【感想・ネタバレ】「あの戦争」は何だったのかのレビュー

あらすじ

日本はどこで間違えたのか?
掲げた理想はすべて誤りだったのか?
「大東亜」は日本をどう見ていたか?

戦後80年、今こそ問い直す「私たちにとっての戦争」とは。

『「戦前」の正体』の著者が、右でも左でもない「われわれの物語」を編みなおす
現代人のための新・日本近現代史!

「日本の過ちばかりを糾弾することでも、日本の過去を無条件に称賛することでもない。過ちを素直に認めながら、そこに潜んでいた“正しさの可能性”を掘り起こす、言い換えれば「小さく否定し、大きく肯定する」語りを試みることである。それこそが、われわれの未来につながる歴史叙述ではないだろうか。
本書は、そのようにしてあの戦争を現在につながる大きな流れへと接続し、「われわれ」の物語を創出するための試みである。」 ――「はじめに」より


【本書の構成】

はじめに
第一章 あの戦争はいつはじまったのか――幕末までさかのぼるべき?
第二章 日本はどこで間違ったのか――原因は「米英」か「護憲」か
第三章 日本に正義はなかったのか――八紘一宇を読み替える
第四章 現在の「大東亜」は日本をどう見るのか――忘れられた「東条外交」をたどる
第五章 あの戦争はいつ「終わる」のか――小さく否定し大きく肯定する
おわりに

【本書の内容】

●日中戦争を「支那事変」と呼んだ背景
●「ペリーこそ戦犯」と主張した石原莞爾
●「アジア・太平洋戦争」か、それとも「大東亜戦争」か
●米英との「協調外交」は可能だったのか
●近衛文麿の「知られざる慧眼」
●東条英機による「史上初の外遊」
●「パレンバン奇襲作戦」の真実
●南京大虐殺記念館の「意外な実態」 ……ほか

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Posted by ブクログ

ネタバレ

あの戦争について右の意見もあれば左の意見もあるなかで、その両方をちゃんと拾いながら、可能な限り事実と解釈を積み重ねて論じてくれる、これが本当にありがたかった。海外の人や子供に日本の歴史を語れない自分はいま結構恥ずかしいのでは?と気づかせてくれたのがこの本。
東条英機の書き方も、擁護しすぎず、持ち上げすぎず。「大東亜戦争」っていう言葉を使うときにどういう批評があるのか、そこまで詳らかにしたうえで、自分だったらこっちかな、っていう著者自身の立ち位置もちゃんと示してくれる。しかもただの評論家的なまとめ直しじゃなくて、実際にアジアの近代歴史博物館まで足を運んでるのがいい。現地のタクシードライバーに「東条英機知ってる?」とか聞いてるあたりも良い。
空襲と原爆は知ってる。侵略戦争で過ちを犯したので日本は反省をしなければ、みたいなことしか知らない人が多いのが正直だと思う。ただ、実際は陸軍と海軍で軍部はバラバラ、政府と軍もバラバラ。明確な意思決定者がいないっていう構造的な課題、これって実は今の時代にもそのまま当てはまる日本の課題。
そこまで言って委員会だったら、キーワードを聞いただけですぐ着火しそうな論点を、この本は冷静に書いてくれている。歴史小説のあら探しをする姿勢って、反抗期の子供に見える、っていう指摘にはまさに共感した。ドパガキ世代にも読みやすい一冊だと思う。

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2026年09月28日

Posted by ブクログ

これまでのポジション・解釈を眺め、新しいポジションから、今の時代に求められる解釈を示す。時代が変わっているんだな、と思う。当時は自然に受容されていた解釈も、今では少し曖昧になってきたりグレーゾーンな感覚というか、少し距離感や違和感も覚えるようなところを、今の言葉と今の視座から言語化すると、新しい歴史の発見になる。こういうふうに積み重なっていくんですね。前に進もう、後ろを見つつ、ですかね。

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2026年09月01日

Posted by ブクログ

『「あの戦争」は何だったのか』

本書は、太平洋戦争を時系列に沿って説明する通史ではない。日中戦争から太平洋戦争の終結に至るまでの「あの戦争」を、私たちはどのように見て、どのように解釈すればよいのか。その視点を考えるきっかけを与えてくれる本である。

