呉座勇一のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
数年前に話題になった中公新書の応仁の乱。これをきっかけに中公新書は歴史実証的な著作が増えていく。
本書については、個人的な知識の問題で登場人物がビビッドにイメージできずにやや字面を追っていたところがある。とはいえ、メインのストーリである管領家をめぐる対立がきっかけとなって天下の大乱に至り、和平交渉もステークホルダーの多さから落とし所をつくることができずにまとめることができなかったこと。すなわち、幕府の力が低下し大名をまとめられなくなっていたこと、加えて将軍義政が日和見的でどっちつかずになっていたため、各勢力がお互いの利益を主張しあった結果、いくさにもなり和平もできなかったという点は理解できたん -
Posted by ブクログ
今年の大河ドラマ『鎌倉殿の13人』の時代考証を担当するはずであった呉座氏による同書は、鎌倉幕府の成立史を頼朝と義時という二人の人物を中心に叙述されている。しかし、伝記的な記述ではなく、彼らが朝廷、貴族社会といかに対峙し、武家政治を切り開いていったという点が重視されている(p.7)。また公武対立が運命的であったとみなす公武対立史観には立っていない。ここに本書の特徴がある。
著者が有名になったきっかけであるベストセラーの『応仁の乱』(中公新書)と基本的には同じスタンスでの叙述かとは思うが、応仁の乱よりも登場人物たちの入り組み方は複雑ではなく、その点、『応仁の乱』よりもわかりやすいかもしれない。