小泉悠のレビュー一覧
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ネタバレ著者自身はロシアの軍事について専門的に分析を行っているということで、
それをどういうふうにしているのか、ということについて共有されていました。
一般人はなかなかこんな情報分析をしたり、情報資料(インテリジェンス)を作ったりはしないかなーと思いながらも、
考え方として参考になることもあり、興味深かったです。
特に、情報分析対象の論理に飲み込まれることが少なくない、ということで、それに気をつけないといけない、という指摘があり、
これは私としても、情報分析を専門的にはしないまでも本を読んだりしているとよくありがちでどうしたらいいのかと思っていたので、陥りがちな罠として明示されていたのでこれからはもう少し意識できそうです。 -
Posted by ブクログ
通信技術に関わる仕事をする中で最近セキュリティが注目されている。すこし幅広くいろんな角度から知識を得たいと思っていたところに遭遇した本。タイトルを見てこれは読んでみようとなった次第
ちょっと物足りない。地政学とタイトルをつけるなら地理的要因に関する戦略で国家戦略の経済や技術とどう関連するのか、陸続きの国と海に囲まれた国での違いなどはもう少し詳細は議論があるとよいと感じた。海底ケーブルを巡る各国の状況などや現地の見聞情報、歴史的な説明はとても参考になったが、どういう国家のポジショニングにつながるか、覇権争いなどについてもっと考察の記述があると良い。それでも海底ケーブルを巡る企業の話とサーバーセンターの土地勘は技術者、経営者の人に多少なり参考になる情報提供だと思う。サーバーの土地が不動産に影響するというところは投資家には常識なのかもしれない。この本の情報をもとにアメリカ、中国、ロシアについて海底ケーブルに着目すると有線系通信の戦略議論は考察できそう。ヨーロッパなども含めて無線通信方もどうなるのか考えるとより通信技術に対しての地政学として考えていくことができそうだと思えた。 ヨーロッパでも島国と陸続きの国で無線がどう意味づけられていくのかは、ちょっと好奇心をそそる。
データの流通においてネットワークの重心(グラビティ)に着目した話は、今後のネットワークセキュリティで何(What)を保護するのかという観点とどこ(Where)を保護するのという観点が、セキュリティを考慮する設計で重要と理解できた。あまりセキュリティには精通しておらず疎かったのでよい知識獲得の機会だったと思う。 もっとセキュリティについての知識は学んでいこうっと。 -
Posted by ブクログ
ネタバレロシアによるウクライナ侵攻の前に書き始めて、侵攻後に幾らか修正、追加された感じ。
著者はロシアの軍事の専門家。ウクライナとの戦争が始まった頃にはテレビで見ない日はありませんでした。その著者が、軍事のことではなく、ロシアに暮らす人々、住居、街並み、食事、そしていろんな噂が語られている地下空間のこと、それらを通してロシアって・・・をデッサンしていきます。当たり前ですが、ロシアに暮らす人々の多くは「普通」の人々です。でも、今はそのことを改めて「知る」ことはとても重要なことでしょう。
最後の2章「「大国」ロシアと国際関係」「権力」は著者の専門分野です。その専門家でも、プーチンの考え、行動を正しく予測することはできないようです。最後の最後、2024年の大統領選についての予測は、実際とは大きく異なってしまいました。
それでも著者の予言「プーチンはなりふり構わずにこの難局を打開しようとするはずです。つまり、民間人にどれだけの被害を出そうともウクライナ政府を屈服させようとするということであり、場合によっては化学兵器のような大量破壊兵器の使用に及びかもしれません」については、2025年の今、残念ながらその通りになっています。
第6章「「大国」ロシアと国際関係」が、ロシア理解に役立ちました。自分の持っている尺度で理解しようとしても不可能なんです。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ<読書の動機と個人的見解>