「あの戦争」の始まりをどこに置くのか。

太平洋戦争の開戦だけを見れば1941年12月8日となる。しかし、その原因を辿っていけば日中戦争、さらに満州事変へと遡ることができる。そして視野をさらに広げれば、幕末のペリー来航まで遡って考えることさえ可能である。

ここで私が考えたのは、日本という一つの国家だけに戦争の原因を求めるのではなく、その背景に存在した「帝国主義的な国際秩序」そのものについて考える必要があるのではないか、ということである。

もちろん、これは日本の戦争責任を否定するという意味ではない。

日本はペリー来航以降、欧米列強による帝国主義的な圧力を受けた。その意味では、当初はその国際秩序に翻弄される側でもあった。しかし日本は、その秩序そのものから離脱するのではなく、自らも列強となり、欧米諸国と同じフィールドで生き残る道を選択した。

そして、その結果として日本自身も朝鮮、中国、東南アジアなどに対して帝国主義的に振る舞う加害者となっていった。

したがって、「どの国が悪かったのか」という一国単位の責任論だけではなく、なぜ帝国主義的な列強間競争が植民地支配や侵略戦争を生み出し、各国をそこへ向かわせたのかという、より大きな構造について考えることも重要なのではないかと思う。

一方、よりミクロな視点から「あの戦争」を説明するとき、よく語られるのが「軍部の暴走」である。

確かに軍部の行動に重大な問題があったことは間違いない。しかし、それだけで戦争への道筋を説明してしまうのも単純すぎるように思う。

昭和恐慌をはじめとする経済状況、関東大震災以降の社会不安、メディア、官僚、政党政治、軍部、世論、そして当時の憲法と統治機構。

こうした無数の要素と利害関係が複雑に絡み合い、しかも国家全体を強力に統御する明確な司令塔が存在しない状況のなかで、日本は少しずつ後戻りすることが難しくなっていった。

だからこそ、「軍部が暴走した」「軍国主義に染まった人々が戦争を始めた」という説明だけで終わらせてはいけない。

重要なのは、なぜ軍部の暴走を止めることができなかったのか。なぜ政治家や官僚、メディア、そして国民までもが、結果として戦争へ向かう巨大な流れの一部となっていったのかを考えることである。

また、「日本によるアジア解放」という問題についても、単純に肯定か否定かで結論づけることはできない。

欧米列強による植民地支配を揺るがしたという「功」の側面がある一方、日本自身による侵略や占領、植民地支配という「罪」の側面も存在する。

そのどちらか一方だけを取り出して、「日本はアジアを解放した」とするのも、「すべてが侵略のための虚構だった」としてしまうのも、歴史の複雑さを失わせてしまう。

侵略、植民地支配、戦争指導の失敗については、一つひとつ具体的に否定しなければならない。

しかし同時に、近代日本がなぜその道を選択したのか、当時の人々が何を恐れ、何を守ろうとし、何を実現しようとしていたのかまで、すべて「狂気」や「軍国主義」という言葉だけで処理してしまってはいけない。

歴史を理解することと、歴史を正当化することは違う。

「あの戦争」を単純な善悪の物語として終わらせるのではなく、日本が犯した具体的な過ちは否定しながら、その背景にあった時代、制度、国際秩序、そして人々の思想まで含めて理解しようとする。

本書の言葉を借りれば、「小さく否定し、大きく肯定する」。

戦争を二度と繰り返さないためにも、誰か一人、あるいは一つの国家だけを悪者にして終わるのではなく、普通の国家や普通の人々が、なぜ戦争という破局へ進んでしまったのかを考え続ける。

それこそが「あの戦争」を学ぶ意味なのではないかと思う。

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2026年08月21日

Posted by ブクログ

歴史を見る時、少なからず客観的に見る必要があると思う。あの戦争はまだ直に体験された方々がいらっしゃり、評価が難しい。一方でそろそろ概観してもよいのではと思っていた中の本だった。とても俯瞰的に思考されており、戦争の位置付けを自分なりに考えることができた。

