【感想・ネタバレ】熊と踊れ 下のレビュー

あらすじ

緻密かつ大胆な犯行で警察を翻弄し、次々と銀行を襲撃していくレオたち。その暴力の扱い方は少年時代に父から学んだものだった。かつて彼らに何がおこったのか。そして今、父は何を思うのか――過去と現在から語られる“家族”の物語は、轟く銃声と悲しみの叫びを伴って一気に結末へと突き進む。スウェーデン最高の人気を誇り、北欧ミステリの頂点「ガラスの鍵」賞を受賞した鬼才が、圧倒的なリアリティで描く渾身の大作。

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Posted by ブクログ

最後の方は夢中になって読みました。軍人ギャングも刑事さんも両方が身近に感じられて応援(?)したくなりました。スウェーデンの家族の絆がとても強いってわかりました。あとがきも読むと小説の裏側がわかって良かったです。

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2024年10月06日

Posted by ブクログ

軽い気持ちで、エンタメ感覚で(不謹慎だけど)手に取った犯罪小説だったのに、この読後感は予想外…。
作中繰り返される「いまが、昔になれば。昔が、いまになれば。」が哀しく、切ない。

続編読むの怖いなぁ。読むけども〜。

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2024年05月24日

Posted by ブクログ

三兄弟と幼馴染が軍の武器を奪い銀行強盗を繰り返す。視点を切り替えながらテンポ良く進んで行くので、長くても全く飽きなかった。表現のセンスも抜群でストーリーに引き込まれました。

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2024年02月25日

Posted by ブクログ

スウェーデン作家「アンデシュ・ルースルンド」と「ステファン・トゥンベリ」の共著の長篇ミステリ作品『熊と踊れ(原題:Bjorndansen、英題:The Father)』を読みました。
「アーナルデュル・インドリダソン」、「ジョー・ネスボ」、「レイフ・GW・ペーション」の作品に続き、北欧ミステリです。

-----story-------------
ハヤカワ・ミステリ文庫創刊40周年記念作品

〈上〉
凶暴な父によって崩壊した家庭で育った「レオ」、「フェリックス」、「ヴィンセント」の三人の兄弟。
独立した彼らは、軍の倉庫からひそかに大量の銃器を入手する。
その目的とは、史上例のない銀行強盗計画を決行することだった――。
連続する容赦無い襲撃。
市警の「ブロンクス警部」は、事件解決に執念を燃やすが……。
はたして勝つのは兄弟か、警察か。
スウェーデンを震撼させた実際の事件をモデルにした迫真の傑作。
最高熱度の北欧ミステリ。

〈下〉
緻密かつ大胆な犯行で警察を翻弄し、次々と銀行を襲撃していく「レオ」たち。
その暴力の扱い方は少年時代に父から学んだものだった。
かつて彼らに何がおこったのか。
そして今、父は何を思うのか――。
過去と現在から語られる"家族"の物語は、轟く銃声と悲しみの叫びを伴って一気に結末へと突き進む。
スウェーデン最高の人気を誇り、北欧ミステリの頂点「ガラスの鍵」賞を受賞した鬼才が、圧倒的なリアリティで描く渾身の大作
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1990年代の初頭にスウェーデンを恐怖に陥れた正体不明の強盗団… まるで軍事作戦のような統率の取れた的確な動き、軍用銃を駆使し、ためらわずに発砲する手口は"軍人ギャング"と称された、、、

彼らは1991年(平成11年)秋から、1993年(平成15年)末までに、軍の武器庫からの略奪を2件、現金輸送車の襲撃を1件(未遂3件)、銀行や郵便局の強盗を9件、さらにはストックホルム中央駅で爆弾事件まで起こした… 警察は、この強盗団の正体を全くつかめなかったが、犯行の計画性、周到性、狂暴性等から、初犯ではないと思われていた。

