細谷雄一の作品一覧
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Posted by ブクログ
2026/10/01「石橋湛山との対話: 『危機の時代』を歴史洞察する」
船橋洋一
日本単独の日本史はない 「世界の中の日本史」を痛感する。日本史と世界史を一体で学ぶ必要がある。
戦前の日本も、対米・対欧、対中華、対アジアの関係の中で、日本の行動を迫られ、実行に移していたのが実情。後世になって、日本が独自の判断で歴史を切り拓いたような歴史の書きぶりは大きな誤りであり、禍根を残す。
ex 近衛文麿「英米本位を排す」「今後蒋介石政府を相手にせず」
国を滅ぼすスタンドプレイ
「小日本主義」世界の流れをどう読むか 民族自決 反植民地主義 反帝国主義
さらに植民地経営は経済的にペイしているのか、リアリスティックな検証も必要
100年後の現代、再び人類は同じような課題に直面している
次の時代の新しい理念の取り込みに今度は成功するだろうか?
石橋湛山への質問が残る
Posted by ブクログ
・戦後史の解放I 歴史認識とは何か: 日露戦争からアジア太平洋戦争まで
・戦後史の解放II 自主独立とは何か 前編: 敗戦から日本国憲法制定まで
・戦後史の解放II 自主独立とは何か 後編: 冷戦開始から講和条約まで
の3冊まとめて。
ウクライナ戦争勃発後、国際政治の動向にもついていきたいと思って勉強する中で読んだ本。著者は国際政治学者。ウクライナ戦争関係の情報収集のために彼のTwitterをフォローしていた流れで、著書も読んでみた。
第1巻で日露戦争~アジア太平洋戦争敗戦、第2巻の前後編で敗戦~サンフランシスコ講和条約の期間を扱い、”国際社会との関係の中で”日本の歴史を論じる内容。
日本における第二次世界大戦関係の論述って、反米とか、憲法9条至上主義的なのとか、イデオロギー前提で視野が限定されたものが氾濫している印象があって避けており、無知なままだった。この本は、そういったイデオロギー、あるいは時間軸・地理軸による視野狭窄を批判し、世界史の中の日本史として戦前戦後を論じて、国際政治とその成り行きという広い視野をベースにしている。そのベースのもとに既存の研究や重要人物の発言をまとめ直したという感じ。
第1巻(歴史認識とは何か)では、第一次大戦後のパリ不戦条約らへんから、列強による国際協調の流れ、それによる外交的制約が変化する中、それらの流れや制約を十分理解できずに孤立を深めていく日本が対比的に論じられる。パリ講和会議では戦勝国として参加していた日本が、どのように孤立に陥ってアジア太平洋戦争を始めるに至ったか、その流れがよく理解できた。
歴史を学ぶとよく思うことだが、戦争突入はこいつのせいだと”悪者”を見つけようとしたり、そうでなくとも何かの事象に対して属人的な要因を探ったりするのは不毛だな、と改めて思わされた。状況の構造や系譜を背景として、たまたまある人がその状況に即した行動をする。その積み重ねであり、極論を言えば全員の全行動の集積だとも考えられる。
第2巻(自主独立とは何か)では、敗戦によりアメリカの占領統治下に置かれてから、サンフランシスコ講和条約調印までの約6年間の時代が2冊に渡って濃密に語られる。前編では日本国憲法制定を巡るドラマを中心に。後編では冷戦が進行する世界での、アメリカの対日方針の移り変わり、日本の対応、そして講和条約への歩みを中心に。
本書で繰り返し述べられており、特に第2巻で強調されていたのは、「国際政治の厳しい現実を直視しない夢想的な外交論はダメ。どの国も無数の拘束と限られた選択肢の中で、困難な舵取りをしなければならず、日本の自主独立回復もそうだった」ということだ。これは今の国内外の政治を考える上でも欠かせない基盤だと感じた。
第2巻では、第1巻よりも重要人物の発言・回顧録からの引用が多々あり、個人のエピソードも多く語られるので、ドライな学びだけでなくウェットな人間ドラマも味わえて、ちょっと歴史小説的な面白さもあった。敗戦のドン底から、幣原、芦田、吉田の3人の首相を中心に困難な交渉や決断を乗り越え、最後は講和条約調印に至る。そしてそれが、今日に至る日本の平和国家としての繁栄に直結したわけで。
第一次大戦のパリ講和会議で、敗戦国ドイツへの憎しみに満ちたスーパー懲罰的講和を、参加者として目撃していた吉田茂とダレス。その講和はすぐに第二次大戦へ繋がってしまった。この二人が、戦後日本で日米両国の責任者として再び出会ったことで、和解と信頼のサンフランシスコ講和条約に至ったことを知り、感慨深く思った。
今日の国際情勢は、冷戦時よりも複雑さを増し、各国を取り巻く制約や選択肢の理解が難しくなっていて、もっと勉強が必要だなと感じる。
Posted by ブクログ
