページトップヘ