小泉悠のレビュー一覧
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ネタバレ東大先端研専任講師にして、軍事オタクでもある小泉悠による新書。最近新書大賞にノミネートされており、またプーチンのアメリカメディア露出が気になり読んだ。2日ほどで読めた。
1章から4章にかけて、開戦前の2021年から執筆時の2022年9月に至る時系列を辿りつつロシア・ウクライナ戦争の政治的原因・推移を考察し、第5章ではそれを踏まえた本戦争の特徴を述べている。
2021年の春からロシアは演習と称してウクライナ国境に軍を大規模展開しており、その時点で軍事的緊張が高まっていた。これにはロシア寄り(というより自国主義のため他国への介入を好まない)のトランプからバイデンへ政権が移ったことが要因として挙げられている。ウクライナのゼレンシキー(これはウクライナ語表記)も、第二次ミンスク合意の批准やNATO加盟をめぐりアメリカとの外交政策を続けていたが、はかばかしい進捗は得られなかった。
2021年9月には春の軍隊が撤退しておらず、それどころか増えていることが発覚。ここでプーチンは「ロシア人とウクライナ人の歴史的一体性について」という論文を公式発表。ウクライナとロシアの一体性を強調する右翼民族主義的な見解を大統領個人のものとして明確に示した。プーチンの動向は一時平和共存路線をとるかに逸れるものの、2022年明けには開戦は確実に。
当初のロシア側の目的は短期決戦だったらしい。首都キーウに近い北部のアントノウ空港への奇襲からも明らかなように、ゼレンシキーを退陣させ、混乱したウクライナに傀儡政権を樹立することが眼目だった。しかし、ゼレンシキーはロシアの予想を裏切り理想的な動きを見せる。アメリカをはじめとした西側からの武器供与(特にジャヴェリンはウクライナ抵抗のシンボルとなった)も手伝い、ハルキウを守り抜き北部の戦線は膠着、ロシア軍は撤退を強いられる。停戦交渉はウクライナへの歩み寄りを見せる(ただし、ブチャでの虐殺発覚により交渉は決裂)しかし、ロシアはここで東部のドンバス地方へと方針を転換。マリウポリが陥落し、ドネツィク、ルハンシクはロシアの手に落ちる。
当初の作戦に際し、プーチンと軍や情報部との亀裂が明らかに。奇妙なのは、ロシアが戦時体制に入らず動員が限られること。著者はこれを、国民への平穏な生活の保障に原因があると見ている。核兵器の使用も、前著『現代ロシアの軍事戦略』であったように、西側からの介入を牽制する材料としての威嚇にとどまった。
総じて今次の戦争は、いわゆる「ハイブリッド戦争」(戦場外部のファクターが重要な要素となる)のような新しい戦争とは程遠く、むしろ大量動員や兵器の物量によって村落を取り合う古典的な戦争であった。
さすがに現在日本でロシア知識人を代表するような存在なだけあって巧みな論理展開である。現在進行形の現象である今次の戦争が簡潔にまとめられており非常に勉強になった。今後も小泉氏の著書は必読となるであろう。
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ロシア・ウクライナ戦争がはじまった年に行われた対談も含まれているので、今更読む必要があるかなと思いつつ読みはじめたけれど、普通に参考になる本だった。
日本の安全保障と朝鮮半島、台湾の安全保障の間には密接な関係がある。
あっさり読み終えることができる割には読みごたえもあって良い。
ロシア・ウクライナ戦争がはじまる前までは、もうこんな戦争は起きっこないと根拠もなく信じ込んでいたタイプなので、戦場のニュースを見ても、戦争をしていることしかわからない。
こういう軍事的知見に立った読みやすい本が出てくれるのは助かる。こういう本が必要な世界であることは悲しいけど…。 -
Posted by ブクログ
著者は2014年のロシアによるクリミア半島強制併合とドンバス地方への侵攻を第1次ウクライナ戦争、2021年2月のロシアによるキーウ襲撃や東部ウクライナ侵攻を第2次ウクライナ戦争と呼ぶ。本書は第2次ウクライナ戦争を、民間利用可能な衛星写真を含め、出典を明記した膨大な資料(特にロシア軍の発表や学術研究)から解釈する内容となっている。ただし、もちろん、戦争は継続中であり、その内容は2022年9月末ごろまでに明らかになった情報に基づくという限界がある。