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2026年07月27日

Posted by ブクログ

近現代史には苦手意識があったのですが、この本は大変面白く読めました。どうして日本はあの戦争に突き進んだのか、大きな歴史の流れの中で捉えることで見えてくるものがあることがわかりました。あの戦争を手放しで称賛することも、今の価値観で糾弾することも、被害者ヅラすることもせずに、過ちは認めながらも未来に前向きに繋げたいという筆者の思いを受け取りました。有意義な読書でした。

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2026年07月16日

Posted by ブクログ

あの戦争はなんだったのか

歴史は現代からの回想でしかない。

では、どこから回想を始めるのか。
あの戦争を語るには、一国だけでは語れない。
その関係性が生まれた時まで遡れば、開国の時にまで行き着く。
そこまで遡らなければ、本当は語れないのかもしれない。
小林秀雄はこう言ったという。
大事変が終わると必ず「もし○○だったら起こらなかった」という議論が起こる。
「必然という名の人間の儚い復讐だ」と。
一部の人間の無知と野心さえなければ起こらなかったのか――そんなおめでたい歴史観は持てない、と。
歴史とは無数の要因が絡み合って展開するものであり、ここを変えればああはならなかったと簡単に語れるほど単純なものではない。
あの戦争へ至る道を振り返り、さまざまな可能性について考える。
そのための思考を深めてくれる、良い本だった。

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2026年07月15日

Posted by ブクログ

普段はあまり歴史関連の書籍は読まないのですが、メディアで話題になっていたため手に取ってみました。

歴史を語る際、どうしても自虐的な視点に偏りがちな風潮がある中で、本書は偏りのない中立的な視点に立ち、事実に基づいた誠実な分析を行っています。さらに、他国との比較を交えながら、国民として持つべき歴史観について示唆を与えてくれました。

歴史の真実を正しく学ぶこと、そして日本人としてのアイデンティティに基づく歴史観を持つことがいかに大切であるか、深く考えさせられました。

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2026年06月28日

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2025年話題の新書の一つ。

歴史とは過去の定点的な出来事であるだけではなく、現代の社会情勢などに影響を受けた解釈でもある。絶対的な正解があるのではなく、複合的で時代的なものである。

つまりは、「あの戦争」に対して単純な善悪の区別や固有の視点からのみ語ることは難しいということだ。
この歴史のとらえ方は首肯できる。人が語るものである限り、語る人の個人的な見解や感情が歴史に多少なりとも反映されるのは仕方がない。そのことを理解したうえで、「あの戦争」に対する著者なりの解釈の指針が本書では提示される。

この主張は、東浩紀『平和と愚かさ』でも触れられている。東は戦争の加害者・被害者意識はどの視点で語るかによって異なるもので、さらには個人では収まらないナショナリズムの影響も多分に受けるのだと述べる。

本書では著者が東条英機が大東亜共栄を目指し東南アジア外遊した軌跡を辿ることで、「あの戦争」に対する各国の多種多様な立場を確認することができる。奇しくも両者は同様のアプローチを異なる戦争に対して行い、戦争に対する解釈のままならなさを読者へ現前させる。

本書は教科書的に「あの戦争」を頭に詰め込むのではなく、読者個人個人がどのように記憶し語るかを考えるきっかけを与えてくれる。戦後80年を過ぎた今だからこそ、本書は多くの読者に届いてほしい。

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2026年06月01日

Posted by ブクログ

戦争の見方として、とてもわかりやすい見方を提示した本。単なるイエスやノーでもなく、加害者意識、被害者意識によるものでもなく。

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2026年05月20日

Posted by ブクログ

「あの戦争」ってどの戦争のこと??と言うところから始まります。「賢者は歴史に学ぶ」といいますが、そのためには先の大戦についてキチンと把握しておく必要があると。わたしなりに詳しくはないもののそれなりに理解できていると思っていただけに、この本を読んでショックなことが多かったです。

特に印象に残ったのは以下の2つ。
---
◆独裁者不在でも戦争に突っ走ってしまった。
→ヒトラーやムッソリーニのような独裁者がいた訳でもないのに勝てる見込みの少ない戦争に突き進み原爆を落とされるまで敗戦を選択できなかった。何でだろうと思いますが、この本を読んで目から鱗でした。

