ヘレンハルメ美穂のレビュー一覧

  • ミレニアム5 復讐の炎を吐く女 下

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    作者が変わったことにまたしても気づけない良作。前作は場面展開にやや周りくどいところがあったが、今作は場面展開や回想も非常にわかりやすく、あっという間に読み進められる。

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    2020年05月29日
  • 地下道の少女

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    圧倒的なリアリズムと構成力。過去と未来を頻繁に行き来しながら、行き着くところは絶望か、それとも希望なのか。
    このシリーズの根底に流れる「復讐」をテーマに「貧困」が絡んで、先進国の大都市であるストックホルムの「裏社会」が浮かび上がる。筆者もあとがきで記しているが、部分的には「真実」であるという。
    このリアリズムとこの仕事しかないと「命」をかけて人生割り切っているグレースン警部の悲しさが、なんとも言えない読後感となって心の中に残る。

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    2020年04月21日
  • 犯罪心理捜査官セバスチャン 白骨 下

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    シリーズ3作目、後半。

    事件は当初、被害者の身元もつかめなかったが、チームの奮闘により次第に手がかりが見えてきます。
    そこには、大がかりな背景が…!
    移民の女性シベカはイスラム教の指導者に厳しく諭されますが、最初は心配して何かと反対していた息子と心が通い合うようになり、いい読後感でした。

    捜査班の若い女性ヴァニヤがFBIへ行くのを阻止しようとひそかに手を回したり、身勝手な考えで忙しいセバスチャン。
    理由は切ないものですが…
    ヴァニヤにはいい迷惑。しかも、ヴァニヤの父にも事件発覚、その発端というのが…

    セバスチャンは捜査ではあまり活躍せず、迷惑男の真骨頂!な話だけど。
    捜査班の人物像が次第

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    2020年03月20日
  • 犯罪心理捜査官セバスチャン 白骨 上

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    「犯罪心理捜査官セバスチャン」のシリーズ3作目。
    難事件よりも、捜査班のメンバーそれぞれの事情がもう大変?

    山中で6人の白骨が発見される。
    国家刑事警察の捜査班にいさんで加わるセバスチャン。本来は仕事熱心ではないけど、事情があったのです。
    口が悪く協調性に欠け、女たらしで、事件の関係者の女性にも手を出してしまう迷惑男。
    無能ではないんですけどね。
    女たらしが依存症レベルなのには、悲しい理由もあるのです。

    一方、アフガニスタンからの移民一家で主が行方不明となり、不名誉な逃亡とみなされていました。
    妻のシベカは夫を信じ、あらゆる手立てを講じようとしますが、イスラム教徒なので、女性が表に出ること

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    2020年03月21日
  • 犯罪心理捜査官セバスチャン 下

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    スウェーデンのベストセラーシリーズ。web本の雑誌で杉江氏が最新刊を推奨されてたので第一作を読んでみた。北欧にしては明るく読みやすい警察官の群像物。主人公は警官ではなく、心理学者の立場(プロファイラー?)で捜査協力し、過去には大きな成果を挙げた男セバスチャン。太めで独身、毒舌でセックス依存症。捜査会議での空気を読まない、人を馬鹿にする発言の破壊力は満点。ただしプーケットの津波で家族を亡くしていたり、いろいろと影の部分も興味深い。
    事件解決後に起こるサプライズな結末も破壊力あり。シリーズ自作が気になる終わり方も上手。3.9

    セバスチャンが仕留めた女性についての表現がまたいやらしい。
    ・彼女は”

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    2020年02月19日
  • 熊と踊れ 下

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    兄弟が銀行強盗を次々に成功させると同時に、少しずつ明らかになってゆく、その目的。
    レオは自身の中に存在する、いくらお金を奪っても決して癒されない深い孤独と、父親への想いに気づき始める。
    他の誰よりも父親に認めてもらいたかったのだというレオの心の叫びが、過剰な暴力となって形を変えてゆく様が、何とも悲しい。

    この作品では、親子、夫婦、兄弟、親友、恋人など、さまざまな関係性に基づく愛情と暴力の形が描かれている。
    言葉では伝えられない感情が暴力となり、その想いが強ければ強いほど、彼らは本当に破壊しているものが何なのか、その実態が分からなくなっているようだ。
    一番冷静だと思われたレオが少しずつ感情に飲