また、著者の専門分野は軍事戦略(特に直接的兵器による暴力に加えて、情報戦・サイバー攻撃を含める「ハイブリッド戦争」など)の研究がメインであり、「歴史的側面については、先行研究に譲るほかないと判断」したとのこと。さらに、第1次ウクライナ戦争については、同じ著者の「前著『現代ロシアの軍事戦略』やその他の優れた解説」について触れているので、本書では扱われない。
そうはいっても、第1次ウクライナ戦争以後、第2次ウクライナ戦争に至るまでの、ロシアとウクライナ間にはいろいろなやり取りがあったことをかなり詳細に知ることができる。第2次戦開戦の半年ほど前から、軍事演習の名の下で異常に大量のロシア軍が、ベラルーシを含むウクライナ周辺に集結し、演習の終了後も撤退すると発表しながら、撤退しなかったことなどが、衛星画像などで知られており、欧米やウクライナも戦争勃発を予想しえていたことがわかる。そしてバイデン大統領はロシアの侵攻が2022年2月16日とまで具体的に予測していた(実際には2月24日に戦闘が始まる)ことにも驚いた。
特にニュースでは(たぶん)あまり取り上げられないような、ウクライナのネガティブな面、第2次前のゼレンスキー政権が当初はかなりプーチン政権に温和な交渉を試みて失敗していたことや、政敵に当たるプーチンと親しい親ロシアのメドヴェーチェクの所有する親露派テレビ局3局の閉鎖、メドヴェーチェクの資産凍結、さらに起訴などをかなり強硬に弾圧したこと、第1次戦争後にロシア語を公用語から外してウクライナ国内のみならず欧州議会からも非難が出たことを知った。
第2章のプーチン論文「ロシア人とウクライナ人の歴史的一体性について」(2011年7月)の解説は最初の大きなハイライト。一見穏やかな「デタント路線」にも取れるように書かれているため、著者はどうとらえるべきか、悩んだという。また、ウクライナとロシアとの第4回停戦交渉で、ウクライナからかなり現実的な停戦条件を含む提案がなされ、ロシアが一概には否定しなかったことも興味深い。この後ウクライナの村ブチャでのロシア軍による虐殺が暴露されて、ウクライナは態度を一気に硬化させる。
ロシアの核の脅しについては、最初に一度使用したら、ウクライナやその支援国に与える影響は通常兵器に比べて桁違いに大きく、その後の展開がまったく予想できず、著者も(本書執筆段階では)ロシアとしても欧米と同様、結局、使用には踏み切れないだろうと考えているようである。
最後の第5章中の「プーチンの主張を検証する」は最後のクライマックスで、プーチンの主張の欺瞞性が次々に検証されていく。プーチンは、同一民族とかネオナチとかNATO拡大を口にしながらも、それらには矛盾があり戦争開始の根拠として成立せず、間接的に色々と動機がありそうだが、結局は「民族的野望」としてウクライナを支配することが目的だろうということになる。
終わりに、日本としても、特に「台湾有事」を想定した国内の「有事」に対する議論が不十分なことを憂えており、ウクライナ戦争を自分事として教訓として学ぶこをが重要と主張している。
総じて多くの情報をうまくまとめ、俯瞰した解説は分りやすく解説されていると思う。巻頭付近にある略語表も役に立った。
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Posted by ブクログ
プーチンがウクライナへ侵攻し世の中を驚かせたのは2022年2月のことであった。当初長い戦車車列で首都キーウ(当時は未だロシアの読みのキエフと呼んでいたが)へ向かう進軍、ミサイルが次々と都市の背の高いビルを破壊していく様、ロシア軍のヘリが撃墜される映像などは大きな衝撃だった。どこぞやの経済的に未発達な国の内戦ならまだしも、落ちぶれたとは言え大国であるロシアが、自国の軍隊を侵略のために国境を越えさせる。果たしてこのようなことが現代社会にあること自体に驚いたし、一体ウクライナがその後どうなってしまうのかとニュース映像やネットの動画に釘付けになった。その当時からよくテレビで見かけるようになったのが筆者の小泉悠氏である。表情を変えず淡々と喋る姿が印象に残っていた。たくさんのコメンテーターが、我が物顔で持論を得意げに話している横で、感情の起伏もなく只々淡々と話す姿だっただけに余計に印象に残ったのかもしれない。新型コロナの報道に何度も現れて我が物顔で喋っていた女性が散々叩かれたのを見ていたから、生真面目すぎるロボットのよう抑揚なく落ち着いたテンポで話す(好感を持って言ってる)。