ところが一段が逮捕されてみると、その中心となっていたのは20歳前後の三兄弟とその友人たちで、前科もなければ裏社会とのつながりもない若者たちであるとわかった… 前段が長くなりましたが、本作品は、当時スウェーデン公営テレビ記者として現場でこの事件を報道していた「アンデシュ・ルースルンド」と、犯行の中心人物だった三兄弟と実の兄弟である「ステファン・トゥンベリ」が、その一連の事件をモデルに描いたフィクション作品です、、、

とはいえ、事件に関わっていた当事者たちが描き、事件のあった場所や手口等の大部分が事実に基づいていることから、ノンフィクション作品のようなリアリティや臨場感があり、読んでいるうちに、ぐいぐいと作品の中に惹きつけられていきました… 上下巻で1,100ページ程度の大作でしたが、長くは感じませんでしたね。


暴力的な父親「イヴァン・ドゥヴニヤック」の影響下で育った「レオ(レオナルド)」、「フェリックス」、「ヴィンセント」の三兄弟… 長兄「レオ」が中心になり、「レオ」の恋人「アンネリー・エリクソン」や幼馴染の青年「ヤスベル」を巻きこんで、壮大な強盗計画を企てる、、、

ストックホルム防衛管区の動員用武器庫に侵入し、二個中隊分の装備がまかなえるほどの銃や爆薬を盗み出し、これを使って彼らは現金輸送車や銀行を襲い始める… 彼らは20代から10代後半とまだ若いが、リーダーである長兄「レオ」が立てる緻密な計画と冷静な指揮により、強奪は順調に進む。

事件を捜査し彼らを追う警部「ヨン・ブロンクス」も優秀だが、手を替え品を替える手口で翻弄し、尻尾を掴ませない… だが、首謀者たる「レオ」の欲望と目的は、なかなか満たされない、、、

予定では、もっと早くに巨額の金を強奪して、人生をやり直すつもりだったのだが、毎回見込みよりも少ない額しか手に入らないのだ… そういうこともあって、犯行グループの中には次第に軋みが生じ、二人の弟が離反する。

しかし最後の襲撃に執念を募らせる「レオ」は、とうとうある人物をグループに引き入れ、危険な賭けに出る… カリスマ的リーダーの「レオ」、一度決めたら譲らない「フェリックス」、まだ無邪気さが残る「ヴィンセント」、軍隊から抜けた後、尊敬する「レオ」に従い仲間になる「ヤスベル」、強盗や警察側だけでなく犯行現場に居合わせた被害者も含め、登場人物は全員、複雑で多面的な個性を持ち、それぞれに共感しながら読み進める感じでしたね、、、

犯行に向けて周到に準備を整える場面や、突入し犯行に及ぶ一部始終などの、微に入り細を穿つ描写のリアリティには、ホントに関心しました… 四人の息づかいが感じられ、自分も共犯者のひとりとしてこれから強盗に行くのだと錯覚してしまうような気分に浸れるほどの巧みさでした。


ミステリというよりは、家族・兄弟の愛憎や絆を描いたヒューマンドラマという印象ですね… 特に、家族を裏切ることの罪深さを説きつつ、妻を激しく暴行してしまう父親「イヴァン」の存在は強烈な印象が残りましたね、、、

そんな粗暴な父親を憎み拒絶する兄弟ですが、その憎い父から学んだ暴力を有効な道具として使いこなすことで犯行を完璧なものにしようとする「レオ」… 冷静に気持ちをコントロールしようとしますが、他者を屈服させる快感と昂揚により、次第に自らの大きさを勘違いしてしまうんですよね。

