小泉悠のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
だらだらと4年も続くロシアウクライナ戦争。
プーチンの、かつての栄光、帝政ロシアへのあこがれではじまり、
コメディアン出身のゼレンスキーが毅然と抵抗し、
大統領選で「自分が勝ったら一週間で停船させる」と豪語したトランプが、
ロシアの言いなりで停船しようとしてウクライナ、EUの反感を買い、
ドローンが活躍する初の戦争となり、膠着状態で結局いまだに終わらない。
そうした中でこの戦争をどう分析するか。
「職業的軍事オタク」を自任する著者が、
編集者からの「ロシアとはいったい何なのか」という問いに
オタクなりに
・どれだけの犠牲が出ているのか
・何故こうも長引いているのか
・戦時下のロシアはどういう状態にあるのか
・世界の中でロシアの立ち位置はどう変化したのか
・日本はどのように向き合うべきなのか
という5つの問いを自らに立て、
273ページの新書に仕立て上げている。
やはり圧巻は犠牲者。その数え方もすごい。衛星写真で墓地の広がりから推計する、、
10-20数万人の範囲になるだろうと。
次に目を引いたのはドローンの位置づけ。
戦争で重要なのは、上から敵の布陣を見下ろすこと。
それが双方ができるようになってしまった。
なので膠着する。
・・・最近のニュースではウクライナのドローンが攻勢のように聞いていたが、、
EUが支援して。ロシア有利を押し戻した、というところなのだろうか。
さらには日本の立ち位置。
著者も増強必至、と言っているが、果たして、どこまでやればいい、というのがあるのか。
仮想的?中国ロシア北朝鮮はどんどん軍事力を増強している。
その中で島国日本がどこまでなにをすればいいのか。
著者は外交防衛は両輪、という。確かにそうだ。外交だけで手ぶら、はあり得ない。
しかし一国だけで防衛も不可能。
そうなると「おつきあい」が優先され、トランプの〇%にしろ、も効いてこざるを得ない。
しかしアメリカは、、トランプだけでなくこれからも、日本を守るとは思えない。
むしろインドなどと協調したほうが実行的ではないか。中国を挟むし。
EUは遠いし。
なんてことは今回の新書のテーマではないので書かれていないが、
ウクライナをEUが支援しているのは確か。日本も金銭的に援助はしている。
著者は建機を入れれば、と言っている。濠をつくるためにと。
そういう時日立建機がいけば、一目で日本の支援とわかるだろうな。
しかし日立は手放してしまう。もったいない。大前研一先生が言ってる通りだ。
ランドクロスじゃどこの国かわからない。。。
国際支援活動という面でも痛いね。まあまだ著者の構想だけど。コマツがいくか。
面白い新書だった。
はじめに
第二次ロシア・ウクライナ戦争をめぐる問い/本書の構成/ロシアはなぜウクライナ侵略に及んだのか?/領土妥協では戦争は終わらない
第1章 どれだけの人が死んだのか?──データで見るウクライナ戦争
1 未だにはっきりしない民間人犠牲者の規模
死を可視化する―国連のデータから/衛星画像が暴く大量の死/たくさんの耳慣れない地名/「顎」と書かれた墓標/避難できない人々/占領の風景
2 「貨物200」をめぐって
陸上自衛隊の総数を上回るロシア軍の戦死者数/本当の戦死者数は?/錯綜した戦場での行方不明者たち/戦死者と重傷者比率をめぐる謎/「安心できる?よりも不安な事実を」/交換比率
3 戦場で死んでいるのは誰なのか?
戦死者の多くは「即席兵士」/地方出身者の命で賄われる戦争/戦地に送られる日本の隣人たち/戦死率を決める諸要因/貧しさではなく豊かさとの相関?/北方領土からも戦死者が
第2章 なぜ終わらないのか?──軍事戦略理論から見たウクライナ戦争
1 破壊戦略vs消耗戦略
歴史的な長期戦争/破壊戦略の夢/スヴェーチンの消耗戦争理論/大国と小国/不思議の国の将軍たち/徴兵制を断固維持すべし/弱者のパラドックス/戦わずして勝利する
2 ロシアは何を見誤ったのか?