そのうち書籍でも出たら読みたいと思っていたところ、開戦(プーチンは特別軍事作戦であり、戦争では無いと言うが)から半年ほどで何とも読み応えある内容で本を出してきた。元々現代ロシアの戦略に関する書籍を直近出していたこともあり、そこからの引用含め、侵攻に至った経緯やロシアとウクライナ双方の政治情勢など細かな分析がされていて面白い。
ニュースだけを見ていると、単純に2014年のクリミア進行の続きでロシア側からの戦略的な補給路の確保であったり、NATO西側への対抗としか伝わってこないが、プーチンは元KGBということもあり、ウクライナ内部へのスパイの配置や、ベラルーシなど同盟国への働きかけ、そして国民に対する理解の醸成など何年も何年も長い時間をかけて準備を進めてきたことがわかる。
ウクライナ内部でもゼレンスキーは親ロシア派のメドヴェチュークに野党第一党を奪われ、内部からプーチンと交渉されるなど押される状況でもあり、何とかただのコメディアン大統領から国を引っ張る強いリーダーになる道を模索していた。それ自体もそうした状況を敢えて作り出し、いつでも挑発に乗る状況をロシア側が仕組んできた可能性もある。ベラルーシのルカシェンコもそうだ。国民の支持率を失うよう民意をコントロールし、あたかもロシア側が政権を救ったようにみせかける。ロシアの前線基地になるまいと散々拒んだが、結局はロシア軍駐留を許してしまう。最早ルカシェンコの生殺与奪の権はプーチンにガッチリ握られている。
その後の戦況はニュースで我々もよく知るところであり、本書出版以降もそれ程大きくは変わらなかった。プーチンの方はNATOに対抗できないので核を脅しに使い始めており、いよいよ広島長崎以来、人類史に残るような悲惨な状況が必ずしも訪れないとは限らない状況になっている。筆者はそれについても幾つかのパターンを示し、其々の選択に対する西側の対応方法について分析している。配偶者がロシア人の奥様ということもあり、島国日本人には判らない大陸独特の感覚にも触れる機会も多かろう。極めて冷静に膨大な情報の中から分析を重ねられているようであり、読み応えがある。
現状は西側からの大量の武器供与を受けたウクライナが一大反転攻勢の真っ只中にある(2023年8月時点)。予想よりも反撃の進行速度はゆっくりではあるが、最近ではあまり時間を取らなくなってしまったニュースからでも、ゼレンスキー大統領の健在ぶりは見えてくる。そのうちF16やグリペンを駆使して、制空権を取りに行くウクライナ兵士の姿も見える筈だ。
筆者は今回の戦争自体を、過去の様々な戦争と比較し、果たして「新しいタイプの」戦争に該当するかにも分析を加えている。確かに過去には見てこなかったドローンによる攻撃(アメリカがイラクで使用したUAVよりも小型で民製品が主体)、民間の衛星を活用した索敵、初期にはロシア将官が使うスマホの電波を追うなどサイバー空間での戦い、それらに加えてジャベリンやハイマース、戦車にはチャレンジャーやレオパルドなど技術的には最新のものを駆使して戦っている。クラウゼヴィッツの言う三位一体の戦争においても、国民からの大きな支持と兵力提供にも支えられている。それら事実から小泉氏が導き出した、本戦争の姿は是非読んで頂きたい。 -
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本書が発売されてから一年近くが経とうとしているが、残念ながら戦争は終わりそうもない。
最近日本では、ウクライナ戦争に関する報道も減りつつあるような気がする。
本書は戦争が始まる少し前からの両国の動きと、開戦後昨年の秋に至るまでの経過や、両国と関係諸国の動きを端的に分かりやすくまとめ分析している。なかなかの良書だと思う。
分析にあたり、事実を重視して可能な限り公平であろうとする努力には共感を覚える。終わりに、今後の日本で早急に考えておかねばならぬ事が端的に纏められている。このウクライナ戦争は、日本の国民の一人一人がこの東アジア地区での日本役割をしっかり考えるいい契機になると思うし、そうしなければいけないだろう。
その為にもこのウクライナ戦争にどう自分自身が関わっていくかを、しっかり考えねばならなだろう。 -
Posted by ブクログ
気鋭のロシア軍事研究者である著者が、2022年2月24日に始まったロシアによるウクライナ侵略(第2次ロシア・ウクライナ戦争)について、なぜこのような戦争が起きてしまったのか、それは本質的にどのような戦争であるのか、戦場では何が起きており、日本を含めた今後の世界にどのような影響を及ぼすのか、書き下ろしで解説。
