辻田真佐憲のレビュー一覧
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朝ドラ「エール」がおもしろくて古関裕而?知らないなあと思いちょっと検索してみると、早稲田の応援歌「紺碧の空」「東京オリンピックマーチ」高校野球甲子園の「栄冠は君に輝く」はては「モスラの歌」おうおうみんな知ってるなあ、はてさて「イヨマンテの夜」メロディは思い出せないけど昭和40年代あたりNHKのど自慢でよく出場者が歌っていたなあ、さらに調べるとNHKのスポーツ番組の導入歌、「ひるのいこい」の開始の歌ときた。さらに「露営の歌」「若鷲の歌」示された歌詞をみると、”勝ってくるぞと勇ましく”、”若き血潮の予科練の” 戦争映画などでよく歌われている。俄然興味がわきこの本を読んでみた。
「イヨマンテの夜」 -
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令和2年上半期のNHK連続テレビ小説「エール」のモデル、作曲家の古関裕而の評伝。事実と活き活きとした描写が楽しめる。
さすがNHK、古関裕而に関する書籍が多く出版されている。その中から選んで見たのが本書。軍歌であったり日本軍全般と昭和史に関して多くの著作がある作家。古関裕而を語るには若いがその分冷静で学術的な記述。
古関裕而の4千曲に渡る幅広いジャンル。「六甲おろし」「闘魂こめて」や「紺碧の空」など。どうなるか分からないが東京2020大会関連でオリンピックマーチの関係が、古関ブームにつながっているのだろう。
本書を読むとドラマが史実にかなり忠実であることが分かる。
史実に即している割に -
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独学で作曲を学び、昭和を代表する作曲家になった古関裕而の生涯。
第1章 好きになったら一直線(1909~1930年)
第2章 ヒットを求めて四苦八苦(1930~1936年)
第3章 急転直下、軍歌の覇王に(1937~1941年)
第4章 戦時下最大のヒットメーカー(1941~1945年)
第5章 花咲く大衆音楽のよろず屋(1945~1973年)
第6章 経済大国の大門を叩く(1952~1989年)
主要参考文献有り。本書で引用した歌詞一覧有り。
NHK朝ドラ「エール」のモデルとなった作曲家、古関裕而。
激動の昭和という時代を音楽で生き抜き、
人々の想いに添ったメロディーを生み出したその生涯を、 -
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軍歌は明治~昭和初期の国民のエンターテインメントだった。最初の軍歌は、タイトルそのままの「軍歌」。その後、歴史や故事に因むものや兵隊の応援、戦況を伝えるもの等様々なタイプの多くの軍歌が作られた。
メディアが発達していなかった当時、戦況を伝える軍歌は、国民に情報を届ける手段でもあったらしい。曲は短く、歌詞は簡潔で覚えやすい。娯楽が制限されていた時代に、軍歌は国民の楽しみだったようだ。著者は軍歌マニアで、多くの軍歌を収集して分類し、軍歌の持つ意味を考察している。戦史や兵器の軍事マニアは沢山いるが、軍歌収集は歴史的な価値も含めて、大変面白いテーマだと思う。内容も真面目でとても良い本だ。
自分の経験だ -
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近現代史研究者(なんか幅広いなぁ)による、戦前日本から諸外国、宗教、そして現代日本に至るプロパガンダ研究。
新書のコンパクトな分量の中に、全体のストーリー感も含めて綺麗に纏まっているところには、著者の力量を感じます。読みやすく、わかりやすい。現代社会を生きる身として、一度は読んでおいても良いのではないかと思いました。
戦前からしても、やっぱり日本人はプロパガンダはあまり得意じゃなかったんだなぁ、と思いつつ、一部の熱意ある人物によってそれなりの効果が生み出されてきていたことがわかります。やはりソ連、ドイツ、アメリカが凄い。
細かい中身に入っていくと、本著で触れられていた「戦艦ポチョムキン」や、 -
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本当に恐ろしい大衆扇動は、エンタメの顔をしてやってくるーー。
帯に書かれたこの言葉、本書で著者が述べていることは真理だと思う。
つまらない教義じみたものは大衆に受け入れられることはない。でもそれが楽しかったり、オシャレだったり、良質な作品であったりしたなら。
かつそれと気づかないように巧妙に政治思想を誘導する内容がちりばめられていたら。
私もたやすく誘導されてしまうと思う。そしてその可能性は誰にでもある。
本著ではそんな事例を、戦時中の日本から、北朝鮮、ナチス・ドイツ、ディズニー、オウム真理教、イスラム国、宮崎駿の風立ちぬ、ガルパンといったように幅広く紹介している。ニュースで見た内容や身近 -
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明治、大正、昭和、平成の天皇が発した代表的な発言を取り上げて、その発言がなされた背景や、理由を探りながら、各々の天皇の人柄、目指したものを考える。
勿論、もっとも分量が割かれているのは、在位が最も長かった昭和天皇 裕仁 だ。裕仁については戦前と戦後に分けて章立てされている。
一方で、在位期間は短いものの、最もその人柄や思いが読み取れてきたのは平成の天皇 明仁。戦前戦後、日本の激動期を過ごし、戦争責任を問われた裕仁の崩御を受けて即位した明仁の目指した天皇像と、それが故に、自分の目指した天皇像を果たせなくなることを想定して発意した譲位、それに対する周囲の反発に対する対応など、成る程と思わせる。 -
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理想の日本人像なんて、時の権力者が自分が御しやすい国民を作るために定めるものなのだなと思った。しかし、それはあくまで過去のものであり、今は「理想の日本人像」ではなく、「理想の世界人像と、その中の日本人像」を考えないといけないのではないかな。
しかし、1890年台の西園寺公望の考えには恐れ入った。
①科学教育を重視すべきこと
②英語を普及すべきこと
③女子教育を振興すべきこと
④修身における「理想の日本人像」を転換すべきこと
→従順な忠臣タイプではなく、逆境に功を奏する両親タイプを理想とすべき
いやぁ、すごい。今も全然できてない。この考えが普及してたら、今とは全然違った日本になっていただろう -
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ネタバレ最終章の〆が、何故か電力会社批判、安倍政権批判なので星一つ減とする。
政治と報道の癒着という意味では、マスコミ関係者を多数候補者として取り込んでいる民主党(民進党)の方がよほど危険だろと。2009年総選挙前後の報道の異様さについて読者が何も覚えていないとでも思っているのだろうか?あのような『一切の批判無しの報道』の恐ろしさが、『大本営発表』の危険さだと、この本を読んで思い至ったのだが。
あと、直近の事例だと、共産党の発表を垂れ流す豊洲新市場関連報道だね。
本題に戻ると、そもそも、『大本営発表』の起こりが、日中戦争時に過熱した報道の『暴走』に対処するために始まったとは知らなかった。そういえば、『