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「ロシアとロシア人の魅力を、衣食住の面から伝えたい」という本書の内容は、プーチン大統領の蛮行によってその色合いを変えた。新型コロナウイルスの蔓延下、ロシアを観光で訪れることはかなわない。何より頭をよぎるのは突然、ロシア軍の攻撃によって同胞を失い、住む家、町、国を離れざるをえなくなったウクライナ人の悲しみだ。日本人のロシアやロシア人に対するイメージも、好ましくないものに転じたかもしれない。しかし、だからこそこの本を手に取っていただきたい。もちろん「ロシア政府とロシア人は別」と簡単に割り切ることはできない。では両者の関係がどうなっているのかということを、なるべく柔らかく、わかりやすく説き、「ロシアという国は何か」について、理解を深める必要がある。著者は執筆にあたり、次のように語った。「自分のロシアへの『愛』を伝える作品にしたい」。その真意を、一人でも多くの読者に感じていただければ幸いである。
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Posted by ブクログ
ロシアについて、人、住宅、地下空間、街並み、食事の面から紹介する。終わり近くにプーチンについても書かれている。2022年5月、ロシアによるウクライナ侵攻が始まってすぐの刊行。
住宅や街並みについての話がとくに面白かった。ソ連時代のKGBによる盗聴、彼らはそれを隠さなかった。存在をアピールして市民に常に監視されていることを意識させ萎縮させるのが狙いだったからだ。スターリン時代の高級アパートは住民がよく消えた。消えた人を訪ねてくると近所の人はそんな人は最初からいなかったと答えるという。怖すぎる。ロシア人の別荘や森への執着、ゴミ問題の話題は初めて知った。
現在でもモスクワには怪しげな土地があり、興味本位で撮影すると当局とトラブルになるとのこと。自由が制限された国。戦争中の今なら尚更だろう。
権力の言いなりにはならないのがロシア人の気質、それが強いリーダーの待望につながる。プーチンの長期政権をロシア人も望んでいるのか。
プーチンは国家のアイデンティティを軍事力と思い込んでいる、また引退後に降りかかるかもしれない危険を恐れているから引退しない、との指摘になるほどと思った。
Posted by ブクログ
ロシアって、観光で行くのにはサービスとか店とか相当イマイチな話を聞いてて、大して旅行先として興味はなかったけど、これ読んでてすっごい行きたくなった。
なにせ、ウクライナ戦争やってる今、行こうと思って行けるんだっけ????(まぁ外務省の注意喚起出てるんだろうな)
別に日本と戦争やってるわけでもないけど。モスクワやサンクトペテルブルクにミサイル打ち込まれてるわけでもないけど。
当たり前にいけてた国が行けなくなるって、最近多いなって思う。
だから行けるうちに行っておかないとって思う。
東の雰囲気がまだ微かに残るロシア、そしてもうちょっとしたらプーチンの影響を感じるロシア、に5年後とか行ってみたいな。
Posted by ブクログ
どうしてこの作者の話って面白いんだろう、と思っていたのだけれど、あとがきで「かつて自分で落語をやっていたことがあり、つい話を面白い方向に持っていってしまいがちな悪癖があります。」と書いていて、なるほどなと思った。この作者の口ぶりが面白いのは落語の素養があるからなのだろう。
今まで見えてこなかったロシアの生活だったり、風習や国民性が描かれている。賄賂があったり、国の定めたルールには反発したくなってしまったり、プーチン政権になってからは酒・タバコの消費量が減って健康志向になったり、寒すぎる土地柄のために地下街が発達していたり、恋人同士は地下鉄のホームで待ち合わせたり、食べ物は意外と薄味だったり、男が女に花を送ることが多いので花屋が24時間営業していたり、日本とは異なる国民性を持って生活している彼らの姿が描かれていて、親近感が湧いた。
ロシアは平時の社会にも多少有事の要素があって、多少の有事ぐらいでは問題にも思わないし、しれっと生活するというのがとても興味深かった。(表面的には)清潔で安全な日本とは違う風土がそこでは育まれている。
Posted by ブクログ
【before】この本を読む前の私はロシアについて無知でした。以下の点について勉強になりました。
・「無理だ」と言われると「何としても突破してやろう」というのがロシア人。ルールを破ること自体が目的にもなる。
・ロシアの人々を統治するのは容易ではない。むしろ「我々は、容易に統治できない民なのだ」というところにロシア人は自負心を持っているような節もある。
・「容易に統治できない我々」意識と「そうであるが故に強い調停者を頂かねばならない」という意識は表裏一体であり、プーチン大統領の人気もこの辺にある。
・全部は監視できないが、時々見せしめ的に警告を発する。「常に監視を意識させることで社会全体を萎縮させる」のがロシアの手口。
・スターリン時代に深い地下鉄を造り、有事に防空壕として使用することを想定した。ウクライナ戦争ではキエフ市民たちが爆撃を避けて地下鉄構内で暮らしている→プーチンの始めた戦争の時代錯誤さを象徴している。
・なぜ国力の弱いロシアが「アメリカと対峙する大国」のように振る舞えるのか?
