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緻密かつ大胆な犯行で警察を翻弄し、次々と銀行を襲撃していくレオたち。その暴力の扱い方は少年時代に父から学んだものだった。かつて彼らに何がおこったのか。そして今、父は何を思うのか――過去と現在から語られる“家族”の物語は、轟く銃声と悲しみの叫びを伴って一気に結末へと突き進む。スウェーデン最高の人気を誇り、北欧ミステリの頂点「ガラスの鍵」賞を受賞した鬼才が、圧倒的なリアリティで描く渾身の大作。
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Posted by ブクログ
最後の方は夢中になって読みました。軍人ギャングも刑事さんも両方が身近に感じられて応援(?)したくなりました。スウェーデンの家族の絆がとても強いってわかりました。あとがきも読むと小説の裏側がわかって良かったです。
軽い気持ちで、エンタメ感覚で(不謹慎だけど)手に取った犯罪小説だったのに、この読後感は予想外…。 作中繰り返される「いまが、昔になれば。昔が、いまになれば。」が哀しく、切ない。 続編読むの怖いなぁ。読むけども〜。
三兄弟と幼馴染が軍の武器を奪い銀行強盗を繰り返す。視点を切り替えながらテンポ良く進んで行くので、長くても全く飽きなかった。表現のセンスも抜群でストーリーに引き込まれました。
スウェーデン作家「アンデシュ・ルースルンド」と「ステファン・トゥンベリ」の共著の長篇ミステリ作品『熊と踊れ(原題:Bjorndansen、英題:The Father)』を読みました。 「アーナルデュル・インドリダソン」、「ジョー・ネスボ」、「レイフ・GW・ペーション」の作品に続き、北欧ミステリです。...続きを読む -----story------------- ハヤカワ・ミステリ文庫創刊40周年記念作品 〈上〉 凶暴な父によって崩壊した家庭で育った「レオ」、「フェリックス」、「ヴィンセント」の三人の兄弟。 独立した彼らは、軍の倉庫からひそかに大量の銃器を入手する。 その目的とは、史上例のない銀行強盗計画を決行することだった――。 連続する容赦無い襲撃。 市警の「ブロンクス警部」は、事件解決に執念を燃やすが……。 はたして勝つのは兄弟か、警察か。 スウェーデンを震撼させた実際の事件をモデルにした迫真の傑作。 最高熱度の北欧ミステリ。 〈下〉 緻密かつ大胆な犯行で警察を翻弄し、次々と銀行を襲撃していく「レオ」たち。 その暴力の扱い方は少年時代に父から学んだものだった。 かつて彼らに何がおこったのか。 そして今、父は何を思うのか――。 過去と現在から語られる"家族"の物語は、轟く銃声と悲しみの叫びを伴って一気に結末へと突き進む。 スウェーデン最高の人気を誇り、北欧ミステリの頂点「ガラスの鍵」賞を受賞した鬼才が、圧倒的なリアリティで描く渾身の大作 ----------------------- 1990年代の初頭にスウェーデンを恐怖に陥れた正体不明の強盗団… まるで軍事作戦のような統率の取れた的確な動き、軍用銃を駆使し、ためらわずに発砲する手口は"軍人ギャング"と称された、、、 彼らは1991年(平成11年)秋から、1993年(平成15年)末までに、軍の武器庫からの略奪を2件、現金輸送車の襲撃を1件(未遂3件)、銀行や郵便局の強盗を9件、さらにはストックホルム中央駅で爆弾事件まで起こした… 警察は、この強盗団の正体を全くつかめなかったが、犯行の計画性、周到性、狂暴性等から、初犯ではないと思われていた。 ところが一段が逮捕されてみると、その中心となっていたのは20歳前後の三兄弟とその友人たちで、前科もなければ裏社会とのつながりもない若者たちであるとわかった… 前段が長くなりましたが、本作品は、当時スウェーデン公営テレビ記者として現場でこの事件を報道していた「アンデシュ・ルースルンド」と、犯行の中心人物だった三兄弟と実の兄弟である「ステファン・トゥンベリ」が、その一連の事件をモデルに描いたフィクション作品です、、、 とはいえ、事件に関わっていた当事者たちが描き、事件のあった場所や手口等の大部分が事実に基づいていることから、ノンフィクション作品のようなリアリティや臨場感があり、読んでいるうちに、ぐいぐいと作品の中に惹きつけられていきました… 上下巻で1,100ページ程度の大作でしたが、長くは感じませんでしたね。 