辻田真佐憲のレビュー一覧
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■定義できないものを、そのままに模索し続けること
「あの戦争」について大きな見取り図の中で多角的な解釈が示されており、全編とおして充実した探索になった。しかし僕がいちばん「ごもっとも!」と膝を打ったところは、出発にあたり著者が前提とした「歴史観」についての主張だ。
第一に、歴史は科学ではないということ。ある事実があったとして、その評価は後世になされるものであり、多様な立場、ましてや時代により変化する価値観の中でなされる解釈は様々であるため当然唯一の正解というものは存在しえない。
第二に、イデオロギーを嫌悪、忌避することへの警鐘。合理性を追求し「実証主義」という名のもとに、イデ -
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近現代の歴史認識に関する本を、ある程度の冊数を読んできましたが、これぞ決定版と言えるのが本書です。
この本の中で取り組んでいることは、あらゆる側面からの公平性だと感じました。
現代から過去へ遡って歴史をみる現代人と、その歴史の中で生きてきた人々の視点を、なるべく公平に見るアプローチ。侵略された人々が感じた太平洋戦争という側面と、侵略した側の側面。これらをできる限り偏らずに書こうとしています。
太平洋戦争に関することは、あらゆる人々が、あらゆる場面で、自らの信条を言いたいがための史実の引用に終始することが多いと感じていましたが、本書は、そこをなるべく公平な視点で描こうと足掻いている素晴らしい取り -
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昨年夏にYouTubeのリハックに著者の辻田さんが出演されていてこの本を知りました。読まなきゃなと思って買ったものの、最近読み終えました。
読み終えたのは最近ですが、読み始めたのも最近であり、数日で読めたのは内容の面白さもありますが読みやすさもあったと思います。しかしそれ以上にあらためて当時の出来事の流れをしれたのが興味深かったです。文中にもありますが歴史書籍は書き手の思想がどうしても表れますが、この本はそうならないように意識して書かれているからこそ斬新に思え、そして考える余白を作ってくれていると感じます。
歴史の出来事ですので人物名や出来事が一度読んだら覚えられるものではありませんが、本 -
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自分の足で史跡を追いながら論文にまとめる辻田さんらしい新書。
今年65歳になる私が小学生のころ、「あの戦争」は太平洋戦争、
と呼ばれていた。
第二次世界大戦との違いがよくわからなかった。
それが今は「アジア・太平洋戦争」というのが通説らしい。
中黒(・)の在り無しでも意味が変わるようだ。
しかし、昭和16年から20年の間、人々は「あの戦争」を、
いやもちろん当時の人々にとっては「この戦争」だが、
大東亜戦争
と呼んでいた。
著者もこれが適切だろう、と書いている。
決して著者は右翼でも何でもない。
私もいつのころからか、このブログでもこの言葉を使うようにしている。
というくらいに、「あの -
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あの戦争というフレーズを聞いて私は
すぐに太平洋戦争と言う言葉が浮かぶが
日本での価値観も変化し
戦争に対する考え方も大きく変化しようとしている
世界は民主主義が崩壊しかけ保護主義気味に
自国第一主義になっている
まさに新たな戦前の模様になっており
毎日自衛隊の緊急発進
核兵器が新たに隣国では配置され
企業はサイバー攻撃の嵐
首相の一言で大騒ぎの始末
日本も今後戦火に
巻き込まれるかもという雰囲気になってきている
賢者は歴史に学ぶその為の1冊
日本は何故戦争を推し進めたのか
それが実に細やかに書かれている
原因は何か
アメリカの石油輸出の禁止?
ハルノート?日中戦争?フランス領への出兵 -
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明治維新〜戦前まで、日本がいかに神話国家になったのか?がよくわかる。(あと、靖国神社も理解できた)
太平洋戦争で、日本がなぜ「我々は神の国だ」なんて変なこと言ってたのかが、よーく理解できた。
「神話」は日本が近代国家を急造するための方便だった。欧米列強に植民地にされないように、強い日本になるために、国民を動かす装置だった。
それは見事に大成功し、日本は幾多の戦争に勝ち抜き、第一次世界大戦時には五大国として君臨した。
これらを成功させた土台には「神話」があった。
理屈はこうだ。神である天照(アマテラス)の子孫の神武天皇から2,600年もの間、万世一系の天皇をいただく日本は神の国である。つ -
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歴史は科学ではなく、現在そして未来に繋げるための解釈である。
このことを常に念頭に置き、「適切」な物語を模索し続けることが重要である。
この「適切」というのがめちゃくちゃ難しいからこそ、右翼と左翼、あるいは中国や韓国と日本の歴史観の対立につながっているのだろう。
個人の尊厳や平和、国家の共存といった理念が相対的に揺らぐのを抑えつつ、愛国心や祖先への敬意といった人間的な感情とのバランスを取るためには、100点の歴史なんてないのだということを前提に、表現の自由の下であらゆる批判をぶつけ、歴史を解釈し続ける他ないのだろう。
日本に近現代史の国立博物館がないという問題提起はかなり重大だ。
個人的に