ロシアの誤算/朝、目を覚ましてみたら/電撃作戦の失敗/「小国」ではなかったウクライナ/希望的観測の罠/想定外の士気の高さ/陣地戦の泥沼/ノー・マンズ・ランド
3 戦略的コミュニケーションによる戦い
武力戦線と政治戦線の相互作用/ピロシキを手にいれるには?/狙われた「ヴォロネジ」/対ロシア領攻撃をめぐって/プーチンの核脅迫/地味なトラック縦隊が意味するもの/西側諸国の決意/クモの巣作戦
第3章 いかにして軍事国家となったのか?──戦時下ロシアの横顔
1 「ソフトな」対内政治戦線
なぜ誰も戦争を止めないのか?/「命の格差」/テレビの向こう側の戦争/ロシア軍の侵攻兵力はなぜ15万人だったのか?/学習するプーチン
2 「死」の経済学
人々はなぜ戦争に行くのか?/動員に対する社会の受忍度/大量生産される「英雄」たち/巨大軍隊の人件費/国防費は平時の約4倍に増加
3 フル回転するロシアの経済戦線
増産される弾薬と兵器/平時のムダが有事の増産余地に/開戦4カ月後に始まった戦時体制への転換/戦時経済をめぐる軋轢/頭打ちになる戦時経済/エネルギー施設を狙うウクライナ
第4章 この国はどこへ向かうのか?──世界の中のロシア
1 武器移転をめぐる対外関係
ロシアは孤立しているのか?/落ち込む武器輸出/米国の武器輸出封じ込め政策/武器とエネルギーをめぐる米印露のトライアングル/ロシアの戦争を支える北朝鮮製砲弾と人民軍兵士/「食えない」インド/イラン由来のドローンがウクライナの都市を襲う/工作機械というアキレス腱
2 再び最前線になるヨーロッパ
カリーニングラードからクリミアまで/「カーテン」か「壁」か/欧州最強の軍隊を目指すドイツ/スウェーデンとフィンランドのNATO加盟/核抑止の再構築に向けて動く英仏/「ウクライナが嫌い」なハンガリーの論理/要衝スヴァウキ・ギャップ/「ロシアを恐れながら?がる」エストニア
3 第二期トランプ政権とウクライナ戦争の行方
ゼレンシキーの「勝利計画」/ホワイトハウスでの罵り合い/紙一重の「停戦」と「降伏」/「ゼレンシキー降ろし」を狙った米国/トランプは「多極世界」を受け入れるのか/スルタンへの手紙
第5章 日本はいかにロシアと向き合うべきか?──ウクライナ戦争と安全保障
1 この戦争はなぜ日本にとって問題なのか?
「ウクライナは明日の東アジア」論への賛否/21世紀の残り4分の3を考える/「ウクライナを支援している場合ではない」のか?/防衛力も外交も/「ロシアは絶対悪なのか」と問われるならば
2 日本がすべきこととできること
汚職対策と自立を前提とした対ウクライナ援助/ウクライナに建機を!/信憑性のある抑止力の維持・構築/対ロシア制裁の継続/領土と主権―悪魔からのアドバイス
おわりに
モノクロの戦争とカラーの戦争/「やって来る」戦争との向き合い方/それでも大国であり続けるロシア -
Posted by ブクログ
面白くて1日で読んでしまった。
途中まではデータセンターって、ケーブルって、といった話や歴史的な所から、最終的には現代の戦争の話になっていく。
データのあるところにデータは集まる。DCのある所にDCは集まる。距離遅延が減るから、税制や電力供給なども良くなるから。
法制も関係があり、ロシアなどは自国のデータ監視が厳しい。EUは自分のデータは自分達の自由、など考え方が異なり、法律にも関係してくる。比較的緩い国、税制的に有利な国などに拠点が出来やすい。
生成AI関連などで、EUの法律には未対応、といった時があるが、こうした背景があるのか…と納豆。
各国は物理的なケーブルで繋がっているが、海底4000キロ(富士山の高さぐらい)の海底にある6cmぐらいのケーブルを釣り針で引き上げて修理…と気の遠くなる感じ。しかも年100回は断線しているとか… -
Posted by ブクログ
ロシアの軍事・安全保障の専門家である小泉悠氏が著者です。
