辻田真佐憲のレビュー一覧
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昨今の世界情勢をみると、ウクライナ紛争や中東紛争、台湾問題から、最近ではアメリカによるベネズエラ攻撃等、自国第一主義による覇権主義が進んでいる。
日本においても排外主義的な考えが広がり、右傾化している中で、徐々に世の中は戦前の状況に戻っているのではと懸念している。
そのような中で、正に本書のタイトルにあるように、あの戦争がどのように始まり、今の世の中に通ずるところがかなりあったのではないか、また、止めることができたのではないかと思うようになり手にとった一冊。
思えば、近代史から続く現代史は、学生時代に習ってはいるが、それは単語や人名を暗記することに固執し中身まではあまり理解できていなかっ -
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「君が代」がどのように作られ、国歌という扱いをされるようになり、戦後まで残ったかを追いかける記述がなされる、至って穏健な考察。明治2年頃に外交儀礼の必要から急場しのぎで作られた「君が代」は海軍軍楽隊&宮内庁雅楽寮により改訂され、他の国歌候補との「国歌レース」に勝ち抜いていく。「歌う国歌」ではなく「聴く国歌」とすべきとの提言が序章にも最後にも書かれているが、その通り、それで良い、それが善い、と思う。かねがね、私はこの歌は難しいと思っていた(スポーツイベント等の場で、プロと言われる歌手がする独唱を耳にしても「大変そう」と感じる)。軍楽隊にしろ雅楽寮にしろ儀礼音楽の専門集団の手になる楽曲だから、式典
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どの国でも少なからず、歴史や伝統と言われているものの中には実際そうでないものがあるのは割とよく知られているが、それを善悪二元論ではなく、我が国の「いわゆる戦前」にいかにして結びついたかを記した一冊。
江戸時代までの長く続いた武家社会、中世社会から刷新し、新政府・新国家として内外共に成立させ認めさせる必要があった明治政府。
そこで持ち出された日本神話は時に都合よく、時に歪められて組み込まれ、やがて人々を鼓舞する素材へと変化していく。
「美しい国」「神武創業」「建国記念の日」「井上毅」「教育勅語」「皇統譜」など、現在も続く神話と歴史の距離感の発端から発展、そして戦前への到着までをわかりやすく追 -
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「戦前」とはなにか。
僕が受けた、あまり質が良いとは思えない左派小学校教育などでは、「悪い偉い人たちに騙されて、狂っていた時代」的に教えられたように思う。
開国、明治から先の大戦と敗戦から現在。
大体同じ時間が流れた今、戦前とはどのような時代だったか。
改めて考えると。
単純な整理はできないものの、東アジアの端でそれなりにそこに住むもの達を現在までなんとか届けるために、指導者もそこに従うものも様々な努力を重ねてきたんだな、と思った。
そうは言っても、詐術的な指導もあっただろうし、激情的な熱狂に流され、狂ったこともあっただろう。
時代と場所。
人は自らの身体を選んで生まれることもできない -
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戦前とはなんだったのか。明治政府が国を統治する為に使った天皇家の万世一系の物語。そこから八紘一宇、国体の本義へ、さらにエスカレートして世界征服まで知識人までが言い出した物語。国をまとめるのために物語は必須であるし、物語のない国民国家はあり得ない。ましてや西洋列強の帝国主義が牙を向く世界の中で日本が生き残るために必要な物語だったともいえよう。
当時の国の指導部はそれぞれの考えで必死で日本を守ろうとして破滅なんて求めてなかったはずだが、結果的には破滅に向かった。
現代に生きる我々は知恵に変えないといけない。
政治家やメディアもそれぞれの立場で国の方向を述べる。当然本気で国の将来を憂いての人も多い -
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知らなかったことをたくさん知ることができた。戦前の日本。天皇を崇めることで、心のなかでは無茶だとわかっていても、それを無理やりに正当化して。そうやって命を失っていったのは、「八紘一宇」(世界を天皇のもとに一つの家にする)などとうたっている上層の人ではない。まだまだ未来のあった青年や大人たちだ。
君徳(主君としての立派な行ない)の結果の「万世一系」だったはずなのに、「万世一系」を維持するために暴政が行われるという逆転が生ずる。
「世界制覇」なんて言葉が出てくるのもびっくりだ。世間を知らなすぎる。
正直なところ、よくここまで回復したなと思う。
それは平成天皇や皇后のお力が大きかったのではないかと思 -
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戦時下における様々な「たのしいプロパガンダ」、つまりエンタメの皮をかぶったプロパガンダを紹介している本。
音楽、映画、ラジオ、アニメなど、多種多様な媒体で熾烈なプロパガンダ合戦が行われたことが分かる。
この本からの重要な学びは2つある。
①
銃を突きつけて強制するようなプロパガンダは、反発を生むだけで恐ろしくない。
しかしエンタメを楽しんでいるうちに、知らず知らずのうちに誘導されてしまうようなプロパガンダは恐ろしい。
②
そして、そういったプロパガンダを見抜くことは非常に難しい。
だからこそ過去の歴史から学ぶことが大切だ。
どちらも今の時代に必要な心構えだ。
現代でプロパガンダを