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    2020年01月13日
  • 制裁

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    怪物をめぐる人間の話、そして怪物となった人間と社会をめぐる話、とこの本は評せるかもしれません。

    冒頭の描写からどきつい……。女児に性的暴行を加え殺害し捕まった男。その怪物の思考と、犯行の描写の残虐さに、自分はいきなり物語にぐいとつかまれました。

    その怪物が移送中に逃亡。物語は様々な人物の視点を通し、重層的に描かれます。

    途中まで読んだ段階では、逃亡犯を追いかけるサスペンスなんだな、と自分は思っていました。しかしこの小説は、徐々に社会派小説の様相を呈してきます。

    事件が起こした波紋は、当事者たちの思惑や真意を超え、正義心となり、怒りや憎悪へ変化し、司法関係者や普通に暮らす前科犯にも及びま

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    2020年01月01日
  • 熊と踊れ 下

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    事実に基づいてるって知らなかった。
    北欧小説だから期待してたところもあったけど、ある意味逆に裏切られた。
    もしかしたら翻訳が良かったのかもしれないけど、題名からの想像と違って、当事者の繊細な感じが想定内だったから良かった。
    でも、最後はね。

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    2019年12月23日
  • ミレニアム 4 下 蜘蛛の巣を払う女

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    5年ぶり?に続きを読む。

    オリジナルの作者が亡くなったので、別作者が続きを書いたらしいが、あまり違和感がなくてすごい。
    訳者の実力もあるのだと思う。
    キャラが変わっていなくて、話もわりと面白い。
    前巻までの謎をいくつかちゃんと明かしてくれて、ホッとした。
    モニカはどこに行ったんだ?とは思ったけど。
    いくつかの女性有能キャラがほぼ同一人物に見えて困った。

    いまの自分に近いジャンルの話なので興味深く読んだが、ハンナに近い育児をやっている自分にとっては、そんな綺麗事じゃないぞ、と思えなくもなかった。
    まあいいんだけどね。フィクションだから。

    今回もリスベット△で良かった。

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    2019年11月26日
  • ミレニアム5 復讐の炎を吐く女 下

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    ミレニアム5作目。題材がこれまで以上にちょっとマニアックだが、リスベットらしさは爆発。面白い。6作目が待ち遠しい。

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    2019年11月24日
  • ミレニアム5 復讐の炎を吐く女 上

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    ミレニアム5作目。題材がこれまで以上にちょっとマニアックだが、リスベットらしさは爆発。面白い。6作目が待ち遠しい。

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    2019年11月24日
  • ボックス21

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    エーヴェルト警部シリーズの2作目。
    北欧社会に蔓延る闇を主に話が進み、結末は…。
    嫌な読後感だけれど、物語が、世界全体に蔓延る闇を描いているようで、気持ちに突き刺さるものがある。

    北欧社会の社会が抱える闇は、東欧諸国にもつながり、そして、日本にも蔓延っている…。

    世界全体の問題。

    シリーズ3作目を読むつもりだが、エーヴェルト、スヴェンともに、心に深い傷をもったまま、仕事をしていくことになるのか…。

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    2019年11月04日
  • ミレニアム5 復讐の炎を吐く女 下

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    一部から三部は、部ごとに
    別ジャンルの話の様に色合いが違うカタチで完結しながらも、各部が繋がる構成が面白くてドハマりしてしまった。

    四部、そしてこの五部は
    事件の原因があって、その原因に
    微妙にリスベットが絡んでいて
    ミカエルと別々に行動しながら事件(主に国家の暗部っぽい)を追う。そして間に事件に関わる人物の場面が入る。
    ギターを弾く男が出てきてから、だんだんエンジンがかかってきた…
    過去と現在の緊迫した場面を交互に展開してくのもスピーディーでよかった。

    んだけども、シリーズ物の悪いところか、改善を意識してなのか結構端折られてるように感じる部分も多い(リンカーン:ライムシリーズみたいに、毎

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    2022年07月25日
  • 地下道の少女

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    『制裁』『ボックス21』『死刑囚』に続く 北欧の傑作ミステリ!
    強い寒波に震える真冬のストックホルム。バスに乗せられた外国人の子ども43人が、警察本部の近くで置き去りにされる事件が発生した。さらに病院の地下通路では、顔の肉を何カ所も抉られた女性の死体が発見された。グレーンス警部たちはふたつの事件を追い始める。難航する捜査の果てに、やがて浮かび上がる、想像を絶する真実とは? 地下道での生活を強いられる人々の悲劇を鮮烈に描く衝撃作。