ウクライナへのロシア侵攻が始まった当初、頻繁にTVなどに出られていたので、そういう意味では知っている方でした。
この新書は、小泉悠氏と5人の専門家との対談集となっています。
5人とは、以下の方々です。
津上俊哉:中国経済
熊倉潤 :中国政治
金成隆一:アメリカ社会
小林昭菜:ロシア政治
合六剛 :欧州政治
村野将 :アメリカを中心とする安全保障
世界に存在する大国、アメリカ、中国、ロシアの現状と将来の動きについて、小泉氏がそれぞれの専門家の考えを引き出すというスタイルです。
5人の方々は、まさに専門化なので、私が普段メディアを通して認識している3つの大国の内情についてより詳しくリアルな情報を得ることができました。
日本に取っては、いわゆる台湾有事に関わることになる中国、アメリカの現状認識と安全保障上の戦略が気になるところです。アメリカのシンクタンクで台湾有事の20パターンくらいをシュミレーションしていますが、その中で、中国が台湾を制圧できるのは、2パターンぐらいあるらしく、どちらともアメリカ軍が日本の基地を使用できない場合だそうです。いざ事が起これば巻き込まれてしまうということですね。そのような事態が決して起こらないような外交政治経済面での解決策を見いだしてほしいものです。
その前提に、日本の防衛力強化があります。日本の基地が使えないのは、日本政府がアメリカ軍に基地使用を認めないケースと中国によるアメリカ軍基地への先制攻撃がある場合だそうです。沖縄や三沢基地がなどがターゲットになるとのこと。絶対に起こって欲しくないことです。
本のテーマであり大国割拠により世界はどうなるか?冷戦が終結して東西問題が解決して、G1時代となりこれが新常態何だと思っている間に。国力を上げ、それに対抗する国が現れる。見ようによっては、3つの大国とも独裁国家のようで、ジョージ・オーエルが描いたビッグブラザーが支配する国の様に思えてきますね。
2026年、16冊目です。
おわり -
Posted by ブクログ
ホントのタイトルは、ロシアとイスラエルのインテリジェンス だよなー
でもインパクトはない。戦闘国家、戦争国家。まさに今戦争をしている国。
この両国のインテリジェンスの凄さを知る二人が語り合っている。
なんてったってロシアは暗殺を平気でする国。
インテリジェンスってホントはそういう意味じゃないだろうが。
それにしてもこれに刺激を受けている日本の政治家。
スパイ防止法はその名の通りで必要性は理解できるが、日本版CIAは無理。
この新書の一番のポイントは、日本の政治家の情報リテラシの低さ。
一般的に情報リテラシーというと、コンピュータ関係の知識のことだが、
ここでは文字通り、情報、インフォメーションではなくインテリジェンスへの認識。
自民党のお花畑ぶりにはあきれるばかり。
彼らにこういう道具を与えたら、いいおもちゃになってしまう。
そんなので国民が振り回されるのはまっぴらごめん。
たたき上げで賢そうで少しは期待した高市さんの言動にはがっかり。
「そんな人たち」に凶器は持たせられない。
。。。健全な野党の復活を望む。ノルウエーのように。
●第1章:国家とインテリジェンス
●第2章:諜報国家ロシアの論理
●第3章:ロシアの軍事思想とウクライナ戦争
●第4章:「滅びる前に滅ぼす」イスラエルの信念
●第5章:イスラエル・ガザ・イラン戦争の行方
●第6章:日本がめざすべきインテリジェンスの形 -
Posted by ブクログ
さすがの小泉さんで、昨今のウクライナ情勢が分かりやすいタッチで語られている。また、内容はイラン軍事衝突が始まる前の物であるが、2026年の情勢を見通すのにも不可欠な論点が織り込まれており、まるで目下の状況を予見していたようである。