暴力により支配すること、コントロールされることの恐ろしさを改めて感じました、、、

でも、本作品、次々と犯行を重ねるのですが、「暴力」はあっても「死」がないのは良かったかな… これで多くの命が奪われたら、救いがないですもんね。

本作品は、続篇が『兄弟の血―熊と踊れⅡ』として刊行されているようです… こちらも読んでみたいですね。


以下、主な登場人物です。

「レオ(レオナルド)」
 ドゥヴニヤック家の三兄弟の長男

「フェリックス」
 ドゥヴニヤック家の三兄弟の次男

「ヴィンセント」
 ドゥヴニヤック家の三兄弟の三男

「イヴァン・ドゥヴニヤック」
 三兄弟の父

「ブリット=マリー・アクセルソン」
 三兄弟の母

「ヤスベル」
 三兄弟の幼なじみ

「アンネリー・エリクソン」
 レオの恋人。シングルマザー

「セバスチャン」
 アンネリーの息子

「ヨン・ブロンクス」
 ストックホルム市警警部

「レナート・カールストレム」
 ストックホルム市警警視正

「サンナ」
 ストックホルム市警鑑識官

「ガッペ」
 建設業者

「サム」
 ヨンの兄。服役囚

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2023年03月11日

Posted by ブクログ

あとがきに一番びっくりした。
知らずに読めたのは、幸せ。
未読の方は、あとがきと解説は最後まで取っときましょう(普通か。)。

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2023年03月03日

Posted by ブクログ

本当に読み応えがあった。
実在の事件をモチーフにした圧倒的迫力のクライムノベルの下巻。
あとがきを読んで、あらためてこの強盗事件を起こした3兄弟(実際の事件を起こしたのは4兄弟で、そのうちの犯行に加わらなかった一人が本書の著者・ステファン・トゥンベリ)の視点や心情がリアルに描かれていることに驚愕した。それほどまで、犯人グループの心情に寄り添ってこの事件が描かれているのだ。

次々と成功する銀行強盗、犯人グループに翻弄されまくる警察。

もはやこの『軍人ギャング』と名付けられた犯行グループの犯行を誰も止めることはできないのか。

しかし、どんなに完璧な犯行も、回数を重ねていくごとに、不安が募り、グループ内での関係に変化が生じてくる。

これまでは完璧なリーダーとして君臨していた長男のレオに対して、弟たちは違和感を覚えていく。
「暴力に支配されてしまった兄」
これこそ弟達が感じてしまった違和感だ。
どんなことであっても、物事は『中毒』になり得る。

『銀行強盗中毒』になってしまった兄レオは、さらに大きな銀行、さらに高額な金額を求めて強盗計画を作って行く。
そして、犯行に破綻がやってくる。そう破綻はいつも内部から始まるのだ。

三兄弟の心情が『現在』と父親達から虐待を受けていた『過去』の二つに分けられ交互に描写され、読者は三兄弟の心情に深く深くのめり込んでいく。

重厚な物語の結末は、驚くべきずさんな犯行により幕を閉じる。
読者の誰もが「そんな計画で、そんなメンバーでは成功するはずがない」と分かっているのだが、レオは突き進んでいく。

本書を読み終わった後、長い沈黙が僕の胸に訪れた。
圧倒的な暴力は人の人格を変える。
それは子供のころから育まれる。
人生とは、もう既に始まった時から終わり方は決まっているのかもしれない・・・。

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2019年11月06日

Posted by ブクログ

題名:熊と踊れ (上・下)
原題:Bjorndansen (2014)
著者:アンデシュ・ルースルンド&ステファン・トゥンベリ Anders Roslund & Stefan Thunberg
訳者:ヘレンハルメ美穂・羽根由
発行:ハヤカワ文庫HM 2016.9.15 初版 2016.11.26 4刷
価格:各¥1,800

 『このミステリーが凄い』2016年の圧倒的一位を獲得した年、ぼくはこの作品を不覚にも未読で、翌年、これを読んで歯噛みしたものだった。どうみてもこれは圧倒的な作品だったからだ。分厚いだけではなく、スリルとアクションが親子・兄弟の人間ドラマと表裏一体となって驀進する大型重戦車の出来であったのだ。

 山中にある謎の施設が実は軍の武器庫であったと知ったときから、ドゥヴニヤック家三兄弟の犯罪は始まる。武器庫襲撃、そして次々と間髪をおかずに、警察の包囲網を嘲笑うかのような手法による現金輸送車や金庫の襲撃が始まる。一度ではなく、同時に連続して何か所もという複数犯罪も一つの特徴である。