◆日本には歴史博物館がない(少ない?)
→それが普通だと思ってましたが他の国は結構あるものなんですね。当時作ろうとしたら周りの国からの風当たりがキツくてまともなものが作れなかっただろうから致し方なかったかもしれませんが。お隣の某国を見てると国内の世論操作するのに反日を活用してるよなーと常々思ってましたが程度の差こそあれ、どこもその気はあるようですね。

日本の歴史教育は明治以降の近代に入ると急に駆け足でウニャウニャ…とごまかし気味のとりあえず年号と事象だけ詰め込んでおけ的なやっつけ感が強いですが、もとを辿るとこの2点目の話に帰結しそうです。

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2026年10月06日

Posted by ブクログ

読みやすい。講談社新書らしい良書。各地、各国の歴史博物館を見て回りたくなる。
良くも悪くも、著者曰く、日本が一番輝いて影響力があったのは昭和。その意味で戦前戦後をとしての昭和を俯瞰的に考えるのはおもしろいかもと思った。

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2026年09月22日

Posted by ブクログ

大東亜会議のところを読んだ感想。本当に、日本軍、日本政府は行き当たりばったりだったんだなと痛感。各国に独立させると言ったり、独立させない地域もあったり、戦況がいよいよ厳しくなると独立させると言ったり…。主義も、ポリシーも何もない。ほとほと空しくなる。

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2026年09月02日

Posted by ブクログ

歴史とはつねに現在からの解釈である。という著者の言葉、まさにそうであると思います。さらに言えば、それぞれの人によってもまた解釈は異なると思います。だからといって、それでいいのだとせずに、その時の資料、体験談なども合わせながら、小さく否定し大きく肯定するという著者の言葉がきいてくるのかもしれません。
他国の資料館などのあり方なども混じえながら多角的な視点が提供されているのも個人的に良かったと思いました。必然的に他国のことももう少し知りたい。点ではなく、広がる波紋のような形で歴史、世界をとらえたいと思いました。

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2026年08月28日

Posted by ブクログ

歴史とは解釈であり、見方によって正義は如何様にも存在する。そこを追うのではなく、何かを得るための材料にするのがいいのかな、と思った。

○あの戦争は何だったのか。
それは、日本という国が近代の激流のなかで何を選び、何を失い、何を残したのかを象徴的に映し出す、特別な鏡である。そこには、われわれが歴史を通じて見つめるべき「現在」もまた映り込んでいる。だからこそ、われわれはこれからも、現在とのつながりを意識しつつ、より妥当な落としどころを模索しながら、その意味や位置づけを解釈しつづけなければならない。

・大東亜戦争は、どの場面を切り取ってもなかなか止めるのが難しい。植民地政策をしなければならないのは外国からの圧力に対抗するため燃料が必要だったから、燃料を米英に止められてからはジリ貧を打開するための一手を打つ必要があった。国民側も好戦的な意見が多く、民主主義の大隈内閣はそういった世論をうけて好戦的な方向に舵を取ったため現代に至る。当時は戦争は絶対悪とはみなされてなかった、おそらく被害より恩恵の方が大きかったから。教科書でも栄光の歴史と教えられていた。当時は東條英機すら「弱腰」と批判されることもあった。

・日本は大東亜共栄圏を強くし、米英の支配や差別から逃れることを理念とし、東南アジア各国に会議や訪問を行った。その実、日本を頂点とした支配構造に変わりなくフィリピンなどから批判された。戦争中には占領、弾圧も行っている。

・シンガポールの人口の7割を占める華人コミュニティに対し、占領後に日本は「大検証」という18~50歳の男性を尋問、半日的・共産主義的思想をもつとされるものを次々と処刑した。犠牲者数はシンガポール側が4~5万人、日本側は5000人と発表している。現在は対日感情は良好だが、歴史的に日本は敵という物語が存在している。

