呉座勇一のレビュー一覧
-
-
Posted by ブクログ
先に著者の『応仁の乱』や、この本でも取り上げられている亀田俊和『観応の擾乱』を読んでいたが、そこで解説されていた関係者·関係勢力の動向、物事の推移の複雑さは、歴史の面白さをとても実感できるものだった。
刻々と変わる利害関係、それぞれが状況把握できていない混乱、各々のもつ野望や利益追求や妥協や諦め、超個人的な要素の「本人のやる気」、状況をムダに引っ掻き回す人物、誰にも予測できない突発的事態…。
これらが教科書なら数行で終わってしまう歴史用語のなかで蠢いているのは、わかりにくさも含めて「歴史って一筋縄ではいかないな!面白ろ!」と思ったものだった。
そこを歩いた後、本書でも紹介されている陰謀論はど -
Posted by ブクログ
経覚・尋尊という奈良 興福寺の僧侶の眼を通しての、新しい「応仁の乱」像。
経覚の父は関白・九条経教、母は浄土真宗大谷本願寺の出身。尋尊の父は関白左大臣一条兼良、母は中御門宣俊の娘と言う、所謂良家の出家者。当時はこのように公卿からの出家者は、大きなお寺の今で言う貫主の地位につけたようだ。
さて新しい視点の「応仁の乱」と言っても、高校の授業で、恐らく教科書の数行程度の記述でしかなかったと思われ、自分にとっては新しいも古いもなく、そのまま素直に読解することを心がけた。
この時代、敵になったと思ったら寝返ったり、親子・兄弟の間でも敵味方になったりと、実にややこしい。で、なかなか読み進めることが出来 -
Posted by ブクログ
第一線の現役研究者による合戦に関する最新研究状況。「川中島の戦い」「桶狭間の戦い」「三方ヶ原の戦い」「長篠の戦い」「関ヶ原の戦い」「大坂の陣」という六つの戦いと、「豊臣秀吉の天下統一過程」について解説している。
かつては偽書扱いだった「甲陽軍鑑」の位置付けが変わっている事や、徳富蘇峰の著書が後世に与えた影響の大きさなど、改めて知る事ができた部分が多かった。やはり第一次史料となる書簡等を元に説明されると説得力が違う。
⭐︎は4つ。個人的にはすごく面白いけど、研究書とかに縁が無い人にはちょっとハードル高めかと…。司馬遼太郎の「関ヶ原」「城塞」などと照らし合わせながら読むと無茶苦茶面白そうです(そん