2023年7月時点でも現在進行形の世界的な危機である第2次ロシア・ウクライナ戦争について、その背景や2022年秋時点までの状況、戦争の特色がよく整理されていて、参考になった。
今回の戦争はやはりプーチンの個人的要素(原因としての民族主義的野望や、マイクロ・マネージメントによる失敗など)が強そうという印象を持った。専門家の著者でさえ、リアルタイムでは読みを外すことが度々あったことが率直に吐露されていて、今回の戦争の複雑怪奇さを物語っている。
「おわりに」で総括と今後の展望として述べられている、①この戦争は極めて古典的な様相を呈する「古い戦争」であるという点、②核抑止は依然として大国の行動を強く縛っているという点、③この戦争が「どっちもどっち」と片づけられるものではなく(当然ロシアに強い責任がある)、主体的な議論が必要であるという点は、我が国の安全保障にとっても大きな教訓となる重要な指摘と感じた。 -
Posted by ブクログ
【before】この本を読む前の私はロシアについて無知でした。以下の点について勉強になりました。
・「無理だ」と言われると「何としても突破してやろう」というのがロシア人。ルールを破ること自体が目的にもなる。
・ロシアの人々を統治するのは容易ではない。むしろ「我々は、容易に統治できない民なのだ」というところにロシア人は自負心を持っているような節もある。
・「容易に統治できない我々」意識と「そうであるが故に強い調停者を頂かねばならない」という意識は表裏一体であり、プーチン大統領の人気もこの辺にある。
・全部は監視できないが、時々見せしめ的に警告を発する。「常に監視を意識させることで社会全体を萎縮させる」のがロシアの手口。
・スターリン時代に深い地下鉄を造り、有事に防空壕として使用することを想定した。ウクライナ戦争ではキエフ市民たちが爆撃を避けて地下鉄構内で暮らしている→プーチンの始めた戦争の時代錯誤さを象徴している。
・なぜ国力の弱いロシアが「アメリカと対峙する大国」のように振る舞えるのか?
・2010年代以降、ロシアは国益が損なわれると見ると軍事力行使を躊躇わない。
・「世界最大級の核戦力を保有するロシアを相手にする」とは、最終的には核戦争さえ覚悟せねばならないこと。
・自国を「大国である」と強く信じ、周囲にもそれを認めさせようとするところが、ロシアを大国たらしめている。
・西側とは和解したいが、彼らの秩序にただ従うのは嫌だ。特に旧ソ連諸国は昔から苦労して築き上げてきた勢力圏で、圏内ではロシアがリーダーであるべきだ。
・旧ソ連諸国の体制が民主化によって崩壊していくのは見ていられない、という感覚。こうした文脈と大国へのこだわりにより、西側に対して「これ以上 NATO を東に拡大させないと認めよ」と迫った。
・国力が衰えていくロシアは「軍事力に頼りたい誘惑」に勝てず、結果、微妙な均衡を力ずくで壊し、孤立を深めている。
・プーチンが尊敬する歴史上の人物は、自らの考える「ロシアのためになること」に逆らう者は容赦なく弾圧した。どうもプーチンの愛国心は、こういう方向に発揮されてしまっているのではないか?
・そもそも最初は愛国的な動機でプーチンは自らを戒厳司令官として規定したと考えられるが、問題は次第にそれ自体が自己目的化し「いつまでも戒厳令を解除できなくなってしまったこと」
・プーチンの側近たちはコネ人事や蓄財に励み腐敗度指数は世界136位(上位がクリーン)。歪な統治のツケは、プーチンが権力を手放した瞬間に回ってくる。
・市民社会に対するプーチンの不信は深い。「自発的な意思を持った市民」という存在に非常に懐疑的で、むしろ大国による認識操作の対象と見ている。
・プーチン政権の統治手法に対して国民が反発すると「それは皆、西側が操っているからだ」と見る。
・ウクライナの今後について、プーチンはなりふり構わずこの難局を打開しようとするはず。民間人をどれだけ犠牲にしようとウクライナ政府を屈服させようとする。化学兵器級の大量破壊兵器を使用するかもしれない。米英は既にこのシナリオを懸念。
【気づき】この本を読んで私は以下の気づきを得ました。
・ロシアは規格外の天才を世に出すのが上手い。それは才能ある子供を早くに見い出して伸ばすことに重点を置くから。例;インターネットセキュリティ企業の創業者・エフゲニーカスペルスキーは数学専門学校卒。
・ソ連では地区の発電所で出る温水を各家庭のヒーターに循環させるセントラルヒーティング方式が早くから採用され、効率的だった。
・サンクトペテルブルクは古くからロシア帝国の中心地で、洗練されたムードが漂う。モスクワとは街並みも違うし、住人の意識も違う。
