小泉悠のレビュー一覧
-
-
Posted by ブクログ
著者は特段触れていなかったが、これはインテリジェンスの意味でのOSINT(正確にはIMINTとのハイブリッド)の民主化が進んでいることを示す一冊だと捉えた。
ロシア軍(ソ連時代含む)関係の過去の公開文書に基づき過去の核戦略や潜水艦部隊の変遷を整理し、直近の核要塞については民間の衛星の画像情報に基づいて分析している。
分析に際しては筆者のオタク的な意欲と知識に基づいており、背景をよく理解した専門化による高いモチベーションによる分析であることもインテリジェンスとしての価値を高めている。
インテリジェンスは国家の専権事項のようなイメージがあるが、筆者の活動はインテリジェンスの一種の民主化を推進して -
Posted by ブクログ
ネタバレ3つの学び
・情報をただ集めるだけではダメで、情報処理装置が必要。
・自分の脳みそを過大評価しない。
・人間が一番厄介なフィルターである。
情報が溢れる現代において、単に情報を集めるだけでは意味がなく、それを分析し、意味づけるための『情報処理装置』が必要。
食材(情報)を調理(分析)して、食べられる料理(知見)にすることが必要だ、という例えはすごく腑に落ちた。
情報が容易に手に入るからこそ、ただの「インフォメーション」を「インテリジェンス」に変えることが必須だ。
特に、情報発信を生業にしている身としては、自分のアウトプットが「インフォメーション」なのか「インテリジェンスなのか」は強く意識す -
Posted by ブクログ
変なタイトル!
戦争おたく?戦闘機おたく?戦車おたく?兵器おたく?映画おたく?アニメおたく?である
ロシアの軍事・安全保障の専門家、小泉悠氏を中心に、戦争について?語る語る。
?ばかりで恐縮だが、
題材の多くは映画やらアニメやら。
ゴジラマイナス1とシンゴジラの違い??
エヴァンゲリオンも時代時代それぞれの映画の描き方、特にアスカ!
ナウシカや風立ちぬを中心に宮崎駿。紅の豚も出たかな。
・・・私も触れている世界であるだけに、状況はある程度理解できるが、
戦闘機の車輪の出方なんてところに目が行くなんて、、、
極めるってのはすごいことだ。
わからんところは斜め読み、知ってる世界は思い出しな -
Posted by ブクログ
ウクライナ侵攻について、なぜこんなに長期化しているのか?よくわからない。
トランプは、「自分が大統領なら、戦争を24時間で終わらせることができる」と大ボラをふいた。そして、「俺はプーチンと友達なんや」と言って、プーチンに迎合した解決方法を提案した。そのことで、一度はゼレンスキーとケンカ別れをした。ローマ教皇が死ぬことで、バチカンでやっと膝を突き合わせてゼレンスキーと膝を突き合わせて協議した。「30日間の無条件の停戦」をゼレンスキーが受け入れたが、プーチンは権限を持たない部下を送って、知らぬ顔。やっと、トランプも、なんかがおかしいと思っているようだ。2時間ほどプーチンと電話した。さて、どうなる -
-
Posted by ブクログ
第1章から第3章章までが概論、第4章と第5章が台湾、朝鮮半島有事と日本のすべきことを論じている。知識を整理するにはいいと思う。
【目次】
はじめに
第1章 戦争をどうとらえるか
2人が軍事問題に関わるようになったきっかけ
新しい戦争と古い戦争
戦争は「変遷」ではなく「拡張」している
今の戦争はわかりにくい
軍事作戦にずっと参加してきたオーストラリア
防衛「イエスかノーか」の先の議論を
臨戦状態にある台湾・韓国
コラム1 厳しさを増す安全保障環境
第2章 軍事力とは即応力である
軍事ランキングは当てにならない
構造即応力と運用即応力
即応力の質を測る困難さ
軍事 -
Posted by ブクログ
何年か前の本とは思うが勉強になる。最近の米露の関係性とトランプ大統領のウクライナに対する決断の意図がなんとなく想像できた気がした。ロシアは歴史的にアメリカに対する劣等感や敵対感が国全体にわたって刷り込まれていて、ウクライナ侵攻とその結果も今後の米露の関係に多大な影響を与える。アメリカ側としてはロシアとの溝を深めることは不本意で、今ここでウクライナという”小国”を見捨ててでもアメリカ国内の今後の平和のため、ウクライナに降伏を進めているのではないか。自分の認識している道理だけだと、ウクライナは侵攻されている側なので、静止するのであればロシア側だろと思うので。またロシアのウクライナ侵攻を中国は今後の
-
Posted by ブクログ
タイトルや帯、特装版の表紙から想像する内容とは少し異なると感じる方がいるかも。
本書の内容は、はじめに、に集約されていますので、そういうものだと思って読むものです。
アニメを居間のテレビで観て、プラモデル作りにいそしんだ世代には激しく刺さると思いますが、本書に出てくるアニメを今、全部観たとしても、当時の空気感や世相ありきで話されていることに共感できるのだろうか、とは思います。知識≠実体験。
いずれにしても大量の注釈を、ほぼ注釈無しで読める自分に少し驚いた。
書籍の販売という商業的な観点でのタイトルや帯なんだと思いますが、もう少し本書の内容に沿った、「あの」小泉氏や高橋氏のオタク談義であること -
Posted by ブクログ
非常に良い。
著者の専門の関係でロシア軍事に関する例で解説されているが、情報の集め方、その調理(分析)の仕方、マインド、注意点など本書で話されている内容は、あらゆる他の分野でも活用できるように思う。
今の時代、いかにニッチな分野を深堀して自分なりの専門性を打ち出していけるかが要になってくる。そして、それは好きなものでなければ続かないし、楽しめるマインドでなければならない。
現代は情報が氾濫している、というネガティブな時代であると同時に、世界中の欲しい(基本的なバックグラウンド)情報には簡単にアクセスできるポジティブな時代でもある。
バックグラウンド情報に限らず、コア情報、足を運んで得る情報 -
Posted by ブクログ
膨大な情報をどう収集してまとめ上げていくか。その中から自身の見解を見出していく過程で、数値や事象のみでは決して解き明かされない人の心や文化、歴史背景が、多元的な解釈 "それぞれの真実" の存在を認識する。私たちの言葉や声は決して無力ではなく、微力ながらも幾層に紡ぎ上げられた思想や世論へと築き上げていく。そこは決してマジョリティ支配が至上ではない。こぼれ落ちそうな少数意見もまた社会の糧となる。ロシア軍事の専門家である小泉悠が発する提言は、マニアックな観点から一般論的な見地へと誘う。そこに出力として言葉は重要であると明言する。沈黙や看過ほど怖いものはない。