 作戦参謀が天才なのである。長兄のレオ。そして以上は現在。彼らの犯罪のモチーフとは何であったのかを語るのが、過去。そう。本書は犯罪ファミリーの現在と、なぜ彼らがそうなったのかに至る家族の悲劇を描いているのだ。凄まじいほどのDV。壊され傷つけられる幼い人格。最早、望んでいた普通の家族生活に手に届かなくなった時に、犯罪モンスターとして世界に対峙する存在となってゆく彼らのドラマが生まれてゆく。

 実はこの凄玉犯罪プロットは、スウェーデンをかつて震撼させた実際の事件を元にしている。この兄弟では描かれなかったもう一人の兄弟は実在している。アンデシュ・ルースルンドの共著者であるステファン・トゥンベリがその一人である。彼は父親による嵐のような家庭内暴力を実際に体験した一人なのだ。犯罪に手を染めてゆく兄弟に加わらなかった一人として本書の執筆に手を貸している。現実と創作の境界がどこにあるのかは、この本からはわからない。

 しかし現実の凄みこそが、この作品のリアリティを圧倒的に高めているのは確かである。人はどうやって怪物的で天才的な犯罪者に育ってゆくのか? そしてその心のうちは? 兄弟たちの葛藤は? 父と母と彼らとそれぞれは運命の中でどのように愛や憎悪や赦しを交わし、あるいは離反してゆくのか? 様々な運命の矛盾は現実を土台にしか生まれ得ないと思われる。この小説の持つ行間に溢れる切迫感、スピード感は、そうした負のエネルギーを動的内燃機関経由で爆発させた結果生まれたものに違いない。

 20年に一度の傑作がここにある。この本を契機にアンデシュ・ルースルンド関連の作品はすべて手に取るようになったが、どれも共通して言えるのが、現実に材を取った少なからず社会的小説と呼べるものばかりだ。本作品は二作構造となっており、昨年『兄弟の血 熊と踊れII』が邦訳された。そちらは現実をもとにした本書の、創作された続編であるが、セットでお読みいただくことを強くお勧めする。

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2019年02月28日

Posted by ブクログ

ネタバレ

(上巻より)

軍の倉庫が国内に点在するスウェーデンならではの犯罪の発端や、
盗難予防のインクに染まってしまった札束との格闘、
暴力的な父親と兄弟たち、とくに長男との葛藤と
今まで読んできた北欧ミステリーのなかでも、
秀逸な面白さ。

でも厳密に言うとミステリーとしての面白さというよりかは、
結局は実際の事件を実際の兄弟とともに描いた、
ノンフィクションとしての面白さなのであって、
ミステリーとしては反則技なのかもしれない。

それでも、ミステリー好きとしては読んだ方が良い作品だと思う。

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2019年02月25日

Posted by ブクログ

緊迫の下巻。
もう読んでてわかる、結末の感じに胸が締め付けられる。
破滅への速度は緩まることなく加速していくだけ。
これが実話を基にしているというのがまた驚きだ。