・シンガポール、インドネシア、マレーシア、中国(長春)などに日本の植民地支配を非難する展示がある。

・マレーシアのラブアン島では3908名が亡くなった。その中の「サンダカン死の行進」では日本軍が英軍、オーストラリア軍の捕虜2434名を240km離れた収容所へ強制移動させた。飢餓、病気、日本兵による虐待によって、途中で逃げ出した6名を除いて全員が犠牲となった。フィリピン・バターン半島でも米比軍捕虜76000名を100km以上強制的に徒歩で移動させ、17000名以上が命を落とした。

・現在も大東亜戦争の日本に関する見方は定まっておらず、様々な考えをもつ人がいる。国内の展示もぼやかした曖昧なものが多い。事実ベースで起きた要因に触れられる、今後の教訓にできるような展示があるといいと思った。

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2026年08月01日

Posted by ブクログ

過去と現在ってつながってるなぁとかを再認識したし、ある程度客観性だけじゃなく、主観な所をとりいれつつ、自分なりの歴史観と大事にしたいなと考えたりもしました。現在の色んな国でも歴史観って本当さまざまで何が正解で何が間違ってるのかを導きにくい。だけど、自分で感じとった歴史観が大切で自分の生活にもつなげていく。そんなことが大切だと思ったりした。

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2026年07月18日

Posted by ブクログ

日本には国立近現代史博物館がない。つまり、戦争をどう描くかについての社会的合意がなく、国としての「語り」が存在しない。
学校の歴史でも戦争について確かに習った。でも受験で考えると、近現代史の比重はどうしても低かった気がする。そもそも受験対策としてしか歴史を捉えていなかった、というのが今になっての反省。
日本で戦争前後の歴史を語ろうとすると、右からも左からも批判が飛んでくる。だから語りにくいのだろう。一方で外国は、自国なりの「語り」がしっかり提示されているように見えて、それも不思議だった。


以下メモ
・歴史は究極的に科学ではない。
さまざまな史料を突き合わせて「事実らしいもの」を導き出すという作業には部分的に科学的な要素が含まれるかもしれない。だが、その「事実らしいもの」にどのような意味を与え、なにを重要とみなすかは解釈の問題となる。そして、その解釈は個人の関心や時代の雰囲気によって大きく影響を受けざるを得ない。


・歴史を振り返る意義は、過去を美化することでも、糾弾することでもない。重要なのはなぜ当時の日本が、そのような選択をしたのかを深く理解し、わがこととして捉えなおし、現在につなげることにある。そのためにも我々は、あの戦争を解釈し続け、適切な物語を模索し続けなければならない。


・明治から昭和になるにつれて、官僚機構はますます大きく複雑になり、各省庁や部局は縦割り構造の中で独自の理論を抱え込むようになった。部門間の利害調整は困難を極め、複雑な感情やメンツが絡み合い、統合的な意思決定はほとんど不可能となった。こうして”司令塔が不在”のまま、日本は妥協と調整の中で動いていくようになった。

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2026年07月16日

Posted by ブクログ

あの戦争に関しては教科書に載っていたような軍が政権を乗っ取って暴走した結果、くらいの理解しかなかったけど、これを読んで軍も一枚岩ではなかったしいろいろな要因があってあの戦争が引き起こされたんだなと理解を改めることができた
歴史はただの事実の羅列ではなくて、それぞれの解釈が挟まるから視点によって全く違う側面を見せるというのも面白かった
最終的には歴史をさまざまな視点で解釈しながら、未来へつなげていかなけらばならない

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2026年06月26日

Posted by ブクログ

戦前はそんなに単純じゃねえ、という筆者の意気込みは理解できた。東條英機がごりごりの官僚だったことも面白い。彼、戦争の2ヶ月前に首相生ったのに、すごいと独裁者扱いなのね。

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2026年06月22日

Posted by ブクログ

平和主義者でハト派である反面三国同盟や日米開戦を先鞭つけた近衛文麿についてその多層性が やはり 一人間なのだなぁと思い始めた頃から 本書の内容については概ね理解していたように思える。あの世界的にも極悪人とされる東条英機の本当の意味でのアジア解放に向けてのパトスを明記してくれたことでもありがたい。 間違いや 愚かなところはもちろんある。 数多くある。 それは認めつつも 自虐史観でもない 被害者史観でもない、歴史としての多層性を常に考えなければいけない。 それと同時に、ある一面のもので自称を判断して ことさらにあげつらったり規定したりしてくる人の言動を注意深く見る癖はついた。 このリテラシーはかなり意識していないとすぐに影響を受けてしまう。くれぐれも気をつけて行きたい。

