辻田真佐憲のレビュー一覧

  • 「戦前」の正体 愛国と神話の日本近現代史

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    国民統治における「物語」の、また、SNSを中心に見られる短絡的な考え方の危険性を感じた。「物語」は功罪どちらもあるものだが、本書においては「物語」の危険性、その「物語」に基礎づけられた戦前の日本が批判的に解説、分析される。

    なんかよくわからないものに導かれ、自らとんでもない結末を迎えないためにも、過去を、歴史を学び、うまくバランスを取りながら、今後我々がどうあるべきかを考えていかなければならない。

    そうした「冷静さの重要性」を思い起こさせてく、このところの、諸論点に対する右派の理屈付けに違和感を感じていたタイミングで、その違和感を解体して解説くれる本であった。左派を支持するとは言っていない

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    2025年02月23日
  • 「戦前」の正体 愛国と神話の日本近現代史

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    日本の神話が戦前のプロパガンダにどう使われてきたのか、体系的に整理された良著。明治維新からひもといた点が特筆される。

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    2024年07月15日
  • 「戦前」の正体 愛国と神話の日本近現代史

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    神話は実話かどうか実証できない分、良くも悪くも解釈の自由度があり、状況によって利用されがち。
    それは日本だけではなく、キリスト教なども同様。

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    2024年06月11日
  • 「戦前」の正体 愛国と神話の日本近現代史

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    大日本帝国を宗教国家として見た時の、奇妙な天皇崇拝はどうやって形作られたのか?
    明治からの政府が作った上からの宗教と、草の根的な下からの宗教が結びつく流れが面白かった。
    木村鷹太郎、通称キムタカのオカルトとしか言いようのない日本書紀はそもそも世界の話をしていたという解釈は、抱腹絶倒するほどに面白いと同時に、これだけ賢い人がオカルトに傾倒してしまうというオウム真理教の様な怖さがあると感じた。

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    2024年03月30日
  • 「戦前」の正体 愛国と神話の日本近現代史

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    ネタバレ

    タイトルから少し怪しいイメージをしていたが、読んでみたらしっかり分析してあり勉強になった。

    初代神武天皇など昔は祀られていなかった人が国威高揚の為、祀られるようになったと言うのが驚きだった

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    2024年03月28日
  • 「戦前」の正体 愛国と神話の日本近現代史

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    日本神話をほとんど知らなかったので読むのに苦労しましたが、いかに神話が都合よく解釈され、利用されてきたかよく分かります。
    東西問わず様々な宗教に共通することですね。

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    2024年03月10日
  • 防衛省の研究 歴代幹部でたどる戦後日本の国防史

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    副題の歴代幹部でたどる戦後日本の国防史とある通り、歴代幹部の列伝を読んでいくと、内務省の横の繋がりから始まり、徐々に形を形成しその時の世界情勢を鑑みつつ徐々に変化してきたのが解る。通して読むと、人間の面白さを再認識させられる。

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    2024年01月22日
  • 防衛省の研究 歴代幹部でたどる戦後日本の国防史

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    ●昭和の将校研究本は数あれど、自衛隊幹部の本は中々ない。というかあまり流行らない、地味ってことかなあ。
    ●自衛隊創設の逸話が色々散りばめられていて面白い。
    ●特に気になるのは自衛隊幹部の思想面の話。やはり心配だし、穏便な歴史観を保持してほしい。陰謀論は論外。ある程度歴史を知っておかないと、免疫がなくて危ないというのはまさにそのとおり。
    ●今の自衛隊が売り手市場かどうかは定かではないが、優秀な人材が入ってくれないと国民としてもマイナスだよね。
    ●防衛大のように、自衛隊幹部学校の内容も国民に広く周知されるべきだね。

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    2024年01月03日
  • 「戦前」の正体 愛国と神話の日本近現代史

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    「戦前」を日本神話との関係で読み解く本。

    なるほどのところが多かった。

    もちろん、戦後の日本が、天皇を政治的に利用したとか、その際に日本神話を活用したというのを批判することは簡単ではないにしろ、可能である。

    が、著者は、そうした後付けの批判だけでなく、物語の重要性を認識した上で、それとどう使い合うか、より良い方向にどう使っていくかという観点があることに共感した。

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    2023年09月23日
  • 「戦前」の正体 愛国と神話の日本近現代史

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    なんとなく知っていた内容ではあったが、それぞれの思想の成立過程など“戦前”が構築され現在に繋がる様子を知るには良書。

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    2023年09月01日
  • 「戦前」の正体 愛国と神話の日本近現代史

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    本書では明治維新から大東亜戦争まで、日本の神話がどのように利用されてきたかが解説され、それに関連するエピソードも紹介されている。そうすることで日本神話の入門書となり、また近現代史書にもなっている。さらに昨今の神話プームではびこる神武天皇実在論に対しても誤った考えであることを示唆する。

    国体の精華と教育勅語
    日本では、天照大神が「天壌無窮の神勅」および「宝鏡奉斎の神勅」により、忠孝の道を打ち立てた。歴代の天皇および臣民は、この忠孝の道徳をしっかり守り、忠孝の四角形は一度たりとも崩れなかった。そのため、易姓革命は起こらず、天皇家は万世一系を保っている。
    教育勅語の背景にはこのような国体思想がある

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    2023年08月16日
  • たのしいプロパガンダ