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2025年07月21日

Posted by ブクログ

少ない登場人物ながらも、それぞれ個性的であり、生きている。
フィクションを基にしたからこそ生きている気がする作品。再読。

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2025年02月19日

Posted by ブクログ

クライム系で結構スピード感もあり兄弟の絆とかもいい

(⁠⌐⁠■⁠-⁠■⁠)最後のオチが悲しい

⊂|⊃
[ಠ⁠_⁠ಠ]実話をもとにしてるから仕方ねえだろ

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2024年08月29日

Posted by ブクログ

ネタバレ

幕切れは呆気ないが、とても面白かった。
最悪の親父だが子供への愛は本物だったね。
チクリ野郎という言葉が最後までレオの鎖となっていたんだね。

お母さんがどんな心境だったのか知りたかったな。

これだけの犯罪を犯した三兄弟が刑期を終え釈放されて普通に暮らしているというのがまた…

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2024年06月30日

Posted by ブクログ

ネタバレ

読み終わってしまった…
割とあっけない幕切れ…
と思ったが、史実に基づいているし、こういった終わり方の方がある意味リアルなのかも知れない。

父も少年時代の周りの人も兵役も込みで、暴力というものに触れさせられ続けていると感覚が変わってしまうものなのか。
個人的には最終手段として持つのは良いと思うが、ひけらかすとなると、、
守りたいものがあったとしても考えてしまうものはある。

そして誰がドアを開けたせいで母が殴られたのかに関して、それぞれ自分のせいと本心から思っているあたり、本当に家族のことを思っていたんだなと…

ただ、父親は最後印象が少しはかわったものの、不器用がすぎてもはや同情できなかった(苦笑)

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2024年01月06日

Posted by ブクログ

ネタバレ

最初から、最後は破滅で終わるのだろうと思っていた。
だってこれ、実話をもとにしているのだもの。
怪盗ルパンや二十面相とは違う。
犯罪者をヒーローにするわけにはいかない。

だけど、彼らは本当に成功し続けた強盗だったのか?
確かに警察に尻尾は掴ませなかったが、いつも目標を下回る金額しか奪うことができなかった。
そのことについてレオは一度でも考えたことがあるのだろうか。

そしてレオは、家族は一致団結するのが当然と考えていたけれど、レオと弟たちは団結していたが、最初から一致なんてしていなかった。
レオにはそれが見えていなかった。
フェリックスが言ったとおり、彼らを統率するのが父親から長兄に代わっただけだったのだ。
どちらもフェリックスやヴィンセントの気持を考えるなんてことはなかった。
ただ黙って俺について来ればいい。

フェリックス21歳、ヴィンセント17歳。
ようやく自分たちの気持をレオに伝えて、彼らは袂を分かつ。
だけどレオはもう後戻りできなかった。
強盗することで得られる成功体験の依存症になってしまったと言ってもいい。
どう考えてもレベルの下がったチームで大仕事をやろうとしていたのだから、全く正気ではありえない。

レオは暴力を振るわないことを自分に課し、仲間に課し、それが守られることで自分を正当化していたけれど、銃を突き付けられた人は、命の恐怖にさらされた人は、決して消えない傷を心のうちに負ってしまったことにレオは気づくことができなかった。
なぜならレオにもその傷があり、その傷を見ないことでレオはかろうじて自分を支えてきたのだから。

父のイヴァンが自分の気持ちのままに暴力を振るって家族を従えてきたことが、結局家族の心を壊してきたのだ。
イヴァンがレオに「家族を頼んだ」ことが、レオの人生を狂わせてしまった。
たった10歳の子どもがどうやって家族を守ることができるのか。
父のとおりにふるまうしかないではないか。反面教師だとしても。

作者の一人、ステファン・トゥンベリは強盗に参加しなかった彼らの実の兄弟だという。
本当は4人兄弟だったのだそうだ。
レオはこの本を読んで自分や周りの人たちをどんな狂気にさらしていたか、これで理解できた」と語った。
自分を客観的に見ることができるようになったのなら幸いだと思う。

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2022年02月12日

Posted by ブクログ

面白かった。

最後は、あんなもんだよね。小さい綻びから、大きな破綻につながる。意外にあっけないですね。

小説なので、もちろん脚色されていると思うんだけど、この話が事実を下にして描かれたという事が驚きですね。下となった事件当時は、まだ冷戦のころだし、スウェーデンでは徴兵制が敷かれていたので、国中に武器が備蓄されていたという背景があるんですね。だから、こんなことが起きる。

