小泉悠のレビュー一覧
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文藝春秋社の関連雑誌で対談した5人とこの本のために語り下ろしたもの1件を収録。対談時期は4月から9月。
対談相手は
・東浩紀:1971生、批評家・作家 株式会社ゲンロン取締役
・砂川文次:1990生、小説家。元陸上自衛隊で対戦車ヘリコプターの操縦士。
・高橋杉生:1972生、防衛省防衛研究所防衛政策研究室長。
・片淵須直:1960生、アニメ監督。「この世界の片隅に」
・ヤマザキマリ:1967生、漫画家
・マライ・メントライン:ドイツ人 翻訳者、通訳、エッセイスト。2008より日本在住
・安田峰俊:1982生、ルポライター 天安門事件など中国を多くルポ
「ロシアは絶対悪なのか」(文藝春秋20 -
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ユーゴスラヴィア、セルビアにはじまり、グルジア(バラ革命)、ウクライナ(オレンジ革命)、キルギス(チューリップ革命)、チェニジア(ジャスミン革命)からアラブの春に至るまでの民主化ドミノを、NATO およびアメリカによる謀略の結果であると捉え(事実、まんざら「陰謀論」でもないところがある)、これを非軍事手段による永続戦争であると定義した上で、ハイブリッド戦争(SNS を通じた人心操作から戦略核兵機使用まで、軍事・非軍事両面による目的遂行または状況作成のための行為)で応戦する現代ロシアの軍事戦略を描く。
2022年2月末に始まったウクライナ戦争を予言するかのように、2021年5月に刊行された現代 -
Posted by ブクログ
プーチン大統領の頭の中を知りたい、西側の理論ではなくロシアの立場に立った時の見方を知るべきではないか、と思って何冊かの本を読んでいます。いくつかの発見はありました。例えば
・2007年2月のプーチン氏の演説は民主主義を標榜する西側の論理?のみが唯一の正義と見なされることに対する反論。
・クリミア侵略についての考え方としてクリミアはロシアと(ロシアの一部であるところの)ウクライナの共有財産であり地域安定のための重要なファクターなので強く安定した主権(ロシア)の下になければならない。
・他国に依存せず「自由」=自己決定権を自らの力で保持できる国だけがプーチン大統領の言う「主権国家」であり、この要件 -
Posted by ブクログ
曖昧で追いつけていなかったクリミアから今回のロシア侵攻までの流れを学ぶことができた気がする。
特にハイブリッド戦争と目されるものがどのよな位置付けであったかについても。初期対策をされてない状況では、初見殺しになるのだなと素人ながらに。
今回のロシアのウクライナ侵攻が特に東側で古典的な戦闘になっていると聞いていたことも、この本を通して腑に落ちる気がした。とにかく、使えるものはなんでも使って成果を上げるのが大事、という姿勢なのかなと素人ながらに思った。
一般回線を使わざる得なくなったり、情報戦で撹乱されていたり、今回のロシア軍側で聞いたような話もあり興味深かったです。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ本書は、身勝手にみえるロシアの行動の論理を理解するための材料を提供してくれる。我々とは違う国境観・主権観について説明し、ジョージア (本書では「グルジア」) やバルト三国、2014年のウクライナ危機、中東介入、日本の北方領土の実効支配、北極政策といった事例を解説しながら、その思想の説明を補足していく構成になっている。
ロシアの「主権」観は、自由民主主義陣営に生きる我々とは異なっている。我々は、国境ははっきりと定まったものであり、各国がその範囲において不可侵な主権を持つという現代的な価値観を共有している。しかしロシアの考える国境は、本書が半透膜に例えるように、近代以前の国家像に近い曖昧なもので