辻田真佐憲のレビュー一覧

  • たのしいプロパガンダ

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     「強制的で退屈なプロパガンダを恐れる必要はない。そんなものは反発を生むだけで、大した効果も期待できないからだ。そうではなく、娯楽を通じて知らず知らずのうちに浸透してくるプロパガンダこそ警戒すべき存在なのである」(p57)
     映画、小説、音楽などの娯楽作品にさり気なくあるメッセージを潜ませ、特定の考えを広めようとする手法を、著者は「たのしいプロパガンダ」と呼び、戦時中の日本、欧米、東アジア、宗教、現在の日本からその実例を紹介します。
     台湾ではマジンガーZなどのロボットアニメが設定を変えられ、見ていた子供が主人公は共産党と戦っていると思っていただとか、有川浩、「名探偵コナン」、「艦これ」など、

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    2016年08月16日
  • たのしいプロパガンダ

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    古今東西様々なプロパガンダが紹介されており、事例を読むだけでも楽しい。
    楽しみつつも、強制的で退屈なプロパガンダは恐れる必要はないが、『楽しい』プロパガンダ−アイドルやアニメ、ゲームなどの娯楽にこそ–に注意を払う必要がある。萌えミリなどはその典型例だし、本の中にもある、自民党若手国会議員の勉強会で議論されているらしい『政策芸術』とやらも悪用されないよう注意しなければならないのだけれど、本当に上手な人が娯楽に思想を忍ばせた時に自分は気付けるか自信がないのも事実。
    歴史を参照し、思考実験をすること。警戒心を持ちつつも極端になり過ぎないこと。筆者がプロパガンダを客観的に記載しているように、俯瞰の意識

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    2016年05月07日
  • ふしぎな君が代

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    君が代のこと、なーんも知らなかった。
    成立過程とか凄い面白い。
    「君が代」って歌は、なんかか「君が代」自体のことを歌っている歌なのでは…と思いました。
    これからも時々物議を醸しながら、苔のむすまで8000年なんだかんだと残るのかもしれません。
    たぶん議論になることがめんどくさい故に国家を強制的に歌わせることになってしまい、それはどーかと思いますが、「君が代」自体がどんな歴史を彩ってきたのかは義務教育として教えたほうがいい気がします。
    んで、国家という、わけがわからなくて複雑なものの象徴として、いろいろ考えるきっかけとして、ずーっと残っていけばいい。と思いました。

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    2016年04月14日
  • たのしいプロパガンダ

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    戦前の日本、欧米、東アジア、宗教組織のプロパガンダが具体例を豊富に挙げて紹介されてある。
    それらは自分には関係ないと思うことも可能だろう。
    しかし、自民党若手国会議員たちの勉強会「文化芸術懇話会」で立案された「政策芸術」には危険な匂いがプンプンする。
    未来の「楽しいプロパガンダ」を防ぐために、過去の「楽しいプロパガンダ」を学び、その構造を熟知しなければならない。
    いかに民衆は扇動され、また扇動したのか。現代の社会に当てはめなければならない。
    さらっと読めたが、この視点を持つことは非常に大切だと思った。

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    2016年03月20日
  • ふしぎな君が代

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    雅楽や洋楽をミックスしたうえ歌詞も古い短歌の流用だった急造品だったというのは面白い
    明治維新のドタバタが伝わってくる

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    2016年03月09日
  • 日本の軍歌 国民的音楽の歴史

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    日本の軍歌の誕生から終焉に到るまでの歴史を描いた本であるが、単にオタク本にとどまらず、日本の軍歌を軍歌たらしめる歴史的な背景、軍歌が戦争遂行に果たした役割にも言及。

    フランスの「ラ・マルセイエーズ」ドイツの「ラインの護り」などを意識して作られた明治初期の軍歌は知識人、エリート層の創作であったが、やがて大衆化し、国民的エンターテイメントとなる。新聞社がコンペを催し、当然にレコード会社は売れ筋路線として軍歌を量産する。

    戦時中、軍歌はニュース報道の役割も果たし、広瀬中佐に代表されるキャラクター軍歌を生み出す。

    かくして軍歌は政治的エンタメとして戦争遂行の空気づくりの中核を担うことになる。軍部

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    2015年10月07日
  • 日本の軍歌 国民的音楽の歴史