    シリーズ第四作がいよいよ翻訳で読める。この重苦しさ、たまりません。

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    2019年07月15日
  • 死刑囚

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    ネタバレ

    スウェーデンで酔客に暴行を加えて逮捕されたカナダ国籍の男は、米国で死んだはずの元死刑囚だった!?それはスウェーデン全土と米国を舞台にした前代未聞の事件の幕開けだった。

    序盤でネタは想像がつくし、あーこれジョン助からないやつだわーってなるんですが。。
    まさかこんな終わりとは!

    フィニガンは共感しづらいけど不幸だなあ。しかしながら目には目を、がまさに自分に返って来てるのが皮肉・・・。

    死刑の支持率が異様に高いことで知られる日本では、スウェーデンでの騒ぎの描写は理解されづらいかもなと思いました。が、死刑囚の拘留中の様子や執行時の描写など、あまり知られてないことがよく描かれていて、フィクションと

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    2019年07月12日
  • ミレニアム5 復讐の炎を吐く女 下

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    イスラム教徒の女性カジの虐待に関してのエピソードは不要かなとも思うが、このシリーズのそもそもの柱の一つが女性の差別や虐待に関するものであるから、しょうがないのかなとも思う。
    そういった意味では、シリーズ4から作者が交代したにも関わらず、原作者の世界を忠実に引き継いでいるのはすごいことだと思う。
    一部で話題になった「イブラヒモヴィッチ自伝」の作者だそうだ。

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    2019年06月02日
  • ミレニアム5 復讐の炎を吐く女 下

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    ネタバレ

    刑務所を出たリスベット。
    自身の過去の秘密を暴くために、ミカエルと共に調べを進める。
    徐々にその実態が見えてくる中、リスベットの身に危険が迫る。

    *****

    思っていたよりほっとする終わり方だった。
    面白かった。

    ただ、5部を読んで、ミカエルとリスベットがあまり目立たなかったような気がした。
    二人の個性が抑えめだったというか。
    面白かったけれど、リスベットの強烈さが好きな読者としては寂しかったな。
    エリカもあんな性格だったっけ…また、読み返してみよう。

    過去の秘密が暴かれたものの、カミラとの確執は進展なし?

    妹はいつ出てくるんだろう??とヒヤヒヤしていたけれど、今回は出ないのね。

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    2019年05月15日
  • ミレニアム5 復讐の炎を吐く女 上

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    ネタバレ

    刑務所に収容されているリスベット。
    ある日、後見人であったホルゲルが面会に来る。
    その際に小さな気づきを得、調べものを始めるリスベット。
    そんな中、収容所内で実権を握る囚人、ベニートとの対決が近づいていた。

    *****

    そっか、リスベットは懲役中だったか。
    前作を思い出しつつ、読み進める。

    4部から執筆される方は変わったとはいえ、リスベットは世間一般的な定義とはずれるかもしれないけれど、正義感が強いところはあったな。
    弱き者を助ける、というよりは弱き者をいたぶる奴が許せないからぶちのめす、な流れな気はするものの。

    リスベットの過去の秘密に関わる人々も動き出し、刑務所の中でも外でもリスベ

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    2019年05月15日
  • 死刑囚

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    このシリーズの根底に流れるテーマは「復讐」なのだろう。
    一作目は幼い娘を殺された親による復讐、二作目は国境を超えた人身売買の被害者による復讐、今作は社会的復讐装置とも言うべき死刑制度に対する復讐劇となっている。

    「死刑囚」を物語の中心としながら最終的に制度全体に対する復讐に仕上げていく構成が素晴らしい。単なるミステリー・サスペンスではなく、社会派小説とも言うべき、人物だけでなく社会、民衆全体に波及するストーリーとなっている。
    ただ単に「正義」をかざすのではなく、そこに人物一人ひとりの細かいまでの描写と人としての苦しみ、悲しみも合わせて描かれている。
    特に今回は主人公であるグレースンの哀切も描

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    2019年04月28日
  • 熊と踊れ 下

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    過去と現在を行き来しながら、兄弟が犯罪に手を染める模様を描いていく。
    実話に基づいた題材という驚きもあり、暴力、犯罪心理、被害者の心にも迫っていく。

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    2019年04月12日