辻田真佐憲のレビュー一覧
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日本書紀や古事記に出てくる日本神話が、戦前の拡大路線、対外戦争の中でいかにプロパガンダとして利用されてきたかを分かりやすく辿る一冊。神武天皇の八紘一宇に始まり、イザナギやアマテラスの時代まで遡り、神話の発祥地としての宮崎県と鹿児島県の争いや、軍人に人気を持った竹内巨麿の「竹内文献」など、知らなかった日本の歴史と神話の関係性を網羅できる。特に、神武景気や岩戸景気、いざなぎ景気といった言葉に表れるように、戦後の日本でも神話の教養が人口に膾炙していたことが印象的である。それが、日本という国が世界に晒された時の弱小コンプレックスなのか、日本という国の雰囲気をよく表していることなのか、考えてみたい。
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明治維新から77年で敗戦。敗戦から77年が昨年2022年。我々はいまだ明治政府に縛られている。いやそれどころか、亡霊のようにつきまとい、肥大化してさえいる。
欧米列強と闘うためには西洋化が必須。
江戸幕府にとってかわった薩長明治政府は天皇を担ぐ。
しかし天皇は和服、では西洋化のシンボルにならない。
古事記日本書紀に遡れば神武天皇は闘う天皇。
神武天皇以来万世一系の天皇こそ闘う天皇。
天皇陛下の下で富国強兵だ!
みたいな絵を書いて、そのために、それまでは存在を忘れられていた神武天皇を担ぎ出し、
その肖像画は明治天皇に似せて作り、、
その明治天皇の肖像も元は東洋顔だったのが、それでは弱いと西洋風 -
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誰でも知っている防衛省・自衛隊。しかし、山本五十六、東郷平八郎、東条英機のように防衛省・自衛隊で思い浮かぶ顔はあるのか、防衛庁の歴史を知っているかと言えば、首を傾げる人が多い。そんな動機が筆者にこの良本を書かせた。
本書が何より素晴らしいのは、列伝形式の物語風で兎に角読みやすい。それでいて、旧軍からの連節、駐留軍との関係、内務官僚による立ち上げと制服と背広の相剋などの草創期の視点、防衛大綱など戦略の背景などがよく理解できる。また、ある程度知識や記憶のある近年の話よりも過去に多くを割いていただいていることが、防衛省・自衛隊の成り立ちを理解する上で非常に良かった。
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【現代日本では、自衛隊への信頼度はすっかり高くなった。しかしだからといって、「軍隊による安全」一辺倒でいいわけではない。「軍隊からの安全」もまた、古今東西の歴史を踏まえた、人類の英知のひとつである。この両者のあいだのバランスを取りながら、今後の安全保障を考えていく。それがいま求められている】(文中より引用)
戦後間もない頃から現在に至るまでの幹部役人に光を当てながら、日本の防衛政策を人で読み解くことを試みた一冊。著者は、『文部省の研究』などでも知られる辻田真佐憲。
人に焦点を当てた構成になっているため、防衛・軍事の素人にとっても読みやすく、かつわかりやすい内容になっているところが特徴的。そ -
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デタラメの代名詞とも言われる「大本営発表」。
近現代史研究者の辻田氏はこの大本営発表にスポットを当て、その始まり(1937年の日中戦争時)から、最後(第二次大戦終了時)までを追いかける。
最初はデタラメとは言えず、そこそこ正確に戦況を伝えていた大本営発表が、一体いつ頃から綻び始めるのか。勿論、日本の劣勢を隠すためではあるのだが、なぜ当時のマスコミはその発表に隠された大きな嘘をそのまま報道したのか。
そこには陸海軍の対立と、国とマスコミの間の対立と癒着が深く関係していたことを丁寧に掘り起こしている。
戦時統制で新聞に使う紙が統制の対象になり、群に逆らえば新聞が印刷出来なくなると言う国に急所を掴ま