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    軍歌の話も良かったけど、個人的には「政治とエンタメ」の話に興味がいった。私もニコニコ超会議に変な違和感を感じたので、これからの著作も多いに期待しています。

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    2014年08月06日
  • 「あの戦争」は何だったのか

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    右寄りでも左寄りでもない中立の立場であの戦争を振り返ってみてみようという視点はとても面白いと思いました。
    アメリカに対しては被害者、中国に対しては加害者であり。あの頃の日本はアジアの島国ながら強豪列強と肩を並べていた。弱肉強食のあの時代に戦争せざるを得ない状況下であったことは間違いない。
    現代の価値観だからこそ、戦争を批判的に捉えるがあの頃の価値観ではそうでないという視点もあると、、、
    なにが悪でなにが正義か。見えるものだけが全てではないということ。綺麗事だけではうまくいかないということ。いろんな視点で物事を見極めていくと、、、そこには正解あるのだろうか。

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    2026年01月10日
  • 「あの戦争」は何だったのか

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    歴史学って何だろう。歴史とは単なる事実の積み重ねではなく、背後にある『物語』を含むものらしい。また歴史学は科学ではないとも。『物語』が個人によって異なるため、検証可能性がないからだと言う。そうなると単に事実関係を過去の文献から発掘するだけでは歴史学とは言えないし、仮にそれに意味付けをしたとしても「それってあなたの感想ですよね?」と言われてしまう。特に先の戦争のように政治的に意見が分かれる史実については共通の『物語』なんて得られるはずもない。
    じゃあ歴史学なんて何の役にも立たないクソ学問かと言えばそんなことは決してなく、過去の歴史学者のおかげで世界の成り立ちを理解することができている。
    「『あの

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    2026年01月09日
  • 「戦前」の正体 愛国と神話の日本近現代史

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     戦前がいかに古事記、日本書紀に拠る日本神話を重視していた時代であるかを徹底的に解き明かしている。神武天皇は江戸時代まではほとんど忘れられたような存在だった、そしてヤマトタケルもそれぞれが明治天皇、白川宮能久親王(旧・輪王寺宮)に重ねてイメージを植え付けていたという。一方、神武以上に有名で人気があった神功皇后は女性の活躍が不要とのことで、大きく取り上げられなくなったとのこと。そして英雄神武の銅像の顔が不明であるだけに明治天皇と酷似したシンボルにすることから、曖昧なイメージである古代回帰を訴え、天皇を軍人としての面も強調することができたとは興味深い。神話を利用して天皇制の権威を高めようとした戦前

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    2025年12月12日
  • 「あの戦争」は何だったのか

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    太平洋戦争(戦争の名称をどう呼ぶかの議論は本書の冒頭に十分行われている。私観では太平洋戦争が長年使われていて中立的な気がしている)についての最近のベストセラー。近年の太平洋戦争の書きぶりがどんな感じか知りたかったので読んでみた。

    この中でも実証的な書き方が主流となっていることが述べられていたが、この本も中立的で実証的な書き方である。
    当時の日本の状況や考えを辿りつつ、諸外国の立場も踏まえようとしている。
    歴史が現在の思考を反映していることも留意している書きぶりは慎重で非を指摘しにくい。
    うまくまとまっていて、現時点では太平洋戦争の振り返りとして上出来だと思った。
    ただし、すでに太平洋戦争につ

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    2025年11月27日
  • 「あの戦争」は何だったのか

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    論理的文章で「あの戦争」について考察した新書です。
    話題の本であり、「あの戦争」について多くの知識を持たないため、この本を読んでみたくなりました。
    私が受けた高校の歴史教育では明治維新以降の歴史は飛ばされ、全く学ぶ機会が有りませんでした。 
    この本を読み、歴史の見方が多様であることを知り、奥が深いことも分かりました。
    なぜ「あの戦争」が始まったのか、事実を踏まえ、学んでみたいと思いました。

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    2025年11月17日
  • 「あの戦争」は何だったのか