暴力的な父親「イヴァン・ドゥヴニヤック」の影響下で育った「レオ(レオナルド)」、「フェリックス」、「ヴィンセント」の三兄弟… 長兄「レオ」が中心になり、「レオ」の恋人「アンネリー・エリクソン」や幼馴染の青年「ヤスベル」を巻きこんで、壮大な強盗計画を企てる、、、 ストックホルム防衛管区の動員用武器庫に侵入し、二個中隊分の装備がまかなえるほどの銃や爆薬を盗み出し、これを使って彼らは現金輸送車や銀行を襲い始める… 彼らは20代から10代後半とまだ若いが、リーダーである長兄「レオ」が立てる緻密な計画と冷静な指揮により、強奪は順調に進む。 事件を捜査し彼らを追う警部「ヨン・ブロンクス」も優秀だが、手を替え品を替える手口で翻弄し、尻尾を掴ませない… だが、首謀者たる「レオ」の欲望と目的は、なかなか満たされない、、、 予定では、もっと早くに巨額の金を強奪して、人生をやり直すつもりだったのだが、毎回見込みよりも少ない額しか手に入らないのだ… そういうこともあって、犯行グループの中には次第に軋みが生じ、二人の弟が離反する。 しかし最後の襲撃に執念を募らせる「レオ」は、とうとうある人物をグループに引き入れ、危険な賭けに出る… カリスマ的リーダーの「レオ」、一度決めたら譲らない「フェリックス」、まだ無邪気さが残る「ヴィンセント」、軍隊から抜けた後、尊敬する「レオ」に従い仲間になる「ヤスベル」、強盗や警察側だけでなく犯行現場に居合わせた被害者も含め、登場人物は全員、複雑で多面的な個性を持ち、それぞれに共感しながら読み進める感じでしたね、、、 犯行に向けて周到に準備を整える場面や、突入し犯行に及ぶ一部始終などの、微に入り細を穿つ描写のリアリティには、ホントに関心しました… 四人の息づかいが感じられ、自分も共犯者のひとりとしてこれから強盗に行くのだと錯覚してしまうような気分に浸れるほどの巧みさでした。 ミステリというよりは、家族・兄弟の愛憎や絆を描いたヒューマンドラマという印象ですね… 特に、家族を裏切ることの罪深さを説きつつ、妻を激しく暴行してしまう父親「イヴァン」の存在は強烈な印象が残りましたね、、、 そんな粗暴な父親を憎み拒絶する兄弟ですが、その憎い父から学んだ暴力を有効な道具として使いこなすことで犯行を完璧なものにしようとする「レオ」… 冷静に気持ちをコントロールしようとしますが、他者を屈服させる快感と昂揚により、次第に自らの大きさを勘違いしてしまうんですよね。 暴力により支配すること、コントロールされることの恐ろしさを改めて感じました、、、 でも、本作品、次々と犯行を重ねるのですが、「暴力」はあっても「死」がないのは良かったかな… これで多くの命が奪われたら、救いがないですもんね。 本作品は、続篇が『兄弟の血―熊と踊れⅡ』として刊行されているようです… こちらも読んでみたいですね。 以下、主な登場人物です。 「レオ(レオナルド)」 ドゥヴニヤック家の三兄弟の長男 「フェリックス」 ドゥヴニヤック家の三兄弟の次男 「ヴィンセント」 ドゥヴニヤック家の三兄弟の三男 「イヴァン・ドゥヴニヤック」 三兄弟の父 「ブリット=マリー・アクセルソン」 三兄弟の母 「ヤスベル」 三兄弟の幼なじみ 「アンネリー・エリクソン」 レオの恋人。シングルマザー 「セバスチャン」 アンネリーの息子 「ヨン・ブロンクス」 ストックホルム市警警部 「レナート・カールストレム」 ストックホルム市警警視正 「サンナ」 ストックホルム市警鑑識官 「ガッペ」 建設業者 「サム」 ヨンの兄。服役囚
あとがきに一番びっくりした。 知らずに読めたのは、幸せ。 未読の方は、あとがきと解説は最後まで取っときましょう(普通か。)。
本当に読み応えがあった。 実在の事件をモチーフにした圧倒的迫力のクライムノベルの下巻。 あとがきを読んで、あらためてこの強盗事件を起こした3兄弟(実際の事件を起こしたのは4兄弟で、そのうちの犯行に加わらなかった一人が本書の著者・ステファン・トゥンベリ)の視点や心情がリアルに描かれていることに驚愕した...続きを読む。それほどまで、犯人グループの心情に寄り添ってこの事件が描かれているのだ。 次々と成功する銀行強盗、犯人グループに翻弄されまくる警察。 もはやこの『軍人ギャング』と名付けられた犯行グループの犯行を誰も止めることはできないのか。 しかし、どんなに完璧な犯行も、回数を重ねていくごとに、不安が募り、グループ内での関係に変化が生じてくる。 これまでは完璧なリーダーとして君臨していた長男のレオに対して、弟たちは違和感を覚えていく。 「暴力に支配されてしまった兄」 これこそ弟達が感じてしまった違和感だ。 