軍事専門家によると、2027年が台湾有事のターゲット・イヤーと目されており、2029年までは緊迫した時期が続くという見通しだ。
そこで疑問に思ったのが、ロシアによるウクライナ侵攻(2022年~)のときに軍事専門家らはこのタイミングを見通せて警告を発していたのか、ウクライナ市民(特にキーウ)は事前に察知して安全確保のための行動を取れていたのか、ということだった。
気になっていたところ、Audibleの聴き放題に本書が入ったので聴いてみた。
<本書の内容>
この疑問への回答として、小泉さんはロシアがクリミア半島に勢力を増強し、ウクライナ側もその時に備えているという戦争の兆候は確認していたが、まさかキーウ攻撃に踏み切るとは想定できなかったという。
ロシアの軍事専門家として有名な小泉悠さんは素人目から見ると「インテリジェンスのプロ」に思えるが、彼に言わせると、政府機関で軍事にあたっている人のことをプロというようだ。
例えば、衛星画像はお金で誰でも入手可能になったとはいえ、軍事施設周辺などは発注から3~4日待たされるそうだ。軍関係者の検閲が入って、時には入手できないこともあるとか。検閲なしに即時提供してもらうには億単位の料金が請求されるという。つまり、民間の軍事専門家は「プロではない」という認識らしい。そしてロシアによるウクライナ侵攻についても米政府(当然米軍関係者ら)は、かなり確証の高い根拠を持って事前に把握していたとのこと。つまり民間の軍事専門家はインテリジェンスのプロ集団には敵わないということだ。
<個人的考察>
冒頭の「いつ、台湾有事が始まるのか?」という問いに対する答えは、軍事関係者らの動きを観察する感度を上げる必要がありそうだ。
具体的には、世界トップレベルのインテリジェンスのプロ集団を持つ米国、イスラエルの日本に滞在する自国民(非戦闘員)の疎開作戦(NEO)が秘密裏に行われている兆候を掴むこと。大使館や領事館、インターナショナルスクールに通う彼らの子供らの動きで引っ越しや退去が顕著になってきたり、米軍基地では軍用輸送機が頻繁に飛び交うようになっているはずだ。 -
Posted by ブクログ
著者は、ロシアの軍事安全保障政策の専門家。 ロシア滞在時(2009~11年)の経験を基に、ロシア社会を考察する。テーマは、住まい、 人、街、食、政治、プーチンなど。2022年のウクライナ戦争以降、ロシアの軍事動向のニュースや情勢は伝えられるが、ロシアという国がどんな社会なのかは知らないことが多い。2010年頃のロシアについて、著者の経験と考察がさらりと紹介されていて面白かった。
社会については他の本を読んで知っていたが、ロシア人の気質については、随分変わっているようで 知らないことも多かった。著者が言うように、「無限の不信と信頼が同居する国」というのは、プーチンとその取り巻きを見ていれば納得がいく。この国は、昔から権力者に虐げられた人々の国なのだ。 だから西側が期待する民衆の結束のようなことは起こらない。犠牲を払ってでも、昔のままの 変わらない生活を望むのだろう。これは気候風土とも関係があるのかもしれない。
この本で様々なエピソードを読んでいて、そのように感じた。 -
Posted by ブクログ
日本を取り巻く微妙な情勢や、最新の戦法など、気鋭の有識者2人が対談した記録。
技術が格段に向上し、追跡型ドローンなど、命中確率の高い兵器は増えてきた。ただしAIに頼ると、攻撃誤認により自動報復システムが稼働するリスクがある。「ドラエモン のび太の海底鬼岩城」の例えは秀逸である。
ロシアや中国のように、人的及び物的資本など、ロジスティクス面でのストックが豊富にある国に対して、日本のように少ない国では異なる戦法にならざるを得ない点も納得。
中朝露に対して「侵攻するには今しかチャンスがない」と思わせない抑止力が必要。この抑止力が維持できるか、際どい世界情勢であることを認識した。
韓国の38度線に配置されている兵士は、北朝鮮が攻めてきた時に10分で絶滅する覚悟でいる。その時間稼ぎが大事。
最初の第一撃を出来るだけ被害最小限に耐え、周辺国と連携した防衛戦に持ち込むこと。
こういった鋭い考察は、実戦を想定したゲームを通して、シミュレーションを重ねた結果らしい。少しづつ有事が迫っていることを実感させられ、緊張感が高まる一冊であった。