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    「歴史とは現代からの解釈であり、そこには解釈者の意や価値観が加わるため、歴史は表情が変わる。」ことを前提にしている。

    戦争の始まり(太平洋戦争、日中戦争、満州事変、、、、遡るとペリー黒船まで?)を、偉人たちの解釈をふまえて、多様な角度で示されている(もちろんご自身の解釈も)。

    主に太平洋戦争に突入するまでの日本の状況(憲法や組織の脆弱性など)を多くのポイントをまとめられている。
    →どことなく現代の強くなれない企業と似た点があるように思え、当時の組織体をもうすこし深く学びたいと好奇心が湧いた。

    後半には、当時の日本の政治・軍事活動(大東亜新秩序、八紘一宇、人種差別撤廃)や、それらを他国から

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    2025年11月08日
  • ルポ 国威発揚 「再プロパガンダ化」する世界を歩く

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    日本も参政党の躍進や高市政権の発足で、いよいよナショナリズムが前面に出てきた感がする。

    近年のナショナリズムはSNS等での発揚が強いが、筆者はあえてリアルな場を求めて世界を巡る。
    トランプあり安倍晋三があり、もちろん日本の戦前戦中の「八紘一宇」「神武天皇」を顕彰する場がある。と思いきや、難波大介(昭和天皇暗殺未遂事件)の生家も訪れている。

    筆者の政治的スタンスは中立のような気がするが、現場で感じている感覚は自分にも近いので好感が持てる。かと言って、紹介されて場を訪れてみたいとは思わないが笑。

    最後の総論で述べている「国威発揚の四象限」の解説は分かりやすく納得できる。

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    2025年11月03日
  • 「あの戦争」は何だったのか

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    所謂「太平洋戦争」(米国側の呼称らしい)に関して、なるべく客観的にという趣旨で解説した本。
    視点が右か左かはさておき、冷静に書かれているのでわかりやすい内容だと思う。

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    2025年10月30日
  • 「あの戦争」は何だったのか

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    「あの戦争」について、その「呼称」や「始まり」について「一定の方向性」を示唆してくれます。ただし決して「結論」は出さない。というより、出せないのでしょう。「曖昧さ」がこの国の特徴なのかもしれません。様々な解釈を可とする、それは何も「あの戦争」に限ったことではありません。白黒ではなく灰を良しとする、「ハッキリ」ではなく「ボヤっと」したものの中にさえ「美」を見つける文化・思想がこの国を支えているのかもしれません。だから、「善悪」という考え方だけでは「あの戦争」は結論付けられないのだと思います。
    よって、「あの戦争」は終わらない。

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    2025年10月25日
  • たのしいプロパガンダ

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    歌や映画、一見プロパガンダと紐付きにくいが、政治宣伝は楽しく分かりやすくなければならない。
    情報の売り手は、買ってもらうのが仕事なので、統制されないようにしなければならない。

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    2025年09月26日
  • たのしいプロパガンダ

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    正確には☆3.5。
    大学時代にとっていた講義で、桃太郎の鬼退治のアニメーションとドナルドダックの戦時アニメーションを見ことをきっかけに、プロパガンダ研究がかなり興味をもっていたのと、読みやすい筆致が相まって楽しく読めた。
    以前読んだ『同志少女よ敵を撃て』でも出てきたカチューシャの唄についても触れられていて、より理解が進んだ。

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    2025年05月24日
  • 「戦前」の正体 愛国と神話の日本近現代史

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    戦前の日本では愛国の「正体」が神話と絡まり国家と個人の関係を曖昧にした。辻田はその歴史を丹念にほどき愛国がいかに作られたかを描き出す。時に教育やメディアが神話を補強し人々は無自覚にその物語を信じた。
     だがその神話は戦争とともに崩れ去る。今私たちは過去の「信じられていたもの」を見直す時期にある。歴史に問いを持ち思考することこそが真の愛国かもしれない。

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    2025年05月23日
  • 「戦前」の正体 愛国と神話の日本近現代史

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    博識で広範囲の史料からよく拾ったと思うが、ただそれだけで、国家の無能や責任に対する言及は薄く、命を落とした人々に寄り添う内容とは言えない。

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    2024年03月17日