メモ
経済、科学技術、軍事でもはや米国と並ぶ超大国ではなくなったロシアが2014のウクライナ、2015のシリアなど攻勢をしかけ、成果を収めたのは何故なのか? そこには古典的な軍事力の指標「ミリタリーバランス」では測りきれない要素が働いているのではないか? それを様々な角度から検証した。出版が2021年5月。そこまでの時点でのロシアの「領土」への考え方が示される。
2014のウクライナ介入では、劣勢にみえたロシアの軍事力が見直された。特殊部隊、民兵の動員、人々の認識を操作する情報戦、電磁波領域やサイバー空間での「戦闘」、これらでクリミアを瞬く間に併合した。
ロシアが暴力の行使=軍事的闘争に訴えずに政治的目標を達成するという思想は1990年代に浮上し、2010年代は西側との「永続戦争」という文脈で大きな地位を占めるようになった。
だが、実際の軍事戦略においては依然として軍事的手段は後退したとはいえない。・・ドンパチである。
<「状況」を作りだすための軍事力>
○2014のクリミアやドンバスにおいて軍事力が作りだした「状況」はウクライナを紛争国家化することだった
○ウクライナを征服して完全に「勢力圏」に組み込むのではなく、同国が西側の一部となってしまわないように(NATOやEUに加盟できないように)しておけばよかった。
○「勝たないように戦う」ことがウクライナにおけるロシア軍の任務だといえる。
ロシアの軍事演習からみると、ロシアの想定している様々な戦争の形態は、最終的には大国との軍事紛争である。イスラム過激派や非合法武装勢力の背後にはそれらを「手先」として操る大国が存在し、最終的には核兵器の使用にもつながりかねない、というのが現在のロシアの戦争観である。
しかし正面戦力ではロシアは劣勢なのである。まずは「損害限定」戦略。これでも劣勢を補えないと「エスカレーション抑止」に訴える。限定的な核攻撃や「警告射撃」で戦闘停止を強要したり、第三者の参戦を思いとどまらせる。
●まとめると、ロシアの軍事戦略はクラウゼヴィッツ的な戦争をそのコアとしつつ、非クラウゼヴィッツ的なそれにも備えた「ハイブリッドな戦争」戦略である。
・クラウゼヴィッツ:プロイセンの軍事学者(1780-1831)「戦争とは他を以ってする政治の延長である」「戦争の本質は単なる『強制力』ではなく、物理的な破戒をもたらす『暴力』である」
・国に直属した軍隊が一番強い。上の命令が下まで届くし、それを守る。民兵や軍事会社はそれぞれ個人の思惑や思想があるので、まとまらない。
・ドローン兵器など新しい兵器が出てきて戦い方は変化するが、さらにそれを阻害する兵器や方法が考え出される。
・・テレビでは分かりやすい解説の小泉氏。兵器や軍事、ちょっと難しかった。
2021.5.10第1刷 2022.3.30第5刷 購入