辻田真佐憲のレビュー一覧
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コテンラジオのゲッべルス回でムロさんが紹介していたので気になって購入。
プロパガンダとは、
「政治的な意図に基づき、相手の思考や行動に(しばしば相手の意向を尊重せずして)影響を与えようとする組織的な宣伝活動」のことである。(2p)
前述のコテンラジオ、ナチスの宣伝大臣であるゲッベルスの回をおかわりもして聞いていたのでこの程度にはどういうものか知っていた。
本書では大日本帝国のプロパガンダ、
欧米のプロパガンダ100年の歴史、
東アジアのプロパガンダ、
カルト宗教や中東宗教組織のプロパガンダ、
そして現代日本においてはどうなのか?という流れで、
プロパガンダについて述べている。
…てか -
Posted by ブクログ
日本国内の歴史修正主義の問題点や歴史修正主義の議論への対応に対する検証はもちろん今でも意味の大きい議論だとは思う。また、2020年に本書が出版されたこと自体にも大きな意味はあったと思う。
ただ、出版後2年でいろんな出来事があったり、いろんなことが分かったりした今読んでも、タイミングが遅すぎた
他方で、旧宗主国と旧植民地との関係に視野を広げた議論や、その関係性の議論をベースとした日本と韓国、アジア諸国との関係の議論は、高校の世界史で習っている歴史が基礎となってきる議論のはずなのにあまり考えていなかったことに気づいた。自分にとっても視野がが広がったと思う
4勝以下は流し読み -
Posted by ブクログ
P.48 教育勅語はどうとでも解釈できる
ヤヌスのような両面性
×儒教的な道徳を普及
○利用しながら近代国家の国民道徳に結びつける
啓蒙主義「学制」「自由教育令」
儒教主義「教学聖旨」福岡文政
国家主義 森文政
国体主義「教育勅語」
普遍主義(欧化主義、啓蒙主義)が共同体主義(儒学「我国固有の倫理」「国体の精華」)によって徐々に修正
→「教育勅語」は普遍的かつ絶対的でなかった。が天皇の言葉である以上、一切の批判を許さない神聖不可侵な性格を持っていた
大国化と文部省の没落
西園寺公望の世界主義
国定教科書
P.79 社会教育
国家主義的な「国民精神作興詔書」
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Posted by ブクログ
戦前の検閲社会について。ハードパワーの検閲が、ソフトパワーの忖度をもたらし、ある種の記事や本は初めから出版しなくなるという流れは意識されにくいが重要だろう。下手な質問を批判して肝心の質問数が減るようなものである。
しかも出版の場合、出版費用が検閲により無駄になるリスクや出版社が目をつけられるリスクがとても大きい。検閲官が人数不足でも、内部検閲で忖度させればOK。
検閲社会では直接検閲されると言うことが優遇にもつながると言うのは非常に面白い。主要新聞社は戦時中、図書課との間に直通電話を引かれた。これによって、検閲官は編集段階で記事に介入でき、各社の担当者は検閲官と相談しながら記事を組み立て -
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Posted by ブクログ
意外と分かりやすい。
文部省って「理想の日本人像」を追求していたのかぁ。最近の施策からはまったく感じられないけど。
近代国民国家を支える「国民に求められる資質とは何か」ってことなんだろうけど、国家ありきで国民を規定しようとしていたわけだ。それが正しいかどうかは別として、明治の初期は開明的だったのに、日清、日露を経て、求める日本人像がリベラルから国家主義的に変わっていったのが寂しい。その過程で、そも「国体」なんてなかったこと。政府の都合に合わせて国体を定義したことが示される。
それにしても、文部省って最初から三流官庁って言われてたんだなぁ。