辻田真佐憲の一覧
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ユーザーレビュー
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明治維新から77年で敗戦。敗戦から77年が昨年2022年。我々はいまだ明治政府に縛られている。いやそれどころか、亡霊のようにつきまとい、肥大化してさえいる。
欧米列強と闘うためには西洋化が必須。
江戸幕府にとってかわった薩長明治政府は天皇を担ぐ。
しかし天皇は和服、では西洋化のシンボルにならない。
...続きを読む古事記日本書紀に遡れば神武天皇は闘う天皇。
神武天皇以来万世一系の天皇こそ闘う天皇。
天皇陛下の下で富国強兵だ!
みたいな絵を書いて、そのために、それまでは存在を忘れられていた神武天皇を担ぎ出し、
その肖像画は明治天皇に似せて作り、、
その明治天皇の肖像も元は東洋顔だったのが、それでは弱いと西洋風の顔にしたもの。
何から何まで虚構。
神武天皇のエピソードを膨らませる中で「八紘一宇」も生まれる。
天皇は平和裏に世界をひとつにしようとしていた、と。
今の政治で自由民主党に在籍する議員の多くは、
この明治政府が作った虚構をまるまる信じているのだろうか。
それともわかっていて、あえてそういう発言をして、
国民を扇動しようとしているのだろうか。
「八紘一宇」質問の三原じゅん子議員などは心から信じているように映るが。
もはや天皇を担ぐのでなく、アメリカを仰いでいるはずなのだが、、、
天皇家は男系で2600年続いている、なんてことを信じて、
男子が残っている旧宮家を復活させ天皇におむかえしろ、
なんて言っている青山繁晴議員は、学識ある方と思うんだけどなー。
私は今の天皇家の祖先は26代継体天皇と理解している。
15代応神天皇の五世の孫。
でもそれじゃぶちこわしだから、青山先生などは一切そういうことは言わない。
だいたい、楠木正成を忠義の武士というが、彼は南朝後醍醐天皇に仕えた。
今の天皇は北朝。そこからして変。
そういうことに全部目をつぶって、物語を作って、国民を動かそうとしている。
そして当初は物語とわかっていたものが、皆ホントの話と思い込む。
危ない。
だいたい誰が国を動かすのだろう。
明治政府では薩長、いまは官僚と自民公明となるのか?
なんだかなー。
戦前、近現代史を見つめ直したこの新書。名著だ。
Posted by ブクログ
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明治〜昭和初期にかけての、日本書紀や古事記を元にした引用が、読み辛いなと流していた。
戦前〜戦中にかけて、分かりやすく勇ましく、読みやすくなって怖くなった。
良い本だった。
Posted by ブクログ
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いままで古事記と皇室の関係が「そんなわけなくね?」と不思議だったので、なるほどだった。
「ネタがベタになるリスク」
無批判に物語を受け入れる人って多いし、世間の空気がそっちの方向に行ったら逆らえなくなってしまう。あるある。
私は100%否定になりがちなので、「あえて曖昧なままにしておく」は今後意
...続きを読む識しておきたい。
Posted by ブクログ
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題名に強く惹かれ、入手して紐解き始めると、なかなかに愉しかった。出逢えて善かったと思える一冊だ。
研究成果や論考を、幅広い読者に向けて判り易く説くという、「新書」らしい感じの一冊だ。題名から受ける、少し厳めしい感じでもない。6つの章が在るが、各章での話題は何れも面白い。
第2次大戦の前後で「戦前」、
...続きを読む「戦後」という言い方を広くしていると思う。両者は、何となく「別」であるかのように感じさせられているかもしれないようにも思う。「戦前」の範疇に産れた人達の人生が「戦後」にも続いている例は多く、「戦前」に定着したようなモノが「戦後」に在り続けている例も多いであろう。更に「戦後」の中だけでも、様々な変遷が在って、「そう言えば以前はもっと様子が異なった?」も多々在るのだと思う。漫然とそういうような問題意識も在ったので、本書で取上げている話題は何れも非常に興味深かった。
明治期以降、「中世」を「キャンセル」して、神武天皇に起源を有する古い時代の「神話」を半ば創出し、それに依拠した考え方を推し進めたと言える面が在るのだと本書は説く。そしてその「神話」の扱いを巡って様々な展開が在る。色々と言われるように、国家が様々な事柄を主導しようとした一面は在るが、「下からの」とでも呼ぶべき、民間から起こった動きが国家の中に採り入れられたというような事柄も在る。「国家が打ち出した物語」とでも呼ぶべき「神話」が時代を牽引していたような様子を「戦前」とすべきなのかもしれない。そういう柱で、幾つかの話題が展開しているのが本書であると思う。
「戦前」というモノは、強い批判という目線で取り沙汰される場合も在れば、大いに賞賛、称揚するという目線で取り沙汰される場合も在る。が、両者の何れにしても、少し考えてみると「本当は?」というような、考える余地が大いに残るかもしれないというのが、本書で論じられている数々の内容だ。言わば「大いに誤解されているのかもしれない“戦前”なるもの」というようなことが、一口で言う本書の主題かもしれない。
或いは、本書のようなテーマを考えてみるということが、「歴史を学ぶ」という上で有益であり、求められることなのかもしれない。非常に興味深い一冊なので、広く御薦めしたい。
Posted by ブクログ
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ある種の「歴史」を語るのが憚られる雰囲気が漂う昨今、正面から切り込む一冊でした。非常に参考になりましたが、こうした言説すらも攻撃の対象になるのかもと思うと難しい時代になったと思います。
Posted by ブクログ
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