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2026年05月31日

Posted by ブクログ

ネタバレ

とても面白かった。
日本の近現代史は学校で深く勉強しないし、頑張って半藤一利の昭和史、なども読んでみたけれど、たくさんの出来事がありすぎて、うまく消化もできず、理解もできず、そのままになっていた。自分の不勉強を棚に上げて言えば、とにかくいろんなことが絡み合いすぎて、あの時代はわかりづらく感じてしまう。

その意味で、全体をざっくり見渡せたこと、文脈を見出しながら歴史の展開を見れたことはとても良かった。

各国の歴史博物館の展示内容の比較も、「あの戦争」を相対的に長めの射程で見てみる良い契機になった。

東南アジアへの侵攻の状況と、それら諸国での日本の占領期の捉え方も勉強になったが、と同時に、韓国併合が明治期のことで、統治が35年もの間続いていたことを思うと、韓国と東南アジアでの経験は全く違うわけで、受け止めが違うのは当然だなとも思った。

そうしなければ、日本は植民地にされていた、あの時代はそうしなければならない理由があったのだという、一部保守の言い分について、
p272で、主体性をもって世界史に刻まれる行動をとったのであり、主体性があるということは他に影響を及ぼす存在であった、良い面も、否定的な面も引き受けるべき

というのはそうだな、と思った。昔、司馬遼太郎があんな戦争はあれは本当の日本じゃない、あんなのは一部の軍部が引き起こしたもので・・・というようなことを何かで書いていて、そんな無責任が言い草があるものかと憤慨したことがある。司馬遼太郎が人気があるのは、そういった甘えを許す歴史ロマンが楽しめるからなのではないか、とそれを読んだ時には思ったくらいだった。

おわりに、では小林秀雄の言葉を引いて、歴史とは愛惜の念なしには成立しない(一人一人の苦しみ、悲しみやその経験を思うことなしに理解できない)と書いてあり、その通りだと思った。国家のために、国体のために、国防のために、といって一人一人の生活を見ないようでは、歴史に基づいた国の運営などできない。

確かにな、と思うところが多い本だったのだけれど、ただ、この人のこの考えを極端な右派というか、歴史修正主義の人たちに利用されていかないかと少し不安にもなった。



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2026年05月31日

Posted by ブクログ

第二次世界大戦に至るまでの経緯で、以下に日本が一枚岩でなく、主体がどこにあるのか不確かであったことを認識する。日本も含めた各国の展示などの情報も有意義だった。

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2026年05月05日

Posted by ブクログ

戦争と呼んでいるのは第二次世界大戦、日中戦争、満州事変?と解釈がいくつもあることを理解した。孫氏の兵法、勝兵はまず勝ちてのちに戦い、敗兵はまず戦いて勝ちを求む、大東亜戦争に踏み切った大きな原因は石油不足とのこと、東南アジア各国の大東亜戦争に対する取り上げ方の違いがよく分かった。

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2026年05月01日

Posted by ブクログ

一般に太平洋戦争といわれることが多い「あの戦争」について、私たち日本国民自身の物語としての落としどころを探ろうとする一書。

本書の結論は、白か黒かでは無く、「小さな否定と大きな肯定」だそうです。そう言われてしまうと、様々な立場の人物が関わる歴史イベントは当然に複雑な様相を呈するので大概そんな感じですが・・・
ただ、著者の比較的中立であろうとする姿勢には同感です。極端な自虐史観も、無責任な自己擁護も、一方の見たいところだけという視野狭窄ではいつまで経っても建設議論にならず、未来へ踏み出せませんから。

