【感想・ネタバレ】「帝国」ロシアの地政学(東京堂出版) 「勢力圏」で読むユーラシア戦略のレビュー

ユーザーレビュー

Posted by ブクログ 2019年12月16日

【あるいは、ロシアを夢見る巨人と見立ててもよいかもしれない。ユーラシアの巨大な陸塊の上で、ロシアは壮大な「勢力圏」の夢を見ている】(文中より引用)

「地政学」や「勢力圏」といったキーワードを軸としながら、冷戦崩壊後のロシアが持つ国際秩序観を丸裸にしようと試みた一冊。著者は、東京大学先端科学技術研究...続きを読むセンター特任助教を務める小泉悠。

ロシアに関する作品は数あれど、ここまで同国の国際秩序観を支える内在的論理・感情に迫った一冊は稀なのではと思うほどの名著。サントリー学芸賞を受賞したのも宜なるかなというほどの充実ぶりで、今後もこの著者の作品は追っかけていきたいなと。

今年のトップテンに入ってきそう☆5つ

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Posted by ブクログ 2019年11月10日

ロシア独自の「勢力圏」概念及び、ロシアの言う「主権」がようやく、どんなモノなのか理解に近づくことができた。

ロシアが「勢力圏」や「主権国家」をそのような意味で用いることは理解する必要があるが、その「勢力圏」や「主権国家」概念を受け入れることは決してできないことがウクライナやバルト三国などの「事例」...続きを読むを通じて、理解できた。
また、北方領土問題を抱える日本としては、これは決して他人事では無く、現在進行形且つ自らの身に降りかかっている火の粉である。

なればこそ、ロシアの概念としての「勢力圏」や「主権」を理解する必要がある。そして、その概念からして、「共同経済活動」が穂法領土の返還に繋がるものでは無いという結論は容易に導き出せる。(そもそも先方に「返還」の意思などない。

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Posted by ブクログ 2020年02月04日

著者が実際に歩いたロシアの周縁部の風景から、ロシアにとっての国境、ひいては国家観が描き出される。

ソ連という国はなくなったし、それはロシアとは異なるものだということは分かってはいても、ロシアの人々にとっては、どうもすんなり片付けられるものでもないというのが、旅先で出会った人たちの話すあれこれから浮...続きを読むかび上がる。
旧ソ連諸国とは冊封体制のような関係で、自分たちはその中心でありたい、というものなのだろう。
少なくともチャイナのように、全世界の中心を考えているわけではなく、自意識としてはあくまでも旧ソ連邦の範囲内というのがロシアらしい。米と張り合っての超大国はもう目指すべくもないということか。
無論その自意識は、もうソ連の一員ではなくなったのだから干渉しないでくれ、という国々とは軋轢を生むし、またその自意識は少なくとも北方領土においてもそれがその枠内にある以上、日本との交渉もうまくは進まないだろうことも容易に推測できる。

ウクライナ紛争についても、この視点からの解説である。
自分などウクライナの場所も地図を見てもあやふやで(、というか先日ポンペイオも記者から場所がわかるかと問われて激昂したらしいが、)あの紛争の内実もよくわからなかったが、ウクライナ海軍の総司令官が、クリミアが侵攻された後には、ロシア黒海艦隊の副司令官になったとかいうくだりを読むと、紛争と言っても自分らが持つ領土戦争の感覚では到底理解出来なさそうで、今後も下手にコメントしないようにしようと思う。

全編通して、大陸国家と海洋国家の国家観の違いについて、改めて驚くとともに、日本を含め周辺国を主権国家とは見ていないロシアの本音がチラホラと見え隠れする様に、やっぱり核武装は必要との思いを強く持つに至る。

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