でも、こんな大それた事ができるのであれば、まじめにほかの事に取り組めば上手くできたのではないかと思うんだけど、武装強盗に走ってしまったのは、若さの故なのかな。

もう一つの驚きが、共著者のステファン・トゥンベリが、この作品の下となった事件を起こした兄弟の一人という事。ステファン自身は、犯行に加わっていなかったらしいですが、兄弟が何やらやっている事はしっていたそうです。スウェーデンでは、肉親の犯罪を通報しなくても罪にならないのだそうです。

後日談に相当する作品があるそうなので、そちらも読んでみたいと思います。

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2021年04月07日

Posted by ブクログ

兄弟が銀行強盗を次々に成功させると同時に、少しずつ明らかになってゆく、その目的。
レオは自身の中に存在する、いくらお金を奪っても決して癒されない深い孤独と、父親への想いに気づき始める。
他の誰よりも父親に認めてもらいたかったのだというレオの心の叫びが、過剰な暴力となって形を変えてゆく様が、何とも悲しい。

この作品では、親子、夫婦、兄弟、親友、恋人など、さまざまな関係性に基づく愛情と暴力の形が描かれている。
言葉では伝えられない感情が暴力となり、その想いが強ければ強いほど、彼らは本当に破壊しているものが何なのか、その実態が分からなくなっているようだ。
一番冷静だと思われたレオが少しずつ感情に飲まれてゆくのとは対照的に、兄弟を想うフェリックスの心の強さが際立っていくのがとても印象的。

銀行強盗がテーマのクライムサスペンスだと思って読み始めたが、思った以上に人間の愛情や絆を深く描いてあってとても楽しめた。上下巻を通して中々にボリュームがあるのだが、一気に読みきってしまう。

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2020年01月13日

Posted by ブクログ

事実に基づいてるって知らなかった。
北欧小説だから期待してたところもあったけど、ある意味逆に裏切られた。
もしかしたら翻訳が良かったのかもしれないけど、題名からの想像と違って、当事者の繊細な感じが想定内だったから良かった。
でも、最後はね。

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2019年12月23日

Posted by ブクログ

過去と現在を行き来しながら、兄弟が犯罪に手を染める模様を描いていく。
実話に基づいた題材という驚きもあり、暴力、犯罪心理、被害者の心にも迫っていく。

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2019年04月12日

Posted by ブクログ

実話に基づくという制約がある中で、キャラクターの造形は良くて、作品に入り込めた。けど、その分ラストの部分でのあっさり感が残るかな。

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2019年02月11日

Posted by ブクログ

どうしてそこまで、銀行強盗に執着し続けたのか。兄弟の結束をそんな形でしか表現できなかった。悲しい家族。捕まっても、なお揺るぎない結束精神。

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2019年01月28日

Posted by ブクログ

最後まで父親に引っ掻き回されることになるとは。そもそも強盗中毒症状に陥っているレオは捕まるまでその計画的行動を止めることは出来なかったと思う。弟達が仲間から外れることで、まさかあそこまで忌み嫌った父親を犯行に引き入れ、こんなにも早く失敗するとは皮肉なものだ。

警察を欺くような緻密な計画を立てられるようなら他の分野でその才能を活かして欲しいが、家庭環境から作られる血や心の繋がりによってがんじがらめになった自分の存在価値と過去からの脱却がこういった所業を起こさせ、最後は父親の呪縛から逃れられなかったのかもしれない。

ある意味暴力という連鎖をどう断ち切るのか、といった大きな問題を投げかけているように感じる。この課題は世界共通のことであり、いつの時代でも形を変えて起こっている。もしかしたら人間として避けられない宿命なのかもしれない。

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2018年09月23日

Posted by ブクログ

評価を聞いて期待して読みましたが、割とあっけない印象。実話ベースのため色付けをしなくてはならないから、必要以上に掘り下げているのではないか、と思ってしまいました。もう少しコンパクトになったのでは。そして、レオが何だか気の毒に思えてしまいました。

