辻田真佐憲のレビュー一覧
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古今東西様々なプロパガンダが紹介されており、事例を読むだけでも楽しい。
楽しみつつも、強制的で退屈なプロパガンダは恐れる必要はないが、『楽しい』プロパガンダ−アイドルやアニメ、ゲームなどの娯楽にこそ–に注意を払う必要がある。萌えミリなどはその典型例だし、本の中にもある、自民党若手国会議員の勉強会で議論されているらしい『政策芸術』とやらも悪用されないよう注意しなければならないのだけれど、本当に上手な人が娯楽に思想を忍ばせた時に自分は気付けるか自信がないのも事実。
歴史を参照し、思考実験をすること。警戒心を持ちつつも極端になり過ぎないこと。筆者がプロパガンダを客観的に記載しているように、俯瞰の意識 -
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君が代のこと、なーんも知らなかった。
成立過程とか凄い面白い。
「君が代」って歌は、なんかか「君が代」自体のことを歌っている歌なのでは…と思いました。
これからも時々物議を醸しながら、苔のむすまで8000年なんだかんだと残るのかもしれません。
たぶん議論になることがめんどくさい故に国家を強制的に歌わせることになってしまい、それはどーかと思いますが、「君が代」自体がどんな歴史を彩ってきたのかは義務教育として教えたほうがいい気がします。
んで、国家という、わけがわからなくて複雑なものの象徴として、いろいろ考えるきっかけとして、ずーっと残っていけばいい。と思いました。 -
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日本の軍歌の誕生から終焉に到るまでの歴史を描いた本であるが、単にオタク本にとどまらず、日本の軍歌を軍歌たらしめる歴史的な背景、軍歌が戦争遂行に果たした役割にも言及。
フランスの「ラ・マルセイエーズ」ドイツの「ラインの護り」などを意識して作られた明治初期の軍歌は知識人、エリート層の創作であったが、やがて大衆化し、国民的エンターテイメントとなる。新聞社がコンペを催し、当然にレコード会社は売れ筋路線として軍歌を量産する。
戦時中、軍歌はニュース報道の役割も果たし、広瀬中佐に代表されるキャラクター軍歌を生み出す。
かくして軍歌は政治的エンタメとして戦争遂行の空気づくりの中核を担うことになる。軍部 -
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玉虫色と言うとネガティブな意味合いを持って受け取られる言葉であるが、複雑な日本の戦争に関する歴史を、玉虫色のまま、率直に、一方をとにかく礼賛することなく、また他方を切り捨てずに受け止めていくべきではないか。
全か無か、右か左か、善か悪か…といった単純な、しかし世にはびこる思考に気持ち悪さを感じるところ、それらとは一線を画し、日本がどういう状況、文脈にあってあの戦争に至ったのか、日本が掲げていた理想とはなんだったのか、日本が侵略した他国にあってはどのように物語られているのか、といったことを丹念に説明する。
人が語るものである以上客観的ではありえないが、少なくとも、相対的な視点で先の戦争を考え -
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ネタバレ恥ずかしながら、戦争を扱ったコンテンツとして、火垂るの墓や永遠のゼロ等の映画や、広島の原爆資料館など、悲惨な体験として二度と繰り返してはならないと伝えるものしか記憶に残っていない。
この本ではこれまでの日本での戦争に対する思想を振り返った上で、各アジア諸国での展示等、多角的な視点で描かれていることで、俯瞰的に世界各国との関係性を踏まえて一連の流れとして理解することができた。
現代の日本及び世界で戦争が起こらないようにするために、また現在起きている戦争ができる限り早く収束するように、様々な視点で物事を捉えねばならないと実感した。、 -
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右寄りでも左寄りでもない中立の立場であの戦争を振り返ってみてみようという視点はとても面白いと思いました。
アメリカに対しては被害者、中国に対しては加害者であり。あの頃の日本はアジアの島国ながら強豪列強と肩を並べていた。弱肉強食のあの時代に戦争せざるを得ない状況下であったことは間違いない。
現代の価値観だからこそ、戦争を批判的に捉えるがあの頃の価値観ではそうでないという視点もあると、、、
なにが悪でなにが正義か。見えるものだけが全てではないということ。綺麗事だけではうまくいかないということ。いろんな視点で物事を見極めていくと、、、そこには正解あるのだろうか。 -
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歴史学って何だろう。歴史とは単なる事実の積み重ねではなく、背後にある『物語』を含むものらしい。また歴史学は科学ではないとも。『物語』が個人によって異なるため、検証可能性がないからだと言う。そうなると単に事実関係を過去の文献から発掘するだけでは歴史学とは言えないし、仮にそれに意味付けをしたとしても「それってあなたの感想ですよね?」と言われてしまう。特に先の戦争のように政治的に意見が分かれる史実については共通の『物語』なんて得られるはずもない。
じゃあ歴史学なんて何の役にも立たないクソ学問かと言えばそんなことは決してなく、過去の歴史学者のおかげで世界の成り立ちを理解することができている。
「『あの -
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戦前がいかに古事記、日本書紀に拠る日本神話を重視していた時代であるかを徹底的に解き明かしている。神武天皇は江戸時代まではほとんど忘れられたような存在だった、そしてヤマトタケルもそれぞれが明治天皇、白川宮能久親王(旧・輪王寺宮)に重ねてイメージを植え付けていたという。一方、神武以上に有名で人気があった神功皇后は女性の活躍が不要とのことで、大きく取り上げられなくなったとのこと。そして英雄神武の銅像の顔が不明であるだけに明治天皇と酷似したシンボルにすることから、曖昧なイメージである古代回帰を訴え、天皇を軍人としての面も強調することができたとは興味深い。神話を利用して天皇制の権威を高めようとした戦前
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太平洋戦争(戦争の名称をどう呼ぶかの議論は本書の冒頭に十分行われている。私観では太平洋戦争が長年使われていて中立的な気がしている)についての最近のベストセラー。近年の太平洋戦争の書きぶりがどんな感じか知りたかったので読んでみた。
この中でも実証的な書き方が主流となっていることが述べられていたが、この本も中立的で実証的な書き方である。
当時の日本の状況や考えを辿りつつ、諸外国の立場も踏まえようとしている。
歴史が現在の思考を反映していることも留意している書きぶりは慎重で非を指摘しにくい。
うまくまとまっていて、現時点では太平洋戦争の振り返りとして上出来だと思った。
ただし、すでに太平洋戦争につ -
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日本も参政党の躍進や高市政権の発足で、いよいよナショナリズムが前面に出てきた感がする。
近年のナショナリズムはSNS等での発揚が強いが、筆者はあえてリアルな場を求めて世界を巡る。
トランプあり安倍晋三があり、もちろん日本の戦前戦中の「八紘一宇」「神武天皇」を顕彰する場がある。と思いきや、難波大介(昭和天皇暗殺未遂事件)の生家も訪れている。
筆者の政治的スタンスは中立のような気がするが、現場で感じている感覚は自分にも近いので好感が持てる。かと言って、紹介されて場を訪れてみたいとは思わないが笑。
最後の総論で述べている「国威発揚の四象限」の解説は分かりやすく納得できる。