平和は努力無くして我々の元には訪れない。我々が平和を愛し、戦争を望まなくても、戦争は彼方から我々に忍び寄ってくる。世界を見渡せば常に国家間の紛争だけでなく内戦やテロがいつも何処かで起こっている。今はまさにウクライナとロシアの戦争、そしてイスラエルによるガザへの侵攻など、日々ニュースで流れるものもあれば、国家による少数民族への暴力、自爆テロなどあげたらキリがない程、世界は平和とは遠くに置かれた市民がいる事を忘れてはならない。我々日本人は戦後80年、一切そうした場所とは無縁に生きてきたと言っても過言ではないだろう。勿論、記憶に新しいオウム真理教による地下鉄サリン事件や、秋葉原の殺傷事件、安倍元総理の殺害など、恐怖を感じる事件は度々起こってきたが、警察官の日々の努力で無事に解決してきた。自衛隊が出動する機会の無いこれら出来事は、犯罪・事件として国民に認識され、これを機に日本の平和が損なわれた、衰退したと実感したものは少ないだろう。そう、日本は依然として平和な国なのだ。しかしながら世界には、その様な事件レベルに止まらず、ミサイルやロケット弾、戦車やドローンからの攻撃に晒されている市民がいくらでもいる。そこでは、当たり前だが人々は血を流し、武器をとって戦っている。
戦後日本は長らくアメリカの庇護の元に、諸外国から直接領土を攻撃される事なく過ごしてきた。そして竹島だけは韓国に上陸され実効支配をされ続けてはいるものの、その他領土領海を他国に奪われる事なく、自衛隊が戦闘に巻き込まれた事は幸にして無い。この背景にあるのは勿論日本の安全保障政策が成功してきたからであり、何よりアメリカの存在の大きさが影響してきた事は言うまでも無い。何故なら、日本の周辺には日本とは基本的な国の在り方、考え方を必ずしも共通でない国家が存在し、何より他国の領土を国際法に反してでも奪いとる事を恐れない国は沢山いる。例えばウクライナに攻め込んだロシア、更には台湾を国内問題としてさっさと片付けてしまいたい中国、日本の上空を越えて実質的なミサイルであるロケットを放つ北朝鮮など、そうした国々から未だに攻撃を受けてない。彼らの国益を考えれば、当然日本を攻撃できる能力を行使する可能性は十分あるはず、にも拘らずだ。彼らの行動を抑止しているのは、当然、日本の自衛隊の存在とアメリカの沖縄駐留軍であるのは明白だ。屡々、国防費の削減や自衛隊の縮小、沖縄からの米軍撤退を求め、日本が武装せずに平和を貫けば、戦争に巻き込まれないと主張する声を聴くが、これは本当に楽園の幻想に取り憑かれたか、脳天気としか言いようが無いと感じる。仮に完全に武装をやめたとして、無防備な状態の日本を攻撃すれば、経済的に繋がりの深いグローバル社会に於いて、世界の国々が黙ってはいない、そう考える人も多いだろうが、事実経済封鎖されたロシアを止める事はできなかったし、イスラエルに至っては、各国が批判はすれど何も手を出せない。そして経済的な結びつきで言えば、世界の国々は中国との縁が切れる方が余程自国に不利益になる。つまり批判はすれど手は出さないと言う可能性は高い。そこへきて昨今いずれの国々も自国優先、犠牲を払ってまで他人の生命を守りたくはないというナショナリズムが優先する。トドメはトランプ大統領の経済のブロック化だ。これはいつぞやの大戦前の世界情勢に近い。最早、太平洋を目の前にした楽園のビーチに、無防備で寝そべる日本という国を、飢えた輩が襲わずにいる方が可能性としては低いのではないか。
安全保障に関しては本書で述べられるように様々な議論があっても良いし、寧ろ、巻末で「日本国民の一人として、引き続きこの問題を考え続けて、アジア太平洋地域の平和と安定のために日本がどのような貢献ができるのか、自分なりに答えを探し続けていきたい」と述べる筆者と全く同じ気持ちである。本書はただ闇雲に政府の施策に反対する立場の人間や、与党に対して反対の立場を取るだけの政党のやり方を批判する。それは必ずしも与党が正しいという事ではなく、表面だけで反対するのではなく、中身を理解し共感できる部分とそうでない部分を分けて議論を戦わせるべきだと、再三述べている。確かに、政権を取った時の主張と政権から脱落した後の主張が180度変わる、政権を取る前と取った後でまるで違う意見に変わる、と言った事はこれまで見てきた事だし、私の記憶から決して消えないだろう。「また言ってるな、自分達ならやれるのか?」。国会中継を見ながら突っ込むところが多いが、逆を言えば第2党がそれだから、政権与党も安寧として、堕落していくのではないかとさえ感じる。やや本書の内容とはずれたが、そうした状況にもズバズバと切り込んでいく本書は、私にとっては読んでいて爽快であったし、何より平和を構築するためにはどうしたら良いか、世界から紛争を無くし、人々が血を流す事なく平和な日常を手に入れるためにはどうしたら良いか、そうした疑問を一緒になって考えていく、良いきっかけになると感じた。
日本国憲法前文にはこうある。『自国のことのみに専念して他国を無視してはならない』、国際協調主義に関するものだ。日本が自国の平和だけを希求し続ければ、いずれ世界から虫の良い奴ら、自分勝手のレッテルを貼られ、しっぺ返しを喰らうだろう。そして沖縄からアメリカの抑止力がなくなる事は、本書が再三リスクとしている「力の真空」を産み、太平洋の楽園を虎視眈々と狙う国々からの嫌がらせや妨害を受けるだろう。紹介されているエドワード・ルトワックの言葉『汝、平和を欲するなら、戦いに備えよ』。この言葉が再び私の頭の中で繰り返し響いていた。