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2018年07月10日

Posted by ブクログ

ネタバレ

イヴァン最悪。最低。冒頭から人間のクズだが、最後の最後で最低な本性を現す。これほど愚劣なキャラクターに会ったことがない。ゲスの極み。物語は全編にわたりスピード感とスリルがあって引き込まれた。

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2018年11月28日

Posted by ブクログ

ネタバレ

不思議な家族の結束。
レオと父の関係は予想外だったな。嫌いなのかと思いきや、どこかで繋がっている。
兄弟間の結束も。子供時代を考えるとそこの結束は固くなりそうだけど。離れてもやはり繋がってる。

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2025年02月09日

Posted by ブクログ

ネタバレ

長男レオを中心に次男、三男の3兄弟と、友人のヤスペル、レオの彼女のチームで銀行強盗を繰り広げる物語。
現在の物語の中に、レオの幼少期が描かれている。

次男と三男がチームを抜けることとなり、親父をチームに引き込むこととなりそれが最後の仕事となって捕まったところで終わる。


物語としては銀行強盗の単純な物語なんだが、幼少期の逸話が入ることで物語の深みが増している。

ただ物語自体は評価ほど面白い訳ではなかったのだが、最後の解説をよんでビックリさせられた。
この物語は完全なフィクションではなく、本当にあった史実をもとに その犯人たちの本当の兄弟(事件に関与していなかった)が筆者と協力してこの本を完成させていること。
ほぼほぼ、ノンフィクションで描かれているという点がビックリさせられた。

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2023年07月06日

Posted by ブクログ

暴力に支配された兄弟が成長し、銀行強盗団となる。犯罪自体は許されないものであるが、彼らの精一杯の生き様に、悲しく切ない気持ちになる。スェーデン社会の闇も垣間見られる重厚な作品。

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2022年02月04日

購入済み

読み切った

途中が少しダレたが、最後までたのしんだ
ハヤカワ・ミステリ、すごいねえ。たまには手を出してみよう!
みなさんもぜひ寝不足に!

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2021年07月04日

Posted by ブクログ

このミス海外編2017年版1位。スゥエーデンの実在の事件を元ネタにした犯罪小説。兄弟3人を中心としたチームによる連続銀行強盗で共著者の一人が実際の主犯との3人以外のもう一人の兄弟らしい。スェーデンを舞台にした小説ははじめて読んだ。事件描写や捜査の状況は緊迫してて面白いけど、心象風景や少年時代の事件の描写が細かく分量も多くて退屈。上下巻の大作でかつくどいところもあって、読み進めるのに苦労し時間がかかってしまった。読みやすさを重視する自分的には評価つけれない。まあ、面白かったし、読書好きの人なら何の苦もなく読めるのかも。

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2019年10月30日

Posted by ブクログ

ネタバレ

長い。父親との確執に至る章を挿入する形式は取ってつけたような印象を受け、小説としては普通かなと思ったが、実際に起きた事件の再構築による物語ということ、更には翻訳者あとがきを読んで知った作者にまつわる事実(これはネタバレなんでしょうか?)を知るにいたり、すさまじい小説だと読後感じました。

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2019年10月06日

Posted by ブクログ

第三部と第四部の転換が強烈だった。登場人物の見え方ががらりと変わる。彼自身の嫌悪の対象と同化している姿がはっきりと示される。おぞましく哀れな教育の成果としての過剰な暴力は、決してコントロールできず、彼を飲み込んでいる。

暴力のある家庭の悲惨さは言うまでもない。言うまでもないから言語化できていなかったが、この作品を読んで暴力の悪影響の手触りを感じた。

してはならないことは何を捨てても失っても、してはならないのだと、理解できるのは大人だからだ。子供は愛を求めることが正解で、実際にはそこに選択肢はない。
だから、服従させてはならない。

上巻は結構疲れたが、下巻は一気に読めた。

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2019年02月18日

Posted by ブクログ

ネタバレ

上巻一気に読み進めたが、下巻に入り少しダレ気味になった。実話をもとに、関係している者との共著と考えると改めて凄い話。

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2019年01月30日

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