・2010年代以降、ロシアは国益が損なわれると見ると軍事力行使を躊躇わない。
・「世界最大級の核戦力を保有するロシアを相手にする」とは、最終的には核戦争さえ覚悟せねばならないこと。
・自国を「大国である」と強く信じ、周囲にもそれを認めさせようとするところが、ロシアを大国たらしめている。
・西側とは和解したいが、彼らの秩序にただ従うのは嫌だ。特に旧ソ連諸国は昔から苦労して築き上げてきた勢力圏で、圏内ではロシアがリーダーであるべきだ。
・旧ソ連諸国の体制が民主化によって崩壊していくのは見ていられない、という感覚。こうした文脈と大国へのこだわりにより、西側に対して「これ以上 NATO を東に拡大させないと認めよ」と迫った。
・国力が衰えていくロシアは「軍事力に頼りたい誘惑」に勝てず、結果、微妙な均衡を力ずくで壊し、孤立を深めている。
・プーチンが尊敬する歴史上の人物は、自らの考える「ロシアのためになること」に逆らう者は容赦なく弾圧した。どうもプーチンの愛国心は、こういう方向に発揮されてしまっているのではないか?
・そもそも最初は愛国的な動機でプーチンは自らを戒厳司令官として規定したと考えられるが、問題は次第にそれ自体が自己目的化し「いつまでも戒厳令を解除できなくなってしまったこと」
・プーチンの側近たちはコネ人事や蓄財に励み腐敗度指数は世界136位(上位がクリーン)。歪な統治のツケは、プーチンが権力を手放した瞬間に回ってくる。
・市民社会に対するプーチンの不信は深い。「自発的な意思を持った市民」という存在に非常に懐疑的で、むしろ大国による認識操作の対象と見ている。
・プーチン政権の統治手法に対して国民が反発すると「それは皆、西側が操っているからだ」と見る。
・ウクライナの今後について、プーチンはなりふり構わずこの難局を打開しようとするはず。民間人をどれだけ犠牲にしようとウクライナ政府を屈服させようとする。化学兵器級の大量破壊兵器を使用するかもしれない。米英は既にこのシナリオを懸念。
【気づき】この本を読んで私は以下の気づきを得ました。
・ロシアは規格外の天才を世に出すのが上手い。それは才能ある子供を早くに見い出して伸ばすことに重点を置くから。例;インターネットセキュリティ企業の創業者・エフゲニーカスペルスキーは数学専門学校卒。
・ソ連では地区の発電所で出る温水を各家庭のヒーターに循環させるセントラルヒーティング方式が早くから採用され、効率的だった。
・サンクトペテルブルクは古くからロシア帝国の中心地で、洗練されたムードが漂う。モスクワとは街並みも違うし、住人の意識も違う。
・ネイティブ英語スピーカーにとり、ロシア語の習得に必要な学習時間は44週間。
・独自の核戦力をもって非同盟を貫ける大国だけが、プーチン的世界観では本当の主権国家で、それは中国とインドである。
・ロシアと中国の関係は、「マフィアのボス同士が、余程のことがないと相手のシマを侵したり、メンツをつぶさないよう配慮し合う」のに似ている。
・こういう関係性を結べる相手こそ、大国として、ロシアのリスペクトの対象。
・インドはアメリカにもロシアにもなびかず、あくまで独立したパワーでいたい。
【TODO】今後は以下のことを実行していこうと思います。
・運命の皮肉、イーヨー、という映画を見る。
・ジョージアの料理、ニンニクの効いた濃厚クリームスープ「シュクメルリ」と、米の入った辛いスープ「ハルチョー」を食べてみる。
・ロシアのサラダ(毛皮を着たニシン→ニシン・じゃがいも・玉ねぎ・ビーツをマヨネーズで和えたもの)を食べてみる。
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