ヘレンハルメ美穂のレビュー一覧
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シリーズ3作目、後半。
事件は当初、被害者の身元もつかめなかったが、チームの奮闘により次第に手がかりが見えてきます。
そこには、大がかりな背景が…!
移民の女性シベカはイスラム教の指導者に厳しく諭されますが、最初は心配して何かと反対していた息子と心が通い合うようになり、いい読後感でした。
捜査班の若い女性ヴァニヤがFBIへ行くのを阻止しようとひそかに手を回したり、身勝手な考えで忙しいセバスチャン。
理由は切ないものですが…
ヴァニヤにはいい迷惑。しかも、ヴァニヤの父にも事件発覚、その発端というのが…
セバスチャンは捜査ではあまり活躍せず、迷惑男の真骨頂!な話だけど。
捜査班の人物像が次第 -
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「犯罪心理捜査官セバスチャン」のシリーズ3作目。
難事件よりも、捜査班のメンバーそれぞれの事情がもう大変?
山中で6人の白骨が発見される。
国家刑事警察の捜査班にいさんで加わるセバスチャン。本来は仕事熱心ではないけど、事情があったのです。
口が悪く協調性に欠け、女たらしで、事件の関係者の女性にも手を出してしまう迷惑男。
無能ではないんですけどね。
女たらしが依存症レベルなのには、悲しい理由もあるのです。
一方、アフガニスタンからの移民一家で主が行方不明となり、不名誉な逃亡とみなされていました。
妻のシベカは夫を信じ、あらゆる手立てを講じようとしますが、イスラム教徒なので、女性が表に出ること -
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スウェーデンのベストセラーシリーズ。web本の雑誌で杉江氏が最新刊を推奨されてたので第一作を読んでみた。北欧にしては明るく読みやすい警察官の群像物。主人公は警官ではなく、心理学者の立場(プロファイラー?)で捜査協力し、過去には大きな成果を挙げた男セバスチャン。太めで独身、毒舌でセックス依存症。捜査会議での空気を読まない、人を馬鹿にする発言の破壊力は満点。ただしプーケットの津波で家族を亡くしていたり、いろいろと影の部分も興味深い。
事件解決後に起こるサプライズな結末も破壊力あり。シリーズ自作が気になる終わり方も上手。3.9
セバスチャンが仕留めた女性についての表現がまたいやらしい。
・彼女は” -
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兄弟が銀行強盗を次々に成功させると同時に、少しずつ明らかになってゆく、その目的。
レオは自身の中に存在する、いくらお金を奪っても決して癒されない深い孤独と、父親への想いに気づき始める。
他の誰よりも父親に認めてもらいたかったのだというレオの心の叫びが、過剰な暴力となって形を変えてゆく様が、何とも悲しい。
この作品では、親子、夫婦、兄弟、親友、恋人など、さまざまな関係性に基づく愛情と暴力の形が描かれている。
言葉では伝えられない感情が暴力となり、その想いが強ければ強いほど、彼らは本当に破壊しているものが何なのか、その実態が分からなくなっているようだ。
一番冷静だと思われたレオが少しずつ感情に飲 -
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怪物をめぐる人間の話、そして怪物となった人間と社会をめぐる話、とこの本は評せるかもしれません。
冒頭の描写からどきつい……。女児に性的暴行を加え殺害し捕まった男。その怪物の思考と、犯行の描写の残虐さに、自分はいきなり物語にぐいとつかまれました。
その怪物が移送中に逃亡。物語は様々な人物の視点を通し、重層的に描かれます。
途中まで読んだ段階では、逃亡犯を追いかけるサスペンスなんだな、と自分は思っていました。しかしこの小説は、徐々に社会派小説の様相を呈してきます。
事件が起こした波紋は、当事者たちの思惑や真意を超え、正義心となり、怒りや憎悪へ変化し、司法関係者や普通に暮らす前科犯にも及びま -
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5年ぶり?に続きを読む。
オリジナルの作者が亡くなったので、別作者が続きを書いたらしいが、あまり違和感がなくてすごい。
訳者の実力もあるのだと思う。
キャラが変わっていなくて、話もわりと面白い。
前巻までの謎をいくつかちゃんと明かしてくれて、ホッとした。
モニカはどこに行ったんだ?とは思ったけど。
