あらすじ
2010年代後半以降、米中対立が激化するなか、2022年2月、ロシアがウクライナに侵攻。世界情勢はますます混迷を極めている。プーチン大統領はロシア帝国の復活を掲げて侵攻を正当化し、習近平国家主席も「中国の夢」を掲げ、かつての帝国を取り戻すように軍事・経済両面で拡大を図っている。世界は、国家が力を剥き出しにして争う19世紀的帝国主義に回帰するのか? 台湾有事は起こるのか? 米中関係に精通するジャーナリストが、国際政治のエキスパート5人と激論を戦わせ、これからの世界の勢力図を描き出す。
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プーチンはKGB的な取締りマインドでキャリアをスタート。習近平は偉大な中国の夢の為に終身でやるぐらいの気持ち。プーチンは強権的に取締りすぎたから引退出来ない。
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ニュースでは見聞きするものの結局ウクライナ戦争はなぜ起きたと考えられているの?日本への影響は?台湾有事にも波及する?と、世界で起きている大きな問題であるにもかかわらずうまく説明ができなかったが、この本を通して頭の整理ができた。第一線で活躍する国際政治のエキスパートとジャーナリストの議論の末にまとめられた本。面白かった。
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峯村健司vs小泉悠、鈴木一人、村野将、小野田治、細谷雄一
どれも読み応えのある好取組。
ただし、著者の結論と読後の感想は異なる。
著者は「帝国主義の逆襲」を主眼に述べているが、むしろ逆に、ウクライナでロシアの野望を粉砕できれば、中ロのような帝国主義の終焉になるのでは無いだろうか?私はそう信じているし、そのために日本国民としてできることを考えたい。
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【読書レビュー 609】
峯村健司、小泉悠、鈴木一人、村野将、小野田治、細谷雄一『ウクライナ戦争と米中対立ー帝国主義に逆襲される世界』幻冬舎、2022年
大変勉強になります。
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何年か前の本とは思うが勉強になる。最近の米露の関係性とトランプ大統領のウクライナに対する決断の意図がなんとなく想像できた気がした。ロシアは歴史的にアメリカに対する劣等感や敵対感が国全体にわたって刷り込まれていて、ウクライナ侵攻とその結果も今後の米露の関係に多大な影響を与える。アメリカ側としてはロシアとの溝を深めることは不本意で、今ここでウクライナという”小国”を見捨ててでもアメリカ国内の今後の平和のため、ウクライナに降伏を進めているのではないか。自分の認識している道理だけだと、ウクライナは侵攻されている側なので、静止するのであればロシア側だろと思うので。またロシアのウクライナ侵攻を中国は今後の台湾併合の参考として見ているという話にゾッとした…。
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ロシアによるウクライナ侵攻、また今後起こりうるといわれる台湾有事の予測など、昨今の国際情勢について、著者が複数名の専門家と対談する。本書は主にアメリカとロシア、中国の関係を中心に語っており、それによると、ロシアと中国は日本を半植民地と見なす、つまりアメリカと同盟国を結んでいることは完全な主権を確立していないと考えている。また日本のロシアに対する性善説は江戸時代末期からあり、実際に日露戦争の直前、桂太郎が英国と同盟を結ぶことに対し、伊藤博文は日露協商を唱えるという事例があった。さらに2022年のウクライナ侵攻時に、ロシアに経済制裁を実行したが、これは短期的に見ると効果は現れないが、相手のコストを上げるという利点があるので、制裁期間が長引くほど、ロシア側は戦争の継続が厳しくなり、そこから停戦交渉が行われると指摘する。
一方で台湾有事での中国の動向についてだが、これは明確な時期は不明であるが、中国人は周年を大事にする文化をふまえると、人民解放軍100年でかつ習近平国家主席3期目の終わりである2027年に注意すべきだという。また米ソの冷戦と異なり、アメリカと中国間には安定した対話の枠組みがないことが懸念される。それに加えて、もし台湾有事が起きた場合、日本はウクライナ侵攻におけるポーランドと同じ立ち位置になること、同時にロシアと北朝鮮の動向に注意すべきなど、他人事でないことがわかる。このように、今後の世界情勢はアメリカ一強の時代ではなく、18、19世紀のような帝国主義、多極的な世界へと変貌する。
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断片的に捉えていたウクライナ問題を体系的に理解するに有益な本だった。また、ロシア関係だけではなく、最も意識すべき中国に繋げて議論される。個人的には台湾有事とウクライナ戦争がストレートには繋がらない。その視点でも読んでみた。