・ネイティブ英語スピーカーにとり、ロシア語の習得に必要な学習時間は44週間。
・独自の核戦力をもって非同盟を貫ける大国だけが、プーチン的世界観では本当の主権国家で、それは中国とインドである。
・ロシアと中国の関係は、「マフィアのボス同士が、余程のことがないと相手のシマを侵したり、メンツをつぶさないよう配慮し合う」のに似ている。
・こういう関係性を結べる相手こそ、大国として、ロシアのリスペクトの対象。
・インドはアメリカにもロシアにもなびかず、あくまで独立したパワーでいたい。
【TODO】今後は以下のことを実行していこうと思います。
・運命の皮肉、イーヨー、という映画を見る。
・ジョージアの料理、ニンニクの効いた濃厚クリームスープ「シュクメルリ」と、米の入った辛いスープ「ハルチョー」を食べてみる。
・ロシアのサラダ(毛皮を着たニシン→ニシン・じゃがいも・玉ねぎ・ビーツをマヨネーズで和えたもの)を食べてみる。 -
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現在のウクライナ侵攻でもロシア側で暗躍している傭兵組織ワグネルの一員として、著者の実体験に基づく作品であり非常に参考となる内容である。文章も小説的で読みやすく、一人の男の物語として共感のようなものも感じられる。
元ロシア空挺部隊の将校である著者が家族のために稼ぐ必要性などもあり、中年となってから傭兵組織であるワグネルに入る。舞台はシリア内戦が主であり、そこでの実戦で、ロシア正規軍が示す本音と建前、シリア政府軍やワグネルの同僚の軍隊としての質の低さなど、葛藤や怒りのようなものを体験していく。
全てが完全な事実なのかは不明であるし、作品の中で表現していない事象などもあるだろうが、傭兵としての実戦の雰囲気はよく伝わってくる。
部下や仲間が統率が取れていない中、悩むリーダーである著者でもある主人公は、環境などは違えど組織の中で管理的な立場を任される現代日本の中年層ないし管理者層にもその姿を投影することができる。
ロシア政府やロシア軍が、建前では傭兵を否定するのに対して、実際の戦場ではひどい装備と扱いの中で傭兵達が戦果を上げる本音と建前の構図も、社会の複雑さを見る上で気づきを与えてくれる。
また、傭兵という、言わば寄せ集めの集団であるが、場面によっては強い仲間意識などを示すことも、集団やチームを考える上で重要な要素があると感じた。 -
Posted by ブクログ
現代の安全保障は国家や特定の省庁、一部の専門領域だけで考えることができないことをあらためて感じさせられる。
新型コロナウィルスやロシアによるウクライナ侵攻であらためて注目されるようになった偽情報や情報戦の重要性。
日本では今まで言語的な壁にも守られていたことで、海外からの偽情報拡散の脅威にさらされていなかったこともあり、根本的な問題意識も欠如している。
しかし、ロシアによる情報戦の手法にも見て取れるように、
何も正しいように見える偽情報を拡散されることだけが脅威なのではない。
複数のチャネルに迅速に、また継続しながら、反復して情報を拡散することで、事象を分かりにくくすることだけでも、群衆心理に一定の影響を与えることができる。
日本は平時の外交上の失敗での反省からYou Tubeでの英語情報発信などを外務省が行っている動きがあり、偽情報に関する関係省庁の枠組みも作られているが、偽情報の脅威に対する包括的な対策という意味では道半ばである。
情報安全保障を確立するためには情報統制も不可欠であるが、表現の自由や民主主義との相性が悪く、国民の理解を得られる情報統制のあり方への議論が必要だ。いざというときの省庁連携もうまく機能するか分からない。
ファクトチェック機関が本書の定義では3機関しかないというのも心許ない。
また情報はインフラがなければ拡散も統制もできないが、
論理インフラは通信事業者、すなわち企業による部分がほとんどであり、物理インフラも攻撃時の復旧などは現場技術者の能力に頼らざるをえない。
ウクライナのゼレンスキー大統領が成し遂げたような、言葉と意志の示し方により、各国の協力や共感を得たという事実もある意味見習う必要がある。
ロシアの情報作戦部隊は群衆心理を研究しており、外交官、専門家以外にもジャーナリストや作家など、多様な人材で構成されているとのこと。
日本は今後包括的な情報戦に向けて、官民問わず連携し、多様な視点で情報の分析、統制を行える体制を作る必要がある。