いくつかの女性有能キャラがほぼ同一人物に見えて困った。
いまの自分に近いジャンルの話なので興味深く読んだが、ハンナに近い育児をやっている自分にとっては、そんな綺麗事じゃないぞ、と思えなくもなかった。
まあいいんだけどね。フィクションだから。
今回もリスベット△で良かった。 -
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一部から三部は、部ごとに
別ジャンルの話の様に色合いが違うカタチで完結しながらも、各部が繋がる構成が面白くてドハマりしてしまった。
四部、そしてこの五部は
事件の原因があって、その原因に
微妙にリスベットが絡んでいて
ミカエルと別々に行動しながら事件(主に国家の暗部っぽい)を追う。そして間に事件に関わる人物の場面が入る。
ギターを弾く男が出てきてから、だんだんエンジンがかかってきた…
過去と現在の緊迫した場面を交互に展開してくのもスピーディーでよかった。
んだけども、シリーズ物の悪いところか、改善を意識してなのか結構端折られてるように感じる部分も多い(リンカーン:ライムシリーズみたいに、毎 -
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ネタバレスウェーデンで酔客に暴行を加えて逮捕されたカナダ国籍の男は、米国で死んだはずの元死刑囚だった!?それはスウェーデン全土と米国を舞台にした前代未聞の事件の幕開けだった。
序盤でネタは想像がつくし、あーこれジョン助からないやつだわーってなるんですが。。
まさかこんな終わりとは!
フィニガンは共感しづらいけど不幸だなあ。しかしながら目には目を、がまさに自分に返って来てるのが皮肉・・・。
死刑の支持率が異様に高いことで知られる日本では、スウェーデンでの騒ぎの描写は理解されづらいかもなと思いました。が、死刑囚の拘留中の様子や執行時の描写など、あまり知られてないことがよく描かれていて、フィクションと -
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ネタバレ刑務所を出たリスベット。
自身の過去の秘密を暴くために、ミカエルと共に調べを進める。
徐々にその実態が見えてくる中、リスベットの身に危険が迫る。
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思っていたよりほっとする終わり方だった。
面白かった。
ただ、5部を読んで、ミカエルとリスベットがあまり目立たなかったような気がした。
二人の個性が抑えめだったというか。
面白かったけれど、リスベットの強烈さが好きな読者としては寂しかったな。
エリカもあんな性格だったっけ…また、読み返してみよう。
過去の秘密が暴かれたものの、カミラとの確執は進展なし?
妹はいつ出てくるんだろう??とヒヤヒヤしていたけれど、今回は出ないのね。
と -
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ネタバレ刑務所に収容されているリスベット。
ある日、後見人であったホルゲルが面会に来る。
その際に小さな気づきを得、調べものを始めるリスベット。
そんな中、収容所内で実権を握る囚人、ベニートとの対決が近づいていた。
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そっか、リスベットは懲役中だったか。
前作を思い出しつつ、読み進める。
4部から執筆される方は変わったとはいえ、リスベットは世間一般的な定義とはずれるかもしれないけれど、正義感が強いところはあったな。
弱き者を助ける、というよりは弱き者をいたぶる奴が許せないからぶちのめす、な流れな気はするものの。
リスベットの過去の秘密に関わる人々も動き出し、刑務所の中でも外でもリスベ -
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このシリーズの根底に流れるテーマは「復讐」なのだろう。
一作目は幼い娘を殺された親による復讐、二作目は国境を超えた人身売買の被害者による復讐、今作は社会的復讐装置とも言うべき死刑制度に対する復讐劇となっている。
「死刑囚」を物語の中心としながら最終的に制度全体に対する復讐に仕上げていく構成が素晴らしい。単なるミステリー・サスペンスではなく、社会派小説とも言うべき、人物だけでなく社会、民衆全体に波及するストーリーとなっている。
ただ単に「正義」をかざすのではなく、そこに人物一人ひとりの細かいまでの描写と人としての苦しみ、悲しみも合わせて描かれている。
特に今回は主人公であるグレースンの哀切も描 -