あと、中国以外にもシンガポールなどでも日本人にとってはかなり衝撃的な博物館展示がなされていることは本書で初めて知りました。

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2026年04月20日

Posted by ブクログ

「あの戦争」がどの戦争かすぐに分からない日本人はいないだろう。それくらい長い間、日本は直接的に戦争をすることなく生きてこられた。そもそもあの戦争の正式名称すら確定できていないことを初めて認識させられた。それは実際いつ始まったのか、日本が回避するとしたら、それはどの時点でだったのか、日本に大義はあったのか、など、戦争にまつわる疑問に丁寧に答えようとしている。強く印象に残ったのは、日本には、近現代歴史博物館的なものがなく、歴史と現代を結びつけて学ぶ場が提供されていない、ということだ。先の戦争をいかに描くかという社会的合意が成立しておらず、展示が政治的論争に発展してしまうという固有の事情があるかららしい。戦争が遠く抽象的なものになってしまうのもむべなるかな、だ。
今「戦争反対」と発言すると炎上したり非難されたりするらしいし、実際そういう言説を目にすることも多くなった。自民党に大勝を許してしまった以上、憲法改正が進むことは既定路線となってしまっている。ネット情報に踊らされて、大多数の人が憲法改正国民投票にあっさり賛成するんだろう。現憲法ほど権力の暴走を縛り、個人の権利を最大限保障するような憲法は二度と作れないだろうから、戦争も徴兵も言論の不自由も覚悟しておかなきゃならないという思いを、益々強くした。

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2026年04月12日

Posted by ブクログ

それぞれの立ち位置により、いろんな意見があると思います。
しかし戦後80年、たしかに皆が65点と思えるような日本としての公式見解が必要なのでは。と感じました。

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2026年04月19日

Posted by ブクログ

特に2点考えさせられた。
①中・露・朝鮮半島だけでなく、東南アジアも日本は占領していたと言う事実。現代を考えるとなんとなく東南アジアは親日というイメージごあるが「あの戦争」当時は日本が東南アジアを植民地化しようとしていた歴史があるということは忘れてはならない。「許そう、だが忘れない」という視点は忘れてはいけないと感じた。
②日本にちゃんとした戦争博物館がないという事実。これが日本が「あの戦争」についてはっきりとした終わりを示せていない証拠。世界を見ても時の政権によって博物館の展示内容は変わる。良し悪しに白黒つけることはできないが65点の答えを出すことが大事だということ。

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2026年09月21日

Posted by ブクログ

日本の戦争の歴史を振り返りつつ、そもそも歴史とは何であるのかを考えさせられる本書。
歴史というのは、進歩の歴史になりがちであり、さらにはナショナリズム隆盛のための歴史になりがちな側面があります。
それをふまえると、一国の視点から見る歴史は何かに偏ったものになってしまうのが常であることが分かります。
とはいえ、偏ったものになることは避けられませんし、無理に避ける必要もないと思います。大事なことは、それを摂取する側の私たちが上手く受け入れる能力を持つことです。
歴史自体を知ることもとても大事ですが、歴史とはそもそも何なのかを知ることができると歴史はもっと楽しくなります。
色んな人に読んでもらいたい本です。

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2026年06月23日

Posted by ブクログ

日中戦争から太平洋戦争、大東亜戦争に至るまでの一連の流れを久しぶりに考え直すいい機会になった。正義のためだったとか、侵略行為だったとかの偏った見方に集約されてしまいがちだが、著者はさまざまな要因を多面的にとらえて冷静に再検討しています。現在の価値基準で当時を語ってしまう私には、とても参考になった。

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2026年06月22日

Posted by ブクログ

本屋で、ランキング順位に本書があり、手に取りました。
内容は難しいところも多くて、読みにくかったのですが、私たちが歴史で学んできたことと、太平洋戦争の実態は、異なる場面が多いと理解できました。同じ歴史も、伝え方で印象がニュアンスが変わると知りました。戦争を取り上げた国内外の博物館では、それぞれの立場で日本軍が紹介されています。このことが、日本への政治的姿勢を示すと、これまでも考えてなかったので、興味深かったです。イランイスラエル情勢が気になる現代に、この本を読むのは価値があると感じます。

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2026年05月12日

Posted by ブクログ

途中、ひたすら大学生の旅行記のような話が続いて辟易。なぜ評価されているのかよくわからなかった。日本が戦争に突き進んだのは仕方なかった、日本も悪かったが列強も悪かった、のような文章を読みたい人がたくさんいるのかもしれない。

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2026年03月31日

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