2003年のイラク戦争はアメリカが全くロシアの言うことを聞かずに開戦した。それまではロシアもG8に参加し、西側との全面戦争は無いのだからと徴兵制を廃止しろと言う主張をしていた。それと前後して2003年にジョージアでバラ革命、2004年にはウクライナのオレンジ革命。そこでウクライナがNATOに加盟すると言い出した。2005年にはキルギスでチューリップ革命。この一連のカラー革命をプーチンや彼のブレーンたちは、アメリカの陰謀だと思い込んだ。
よく言われるのは、東西ドイツ統一時のNATO東方不拡大発言の反故。本著では「アチソン発言」を引き、開戦に踏み切る2ヶ月前の2021年12月、プーチンとバイデンが電話会談にも原因を求める。ロシアがウクライナに侵攻しても米軍の派遣は行わないと明言。バイデンの失言だと。
中国について。人民解放軍が創設100周年を迎える2027年までに戦闘体制の全面強化を宣言、台湾有事可能性があると。しかし、武力を背景に統一させても遺恨は残り、そんな事をせずとも爆発的な変化を起こさずじわじわと原状変更できるなら中国にはその方が良策。諸刃の剣となる経済制裁に及びたくない西側の利害とも一致する。敢えて手を汚さない。その為には、ロシアがウクライナと戦争状態に無い方が良い。どちらが勝つかではなく、決着がついていないとアクションが判断できない。ならば、後4年、中国を動かさないためには。連関する事情はあるような気がする。
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従前から意識されていた米・中ロの対立構造がウクライナ戦争で先鋭化。
民主国家対専制国家の構図は必ずしも前者に有利ではない。
以前は全世界の7割を超えたG7のGDPは4割程まで低下し、グローバルサウスと呼ばれる発展途上国はむしろ後者との関係を深めている。
アジア随一の民主国家である我が国がかかる状況に目覚め、自国防衛力を確保するとともにグローバルサウスなどとの橋渡しをすべき、との論考。
個人的には小泉悠氏があまり他では語らない逸話を披露しているのも面白かった。
Posted by ブクログ
とても面白く読めました。
米中露の関係性の中にいずれも関わる日本の立場とこれからの在り方について、現実的な状況分析からのアプローチをしている。
現実を見てしまうとこういった理論展開しかないよなと思わざるを得ないのですが、一方で理想論左派的な立場を塗り潰すのは違憲のコントロールという面でリスクが高すぎるとも感じる昨今です。
普通にぶつかれば理論が勝ってしまうように見えるのですが、両方飼っていて良いのではないかと。
ともあれ、現実的な検討をする上での論点について、さらには各国の文脈について多くを知れる本でした。
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時間かかっちゃったけど、専門家によって書かれた本で深く考えさせられる。ウクライナはまさに対岸の火事ではなく、台湾問題に飛び火しかねず、中国も虎視眈々とそれを見据える以上、日本人もいままさに防衛について、国際貢献についてアメリカ頼みでなく、主体的に考えなくてはいけない。
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audible 。小泉悠が出てくるのでちょっと期待していたが、軍事オタク、戦争で飯を食う戦争屋のゲームブックだった。
私はこんなゲームの登場キャラになることは断じて断わる。9条の精神は捨てない。
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現在のウクライナ戦争、最近の米中対立と中国の台湾侵攻のリスクを中心に、国際政治的、軍事的、地政学的な観点で分析されている本
中長期的な課題として、プーチンロシアとウクライナ戦争の影響は大きいものの、日本•世界にとっての最大の脅威は中国だと指摘する。
中国は情報公開が不十分で得られるものは限られているとは言え、近年の軍拡は明らかで、台湾侵攻に関して説得力のある蓋然性が高いリスク分析がされている。
(なお、個人的にはウクライナ戦争はそのリスクを増大させるのではないかと思っていたが、ほとんどの中国政府や軍関係者は「ウクライナと台湾は別問題」と考えているとのことであった。)
また中国や欧米の強かさに比べて日本は個人レベルでも企業レベルでも国家レベルでもナイーブで楽観的で強かさがなさすぎるとの指摘が強調されている。心理戦や世論戦や影響工作への低い防御力•レピュテーションリスクの認識不足や安全保障の観点が欠如した国際的活動•中国の軍事演習への甘い対応。
そんな予測困難だが蓋然性のある紛争リスクと世界各国や国連のパワーバランスの変化に対して、憲法9条と日米安保を有する日本が今後どのように対応していくのが望ましいかについても記されている、
対談形式の本である。
やや専門的な言葉も出てきたり、戦争の話題の時に(笑)が出てくるのは不快だったが、皆さん穏やかな語り口なのはよかった。