どんなことであっても、物事は『中毒』になり得る。 『銀行強盗中毒』になってしまった兄レオは、さらに大きな銀行、さらに高額な金額を求めて強盗計画を作って行く。 そして、犯行に破綻がやってくる。そう破綻はいつも内部から始まるのだ。 三兄弟の心情が『現在』と父親達から虐待を受けていた『過去』の二つに分けられ交互に描写され、読者は三兄弟の心情に深く深くのめり込んでいく。 重厚な物語の結末は、驚くべきずさんな犯行により幕を閉じる。 読者の誰もが「そんな計画で、そんなメンバーでは成功するはずがない」と分かっているのだが、レオは突き進んでいく。 本書を読み終わった後、長い沈黙が僕の胸に訪れた。 圧倒的な暴力は人の人格を変える。 それは子供のころから育まれる。 人生とは、もう既に始まった時から終わり方は決まっているのかもしれない・・・。
題名:熊と踊れ (上・下) 原題:Bjorndansen (2014) 著者:アンデシュ・ルースルンド&ステファン・トゥンベリ Anders Roslund & Stefan Thunberg 訳者:ヘレンハルメ美穂・羽根由 発行:ハヤカワ文庫HM 2016.9.15 初版 2016.11....続きを読む26 4刷 価格:各¥1,800 『このミステリーが凄い』2016年の圧倒的一位を獲得した年、ぼくはこの作品を不覚にも未読で、翌年、これを読んで歯噛みしたものだった。どうみてもこれは圧倒的な作品だったからだ。分厚いだけではなく、スリルとアクションが親子・兄弟の人間ドラマと表裏一体となって驀進する大型重戦車の出来であったのだ。 山中にある謎の施設が実は軍の武器庫であったと知ったときから、ドゥヴニヤック家三兄弟の犯罪は始まる。武器庫襲撃、そして次々と間髪をおかずに、警察の包囲網を嘲笑うかのような手法による現金輸送車や金庫の襲撃が始まる。一度ではなく、同時に連続して何か所もという複数犯罪も一つの特徴である。 作戦参謀が天才なのである。長兄のレオ。そして以上は現在。彼らの犯罪のモチーフとは何であったのかを語るのが、過去。そう。本書は犯罪ファミリーの現在と、なぜ彼らがそうなったのかに至る家族の悲劇を描いているのだ。凄まじいほどのDV。壊され傷つけられる幼い人格。最早、望んでいた普通の家族生活に手に届かなくなった時に、犯罪モンスターとして世界に対峙する存在となってゆく彼らのドラマが生まれてゆく。 実はこの凄玉犯罪プロットは、スウェーデンをかつて震撼させた実際の事件を元にしている。この兄弟では描かれなかったもう一人の兄弟は実在している。アンデシュ・ルースルンドの共著者であるステファン・トゥンベリがその一人である。彼は父親による嵐のような家庭内暴力を実際に体験した一人なのだ。犯罪に手を染めてゆく兄弟に加わらなかった一人として本書の執筆に手を貸している。現実と創作の境界がどこにあるのかは、この本からはわからない。 しかし現実の凄みこそが、この作品のリアリティを圧倒的に高めているのは確かである。人はどうやって怪物的で天才的な犯罪者に育ってゆくのか? そしてその心のうちは? 兄弟たちの葛藤は? 父と母と彼らとそれぞれは運命の中でどのように愛や憎悪や赦しを交わし、あるいは離反してゆくのか? 様々な運命の矛盾は現実を土台にしか生まれ得ないと思われる。この小説の持つ行間に溢れる切迫感、スピード感は、そうした負のエネルギーを動的内燃機関経由で爆発させた結果生まれたものに違いない。 20年に一度の傑作がここにある。この本を契機にアンデシュ・ルースルンド関連の作品はすべて手に取るようになったが、どれも共通して言えるのが、現実に材を取った少なからず社会的小説と呼べるものばかりだ。本作品は二作構造となっており、昨年『兄弟の血 熊と踊れII』が邦訳された。そちらは現実をもとにした本書の、創作された続編であるが、セットでお読みいただくことを強くお勧めする。
緊迫の下巻。 もう読んでてわかる、結末の感じに胸が締め付けられる。 破滅への速度は緩まることなく加速していくだけ。 これが実話を基にしているというのがまた驚きだ。
少ない登場人物ながらも、それぞれ個性的であり、生きている。 フィクションを基にしたからこそ生きている気がする作品。再読。
クライム系で結構スピード感もあり兄弟の絆とかもいい (⌐■-■)最後のオチが悲しい ⊂|⊃ [ಠ_ಠ]実話をもとにしてるから仕方ねえだろ
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