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    「楽しさ」を通じて民衆をコントロールしようとするタイプのプロパガンダを「楽しいプロパガンダ」と定義し、戦前日本、欧米、東アジア、宗教組織(オウムとイスラム国)、現代日本における「楽しいプロパガンダ」を概観した本。

    プロパガンダは楽しく、人を引きつけるものでなければならない。これはどの国でも共通の認識だったようで、旧帝国陸軍の清水盛明、ナチス・ドイツのゲッベルス、中国共産党の毛沢東も同様の見解を述べている。そして利益を上げるために民間のエンタメ産業も協力、便乗してさまざまなプロパガンダ作品を作り上げていった。プロパガンダの本質を知るためには、このような官民協働にこそ注目しなければならない。強制

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    2023年06月13日
  • たのしいプロパガンダ

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    プロパガンダを楽しむといった本ではなかった(汗)。第2次大戦まで、軍国主義国家だった日本は情報将校を中心にそれなりのプロパガンダ・スキルがあったようだ。現在の自衛隊は、かつてのスキルはないと著者は言う。国民に対する「遠慮」があるのかな? 人心を思い通りに誘導したい国(西側も東側も)、テロ組織などの、娯楽、エンタメの中に紛れ込んだプロパガンダに気をつけろ、ということなのだ。カバーのデザインは、ソ連の芸術家が製作したポスター

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    2022年12月12日
  • 教養としての歴史問題

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    ネトウヨ
    嫌韓・嫌中
    慰安婦問題はデタラメ
    ホロコーストは無かった
    ヘイトスピーチ
    などなど、日頃、「こういうのおかしいよなぁ」と思っている事について知ってみたくて読んでみました。
    上記のような思想的傾向を「歴史修正主義」というそうです。
    この歴史修正主義に対して向き合い、評価し批判するために有用な本だと思います。

    「はじめに」に本書の目的-歴史認識問題の現状を正確に把握し、未来を考えるきっかけを作る、と書いてあり、その目的に沿った5つの章と最後の座談会が配されておりいずれの論考も面白い。
    わたしには特に以下の章が読み応えがありました。
    第二章 植民地主義忘却の世界史
    第四章 「自虐史観」批

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    2022年09月19日
  • たのしいプロパガンダ

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    津田大介さんのポリタスTVで何度かお見かけしている方の著書ということで、安倍晋三銃撃事件以来なにかと騒がしくなニカと関連付けがされたり感じたりする中、今読んでも良いかなと思い読んでみた。
    たのしい とタイトルひらがなにあたり、著者はお若い世代(誰と比較して??)なので、かつての宝島系お笑い北朝鮮、、的な、まあ若気の至りというかそういうものを面白がっていたことを今、ある程度内省の批判をもって自己点検している、というような立場からは、やや軽くてその辺り微妙なラインをぎりぎりうまく書いておられる。著作本をみると、軍歌の研究者なんだ、、意外であった。表紙の装丁はロシアの有名なロトチエンコのレンギスのパ

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    2022年08月21日
  • 防衛省の研究 歴代幹部でたどる戦後日本の国防史

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    警察予備隊の設立から70年以上経つが、戦後の防衛官僚や幹部自衛官で知られている人は少ない。それは戦後の安全保障が十分に歴史化されていないから、という問題意識から、増原恵吉、林敬三、槙智雄、Y委員会、かいはらおさむ、久保卓也、夏目晴雄と西廣整輝、栗栖弘臣、三島由紀夫、守屋武昌、田母神俊雄、河野克俊といった面々の列伝的な話で日本の安全保障史を振り返る。

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    2022年07月03日
  • たのしいプロパガンダ

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    時代や洋の東西を問わず、いつもプロパガンダは娯楽の顔をしてやってきた。知っておかないといけない事実。思ったより読みやすくて、入りやすかった。

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    2021年07月13日
  • 超空気支配社会

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    64年東京オリンピックにまつわる話、軍歌にからめた戦時下プロパガンダの話から、どれも大変面白い。狭い事実は大局を正しく伝えるものとは限らない。

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    2021年07月11日
  • 教養としての歴史問題

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    本書では、歴史認識問題の現状を把握し、「ではどうするか」というところまで踏み込んで考察。
    イギリスとの比較などにより、現代史の大きな流れの中で歴史認識問題を位置付け、単に歴史修正主義を批判するだけなく、それを克服するために歴史学に何が求められているかというところまで論じられており、歴史認識問題を考える上で有益な一冊であると感じた。ファクトに基づく「良質な物語」が必要という本書が示す処方箋にも納得感があった。
    一方、自分も歴史修正主義の問題性は強く認識しているが、第1章などの断罪的な論調には、少し違和感を覚えた。

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    2021年04月11日
  • 大本営発表 改竄・隠蔽・捏造の太平洋戦争

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    米国の犯罪学者Donald R.Cresseyによれば、不正行為は機会、動機、正当化の3要素が揃った時に起こると言う。戦況報告で噓をつくのも、情報独占がもたらす「機会」、戦況をよく見せたい「動機」、下からの情報を無碍にできないという「正当化」、すべての要素が揃っている。本来報道機関がその矛盾をついて情報の正しさを吟味する責任があるはずだが、部数を売ることを優先し、自ら翼賛的な報道姿勢を選択した事で「大本営発表」を支えた。戦後一部の新聞は権力と対峙することが使命と勘違いし、未だに部数/視聴率第一のセンセーショナリズムを繰り返すだけで真実や本質を掘り下げようとしない。それに記者クラブは警察を含む権

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    2021年03月15日