一例を上げると、今のイランに対する米国の姿勢は、まさに2章で議論されたスヴェーチンの消耗戦理論に陥っていないだろうか。また3章で語られるロシアの「ソフトな政治戦線運営」、反戦の動きをハードに抑えている訳ではなくある意味自然体で戦争を継続できているというのは大変悩ましく映るが、これが現代の戦闘的な国家の絵姿となってしまうのだろうか。
そのような環境下で我が国はどのように立ち振る舞うべきなのか。終盤に議論されたなかで筆者の提示した「短期的な利益ではなく、より長期の戦略的利益を織り込んだ狡猾さ」は目下のイラン情勢においてますます重要性を増しているし、かつ難易度を増してしまっているようにも思う。 -
Posted by ブクログ
現在進行形で行われている「第2次ロシア・ウクライナ戦争」を、2025年時点における筆者の考えをまとめたもの。筆者の一貫した主張、ロシアの一方的な軍事侵攻は認めてはいけない、ということに全くの同意。
個人的に関心を寄せて読んだのは、
「戦時下のロシアはどのような状態にあるのか?」
「日本はどのようにむきあうべきなのか?」
である。
前者はロシア、lとりわけ軍事を専門するだけあって、現地の資料、データに依拠しており、大変興味深かった。
後者は、この戦争が始まってから、日本国内で議論になっていることについて、筆者なりの考えを示しており、説得力のあるものだった。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ一章 どれだけの人が死んだのか
民間人 5万人 衛星画像分析
占領域内での拷問、処刑、子供の連行、徴兵
ロシア軍人 約20万人 貨物200
ウクライナ軍人 約10万人 交換比率は小さい
二章 なぜ終わらないのか
破壊戦略、スヴェーチンの消耗戦争
開戦当初の空港占拠の遅れ→消耗戦争へ
ウクライナの政治戦線の強さ、士気の高さ
無人ドローンなどの新兵器→双方が使うことによって結局は膠着する(ノー・マンズ・ランド)
あえてロシア領内の重要地域を攻撃→ロシアが核使用に踏み切らないことからロシアの核の脅しが無効であることのアピール
三章 いかにして軍事大国となったか
徴兵を少なめに抑え、職業軍人や民間軍事会社にふってきたロシア軍
部分動員は行ったものの大枠は変わらず
兵力の少なさから電撃勝利に失敗
開戦以降は兵士の給料が平均所得の3倍にも
貧しい地域の死者数が多い デスノミクス
都会人の徴兵が行われないため公然とした戦争批判がおこらず
四章 この国はどこへ向かうのか
もとは武器輸出大国のロシア
欧米による禁輸政策も、インドは輸出先のまま
そのインドはウクライナに武器を輸出
北朝鮮の砲弾輸出量はロシアの年間消費量の半数から全量
ウクライナ嫌いのハンガリー、スヴァウキ・ギャップ
「トルコのスルタンに手紙を書くザポロージャ・コサック」
五章 日本はいかにロシアと向き合うべきか
NATOがロシアを敵国と認識したのはそもそもロシアが第一次ウクライナ侵攻を始めてから
ウクライナ侵攻までNATOはウクライナの加盟に否定的
→ウクライナのNATO加盟というロシアの論理は通らず
汚職対策をしつつ支援、建設機械の支援
「大国のリアリズム」は「日本のリアリズム」ではない -
Posted by ブクログ
2023/9発行なので状況としては若干古いけれど(そこからさらに2年半経ってもまだ集結していない)、その当時のこと、そもそもの話、ロシアの未来など、いろいろとためになることを知った。一番ショックだったのは、プーチンが失脚してもまた新たにリーダーが出てくるだろうし、今よりもマシに振る舞えるリーダーかどうか保証がない(つまりプーチンはロシアのリーダーとしてマシな方かもしれない)という点。昔、ソ連やロシアの本を読んだときにもそんなこと書いてあったな。やっぱりロシアは大きすぎてかなり強力なリーダーでないと一つにまとめることができないのだよね。比較として中国のリーダー像にも触れられていてなるほどと思う。